
夏は妊娠しにくい?妊娠率と夏の冷え・暑さの関係
「夏は妊娠しにくい季節」と聞いて、不安になったことはありませんか?
暑い季節は、汗をかきやすく、睡眠の質が下がったり、冷房で体が冷えたり、食欲が落ちたりしやすい時期です。そのため、妊活中の方にとって「夏の過ごし方」は意外と大切です。
ただし、最初にお伝えしたいのは、夏だから必ず妊娠しにくくなるわけではないということです。
妊娠率には、年齢、卵子や精子の状態、排卵、子宮内膜、生活習慣、不妊治療の内容など、さまざまな要因が関わります。
そのうえで、夏特有の「暑さ」「冷え」「睡眠不足」「自律神経の乱れ」が、妊活中の体調に影響する可能性はあります。この記事では、夏と妊娠率の関係について、医学的な知見と東洋医学的な視点を交えながら解説します。
- 夏だから必ず妊娠しにくくなるわけではない
- 妊娠率には年齢、卵子・精子の状態、排卵、子宮内膜、生活習慣など多くの要因が関わる
- 暑熱ストレスは、自律神経や睡眠、食欲、体調に影響する可能性がある
- 夏は冷房や冷たい飲食物により、体が冷えやすい季節でもある
- 妊活中は、暑さ対策と冷え対策のバランスを取ることが大切


目次
夏は本当に妊娠率が下がるの?
人の妊娠や出生には、季節による変動があることが疫学研究で報告されています。妊娠・出生の季節性には、気温だけでなく、日照時間、生活習慣、感染症、休暇、性交頻度など複数の要因が関わると考えられています。
また、暑い天候のあとに出生数が減少する可能性を示した研究もあり、暑さが妊娠成立前後の体の状態に影響する可能性が指摘されています。
一方で、これは「夏に妊娠できない」という意味ではありません。季節による影響はあくまで傾向であり、個人差が大きいものです。
日本の出生数から見える季節の傾向
日本の人口動態統計では、月別の出生数を確認できます。出生数は月によって差があり、4月〜6月生まれの出生数が他の月よりやや少なく見える年もあります。
ただし、出生数は月の日数、社会的要因、全体の出生数減少などにも影響されます。そのため、出生月のデータだけで「夏に妊娠しにくい」と断定することはできません。
大切なのは、データを不安材料として受け取るのではなく、夏に起こりやすい体調の変化を知り、妊活中の体調管理に活かすことです。
夏の妊活で影響しやすい3つの要因
1. 暑熱ストレスによる体への負担
夏の強い暑さによって体に負担がかかる状態を「暑熱ストレス」といいます。
暑熱ストレスは、体温調節、自律神経、睡眠、食欲、疲労感などに影響します。妊活中は、こうした体調の乱れが排卵リズムやホルモンバランス、コンディションの維持に関係する可能性があります。
畜産分野では、暑熱ストレスが牛の繁殖性を低下させることが報告されています。暑熱ストレスにより、卵巣機能、ホルモン分泌、卵子や胚の質、妊娠維持機能などに影響する可能性が示されています。
ただし、これは牛を対象とした研究であり、そのまま人に当てはめることはできません。人の場合は、冷房環境、衣服、食事、睡眠、生活習慣などで暑さの影響をある程度調整できます。
2. 冷房や冷たい飲食物による「夏の冷え」
夏は暑い季節ですが、実は体が冷えやすい季節でもあります。
冷房の効いた部屋に長時間いる、冷たい飲み物をよく飲む、素足で過ごす、シャワーだけで済ませる、といった生活が続くと、体の表面は暑くても、お腹や足元が冷えやすくなります。
医学的に「子宮が冷える」と直接表現するのは慎重に考える必要がありますが、東洋医学では、下腹部や足元の冷え、血流の滞り、胃腸の弱りは、妊活中の体づくりに関わる重要なサインとして考えます。
特に、次のような不調がある方は、夏でも冷え対策を意識するとよいでしょう。
- 下腹部が冷たい
- 足先が冷える
- 生理痛が強い
- 経血に塊がある
- 胃腸が弱く、冷たいものでお腹を壊しやすい
- 夏でも体がだるい
このような場合は、夏でも「冷やしすぎない妊活」を意識することが大切です。
3. 睡眠の質の低下と自律神経の乱れ
夏は、夜間の気温や湿度が高くなり、寝苦しさを感じやすい季節です。
睡眠不足が続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなり、疲労感、食欲低下、イライラ、体温調節の乱れにつながることがあります。
妊活中は、排卵や月経周期に関わるホルモンの働きも大切なため、睡眠の質を整えることは重要です。
「夏は妊娠しにくいのでは」と不安になる方もいますが、まずは妊娠率そのものを心配しすぎるより、夏でも体調を崩さない生活リズムを作ることを大切にしましょう。
夏の妊活で気をつけたいポイント
冷房でお腹と足元を冷やしすぎない
冷房は我慢せず使って大丈夫です。熱中症を防ぐためにも、暑さを無理に耐える必要はありません。
ただし、冷房の風が直接お腹や足元に当たる状態が続くと、体が冷えやすくなります。薄手の腹巻き、靴下、ひざ掛けなどを使い、冷えすぎを防ぎましょう。
冷たい飲み物を摂りすぎない
暑い日は冷たい飲み物が欲しくなりますが、氷入りの飲み物や冷たい食べ物ばかりが続くと、胃腸に負担がかかることがあります。
妊活中は、胃腸の働きを整え、栄養をしっかり吸収できる状態を保つことも大切です。冷たい飲み物を完全に避ける必要はありませんが、常温の飲み物や温かい汁物も取り入れるとよいでしょう。
シャワーだけで済ませず、入浴や足浴を取り入れる
夏はシャワーだけで済ませる方も多いですが、冷房で冷えた体をリセットするには、ぬるめの入浴や足浴もおすすめです。
熱すぎるお湯に長時間入る必要はありません。38〜40℃程度のぬるめのお湯で、体がじんわり温まるくらいを目安にするとよいでしょう。
暑い時間帯の運動は避ける
妊活中の体づくりには、適度な運動が役立ちます。ただし、夏の炎天下で無理に運動すると、暑熱ストレスや脱水につながるおそれがあります。
ウォーキングをする場合は、朝や夕方の涼しい時間帯を選びましょう。室内でのストレッチや軽い筋トレもおすすめです。
睡眠環境を整える
寝苦しさを我慢すると、睡眠の質が下がりやすくなります。冷房や除湿を上手に使い、快適に眠れる環境を整えましょう。
ポイントは、体を冷やしすぎず、暑さも我慢しすぎないことです。寝る前のスマートフォン、夜更かし、冷たい飲み物の摂りすぎにも注意しましょう。
東洋医学で考える夏の妊活
東洋医学では、夏は「暑さ」と「湿気」によって、体の巡りや胃腸の働きが乱れやすい季節と考えます。
特に、冷房や冷たい飲食物によって胃腸が弱ると、食べたものから十分にエネルギーを作れず、体のだるさや冷えにつながることがあります。
妊活中は、子宮や卵巣だけを見るのではなく、胃腸、睡眠、血流、自律神経、冷え、ストレスなど、体全体の状態を整えることが大切です。
夏の妊活では、「暑さを避けること」と「冷やしすぎないこと」の両方のバランスを意識しましょう。
夏は妊娠しにくいと決めつけず、体調管理を大切に
夏は、暑さ、冷房、冷たい飲食物、睡眠不足、食欲低下などによって、妊活中の体調が乱れやすい季節です。
一部の研究では、暑さや季節が妊娠・出生に影響する可能性が示されていますが、夏だから妊娠できない、妊娠率が必ず下がる、と考える必要はありません。
大切なのは、夏特有の不調を放置せず、体を冷やしすぎず、暑さも我慢しすぎず、睡眠・食事・血流を整えることです。
妊活中の夏は、頑張りすぎるよりも、体に負担をかけない過ごし方を意識してみましょう。
夏は本当に妊娠しにくいのですか?
夏だから必ず妊娠しにくいとはいえません。ただし、暑さによる疲労、睡眠不足、食欲低下、冷房による冷えなどが重なると、妊活中の体調に影響する可能性があります。
夏の冷えは妊活に悪いですか?
冷えそのものが直接不妊の原因になると断定はできません。ただし、下腹部や足元の冷え、胃腸の弱り、血流の滞りは、東洋医学では妊活中の体づくりに関わるサインとして考えます。
妊活中でも冷房を使って大丈夫ですか?
冷房は使って大丈夫です。熱中症を防ぐためにも、暑さを我慢しすぎないことが大切です。ただし、冷風が直接体に当たらないようにし、お腹や足元を冷やしすぎない工夫をしましょう。
夏の妊活では何を意識すればよいですか?
冷房による冷え対策、冷たい飲食物の摂りすぎを避けること、睡眠環境の調整、無理のない運動、入浴や足浴などがおすすめです。大切なのは、暑さを避けながらも体を冷やしすぎないことです。
夏に体調を崩しやすい場合はどうしたらよいですか?
食欲低下、だるさ、冷え、睡眠不足などが続く場合は、生活習慣を見直すとともに、必要に応じて医療機関に相談しましょう。妊活中は、無理に頑張るよりも、体調を安定させることが大切です。
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📚参考文献
- 厚生労働省「人口動態調査」
- e-Stat「人口動態調査 人口動態統計」
- Rojansky N, et al. Seasonality in human reproduction: an update. Human Reproduction. 1992.
- Barreca A, et al. Does hot weather affect human fertility? IZA World of Labor. 2017.
- 阪谷美樹「暑熱ストレスと牛の繁殖性」The Journal of Farm Animal in Infectious Disease. 2018.
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
夏の妊活で体調が乱れやすい方へ
夏は、暑さだけでなく、冷房による冷え、睡眠不足、食欲の低下、胃腸の不調などが重なりやすい季節です。
「夏になると体がだるい」「冷房で下腹部や足元が冷える」「妊活中の体調管理に不安がある」という方は、無理に頑張りすぎるのではなく、まずはご自身の体の状態を丁寧に見直してみることが大切です。
宇都宮鍼灸良導絡院では、東洋医学の視点から、冷えや血流、自律神経、胃腸の働きなどを確認しながら、妊活中のお身体づくりをサポートしています。
夏の冷えや体調の乱れが気になる方は、まずは一度、お身体の状態をご相談ください🍀







