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ICD-11に伝統医学が追加された意味とは?WHOは鍼灸を認めたのか解説

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「WHOのICD-11に東洋医学が入ったということは、鍼灸の効果がWHOに認められたということ?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

ICD-11には、これまで国際疾病分類にはなかった「伝統医学の病態」に関する章が追加されました。東洋医学で用いられる「証(しょう)」などを、国際的に記録・比較しやすくするための大きな変化です。

ただし、最初に知っておきたいのは、ICD-11への収載は、WHOが鍼灸や漢方などの治療効果を全面的に認めたという意味ではないということです。

この記事では、ICD-11に伝統医学が追加された意味やWHOの考え方、日本での今後の運用、鍼灸・東洋医学との関係を分かりやすく解説します。

この記事の要点まとめ
  • ICD-11は2018年に公表され、2019年にWHO総会で採択、2022年1月1日に発効しました。
  • ICD-11には「伝統医学の病態―モジュールI」が追加され、東洋医学の「証」などを国際的に分類できるようになりました。
  • ICD-11への収載は、WHOが鍼灸・漢方などの治療効果を保証したという意味ではありません。
  • 日本ではICD-11(2023年版)に準拠した統計分類が2027年1月1日から施行予定です。
  • 妊活では医療機関での検査・治療を基本としながら、鍼灸を体調管理を支える選択肢の一つとして取り入れる考え方があります。

ICD-11とは?WHOが定める国際的な疾病分類

ICDとは「International Classification of Diseases(国際疾病分類)」の略称で、WHO(世界保健機関)が管理している疾病や健康状態の国際的な分類です。

世界各国の疾病や死亡に関するデータを、共通した基準で記録・分析・比較するために使われています。

現在の最新版であるICD-11は、2018年6月に公表され、2019年5月の第72回世界保健総会で採択されました。その後、2022年1月1日に正式に発効しています。

ICD-10から約30年ぶりとなる大きな改訂で、医学の進歩やデジタル化などに対応するとともに、新たに伝統医学に関する章も加えられました。

ICD-11に追加された「伝統医学の病態」とは?

ICD-11には、補助的に利用する章として「伝統医学の病態―モジュールI(Traditional Medicine Conditions – Module I)」が設けられています。

このモジュールでは、古代中国を起源とし、日本、中国、韓国などで発展してきた伝統医学における病態や「証」などが分類されています。

東洋医学の「証」も分類の対象になりました

「証(しょう)」とは、東洋医学で、その方に現れている症状や体質、身体全体の状態などを総合して捉える考え方です。

厚生労働省が紹介しているICD-11の伝統医学章には、たとえば以下のような分類があります。

  • 寒証・熱証
  • 虚証・実証
  • 気血水の証
  • 臓腑病証
  • 経絡病証

これまで国や地域ごとに異なる形で記録されていた伝統医学の状態を、一定の共通基準で記録・集計・比較しやすくなったことが大きな特徴です。

WHOが鍼灸や漢方の効果を認めたという意味ではありません

ICD-11について特に誤解されやすいのが、この点です。

「ICD-11に伝統医学が入った=WHOが鍼灸や漢方などの有効性を認定した」わけではありません。

WHOは、伝統医学章について、伝統医学の実践の科学的妥当性や、個々の治療法の有効性を評価・保証するためのものではないと説明しています。

ICDはあくまで、病気や健康状態などを共通の基準で記録・集計・比較するための分類です。

共通の分類ができることで、今後、伝統医学がどのように利用されているのか、安全性や治療結果などを研究・評価するためのデータを集めやすくなることが期待されています。

なぜICD-11に伝統医学が追加されたの?

鍼灸や漢方をはじめとする伝統医学は、日本だけでなく、中国、韓国をはじめ世界のさまざまな地域で利用されています。

一方、従来は伝統医学独自の診断や病態を世界共通の形式で記録する仕組みが十分ではありませんでした。

そこでICD-11では、伝統医学の状態を共通の分類で記録することで、利用状況や安全性、治療結果などを集計・比較しやすくする仕組みが加えられました。

WHOは、伝統医学章を通常の医学的なICD分類と併用する任意の補助的な分類として位置づけています。

日本ではICD-11はいつから使われる?

WHOではICD-11が2022年1月1日に発効していますが、各国での導入時期は同じではありません。

日本では、厚生労働省による準備や日本語化などが進められ、ICD-11(2023年版)に準拠した「疾病、傷害及び死因の統計分類」が2027年1月1日から施行予定となっています。

統計法に基づく統計調査だけでなく、医学的分類として診療録の管理などにも活用されることが見込まれています。

つまり、ICD-11と伝統医学は海外だけの話ではなく、日本の医療情報の整理にも関係するテーマになっています。

ICD-11に伝統医学が加わった意義

伝統医学は、同じ症状がある方でも、その方の身体の状態によって異なる見立てをすることがあります。

たとえば「冷え」という一つの悩みでも、東洋医学では、冷えを感じる場所、胃腸の状態、月経、睡眠、疲れやすさ、ストレスなども確認しながら身体の状態を考えていきます。

ICD-11に伝統医学の分類が設けられたことで、このような伝統医学特有の病態や「証」についても、一定の共通基準を用いて記録・比較できるようになりました。

これは「伝統医学が西洋医学と同じ治療効果を持つと認定された」ということではなく、伝統医学について研究・評価するための共通言語が整備されたと捉える方が適切です。

西洋医学と東洋医学はどう違う?

西洋医学と東洋医学は、単純に「どちらが優れている」という関係ではありません。

現代医学では、血液検査、画像検査、ホルモン値など客観的な情報をもとに病気の原因や状態を調べ、診断・治療を行います。

一方、伝統的な東洋医学では、症状だけでなく、体質、冷え、睡眠、食欲、胃腸の状態、月経、脈や舌など複数の情報を組み合わせ、「証」として身体の状態を捉える方法が用いられてきました。

ただし、現代医学でも患者さんの生活や心理状態を含めた全人的な医療は重視されています。そのため、「西洋医学は病気だけを見る、東洋医学は人全体を見る」と完全に分けて考える必要はありません。

西洋医学と東洋医学は対立するものではありません

不妊治療を例にすると、排卵、卵管、精液所見、ホルモン値、子宮の状態、卵巣予備能、胚の状態などは、婦人科や生殖医療施設で医学的に評価することが重要です。

東洋医学や鍼灸は、その代わりになるものではありません。

そのうえで、妊活中に感じる冷え、肩や首のこり、疲労、睡眠の悩み、ストレスなどについて、体調管理を支える方法の一つとして鍼灸を取り入れる方もいます。

ICD-11への掲載と「不妊鍼灸の効果」は別の話です

ICD-11に伝統医学が収載されたことと、「鍼灸によって妊娠率が上がるか」という問題は分けて考える必要があります。

ICD-11は疾病や病態を分類・記録する仕組みであり、特定の鍼灸治療の有効性を証明するものではありません。

不妊治療における鍼灸についてはさまざまな研究がありますが、研究方法や対象者によって結果は異なります。

そのため、鍼灸だけで不妊の原因が解決したり、妊娠を保証したりするものではなく、医療機関で必要な検査・治療を受けながら、妊活中の身体づくりや体調管理を支える選択肢の一つとして考えることが大切です。

当院の不妊鍼灸で大切にしていること

宇都宮鍼灸良導絡院では、東洋医学の考え方だけでなく、現在受けている不妊治療や検査結果、月経周期なども確認しながら施術方針を考えています。

同じ「妊活中」という方でも、気になっている体調は一人ひとり異なります。

たとえば、冷え、肩こり、首こり、胃腸の不調、睡眠不足、疲れやすさ、ストレスなどについてお話を伺い、その時のお身体の状態に合わせて施術を行います。

採卵や胚移植、人工授精などの治療中の場合は、現在の治療スケジュールや体調も確認しながら、不妊治療と無理なく併用できるようにサポートすることを大切にしています。

当院からひとこと

「WHOに東洋医学が認められた」という言葉だけを見ると、鍼灸の効果そのものが認定されたように感じるかもしれません。しかし、ICD-11への収載と治療効果の評価は別のものです。

一方で、東洋医学で用いられてきた「証」などを世界共通の分類として記録できるようになったことは、伝統医学を客観的に研究・評価していくうえで重要な変化といえます。

妊活中も、医学的な検査や治療を大切にしながら、ご自身の体調を整える方法の一つとして東洋医学や鍼灸を上手に取り入れていただければと思います。

当院でよく受けるご相談

Q. WHOが鍼灸の効果を認めたということですか?

A. いいえ。ICD-11への収載は、伝統医学の病態を国際的に記録・分類するためのものです。WHOも、伝統医学の実践や個々の治療法の科学的妥当性・有効性を保証するものではないと説明しています。

Q. ICD-11の「証」とは何ですか?

A. 東洋医学で、症状や体質、身体全体の状態を総合的に捉える考え方です。ICD-11では寒熱・虚実や気血水、臓腑、経絡などに関する「証」が分類されています。

Q. 日本でもICD-11の伝統医学分類が使われるのですか?

A. 日本ではICD-11(2023年版)に準拠した統計分類が2027年1月1日から施行予定です。ただし、伝統医学章は通常の医学的分類と併用する補助的な位置づけです。

Q. 西洋医学と東洋医学はどちらを優先すればよいですか?

A. 病気の診断や不妊原因の検査、薬物治療、手術、生殖補助医療などが必要な場合は医療機関での診療が基本です。そのうえで、体調管理を支える方法の一つとして東洋医学や鍼灸を併用する考え方があります。

Q. 不妊治療中でも鍼灸を受けられますか?

A. 不妊治療と並行して鍼灸を取り入れる方もいます。採卵・胚移植など治療内容によって身体の状態が変わるため、現在の治療状況や服薬内容を伝えたうえで施術を受けることが大切です。治療方針については主治医の指示を優先してください。

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📚参考文献

この記事の監修者

宇都宮泰子 監修者写真

院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)

FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)

  • 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
  • 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
  • 日本生殖医学会会員

不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。

※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。

東洋医学の視点も取り入れながら、妊活中の体調を整えたい方へ

妊活中は、検査結果や治療の予定だけでなく、冷え、疲れやすさ、睡眠、胃腸の不調、肩や首のこり、ストレスなど、日々の体調が気になることもあります。

鍼灸は不妊治療の代わりになるものではありませんが、医療機関での検査・治療と並行しながら、妊活中の身体づくりや体調管理を支える方法の一つとして取り入れることができます。

大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、現在の治療状況や月経周期、睡眠、冷え、胃腸の状態、ストレスなどを伺いながら、東洋医学と生殖医療の両面を意識した妊活サポートを行っています。

「病院での治療と並行して身体を整えたい」「自分の体質や体調について一度相談してみたい」という方も、お気軽にご相談ください🍀

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