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着床の窓とは?ERA検査は必要?受ける目安・わかること・検査の考え方を解説

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「良好な胚を移植しているのに、なかなか着床しない」

「着床の窓がずれているのでは?と言われた」

「ERA検査を受けた方がいいの?」

体外受精や胚移植を続けている方の中には、「着床の窓」や「ERA検査」という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃると思います。

胚が子宮内膜に着床するためには、胚の状態だけでなく、子宮内膜が胚を受け入れやすい状態になっているタイミングも重要と考えられています。

この限られた時期を「着床の窓(Window of Implantation:WOI)」と呼びます。

そして、そのタイミングを子宮内膜の遺伝子発現などから調べようとする検査の一つがERA(Endometrial Receptivity Analysis)です。

ただし、ERA検査については「受ければ妊娠しやすくなる」というほど単純ではありません。現在では、すべての方に行う検査として有効性が確立しているわけではなく、検査を受けるかどうかは慎重に考える必要があります。

着床の窓とは?

子宮内膜は、月経周期を通して常に同じ状態ではありません。

排卵後にプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響を受けることで子宮内膜が変化し、胚を受け入れやすい「受容期」と呼ばれる状態になります。

この子宮内膜が着床に適した状態になる限られた期間が「着床の窓」です。

胚移植では、胚の発育段階と子宮内膜の成熟度が適切に合っていることが重要と考えられています。着床は胚だけ、あるいは子宮内膜だけで決まるものではなく、両者の相互作用によって成立する複雑な過程です。

「着床の窓がずれる」とは?

一般的な移植スケジュールで想定されている時期よりも、子宮内膜が受容期になるタイミングが早い、または遅い状態を「着床の窓がずれている」と表現することがあります。

ただし、着床しなかったからといって、必ず「着床の窓のずれ」が原因というわけではありません。

胚の染色体・発育状態、子宮の形態、子宮内膜の状態、ホルモン環境など、着床にはさまざまな要因が関係しています。

ERA検査とは?

ERA(Endometrial Receptivity Analysis)は、子宮内膜の組織を採取し、その遺伝子発現パターンなどを解析することで、子宮内膜が胚を受け入れやすい状態にあるかを評価する検査です。

一般的には、実際に胚を移植する周期に近いホルモン環境を再現し、決められたタイミングで子宮内膜を採取します。

その結果をもとに、子宮内膜が受容期にあるか、あるいは受容期より前・後にある可能性があるかを評価し、必要に応じて次回の胚移植時のプロゲステロン投与時間などを調整する考え方です。

ERA検査でわかること

ERA検査の主な目的は、検査を行った条件下で、子宮内膜の受容性のタイミングを推定することです。

検査結果によっては、通常の移植スケジュールとは異なるタイミングでの移植を提案される場合があります。これを「個別化胚移植(personalized embryo transfer:pET)」と呼ぶことがあります。

一方で、ERA検査だけで、

  • なぜ着床しなかったのか
  • 次の移植で必ず妊娠できるか
  • 胚そのものに問題があるか
  • 流産を防げるか

といったことまで判断できるわけではありません。

あくまで、着床に関係するさまざまな要素の中から「子宮内膜の受容性のタイミング」という一部分を評価する検査と考えることが大切です。

ERA検査をすると妊娠率は上がる?

ここはERA検査を検討するうえで、とても大切なポイントです。

ERA検査は、子宮内膜の状態に合わせて移植時期を個別化するという考え方から注目されてきました。

しかし、現在までの研究では、ERAなどの子宮内膜受容能検査を行って移植時期を調整すれば、すべての方で妊娠率や出生率が高くなるとは確認されていません。

特に、染色体数が正常と判定された胚盤胞を1個移植する患者さんを対象とした無作為化比較試験では、子宮内膜受容能検査に基づいて移植時期を決めたグループと、通常のタイミングで移植したグループとの間で、出生率の有意な改善は認められませんでした。

また、複数の研究をまとめた解析でも、反復着床不全のない方にERAを行うことで出生率が明らかに改善するという結果は得られていません。

ERA検査は全員に必要ではありません

そのため、「胚移植をするならERAも受けた方がいい」というものではありません。

欧州生殖医学会(ESHRE)の生殖医療における追加検査・治療に関する推奨でも、現在利用されている子宮内膜受容能検査を一般的な不妊治療にルーチンで行うことは推奨されていません。

費用や身体的負担もあるため、「念のため受けておけば安心」という理由だけで決めるのではなく、自分の場合に検査結果がその後の治療方針を変える可能性があるのかを主治医と相談することが重要です。

当院でお伝えしていること

良好な胚を移植しても妊娠に至らないと、「自分の着床の窓がずれているのでは」と心配される方もいらっしゃいます。

ただ、着床しなかった原因を一つだけに決めることはできません。ERA検査を受けるか迷っている場合には、「今回の検査結果によって次の治療がどう変わるのか」を不妊治療クリニックの先生に確認してから判断することをおすすめしています。

ERA検査を検討することがあるのはどんな場合?

ERA検査をすべての方におすすめすることはできませんが、状況によっては主治医から検査について説明を受ける場合があります。

たとえば、

  • 良好な胚を複数回移植しても着床に至らない
  • 一般的な検査を行っても明らかな原因が見つからない
  • これまでの移植方法やホルモン投与のタイミングを再検討している
  • 主治医が子宮内膜と胚のタイミングについて検討する必要があると判断した

といったケースです。

ただし、反復着床不全の患者さんについても、ERAを行えば出生率が改善すると断定できるだけの十分な根拠はまだありません。

「移植に何回失敗したらERAを受ける」という一律の基準ではなく、年齢、移植した胚の状態、これまでの治療歴などを含めて判断する必要があります。

ERA検査の前に確認しておきたいこと

胚移植を繰り返しても着床しない場合、「着床の窓」だけに注目するのではなく、他の要因についても確認することが大切です。

1.移植した胚について

着床には胚側の要因も大きく関係します。

年齢や胚の発育状態、染色体の状態などによっても着床の可能性は変わるため、「子宮内膜だけに原因がある」と考えないことが重要です。

2.子宮内の状態

子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫、子宮腔の形態など、子宮内に着床へ影響する可能性のある状態がないか確認することがあります。

3.慢性子宮内膜炎など

反復して着床しない場合には、患者さんの状況に応じて慢性子宮内膜炎などについて検討されることもあります。

4.移植周期のホルモン環境

ホルモン補充周期では、プロゲステロンを開始するタイミングや投与方法なども移植スケジュールに関係します。

これまでどのような方法で移植を行ってきたのかを主治医と振り返ることも大切です。

「着床しない=着床の窓がずれている」ではありません

ERA検査が知られるようになったことで、「移植しても妊娠しなかったのは、着床の窓がずれていたからでは?」と考える方も増えています。

しかし、着床は、

  • 胚の状態
  • 子宮内膜の状態
  • ホルモン環境
  • 胚と子宮内膜のタイミング
  • 子宮内の環境

などが複雑に関係して成立します。

そのため、一度あるいは数回着床しなかったという結果だけから、着床の窓のずれを原因と判断することはできません。

当院でお伝えしていること

移植を繰り返していると、「まだ何か検査していない原因があるのでは」と不安になることがあります。

新しい検査を追加することだけが選択肢ではありません。これまでの採卵・胚移植の経過、月経周期、睡眠やストレス、体調の変化なども一緒に振り返りながら、まずは現在の治療方針を整理していくことも大切だと考えています。

ERA検査を受けるか迷ったときに確認したい4つのこと

ERA検査を提案された場合は、次の点を主治医に確認してみると判断しやすくなります。

  • なぜ自分にERA検査をすすめるのか
    これまでの移植歴のどの部分から検査を検討しているのか確認します。
  • 検査結果によって次の治療がどう変わるのか
    結果が違っていても治療方針が変わらないのであれば、検査を行う意味についてもう一度確認してみましょう。
  • ERA以外に確認すべきことはないか
    胚側・子宮側など、ほかに検討すべき要因がないか確認します。
  • 費用や身体的負担に納得できるか
    子宮内膜の採取を伴うため、検査内容や費用についても説明を受けておきましょう。
当院でよく受けるご相談

ERA検査を受ければ着床しやすくなりますか?

ERA検査そのものが着床を促す治療ではありません。

検査結果を参考に胚移植のタイミングを調整することが目的ですが、現在の研究では、一般的にERAを行うことで出生率が高くなるとは確認されていません。

一度移植に失敗したらERAを受けた方がいいですか?

一度着床しなかったという理由だけでERA検査が必要とは限りません。

胚移植では、適切な条件で行っても毎回必ず着床するわけではありません。これまでの移植回数や胚の状態などを踏まえて主治医と相談しましょう。

ERAで「着床の窓がずれている」と出たら、それが不妊の原因ですか?

検査で一般的なタイミングとは異なる結果が出ても、それだけで過去に妊娠しなかった原因を確定することはできません。

着床には多くの要因が関係するため、検査結果は治療を考えるための情報の一つとして捉えることが大切です。

ERA検査と着床不全の検査は同じですか?

同じではありません。

ERAは主に子宮内膜の受容性のタイミングを評価する検査です。一方、反復着床不全では胚、子宮内の形態、子宮内膜、ホルモンなど、さまざまな視点から原因を検討します。

まとめ|ERAは「必要な人を選んで考える検査」

着床の窓とは、子宮内膜が胚を受け入れやすい状態になる限られた時期のことです。

ERA検査は、そのタイミングを子宮内膜の状態から推定し、胚移植のタイミングを個別化することを目的とした検査です。

一方で、現在の研究では、ERA検査をすべての方に行うことで妊娠率や出生率が上がるとは確認されていません。

大切なのは、

  • なぜ検査をするのか
  • 検査結果によって治療方針がどう変わるのか
  • ほかに確認すべき原因がないか

を整理したうえで判断することです。

「良い胚なのに着床しないから、きっと着床の窓がずれている」と一つの原因に絞り込まず、これまでの治療経過全体を主治医と一緒に振り返っていきましょう。

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📚参考文献

この記事の監修者

宇都宮泰子 監修者写真

院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)

FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)

  • 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
  • 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
  • 日本生殖医学会会員

不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。

※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。

移植を繰り返していて、不安を感じている方へ

「良好な胚を移植しているのに着床しない」「ERA検査を受けた方がいいのか迷っている」など、移植が続く中で不安や迷いが大きくなる方は少なくありません。

検査や治療については不妊治療クリニックで相談することが大切ですが、同時に、睡眠・冷え・ストレス・月経周期など、日々の身体の状態を整えていくことも妊活中のコンディション管理の一つです。

大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、不妊治療の経過をお伺いしながら、鍼灸や良導絡測定などを通して、一人ひとりの身体の状態に合わせた妊活サポートを行っています。

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