
妊活が行き詰まっていると感じたら見直すべきこと10選
「また着床しなかった」「何度移植しても結果が出ない」「検査では異常なしと言われた」——そんな状況が続いているなら、この記事を読んでください。
妊活が行き詰まっているとき、必ず理由があります。ただ、その理由は一つではないことがほとんどです。見落とされがちなポイントを10個にまとめました。パートナーと一緒に確認してみてください。
この記事で見直したい10のポイント
- 胚の染色体を調べましたか?(PGT-A)
- 着床の窓がずれていませんか?(ERA検査)
- 慢性子宮内膜炎を調べましたか?
- 子宮の形・ポリープ・筋腫を確認しましたか?
- パートナーの精子を精密に調べましたか?(DFI検査)
- ビタミンDが足りていますか?
- 免疫・血栓の異常を調べましたか?
- 同じ治療を繰り返していませんか?
- 心とからだ、限界になっていませんか?
- パートナーと最近、本音で話せていますか?


目次
1. 胚の染色体を調べましたか?(PGT-A)
移植を繰り返しても着床しない場合、最も多い原因は胚の染色体異常です。着床しない原因の約60〜70%は胚側にあると報告されており、形態良好に見える胚でも染色体異常を持つことがあります。
PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)は、移植前に胚の染色体数を調べ、正常な胚だけを選んで移植する検査です。2025年9月の日本産科婦人科学会の細則改定により、反復着床不全・反復流産に加えて35歳以上の女性も検査対象に追加されました。
保険適用外となりますが、移植あたりの妊娠率改善・流産率低下が期待できるとされています。
(文献1・5)
2. 着床の窓がずれていませんか?(ERA検査)
子宮内膜には胚が着床しやすい時期(着床の窓・WOI)があります。標準的な移植タイミングと自分の着床の窓がずれていると、良好な胚を移植しても着床しません。
ERA検査(子宮内膜受容能検査)は、子宮内膜に発現している238種類の遺伝子を解析し、自分だけの最適な移植タイミングを特定する検査です。
約30%の女性では標準タイミングとWOIがずれている(non-receptive)と報告されており、ERA検査によって個別化した移植タイミングで妊娠率の改善が期待できます。
トリオ検査(ERA・EMMA・ALICE)として、慢性子宮内膜炎検査と同時に受けるケースも増えています。
(文献6)
3. 慢性子宮内膜炎を調べましたか?
慢性子宮内膜炎は、子宮内膜に細菌による持続的な炎症がある状態です。反復着床不全の患者さんの約30〜60%に見つかると報告されており、原因不明の習慣流産にも約40〜60%で認められるとされています。
最大の特徴は、ほぼ無症状であることです。検査をしなければ気づけません。
子宮内膜組織を採取して特殊染色で確認する検査(CD138免疫染色)や、EMMA/ALICE検査で調べることができます。抗菌薬による治療後、着床率・妊娠率ともに改善することが報告されています。
(文献3)
4. 子宮の形・ポリープ・筋腫を確認しましたか?
子宮側の器質的な問題も、着床を妨げる大きな原因です。確認すべき主な問題として、以下があります。
- 子宮内膜ポリープ:小さくても着床を妨げることがある
- 粘膜下筋腫:子宮腔内に突出する筋腫は着床に影響
- 子宮腔内癒着:帝王切開や手術後に起こりやすい
- 卵管水腫:卵管に液体がたまり、子宮内膜に悪影響を与える
- 子宮奇形:先天的な形の異常
これらは、子宮鏡検査・MRI・卵管造影検査などで確認できます。手術や治療で改善後、妊娠率が上がるケースがあります。
(文献1)
5. パートナーの精子を精密に調べましたか?(DFI検査)
不妊の原因の約半数は、男性側、または男女両方にあると言われています。通常の精液検査(濃度・運動率・形態)が正常であっても、精子のDNAが損傷している(DNA断片化率が高い)場合があります。
DFI検査(精子DNA断片化率検査)は、精子のDNA損傷率を測定する検査です。DNA断片化率が高いと、自然妊娠や体外受精の成功率が低下し、流産リスクが上がることが報告されています。
また、精液中の酸化ストレスを測定するORP検査も近年注目されています。妊活が行き詰まっている場合は、パートナーの精密な精子検査も検討してみてください。
(文献4)
6. ビタミンDが足りていますか?
ビタミンDは、着床率・妊娠率・流産率と関連することが複数の研究で報告されています。ビタミンD欠乏群(20ng/mL未満)では、充足群と比較して生殖能力が推定45%低下するという研究結果もあります。
日本人の98%がビタミンD不足とも言われており、特に室内での活動が多い女性や、日焼け止めを使用している方は不足しやすい状況です。また、ビタミンDはAMH(卵巣予備能)とも相関があるとされています。
血液検査(25-OHビタミンD)で簡単に確認でき、不足していればサプリメントで補充できます。不妊外来の初診時に測定してもらえるクリニックも増えています。
(文献7)
7. 免疫・血栓の異常を調べましたか?
着床は、免疫的なメカニズムと深く関わっています。以下の2つの異常が、着床不全・流産の原因になることがあります。
Th1/Th2比の異常(免疫拒絶)
受精卵は父親由来の遺伝子を半分含むため、女性の免疫系が異物として攻撃しないよう「免疫寛容」が必要です。Th1細胞が過剰に優位になると、受精卵への拒絶反応が強まります。
タクロリムスなどの免疫抑制療法で改善が期待できるケースがあります。
(文献2)
抗リン脂質抗体症候群(血栓)
血液が固まりやすい体質により、胎盤への血流が妨げられ、着床不全・流産につながります。
不育症検査と重なる部分も多く、繰り返す着床不全・流産がある場合は、確認する価値があります。
8. 同じ治療を繰り返していませんか?
クリニックによって、得意とする治療法・採用している検査・培養技術・治療方針は大きく異なります。
同じクリニックで半年〜1年間、同じ治療を繰り返しても変化がない場合は、以下を検討するタイミングかもしれません。
- 治療方針の見直し:上記1〜7の検査を受けていない場合は担当医に相談
- セカンドオピニオン:現在の治療内容・検査結果を別の医師に見てもらう
- 転院:男性不妊の専門対応・PGT-A・ERA検査など、より専門性の高いクリニックへ
インフォームド・チョイス(患者自身が納得して治療を選択する権利)の観点からも、疑問や不満があれば積極的に別の意見を求めることは大切なことです。
(文献8)
9. 心とからだ、限界になっていませんか?
慢性的なストレスは、視床下部—下垂体—卵巣軸のホルモン分泌に影響し、排卵障害・黄体機能不全・免疫異常を引き起こすことがあります。
「治療のためのセックス」「毎月の判定日のプレッシャー」が積み重なることで、自律神経のバランスが崩れやすくなります。
以下のアプローチも、妊活の一部として有効とされています。
- 治療の一時休憩:意識的に「治療しない月」をつくる
- 鍼灸:子宮・卵巣への血流改善、自律神経調整のサポートとして取り入れるカップルが増えています
- カウンセリング・不妊専門の心理士:不妊関連ストレスへのセルフガイド介入の有効性も報告されています
心が疲れているときは、からだも疲れています。立ち止まることも、前に進む選択のひとつです。
(文献9)
10. パートナーと最近、本音で話せていますか?
治療が長引くほど、二人の間に気持ちのズレが生まれやすくなります。
「いつまで続けるのか」「次のステップをどうするか」「お金のこと」「仕事との両立」——こうした話題は、疲れているときほど後回しにしてしまいがちです。
定期的に二人で話し合う時間をつくることが、妊活が行き詰まったときを乗り越える鍵になります。話し合いのポイントとして、以下を参考にしてください。
- 今の治療を続ける期間・回数の上限を決める
- お互いの「しんどい」を言葉にする
- 妊活以外の二人の時間を意識的につくる
妊活はゴールではなく、二人の人生の一部です。パートナーシップを大切にすることが、結果的に妊活の質を高めます。
まとめ
妊活が行き詰まっているとき、必ず見直せるポイントがあります。
- 胚の染色体(PGT-A)
- 着床の窓(ERA検査)
- 慢性子宮内膜炎
- 子宮の形・ポリープ・筋腫
- パートナーの精子DNA断片化(DFI検査)
- ビタミンD不足
- 免疫・血栓の異常
- 治療方針・クリニック選び
- ストレス・自律神経
- パートナーとの方向性
一つひとつ丁寧に確認することで、次の一手が見えてきます。一人で抱え込まず、パートナーと一緒に向き合ってみてください。
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📚参考文献
- Ma Y, et al. Recurrent implantation failure: A comprehensive summary from etiology to treatment. Frontiers in Endocrinology. 2023.
- ESHRE Working Group on Recurrent Implantation Failure. Recommendations for the diagnosis and management of recurrent implantation failure. Hum Reprod Open. 2023.
- Moreno I, et al. Evidence that the endometrial microbiota has an effect on implantation success or failure. Am J Obstet Gynecol. 2016.
- Agarwal A, et al. Clinical utility of sperm DNA fragmentation testing. Andrologia. 2020.
- 日本産科婦人科学会. 不妊症および不育症を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)に関する細則. 2025年9月改定.
- Kyono K, et al. 子宮内膜着床能(ERA). Hormone Frontier in Gynecology. 2022.
- Blomberg Jensen M, et al. Vitamin D receptor and vitamin D metabolizing enzymes are expressed in the human male reproductive tract. Hum Reprod. 2010.
- 三軒茶屋ウィメンズクリニック. 不妊治療でのセカンドオピニオンについて. 2025.
- Frederiksen Y, et al. Efficacy of psychosocial interventions for psychological and pregnancy outcomes in infertile women and men. BMJ Open. 2015.
- 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版).
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
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