
男性の年齢は妊娠率に影響する?高齢父親と妊活で知っておきたいこと
妊活では、女性の年齢が話題になることが多いですが、実は男性の年齢も妊娠のしやすさに関係する可能性があります。
「男性は何歳でも子どもを授かれる」と思われることもありますが、年齢とともに精液量・精子の運動率・DNAの状態などが変化し、妊娠までの期間が長くなる可能性が報告されています。[1]
ただし、男性の年齢が高いからといって、妊娠できない、必ず不妊になるという意味ではありません。大切なのは、年齢による変化を正しく知り、今できる体づくりや生活習慣の見直しを進めることです。
- 男性の年齢も、妊娠率や妊娠までの期間に影響する可能性があります。
- 年齢とともに、精液量、精子の運動率、精子DNAの状態などが変化することがあります。
- 精液検査の結果だけで、妊娠できる・できないを判断することはできません。
- 50代男性でもパートナーが自然妊娠する可能性はありますが、男性の年齢だけで一律の妊娠確率は示せません。
- 男性の年齢だけで妊娠の可否が決まるわけではないため、不安になりすぎず、夫婦でできる準備を進めることが大切です。


男性の年齢は妊娠率に影響する?
男性は女性と違い、思春期以降も精子を作り続けます。そのため、「男性は年齢の影響を受けにくい」と考えられがちです。
しかし、近年の研究では、男性も年齢を重ねることで精子の状態が変化し、妊娠率や妊娠までの期間に影響する可能性が示されています。
加齢に伴い、精液量、精子の運動率、精子DNAの状態などに変化がみられることがあります。ただし、変化の大きさには個人差があり、精子の検査値の変化と、実際の妊娠率は分けて考える必要があります。[1][2]
とはいえ、年齢だけで妊娠の可否が決まるわけではありません。妊娠には女性側の年齢や卵子の状態、排卵、卵管、子宮内環境、夫婦のタイミング、生活習慣など、さまざまな要因が関係します。
50歳・50代男性の自然妊娠確率は何%?
50歳・50代の男性でも、パートナーが自然妊娠する可能性はあります。ただし、男性の年齢だけで「妊娠確率は何%」と一律に答えることはできません。
妊娠の見通しには、男性の精子や性機能の状態に加え、パートナーの年齢、排卵や卵管の状態、妊活を続けている期間、性交の頻度などが関係します。「50歳」「55歳」という年齢だけでは、個別の確率を判断できないためです。[2]
数値を見るときは、自然妊娠か体外受精などの治療成績か、1周期あたりか一定期間内の累積か、妊娠率か出生率かを確認しましょう。条件の異なる数字を、そのまま自分たちの確率として当てはめることはできません。
例えば2025年の研究では、男性の加齢に伴う精子の検査値の変化がみられる一方、対象を限定した生殖補助医療(ART)の解析では、男性の年齢と臨床妊娠率などに有意な関連がみられませんでした。ただし、女性パートナーが37歳未満で卵巣予備能が正常なカップルを対象とした結果であり、50代男性全般の自然妊娠確率を示す研究ではありません。[3]
男性が50代で、パートナーが30代・40代の場合は?
同じ50代男性でも、パートナーの年齢や身体の状態によって妊活の見通しや進め方は異なります。女性の年齢は自然妊娠のしやすさに関わる大切な要素ですが、女性の年齢だけで結果が決まるわけでもありません。[2]
「男性が50代だから無理」「女性が若いから検査は不要」と決めつけず、夫婦それぞれの状態を確認することが大切です。年齢の組み合わせごとに根拠のない確率を探すより、妊活期間もふまえて医療機関に相談しましょう。
男性も年齢とともに精子の状態が変化する
精液量や精子の運動率が低下する可能性
男性の加齢では、精液量や精子の運動率が低下する可能性が報告されています。
精子の運動率とは、精子がどのくらい活発に動いているかを示す指標です。卵子までたどり着くためには、精子が十分に動けることが大切です。
年齢とともに必ず大きく低下するわけではありません。また、精液量、精子濃度、運動率などの項目が、すべて同じように変化するわけではありません。[1][3]
精子DNAの損傷が増える可能性
妊活で見落とされやすいのが、精子DNAの状態です。
通常の精液検査では、精液量、精子濃度、運動率、形態などを確認します。しかし、それだけでは精子のDNA損傷までは十分にわからないことがあります。
男性の年齢が上がると、酸化ストレスなどの影響により、精子DNA断片化が増える可能性が指摘されています。
精子DNAの損傷は、受精や胚発育、流産リスクなどとの関連が研究されていますが、すべてのケースで明確に結果が決まるわけではありません。あくまで妊娠に関わる要因のひとつとして考えることが大切です。
精子は日々作られるからこそ生活習慣の影響を受けやすい
精子はおよそ数か月かけて作られるため、妊活前の生活習慣が精子の状態に影響する可能性があります。
喫煙、過度な飲酒、睡眠不足、肥満、強いストレス、栄養バランスの乱れ、長時間の高温環境などは、精子の質に影響する可能性があります。
そのため、男性の妊活では「検査を受けること」だけでなく、妊娠を考える数か月前から生活習慣を整えることも大切です。ただし、生活習慣と妊娠・出生の結果については、十分な根拠がそろっていない点もあり、見直しによって必ず妊娠率が上がると断定はできません。[2]
男性の加齢で妊娠までの期間が長くなる可能性
男性の年齢が高くなると、妊娠までにかかる期間が長くなる可能性があります。
ただし、男性の年齢と妊娠までの期間の関連は、研究の対象や調査方法によって結果が異なります。「40歳を過ぎると必ず妊娠率が急に下がる」といった、一律の境目があるわけではありません。[1][2]
これは、精子の数や運動率だけでなく、精子DNAの状態、ホルモン、性機能、生活習慣、性交頻度など、複数の要因が関係していると考えられています。
ただし、「男性が40代だから妊娠できない」「50代だから妊活は難しい」と決めつける必要はありません。
年齢はたしかに大切な要素ですが、妊娠は夫婦それぞれの状態を総合的に見て考えるものです。不安がある場合は、自己判断で悩み続けるよりも、早めに医療機関で相談することが大切です。
精子の数・運動率だけでは見えにくい変化
精液検査が正常でも妊娠しないことがある
男性側の検査として代表的なのが精液検査です。
精液検査では、精子の濃度、運動率、形態、精液量などを確認します。男性不妊の評価としてとても大切な検査です。
しかし、精液検査の結果が正常範囲であっても、なかなか妊娠に至らないケースはあります。
妊娠には男女双方のさまざまな要因が関わるため、精液検査が正常でも妊娠を保証するものではなく、基準値を下回ってもそれだけで不妊と決まるわけではありません。検査結果は医師が妊活の経過などと合わせて判断します。[4]
また、精子DNA断片化検査は、すべてのカップルが最初から受けることを勧められている検査ではありません。追加検査の必要性は、これまでの妊娠・治療の経過などに応じて医師に相談しましょう。[4]
年齢だけでなく酸化ストレスにも注意
精子は酸化ストレスの影響を受けやすい細胞です。
酸化ストレスとは、体内で発生する活性酸素が増えすぎ、細胞にダメージを与えやすくなる状態のことです。
喫煙、過度な飲酒、睡眠不足、ストレス、肥満、栄養不足などは、酸化ストレスを高める要因になる可能性があります。
男性の年齢が高い場合は、年齢そのものを変えることはできませんが、酸化ストレスを増やしにくい生活を意識することはできます。
40代・50代男性が妊活で意識したいこと
1. まずは精液検査を受ける
妊活が長引いている場合や、男性が40代・50代で妊娠を考えている場合は、早めに精液検査を受けることをおすすめします。
男性側の検査は、女性の検査と比べて身体的な負担が少ないことが多く、妊活の早い段階で確認しやすい検査です。
「自分は大丈夫だろう」と思っていても、精子の状態は検査しなければわかりません。夫婦で妊活に取り組むためにも、男性側の確認は大切です。
受診の時期は、男性の年齢だけでなく、パートナーの年齢と妊活期間も合わせて考えます。ASRMの指針では、避妊をせず定期的に性交があっても妊娠しない場合、女性が35歳未満なら1年、35歳以上なら6か月が検査・相談を始める目安です。40歳を超える場合は、より早い評価・治療の検討が必要になることがあります。[5]
月経不順、すでに指摘されている精液所見の異常、勃起や射精の問題などがある場合は、この期間を待たずに相談しましょう。男性不妊を扱う泌尿器科や生殖医療を専門とする医療機関で、夫婦並行して評価を受けることが大切です。[4][5]
生活習慣の見直しは、検査や相談と並行して進められます。体づくりのために受診を数か月先延ばしにする必要はありません。
2. 禁煙・飲酒量の見直しをする
喫煙は精子の質に影響する可能性があり、妊活中はできるだけ避けたい習慣です。
また、過度な飲酒もホルモンバランスや精子の状態に影響する可能性があります。
妊活を始めるタイミングで、禁煙や飲酒量の見直しを行うことは、男性側の体づくりとして大切です。
3. 睡眠とストレスを整える
睡眠不足や強いストレスは、自律神経やホルモンの働きに影響する可能性があります。
妊活中は、女性だけでなく男性もプレッシャーを感じやすくなります。
「頑張らなければ」と思いすぎることで、かえって心身の負担が増えてしまうこともあります。睡眠時間を確保し、無理のない生活リズムを整えることも、妊活の土台になります。
4. 栄養バランスを意識する
食事では、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなど、身体に必要な栄養素が不足しないよう、偏りを減らすことを意識しましょう。
特定のサプリメントだけに頼るのではなく、まずは食事全体のバランスを整えることが大切です。
外食やコンビニ食が多い方は、魚、卵、大豆製品、野菜、海藻、ナッツ類などを少しずつ取り入れるところから始めてみましょう。
5. 年齢を責めるのではなく、夫婦で準備する
男性の年齢が妊娠率に関係すると知ると、「もっと早く妊活を始めればよかった」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、妊活で大切なのは、過去を責めることではなく、今の状態を知り、これからできることを整理することです。
年齢は変えられませんが、生活習慣、検査、治療の選択、体づくりは今からでも見直すことができます。
年齢だけで不安になりすぎず、今できる準備をする
男性の年齢は、妊娠率や妊娠までの期間に影響する可能性があります。
しかし、年齢だけですべてが決まるわけではありません。
妊活では、女性側の年齢や身体の状態、男性側の精子の状態、夫婦の生活習慣、治療のタイミングなどを総合的に考える必要があります。
特に40代・50代で妊娠を考えている場合は、自己判断で悩み続けるよりも、早めに検査や相談を行い、必要な対策を進めることが大切です。
不安をあおるのではなく、正しい情報を知り、できる準備をひとつずつ進めていきましょう。
Q1. 男性の年齢は妊娠率に影響しますか?
はい、男性の年齢が高くなると、妊娠までの期間が長くなる可能性や、精子の状態が変化する可能性が報告されています。
ただし、年齢だけで妊娠できる・できないが決まるわけではありません。女性側の年齢や身体の状態、排卵、卵管、子宮内環境、夫婦のタイミングなども関係します。
Q2. 男性は何歳から妊娠率に影響が出やすいですか?
一律に「何歳から」と区切ることはできません。加齢に伴う精液所見の変化と、実際の妊娠のしやすさは同じではなく、研究によっても結果が異なります。[1][2]
ただし、「40歳を過ぎたら急に妊娠しにくくなる」という単純なものではありません。年齢とともに段階的に変化する可能性があると考えるとよいでしょう。
Q3. 50代男性でも自然妊娠は可能ですか?確率は何%ですか?
50代男性でも、パートナーが自然妊娠する可能性はあります。ただし、男性の年齢だけで「何%」とはいえません。夫婦双方の年齢や検査結果、妊活期間などをふまえて考える必要があります。
50代で妊娠を考えている場合は、年齢だけであきらめず、精液検査や医療機関での相談を通じて今の状態を確認しましょう。
Q4. 精液検査が正常なら男性側に問題はありませんか?
精液検査が正常であっても、男性側の要因が完全に否定されるわけではありません。
一般的な精液検査では、精子の数や運動率などを確認しますが、精子DNAの損傷や酸化ストレスなどは通常の検査だけではわかりにくい場合があります。
妊活が長引く場合は、夫婦それぞれの状態を医療機関で相談しましょう。精子DNA断片化検査を含む追加検査は、全員に必要なものではなく、経過に応じて医師が判断します。[4]
Q5. 男性の妊活では何から始めればいいですか?
まずは、禁煙、飲酒量の見直し、睡眠、栄養バランス、適度な運動、体重管理など、基本的な生活習慣を整えることが大切です。
妊活が長引いている場合や、男性が40代・50代の場合は、早めに精液検査を受けることもおすすめです。
妊活は女性だけが頑張るものではありません。夫婦で情報を共有しながら、できることを一緒に進めていきましょう。
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📚参考文献
- [1] Jimbo M, et al. Fertility in the aging male: a systematic review. Fertility and Sterility. 2022;118(6):1022–1034.
- [2] American Society for Reproductive Medicine. Optimizing natural fertility: a committee opinion. 2022.
- [3] Xie H, et al. Increasing age in men is negatively associated with sperm quality and DNA integrity but not pregnancy outcomes in assisted reproductive technology. Frontiers in Aging. 2025;6:1603916.
- [4] American Urological Association / American Society for Reproductive Medicine. Diagnosis and treatment of infertility in men: AUA/ASRM guideline part I. 2020.
- [5] American Society for Reproductive Medicine. Fertility evaluation of infertile women: a committee opinion. 2021.
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
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宇都宮鍼灸良導絡院では、妊活や治療の状況、睡眠・食事などの生活習慣、日々の体調のお悩みをうかがい、妊活中の体づくりをサポートしています。
年齢だけで判断せず、今の状態を知り、無理なく続けられる準備を考えることを大切にしています。医療機関での検査・治療も大切にしながら、できることを一緒に整理していきましょう。
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