治療院ブログ

採卵で未熟卵が多いのはなぜ?成熟卵にならない原因と次回採卵で確認したいこと

 更新日:

採卵が終わり、「10個採れました」と聞いて安心したものの、その後に「成熟卵は4個でした」「未熟卵が多かったです」と説明され、驚いた経験はありませんか。

採卵では、採れた卵子がすべて受精に使える成熟卵とは限りません。

中にはまだ成熟途中の未熟卵が含まれることがあり、採卵数が多くても成熟卵が少ないケースがあります。

「卵胞はたくさん育っていたのに、なぜ未熟卵ばかりだったの?」「次の採卵でも同じことが起こる?」「刺激法やトリガーを変えた方がいい?」と不安になる方も少なくありません。

結論からいうと、未熟卵が多くなる背景には、卵胞の大きさ、最終成熟を促すトリガーの方法やタイミング、卵巣の反応など複数の要素が関係します。

この記事では、成熟卵(MII)・未熟卵(MI・GV)の違いから、未熟卵が多くなる原因、次回採卵で主治医に確認したいポイントまでわかりやすく解説します。

この記事の要点まとめ
  • 採卵した卵子がすべて成熟卵とは限らず、一定数の未熟卵が含まれることはあります。
  • 顕微授精では、一般的にMII(第二減数分裂中期)まで成熟した卵子が使用されます。
  • 未熟卵には、MIやGVと呼ばれる成熟途中の段階があります。
  • 未熟卵が多い背景には、卵胞サイズのばらつき、トリガーの種類・タイミング、卵巣反応などが関係します。
  • 採卵前の超音波で卵胞が見えていても、その中の卵子が必ず成熟しているとは限りません。
  • 前回の成熟率が低かった場合、次回は刺激法やトリガー方法、採卵までの時間を医師が見直すことがあります。
  • デュアルトリガーが選択肢になる場合もありますが、すべての方に有効と決まっているわけではありません。

成熟卵と未熟卵は何が違う?

卵子は、卵胞の中で少しずつ成熟していきます。

顕微授精(ICSI)を行う場合、採卵後に卵子の周囲にある卵丘細胞を取り除き、卵子がどの成熟段階にあるか確認します。

主に次の3段階に分けられます。

  • GV(卵核胞期):まだ成熟の初期段階にある卵子
  • MI(第一減数分裂中期):成熟途中の卵子
  • MII(第二減数分裂中期):受精に適した段階まで成熟した卵子

一般的に、顕微授精ではMIIまで成熟した卵子に精子を注入します。

2026年に更新されたESHREのIVFラボ推奨でも、ICSIでは成熟卵を使用することが推奨されています。

採卵数と成熟卵数は同じではない

採卵結果を見るときは、

  • 見えていた卵胞数
  • 採れた卵子数
  • 成熟卵(MII)数
  • 正常受精した数
  • 胚盤胞まで育った数

を分けて考えることが大切です。

例えば、卵胞が12個見えていても、12個すべてから卵子が採れるとは限りません。

さらに10個の卵子が採れたとしても、10個すべてがMIIというわけではありません。

2025年に16,000周期以上を解析した研究では、採卵された卵子の中に未熟卵が含まれることは珍しくなく、全体の平均未熟卵率は約19%でした。[1]

ただし、成熟率は年齢、刺激法、患者背景、施設の方法などによって異なるため、「成熟卵が○%なら正常」と一律に判断することはできません。

未熟卵が1~2個あるのは異常?

採卵した卵子の一部に未熟卵が含まれていたからといって、それだけで異常というわけではありません。

卵巣内では複数の卵胞が同時に育っていますが、すべてがまったく同じスピードで成長するわけではありません。

大きな卵胞もあれば、小さめの卵胞もあります。

そのため、一度の採卵で成熟卵と未熟卵が混在すること自体は珍しくありません。

一方で、採卵した卵子の半数以上が未熟だった、成熟卵がほとんど得られなかった、といった場合は、次回の採卵方法について主治医と相談する価値があります。

未熟卵が多くなる主な原因

未熟卵が多くなる理由はひとつではありません。

主に次のような要素が関係すると考えられています。

1.採卵時に小さい卵胞が多かった

卵子は卵胞の中で成熟します。

そのため、採卵前にまだ小さい卵胞が多い場合、その中から採れた卵子は成熟途中である可能性があります。

研究では、トリガーを行う日の卵胞サイズと成熟卵が得られる可能性に関連があることが報告されています。[2][3]

2018年の研究では、トリガー当日に12~19mm程度だった卵胞が成熟卵数への寄与が大きかったとされています。[3]

ただし、最適な卵胞サイズは刺激法や卵巣予備能などによって異なり、「○mmになれば必ず成熟卵」という基準ではありません。

2.卵胞の大きさにばらつきがあった

採卵周期では、複数の卵胞をできるだけそろえて育てることを目指します。

しかし実際には、

  • 20mm
  • 18mm
  • 15mm
  • 12mm

というように、大きさに差が出ることもあります。

大きい卵胞に合わせて採卵時期を決めると、小さい卵胞の中の卵子はまだ成熟途中である可能性があります。

反対に、小さい卵胞の成長を待ちすぎると、大きい卵胞が排卵に近づく可能性があります。

そのため、医師は卵胞全体の大きさやホルモン値を見ながらトリガーの時期を判断します。

3.最終成熟を促すトリガーへの反応

採卵前には、卵子の最終成熟を促すために「トリガー」と呼ばれる薬を使用します。

代表的なものには、

  • hCG製剤
  • GnRHアゴニスト
  • hCGとGnRHアゴニストを組み合わせるデュアルトリガー

などがあります。

トリガーによって、卵子がMIIへ向かう最終成熟が促されます。

そのため、薬の種類、投与量、患者さん自身のホルモン反応などが成熟卵の割合に関係する場合があります。

特にGnRHアゴニストトリガーでは、患者さんによってLHの反応に差があり、十分な反応が得られないケースも報告されています。

4.トリガーから採卵までの時間

トリガーを使用した直後に卵子が完成するわけではありません。

最終成熟には時間が必要なため、通常はトリガーから一定時間後に採卵を行います。

2025年に約59,000周期を解析した研究では、トリガーの種類によって、トリガーから採卵までの時間と得られる成熟卵数との関連が異なることが報告されています。[4]

つまり、成熟卵を得るためには、トリガーを行う時期だけでなく、そこから採卵までの時間も重要な要素になります。

ただし、ご自身でトリガー時刻や採卵時間を調整するものではありません。

5.卵巣予備能や年齢など患者さん側の背景

未熟卵の割合には、治療方法だけでなく患者さん側の背景も関係することがあります。

2025年に約4,800周期を調べた研究では、成熟率が非常に低い群では、年齢が高い、AMHが低い、刺激期間が長い、トリガー日に15mmを超える卵胞が少ないといった特徴がみられました。[5]

一方で、別の研究では高AMHやBMIなどとの関連も報告されており、原因は一様ではありません。

「年齢が原因」「AMHが原因」とひとつの数字だけで決めることはできません。

6.まれに卵子成熟そのものに問題がある場合

刺激法やトリガーを変更しても、複数回の採卵でほとんどの卵子がGVやMIのままというケースがあります。

非常にまれですが、卵子が成熟途中で停止してしまう「卵子成熟障害」が疑われる場合もあります。

このような場合には、一度の結果だけで判断せず、複数周期の採卵結果やホルモン反応を含めて専門医が評価します。

未熟卵が多い=卵子の質が悪い?

未熟卵が多いことと、「卵子の質が悪い」ことは同じ意味ではありません。

未熟卵という言葉は、主に採卵時点で卵子がどの成熟段階にあるかを表しています。

一方、「卵子の質」という言葉には、

  • 受精できるか
  • 正常に分割するか
  • 胚盤胞まで発育するか
  • 染色体が正常か
  • 妊娠・出産につながる力があるか

など多くの要素が含まれています。

MIIまで成熟しているから必ず良好胚になるわけでもなく、未熟卵があったから残りの成熟卵の質まで悪いという意味でもありません。

未熟卵は採卵後に成熟することがある?

採卵時にMIだった卵子が、培養中にMIIまで成熟することはあります。

採卵後に未熟卵を培養して成熟させる方法は「in vitro maturation(IVM:体外成熟)」と呼ばれます。

ただし、通常の採卵周期で得られた未熟卵をあとから成熟させる「rescue IVM」については、もともとMIIとして採れた卵子と同じ成績が得られるとは限りません。

施設によって未熟卵の扱いや培養方法も異なります。

「MIだった卵子はその後どうなったのか」が気になる場合は、培養士へ確認してみてもよいでしょう。

成熟率はどう計算する?

顕微授精を行った場合などでは、採卵結果として「成熟率」を確認できることがあります。

例えば、

  • 採卵数:10個
  • MII:6個
  • MI:2個
  • GV:2個

だった場合、採卵した10個のうち6個がMIIだったため、単純計算では成熟卵の割合は60%となります。

ただし、採卵数と卵子の評価方法は施設によって表示方法が異なることがあります。

「未熟卵が多かった」と言われた場合は、採れた卵子のうちMIIが何個、MIが何個、GVが何個だったかを確認すると、次の採卵を考える際の参考になります。

前回未熟卵が多かったら、次回も同じ?

一度未熟卵が多かったからといって、次回も必ず同じ結果になるわけではありません。

採卵周期ごとに、

  • 卵胞の育ち方
  • 使用する薬剤
  • 刺激期間
  • トリガーを行う時期
  • トリガーの方法

などが変わるためです。

一方で、複数回続けて成熟率が低い場合には、前回の採卵データをもとに治療方法を見直すことがあります。

未熟卵が多かったとき、次回採卵で確認したいこと

次回の診察では、単に「卵子の質が悪かったのでしょうか」と聞くだけでなく、具体的に前回のデータを確認するのがおすすめです。

1.成熟卵は何個だった?

まず確認したいのが、採卵数の内訳です。

  • MIIは何個だったか
  • MIは何個だったか
  • GVは何個だったか
  • 変性卵はあったか

を確認すると、どの段階で問題が多かったのか整理しやすくなります。

2.トリガー当日の卵胞サイズはどうだった?

一番大きな卵胞のサイズだけではなく、卵胞全体の分布も重要です。

小さい卵胞が多かった場合には、そこから採れた卵子が未熟だった可能性があります。

3.トリガーの種類は何だった?

hCG、GnRHアゴニスト、デュアルトリガーなど、前回どの方法で最終成熟を促したのか確認しておきましょう。

特に成熟率が何度も低い場合には、次回のトリガー方法を変更できるか主治医へ相談することがあります。

4.トリガーから採卵まで何時間だった?

トリガーから採卵までの時間も成熟卵数に関係する可能性があります。

ただし、長くすればよいという単純なものではありません。長すぎれば採卵前に排卵するリスクもあるため、医師が個別に判断します。

5.前回の結果をもとに刺激法を変える必要はある?

卵胞の育ち方に大きなばらつきがあった場合などには、刺激法や薬剤量を変更することがあります。

AMHや採卵数だけでなく、「何個採れたか」からさらに一歩進んで「何個が成熟していたか」を次周期の治療計画に生かすことが大切です。

デュアルトリガーなら成熟卵は増える?

未熟卵が多かった方が検索していると、「次はデュアルトリガーにすれば成熟卵が増える」という情報を目にすることがあります。

デュアルトリガーとは、一般的にGnRHアゴニストとhCGを組み合わせて最終卵胞成熟を促す方法です。

過去の採卵で未熟卵率が高かった方を対象としたランダム化比較試験では、hCG単独よりデュアルトリガーの方が成熟率が高かったという報告があります。[6]

一方で、すべての採卵患者さんでデュアルトリガーが優れていると結論づけられているわけではありません。

2025年のシステマティックレビューでも、健康な正常反応群では、トリガー方法による成熟卵数の明確な差は示されませんでした。[7]

そのため、デュアルトリガーは「未熟卵が多ければ全員やる治療」ではなく、過去の採卵結果などをもとに医師が検討する選択肢のひとつと考えるのが適切です。

採卵前の点鼻薬の時間がずれたことも関係する?

採卵前にGnRHアゴニストの点鼻薬をトリガーとして使用している場合、指定された使用時刻は重要です。

トリガーから採卵までの時間は、卵子が最終成熟するために設定されています。

そのため、点鼻を忘れた、使用時刻が大きくずれた、十分に点鼻できたか分からないという場合には、成熟卵数に影響する可能性も考慮する必要があります。

ただし、「30分遅れたから未熟卵になった」というように、採卵結果から原因を一つに決めることはできません。

実際に使用した時刻や方法を主治医へ伝え、次回の治療計画と合わせて確認しましょう。

生活習慣を変えれば成熟卵が増える?

未熟卵が多かったとき、「食事が悪かった?」「運動不足だった?」「サプリを飲めば成熟卵が増える?」と考える方もいます。

しかし、特定の食材やサプリメントを摂れば、次回の成熟卵率が必ず上がるという確立した方法はありません。

卵子の成熟には、卵巣刺激法、ホルモン環境、卵胞発育、トリガーなど医療的な要素が大きく関係します。

一方で、妊活中の基本的な体調管理として、

  • 極端な食事制限を避ける
  • 必要な栄養を不足させない
  • 十分な睡眠をとる
  • 喫煙を避ける
  • 過度な飲酒を控える

といった生活習慣を整えることは大切です。

「未熟卵が多かったのは自分の生活が悪かったから」とご自身を責める必要はありません。

未熟卵についてよくある質問

Q. 採卵した卵が半分未熟卵でした。多すぎますか?

採卵した卵子の一部に未熟卵が含まれることはあります。ただし、半数程度が未熟だった場合には、前回の卵胞サイズ、トリガー方法、採卵までの時間などを主治医と振り返ってもよいでしょう。

Q. MIの卵子は受精できますか?

MIはまだ成熟途中の段階です。採卵後の培養中にMIIまで成熟する場合もありますが、その後の扱いは施設によって異なります。培養士へ確認してください。

Q. GVだった卵子はもう使えませんか?

GVはより未熟な段階です。体外で成熟させるIVMという方法も研究・実施されていますが、通常の採卵で最初からMIIだった卵子と同等の成績が得られるとは限りません。

Q. 卵胞が20mmあったのに未熟卵でした。なぜですか?

卵胞の大きさと卵子の成熟には関連がありますが、超音波で測る卵胞径だけから卵子の成熟状態を完全に予測することはできません。ホルモン反応やトリガーへの反応なども関係します。

Q. 未熟卵が多いと妊娠しにくいですか?

成熟卵が少なければ受精に進める卵子数が少なくなるため、結果として得られる胚の数に影響する可能性があります。一方で、得られた成熟卵から良好胚ができ、妊娠に至ることもあります。未熟卵の割合だけで妊娠可能性を判断することはできません。

Q. 次回はデュアルトリガーにした方がいいですか?

過去に未熟卵率が高かった方で、デュアルトリガーによって成熟率が改善した研究はあります。ただし、全員に有効とは限りません。前回の刺激法やホルモン反応を踏まえて主治医と相談してください。

まとめ|採卵数だけでなく「成熟卵数」を確認しよう

採卵では、採れた卵子がすべて成熟卵とは限りません。

未熟卵にはMIやGVという段階があり、顕微授精では一般的にMIIまで成熟した卵子が使用されます。

未熟卵が多くなる背景には、

  • 卵胞の大きさ
  • 卵胞サイズのばらつき
  • トリガーの種類や反応
  • トリガーから採卵までの時間
  • 卵巣予備能や患者さんごとの反応

など、複数の要素が関係します。

そのため、「未熟卵が多かった=卵子の質が悪い」と単純に考える必要はありません。

次回の採卵を考えるときは、採卵数だけではなく、MII・MI・GVがそれぞれ何個だったのかを確認し、前回の卵胞サイズやトリガー方法と合わせて主治医と振り返ることが大切です。

📝こちらの記事もおすすめです

📚参考文献

この記事の監修者

宇都宮泰子 監修者写真

院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)

FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)

  • 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
  • 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
  • 日本生殖医学会会員

不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。

※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。

次の採卵に向けて、できることから整えたい方へ

採卵で未熟卵が多かったと聞くと、「自分の卵子は大丈夫かな」「次も同じ結果になったらどうしよう」と不安になることがあります。

未熟卵が多くなる背景には、卵胞の育ち方やトリガーの方法・タイミング、卵巣の反応など、さまざまな要素が関係します。まずは今回の採卵結果を主治医と振り返り、次回の治療方針を確認することが大切です。

そのうえで、「次の採卵に向けて体調を整えたい」「治療と並行して身体づくりについて相談したい」という方は、鍼灸を選択肢のひとつとして取り入れることもできます。

大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、これまでの採卵結果や現在の治療スケジュールを伺いながら、採卵前・採卵後・胚移植前後など、その時期に合わせた鍼灸施術を行っています。

「次の採卵までにできることを相談したい」「今の治療と鍼灸をどう組み合わせたらいい?」という方も、どうぞお気軽にご相談ください🍀

24時間予約受付中

このページのトップへ