
体外受精のお休み周期にタイミング法で妊娠|39歳・低AMH0.15の症例
「体外受精のお休み周期に、タイミングを取ってもいい?」「採卵や移植を休んでいる間に自然妊娠することはある?」と気になる方もいらっしゃると思います。
今回ご紹介するのは、大阪からお越しのTさん(39歳・AMH0.15)の症例です。Tさんは1年半の不妊期間があり、タイミング法や3回の体外受精を経験されていました。
その後、次の採卵までのお休み周期にタイミングを取ったところ、妊娠が確認されました。
ただし、これはあくまで一人の患者さんの経過です。体外受精のお休み周期にタイミングを取ることが適しているかは、採卵後の卵巣の状態や卵管、精液所見、治療スケジュールなどによって異なります。
体外受精のお休み周期でもタイミング法で妊娠することはある?
体外受精を行っている方でも、排卵があり、卵管や精子など自然妊娠に必要な条件が整っていれば、お休み周期にタイミング法で妊娠することはあります。
一方で、体外受精へ進んでいる理由は一人ひとり異なります。両側の卵管が閉塞している場合や、精子の状態などによっては、タイミング法による妊娠が難しいケースもあります。
また、採卵直後は卵巣が腫れていたり、腹痛や腹部膨満感などがみられたりすることがあります。OHSS(卵巣過剰刺激症候群)などで卵巣が腫れている場合には、性交渉を控えるよう指示されることもあります。[1]
「お休み周期だからタイミングを取った方がよい」と一律に考えるのではなく、ご自身の治療状況についてクリニックへ確認してから判断することが大切です。
1年半の不妊期間と低AMHのTさん
Tさんが宇都宮鍼灸良導絡院に初めてお越しになったのは、2021年7月でした。1年半の不妊期間があり、不妊治療専門のクリニックでタイミング法や3回の体外受精を経験されていましたが、いずれも妊娠には至っていませんでした。
クリニックでは、受精卵の状態などが関係している可能性について説明を受けていたそうです。
また、検査ではAMH0.15と低い値を指摘されていました。その他に子宮内膜ポリープも見つかり、すでに手術を受けていました。
肩こり、腰痛、むくみ、便秘といった身体の不調もあり、今後の採卵や移植に向けて体調を整えたいとのことで、鍼灸を始められました。
採卵周期から鍼灸による体調管理を開始
Tさんが鍼灸を始められたのは、ちょうど採卵周期でした。当院では、不妊治療の経過を伺いながら、肩こりや腰痛、むくみなど、その時々の身体の状態に合わせて施術を行いました。
その周期では、これまで採卵しても1個だったところ、初めて2個の卵子が採れました。Tさんも「今まで採卵しても1個だったのに、初めて2個採れた」と喜んでいらっしゃいました。
ただし、この採卵数の変化が鍼灸によるものかどうかを、この一例だけから判断することはできません。
受精後は初期胚1個を凍結することができましたが、もう一つは胚盤胞になる途中で分割が停止しました。
この1個の凍結胚を大切にしながら、今後の治療に備えて、もう少し貯卵するために採卵を続ける予定となりました。
鍼灸が初めてだったTさんは、最初は痛みなどを心配されていました。施術中にこまめに様子を伺いながら進めていくうちに徐々に慣れ、「身体が緩んだ感じがする」と感じておられました。
治療のお休み期間にEMMA検査
クリニックでの治療がお休みとなっている期間に、TさんはEMMA検査(子宮内マイクロバイオーム検査)を受けました。
検査ではラクトバチルスが検出されないという結果となり、クリニックの方針で抗菌薬による治療を受けました。
その後、再検査でも結果が変わらなかったため、薬を変更してさらに1周期様子を見ることになりました。
その間、2周期をお休みして次の採卵を予定していましたが、遺残卵胞が見つかったため、さらに1周期採卵を見送ることになりました。
この周期に、Tさんはタイミング法で妊活を続けられました。
体外受精のお休み周期にタイミング法で妊娠
そして、再び採卵周期に入ろうとしていたところ、妊娠検査薬で陽性反応が確認されました。
その後クリニックを受診し、胎嚢も確認されたそうです。
体外受精を続けている中でのお休み周期だったため、Tさんご本人も驚かれていました。
Tさんは鍼灸だけでなく、食事や生活習慣の見直し、必要な検査など、ご自身が納得できる妊活を続けていらっしゃいました。
今回の妊娠について、どの取り組みが直接妊娠につながったのかを特定することはできません。そのため、「鍼灸を受けたから自然妊娠した」「低AMHでもお休み周期にタイミングを取れば妊娠できる」という意味ではありません。
体外受精中であっても、お休み周期に自然妊娠に至ることがある一つの症例としてご紹介しています。
Tさん、本当におめでとうございます。これまでさまざまな治療や検査に取り組んでこられた中での嬉しいご報告に、私たちスタッフも大変嬉しく思いました。
低AMH・EMMA検査について
低AMHとは
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣内にある発育途中の卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣予備能を推測するための指標の一つとして使われています。[2]
体外受精では、卵巣刺激に対してどの程度反応し、どのくらいの卵子が採れる可能性があるかを考える際の参考になります。
一方で、AMHは卵子の「質」を直接調べる検査ではありません。また、AMHが低いから自然妊娠できない、反対にAMHが高ければ妊娠しやすい、と単純に判断できるものでもありません。[2]
特に妊娠の可能性を考える際には、AMHだけではなく、年齢、排卵の有無、卵管の状態、精液所見などを含めて総合的に考える必要があります。
AMH0.15でも自然妊娠することはある?
AMH0.15という値だけを見て、「自然妊娠はできない」と判断することはできません。
AMHは主に卵巣内に残っている卵胞の量を推測するための指標であり、自然妊娠の可能性そのものを正確に予測する検査ではないためです。[2]
ただし、年齢とともに卵子の数や妊娠率は変化するため、低AMHを指摘されて妊娠を希望されている場合には、AMHだけで自己判断せず、主治医と治療方針を相談することが大切です。
EMMA検査とは
EMMA検査は、子宮内膜に存在する細菌の構成を調べる子宮内マイクロバイオーム検査の一つです。
子宮内や腟内の細菌叢と着床・妊娠との関連については現在も研究が続けられています。
一方で、細菌叢の状態がどの程度着床に影響するのか、また検査結果に対して治療を行うことで妊娠率や出産率が改善するのかについては、まだ明らかになっていない点があります。[3]
ESHRE(欧州生殖医学会)の反復着床不全に関する推奨でも、子宮内・腟内マイクロバイオーム検査については、現時点でルーチンに行うことは推奨されていません。[3]
検査を受けるかどうかは、これまでの治療経過や担当医の考え方も踏まえて相談しましょう。
Tさん妊娠お喜びの声
▢ お悩みの症状またはご来院当初の目的をお聞かせください
不妊治療でなかなか結果が出ず体質改善のため
▢ 鍼灸以外で妊娠(陽性反応)された方法に〇をつけてください
タイミング
▢ ご自身で「これは良かった!」「自分に合っていた!」と思われた妊活があればお教えください
温活・食養生(ダイエット)・サプリメント・ランニング
▢ 鍼灸施術を受けていただいた感想をお聞かせください
毎回施術の前に問診があったので、その時の体調に応じて治療してくださった。鍼治療が初めてで不安でしたが、痛みがないか細やかに聞いてくださったり、施術を受けるごとに慣れていけるよう配慮していただきました。
▢ 同じように悩まれている方へアドバイス(ご自身でやって良かったこと、若しくは続けることが出来たセルフ妊活など)やメッセージがあればお願いいたします。
とにかく出来る事はやりました。食事や生活改善、不妊治療の検査もいろいろして不妊の原因になるものを調べました。正直、どれが妊娠に結びついたかは分かりません。でもやらなければよかったと思うものは一つもありません。やれることをやるそれが後悔しない治療につながると思います。
※この症例は一個人の経過であり、すべての方に同様の結果が得られるものではありません。鍼灸の感じ方や治療経過には個人差があります。
Q. 体外受精のお休み周期にタイミングを取っても大丈夫ですか?
A. タイミングを取れる場合もありますが、採卵後の卵巣の状態や治療内容によって異なります。特に採卵後で卵巣が腫れている場合やOHSSの症状がある場合は、性交渉を控えるよう指示されることがあります。まずは治療中のクリニックへ確認してください。
Q. 体外受精をしていても、お休み周期に自然妊娠することはありますか?
A. 排卵があり、卵管や精子など自然妊娠に必要な条件が整っていれば、自然妊娠に至ることはあります。ただし、体外受精へ進んだ理由によって可能性は大きく異なります。今回の症例も、すべての方に同じ経過が当てはまるものではありません。
Q. 採卵後のお休み周期は、いつからタイミングを取れますか?
A. 採卵後の卵巣の腫れや痛み、使用した薬剤などによって異なるため、「採卵後○日から」と一律に決めることはできません。採卵を受けたクリニックの指示を優先してください。
Q. AMH0.15だと自然妊娠は難しいですか?
A. AMHは主に卵巣予備能や卵巣刺激に対する反応をみる指標で、自然妊娠の可能性をAMHだけで判断することはできません。年齢、排卵、卵管の状態、精液所見なども含めて総合的に考えます。
Q. AMHを上げれば妊娠しやすくなりますか?
A. AMHの数値そのものを上げることを妊活の目標にする必要はありません。AMHは卵巣予備能をみる指標の一つであり、数値が上がれば妊娠率も上がるというものではありません。治療方針については年齢やその他の検査結果も含めて主治医と相談しましょう。
体外受精を続けていると、採卵や移植が予定通り進まず、思いがけず「お休み周期」になることがあります。
そんなとき、「この周期は何もしなくていいの?」「タイミングを取った方がいい?」「少しでもできることをしておきたい」とご相談いただくことがあります。
当院では、お休み周期だから特別なことをしなければならないと考えるのではなく、まずクリニックの治療方針を確認したうえで、睡眠や食事、冷え、肩こり、腰痛、ストレスなど、その時に気になっている身体の状態を伺いながら施術を行っています。
治療がお休みになった期間の過ごし方や、次の採卵・移植に向けた体調管理について迷っている場合も、施術時にお気軽にご相談ください。
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📚参考文献
- [1] Royal College of Obstetricians and Gynaecologists(RCOG)|Ovarian hyperstimulation syndrome(OHSS)
採卵後のOHSS、卵巣の腫れ、性交渉や運動に関する注意点についての患者向け情報。 - [2] American Society for Reproductive Medicine(ASRM)|Testing and interpreting measures of ovarian reserve: a committee opinion
AMHを含む卵巣予備能検査の解釈、卵巣刺激への反応や自然妊娠との関係についてまとめた委員会意見。2020. - [3] ESHRE|Good practice recommendations on recurrent implantation failure
反復着床不全に関する推奨。子宮内・腟内マイクロバイオーム検査の位置づけについても言及。Human Reproduction Open. 2023.
体外受精のお休み周期や、これからの妊活について相談したい方へ
治療がお休みになると、「この期間をどう過ごせばいい?」「次の採卵や移植までにできることはある?」と迷うこともあると思います。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、不妊治療のスケジュールや現在のお身体の状態を伺いながら、その時々に合わせた鍼灸や体調管理のサポートを行っています。
鍼灸が妊娠を保証するものではありませんが、治療中の身体の不調や、お休み周期の過ごし方について相談したいときは、相談先の一つとしてお気軽にご利用ください。








