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胚移植を繰り返しても着床しない原因は?反復着床不全で見直したい10項目

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「何度移植しても着床しない」「良好胚を戻しているのに結果につながらない」「検査では大きな異常がないと言われた」——このような状況が続くと、「何か見落としている原因があるのでは?」と不安になる方も多いと思います。

ただし、着床しない理由が必ず一つの検査で見つかるわけではありません。胚の状態、年齢、子宮内の環境、ホルモン、男性側の要因など、複数の要素が関係します。

また、反復着床不全に対して行われている検査の中には、医学的な有用性が比較的確立しているものと、まだ研究段階・評価が定まっていないものがあります。

この記事では、胚移植を繰り返しても妊娠につながらないときに、主治医と一緒に見直したい10のポイントを整理します。

この記事で見直したい10のポイント

  • これまでの移植歴と胚の状態を整理する
  • PGT-Aが自分に適しているか相談する
  • 子宮内腔や卵管の状態を確認する
  • 子宮内膜の厚さ・移植周期を見直す
  • 慢性子宮内膜炎を調べる必要があるか相談する
  • 男性側の評価を見直す
  • 甲状腺・栄養状態など全身の状態を確認する
  • ERA・免疫検査など追加検査の必要性を慎重に考える
  • 治療方針やクリニックを見直す
  • 心と身体、パートナーとの関係も大切にする
この記事の要点まとめ
  • 胚移植を繰り返しても着床しない原因は、胚・子宮・ホルモン・男性側など一つとは限りません。
  • 反復着床不全は「移植○回」と一律に判断するのではなく、年齢や胚の状態などを含めて個別に評価します。
  • PGT-Aは選択肢の一つですが、すべての体外受精患者さんに必要な検査ではありません。
  • ERA・子宮内マイクロバイオーム・Th1/Th2・NK細胞などは、ルーチン検査としての有用性が確立していないものもあります。
  • 検査を増やすことより、これまでの治療を整理し、自分に必要な検査・治療を主治医と相談することが大切です。

胚移植を繰り返しても着床しないときに見直したいポイント

反復着床不全とは?「何回失敗したら」と一律には決められません

良好と思われる胚を複数回移植しても妊娠成立につながらない状態は、「反復着床不全(RIF:Recurrent Implantation Failure)」と呼ばれることがあります。

ただし現在は、「移植を○回失敗したら反復着床不全」と回数だけで判断するのではなく、女性の年齢、胚の状態、PGT-Aの有無、これまでの移植回数などを含めて個別に評価する考え方が重視されています。

そのため、1〜2回の移植で結果が出なかったからといって、すぐに「着床障害がある」と考える必要はありません。

1. これまでの移植歴と胚の状態を整理する

最初に確認したいのは、特殊な検査ではなく、これまでの治療経過です。

  • 採卵時の女性年齢
  • 胚盤胞まで育った割合
  • 移植した胚の発育段階や評価
  • 新鮮胚移植か凍結胚移植か
  • 自然周期かホルモン補充周期か
  • 何回移植したか
  • これまで着床・化学流産・流産があったか

胚の染色体異数性は、着床しない原因や流産の重要な要因の一つです。また、胚の染色体異数性は女性の年齢とともに増えることが知られています。

まずは「何の検査を追加するか」ではなく、これまでの採卵・培養・移植結果を主治医と整理することが重要です。

2. PGT-Aが自分に適しているか相談する

PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)は、胚盤胞の一部の細胞を採取し、染色体数の異常の有無を調べる検査です。

日本産科婦人科学会では、反復する胚移植不成功や反復する流死産に加え、2025年9月の細則改定で女性が高年齢の不妊症の夫婦も対象となり、女性年齢35歳以上が一つの目安とされています。

一方で、PGT-Aをすべての体外受精患者さんに行えば、必ず累積妊娠率や出生率が高くなるというわけではありません。

また、モザイク胚の判定、検査結果が出ない場合、胚生検の必要性、費用なども含めてメリットと限界があります。

反復する移植不成功や流産、年齢などを踏まえて、PGT-Aが自分たちに適しているか主治医と相談しましょう。

3. 子宮内腔や卵管の状態を確認する

胚を受け入れる子宮側に、着床に影響する可能性のある病変がないか確認することも重要です。

  • 子宮内膜ポリープ:大きさや位置によっては着床に影響する可能性があります
  • 粘膜下筋腫:子宮腔を変形させる筋腫では妊娠に影響することがあります
  • 子宮腔内癒着:手術や処置のあとなどに生じることがあります
  • 子宮形態異常:中隔子宮など子宮の形態を詳しく確認することがあります
  • 卵管水腫:体外受精の妊娠成績に影響することが知られています

超音波検査、子宮鏡検査、MRI、子宮卵管造影など、必要な検査は状況によって異なります。

すべてのポリープや筋腫に治療が必要なわけではないため、大きさ・場所・症状・移植予定などを踏まえて主治医と相談してください。

4. 子宮内膜の厚さ・移植周期を見直す

胚移植では、子宮内膜の厚さやホルモン環境、黄体ホルモンを投与するタイミングなども確認されます。

特にホルモン補充周期では、エストロゲンやプロゲステロンの投与方法・期間が移植スケジュールと合っているかを確認することが大切です。

子宮内膜が繰り返し薄い場合には、薬剤の投与方法の見直しや、子宮腔内癒着などがないか子宮鏡検査を検討することがあります。

5. 慢性子宮内膜炎を調べる必要があるか相談する

慢性子宮内膜炎は、子宮内膜に慢性的な炎症が続いている状態で、自覚症状がほとんどないこともあります。

反復着床不全との関連が報告されており、必要に応じて子宮内膜組織を採取し、CD138免疫染色などで評価することがあります。

一方で、診断基準には施設間の違いがあり、どの程度の炎症を慢性子宮内膜炎と判断するかについても完全には統一されていません。

ESHREでは、反復着床不全が疑われる場合、慢性子宮内膜炎の評価を「検討してもよい」としています。診断された場合には抗菌薬治療が検討されますが、治療による妊娠成績改善については研究結果が一致していない部分もあります。

6. 男性側の評価も見直す

不妊は女性だけの問題ではありません。男性側・女性側のどちらにも原因となる要素があり、複数の要因が重なっていることもあります。

まず基本となるのは精液検査で、精子濃度、運動率、形態などを確認します。

精子DNA断片化検査(DFI検査)とは?

精子DNA断片化検査は、精子のDNAがどの程度損傷しているかを評価する検査です。

DNA断片化率が高いことと妊娠率低下や流産との関連を示した研究がありますが、すべての不妊男性に最初から行う検査ではありません。

通常の精液検査だけでは説明しにくい不妊、反復流産、体外受精・顕微授精を繰り返している場合などでは、男性不妊を専門とする医師に相談してみてもよいでしょう。

7. 甲状腺・栄養状態など全身の状態を確認する

着床だけに目を向けるのではなく、妊娠前の全身状態を確認することも大切です。

治療歴や症状に応じて、甲状腺機能、血糖、貧血、栄養状態などが確認されることがあります。

ビタミンDは「妊娠させるサプリ」ではありません

ビタミンDと体外受精の妊娠成績との関連については多くの研究があります。

2024年のメタ解析でも、血中ビタミンD濃度と臨床妊娠率・出生率との関連が報告されていますが、主に観察研究による結果であり、ビタミンDを補充すれば着床率が上がると断定できるわけではありません。

ビタミンDは骨の健康にも重要な栄養素です。欠乏が疑われる場合は25-OHビタミンDを測定し、必要な補充量について医師と相談するとよいでしょう。

8. ERA・免疫検査など追加検査の必要性を慎重に考える

反復着床不全では、さまざまな「追加検査」が紹介されることがあります。しかし、検査できることと、その検査によって出生率を改善できることは同じではありません。

ERAなどの子宮内膜受容能検査

ERAなどの子宮内膜受容能検査では、子宮内膜の遺伝子発現などを解析し、胚移植のタイミングを評価します。

「着床の窓がずれている」という考え方が注目されてきましたが、現在のところ、ERAなどの検査を行って個別化した移植をすることで、すべての反復着床不全患者さんの妊娠・出生率が改善するとは確認されていません。

ESHREも、現在利用できる子宮内膜受容能検査をルーチンで全員に行うだけの十分な根拠はないとしています。

子宮内マイクロバイオーム検査

子宮内の細菌叢と着床との関連について研究されていますが、現時点では子宮内・膣内マイクロバイオーム検査を反復着床不全の患者さん全員に行うことは推奨されていません。

Th1/Th2・NK細胞などの免疫検査

着床には免疫系が関わっていますが、免疫反応は非常に複雑です。

Th1/Th2、NK細胞などを調べる検査が行われている施設もありますが、これらの検査結果だけで着床不全の原因を判断したり、免疫抑制薬による治療をルーチンで行ったりする十分な根拠は現在確立していません。

タクロリムスなどの免疫調整治療についても研究されていますが、適応や安全性を含め専門医による慎重な判断が必要です。

抗リン脂質抗体症候群は別に考えます

一方、反復流産の既往や血栓症の既往などがある場合には、抗リン脂質抗体症候群などの評価が重要になることがあります。

流産を繰り返している場合は、「着床不全」だけでなく「不育症」の観点からも主治医に相談してください。

9. 同じ治療を続けている場合は方針を一度整理する

不妊治療では、クリニックによって培養方法、移植方法、検査、治療方針などが異なります。

何度か治療を続けても結果につながらない場合は、単に検査を増やすのではなく、

  • これまでの採卵・受精・培養結果
  • 移植した胚の状態
  • 子宮内の評価
  • 男性側の評価
  • これまで行った検査とその結果
  • 次の治療で何を変えるのか

を一度整理して主治医に確認してみましょう。

「今の治療を続ける理由が分からない」「別の治療方法も知りたい」という場合には、セカンドオピニオンを利用する方法もあります。

転院すること自体が目的ではありません。現在の治療を客観的に整理し、納得したうえで次の選択をすることが大切です。

10. 心と身体、パートナーとの関係も大切にする

不妊治療が長くなると、採卵、移植、判定日、仕事との調整、費用など、多くの負担が積み重なります。

ここで大切なのは、「ストレスがあるから着床しない」と自分を責めないことです。

不妊治療による心理的な負担は大きく、WHOやESHREも不妊治療中の心理社会的サポートの重要性を示しています。

必要に応じて、

  • 治療スケジュールを主治医と相談する
  • 妊活から少し離れる時間をつくる
  • 不妊カウンセラーや心理職へ相談する
  • 睡眠や食事、運動など基本的な生活を整える
  • 鍼灸などを体調管理やリラクゼーションの選択肢として取り入れる

といった方法もあります。

パートナーと治療の方向性を話してみましょう

治療が長くなるほど、二人の間で気持ちや治療への温度差が生まれることがあります。

  • どこまで治療を続けたいか
  • 次の治療についてどう感じているか
  • 仕事や費用について不安はないか
  • 今、一番つらいことは何か

などを、結果が出たときだけではなく、定期的に話す時間をつくることも大切です。

検査を増やすことより「自分に必要な検査」を選ぶことが大切です

胚移植が何度かうまくいかないと、「まだ受けていない検査があるから妊娠できないのでは」と考えてしまうことがあります。

しかし、反復着床不全に対する検査や追加治療の中には、医学的な有効性がまだ十分に確認されていないものもあります。

大切なのは、検査の数を増やすことではありません。

これまでの治療歴・年齢・胚の状態・子宮内の状態・男性側の評価などを整理し、自分たちの場合に次に確認する価値があることは何かを主治医と相談することです。

当院からひとこと

何度も採卵や移植を経験していると、「まだ何かしなければ」「次こそ結果を出さなければ」と気持ちが休まらなくなることがあります。

しかし、検査や治療を増やすことだけが次の一歩とは限りません。これまでの治療を一度整理し、主治医と相談しながら必要なことを選んでいくことも大切です。

宇都宮鍼灸良導絡院では、病院での不妊治療を優先しながら、睡眠、冷え、疲労、緊張、生活習慣などを確認し、採卵や胚移植に向けた体調管理をサポートしています。

当院でよく受けるご相談

Q. 良好胚を何回か移植しても着床しません。反復着床不全でしょうか?

A. 移植回数だけで反復着床不全と判断するわけではありません。女性の年齢、移植した胚の状態、PGT-Aの有無、これまでの着床歴などを含めて評価します。まずは治療歴を整理して主治医に相談してみましょう。

Q. ERA検査は受けた方がよいですか?

A. すべての方に必要な検査ではありません。現在のところ、反復着床不全の方全員にERA検査を行うことで妊娠・出生率が改善するとする十分な根拠はありません。これまでの移植歴を踏まえて主治医と相談してください。

Q. PGT-Aをすれば着床しやすくなりますか?

A. PGT-Aは胚の染色体数を調べる検査ですが、受ければ必ず妊娠しやすくなるわけではありません。年齢や反復する移植不成功、流産歴などによってメリットが異なるため、適応について主治医と相談することが大切です。

Q. 精液検査が正常でも男性側を詳しく調べた方がよいですか?

A. 治療経過によっては追加の評価を検討することがあります。DFI検査などはすべての男性に必要な検査ではないため、反復する移植不成功や流産などがある場合は、主治医や男性不妊を専門とする医師に相談してみましょう。

Q. 次の胚移植に向けて鍼灸でできることはありますか?

A. 鍼灸だけで着床を保証することはできません。当院では病院での治療方針を優先しながら、睡眠、冷え、疲労、ストレスなども確認し、採卵や胚移植に向けた体調管理をサポートしています。

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📚参考文献

この記事の監修者

宇都宮泰子 監修者写真

院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)

FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)

  • 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
  • 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
  • 日本生殖医学会会員

不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。

※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。

移植を繰り返しても結果につながらず、不安を感じている方へ

何度も採卵や胚移植を経験していると、「次の移植までに何かできることはないか」「身体の状態も整えておきたい」と感じる方も少なくありません。

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