治療院ブログ

妊活中のお灸はおすすめ?セルフお灸のツボ・着床期の考え方と注意点

 更新日:

妊活中に「冷えが気になる」「自宅でできるセルフケアを始めたい」と考え、お灸に興味を持つ方は少なくありません。

お灸は、もぐさの燃焼熱や温熱器具によって体の一部を温める東洋医学のケアです。足の冷えや肩こり、疲れなどが気になるときに、体調管理の一つとして取り入れられています。

一方で、セルフお灸によって着床率や妊娠率が上がると証明されているわけではありません。妊活中のお灸は、不妊の原因を治療するものではなく、冷えやこりを和らげたり、落ち着いて過ごす時間をつくったりするための補助的なセルフケアとして考えることが大切です。

この記事では、妊活とお灸の関係、セルフお灸に使われることが多いツボ、火を使わないお灸の選び方、着床を意識する高温期や胚移植後の注意点について、医学的な根拠も踏まえて解説します。

この記事の要点まとめ
  • 妊活中のお灸は、冷えやこり、疲れ、ストレスが気になるときのセルフケアとして取り入れられています。
  • セルフお灸が着床率や妊娠率を高めると断定できる十分な根拠はありません。
  • 足三里・三陰交・復溜などが使われますが、「妊活に効く特効穴」ではなく、体調に合わせて選ぶことが大切です。
  • 火を使わないお灸にも低温やけどの可能性があるため、貼ったまま眠らず、使用説明書を守りましょう。
  • 妊娠判定後や妊娠中は自己判断で続けず、医師または国家資格を持つ鍼灸師へ相談しましょう。

せんねん灸の画像

お灸とは?妊活中に選ばれる理由

お灸は、よもぎの葉からつくられた「もぐさ」を燃やした熱や、火を使わない温灸器の温熱によって、体の一部を温める方法です。

妊活中には、次のような目的で取り入れられることがあります。

  • 足先や足首の冷え対策
  • 肩や腰などのこりを和らげるため
  • 胃腸の調子や疲れが気になるときの体調管理
  • お灸をする時間を利用して、心身を休ませるため

火を使わない温灸器には、「血行をよくする」「筋肉のこりをほぐす」「胃腸の働きを活発にする」などの温熱効果が認められている製品があります。

ただし、これは一般的な温熱効果であり、卵巣や子宮への作用、着床率や妊娠率の向上を意味するものではありません。

お灸をすると妊娠しやすくなる?研究から分かっていること

不妊治療に鍼灸を併用した研究では、臨床妊娠率や出生率への影響が検討されています。一部のメタ解析では良好な結果も報告されていますが、治療方法、施術回数、施術時期、比較対象などが研究によって異なり、結果は一致していません。

英国の生殖医療を監督するHFEAは、鍼治療がストレスの軽減や心身の健康を支える目的で利用されることはあるものの、子宮への血流を増やす効果については根拠が明確ではないと説明しています。

また、米国生殖医学会の胚移植ガイドラインでは、胚移植前後に行う鍼治療について、出生率を高める一貫した根拠は確認できないとされています。

お灸だけを対象とした不妊研究は、鍼治療の研究よりもさらに限られています。2024年に発表された卵巣反応不良の女性を対象とした小規模なランダム化比較試験では、おへそへの灸を受けたグループの累積出生率が数値上は高かったものの、統計学的に明らかな差は確認されませんでした。

現時点では、「このツボにセルフお灸をすれば着床しやすくなる」とはいえません。また、鍼灸師が体調を確認しながら行う施術の研究結果を、そのまま自宅でのセルフお灸に当てはめることもできません。

当院でお伝えしていること

当院では、お灸を「妊娠させるための方法」としてではなく、冷え、睡眠、胃腸の状態、肩や腰の緊張、ストレスなど、妊活中に気になりやすい体調を見直すきっかけとしてお伝えしています。冷えがあるからといって、必ずしも子宮や卵巣の血流が悪いとは限りません。月経周期や治療スケジュール、体質、肌の状態などを確認し、その方に合う場所と刺激量を選ぶことが大切です。

妊活中のセルフお灸に使われる代表的なツボ

妊活中のお灸では、子宮や卵巣を直接刺激しようとするのではなく、足の冷え、胃腸の調子、むくみ、疲れなど、現在の体調に合わせてツボを選びます。

ここでは、セルフケアに使われることが多い代表的なツボを紹介します。ただし、ツボの位置には個人差があり、以下のツボが妊娠や着床に直接作用することを示すものではありません。

足三里|胃腸の調子や疲れが気になるときに

足三里は、膝のお皿の外側下にあるくぼみから、指4本分ほど下がったすねの外側にあります。

東洋医学では、胃腸の働きや体力と関係するツボと考えられ、食欲が落ちているとき、疲れやすいとき、足のだるさが気になるときなどに用いられます。

妊活中は、栄養バランスを考えるだけでなく、食事を無理なく取れているか、胃もたれや便秘が続いていないかを確認することも大切です。足三里は、そのような体調管理の一環として取り入れやすいツボです。

三陰交|足の冷えや月経に伴う不調が気になるときに

三陰交は、内くるぶしの一番高いところから指4本分ほど上、すねの骨の内側のきわにあります。

東洋医学では、「肝」「脾」「腎」という3つの経絡が交わる場所とされ、足の冷え、むくみ、月経に伴う不調などに用いられることが多いツボです。

三陰交は、伝統的に妊娠中の刺激を慎重に判断するツボの一つとされています。ただし、三陰交への刺激が直ちに流産を起こすと証明されているわけではありません。

一方で、専門家が管理する鍼治療と、自宅で行うお灸では刺激方法や安全管理が異なります。妊娠判定後や妊娠中は、自己判断で三陰交へのお灸を続けず、医師または鍼灸師へ相談してください。

復溜|足首の冷えやむくみが気になるときに

復溜は、内くるぶしとアキレス腱の間から、指2~3本分ほど上にあります。

東洋医学では「腎」の経絡に属し、足首まわりの冷え、むくみ、疲労感などがあるときに用いられます。

ただし、むくみが急に強くなった場合や、片脚だけが腫れて痛む場合、息苦しさなどを伴う場合は、お灸で様子を見ずに医療機関へ相談してください。

「着床におすすめのツボ」はある?

「妊活 お灸 着床 セルフ」と検索すると、着床を助けるツボとして下腹部や腰、三陰交などが紹介されていることがあります。

しかし、特定のツボへのセルフお灸によって、受精卵の着床率が高まると確認された質の高い研究はありません。

着床は、胚の状態、子宮内膜、ホルモンの変化、移植の条件など、複数の要素が関わる複雑な過程です。下腹部を強く温めたり、数多くのお灸を行ったりしても、着床しやすくなるとは限りません。

着床を意識する高温期や胚移植後は、「何かをしなければ」と頑張りすぎるよりも、次のような基本的な体調管理を優先しましょう。

  • 処方された薬を指示どおりに使用する
  • 極端な睡眠不足を避ける
  • 無理な運動や過度な飲酒を避ける
  • 食事と水分を無理のない範囲で取る
  • 強い腹痛や出血、急な体調変化がある場合はクリニックへ連絡する

高温期や胚移植後もセルフお灸をしてよい?

高温期や妊娠判定待ちだからといって、すべてのお灸が医学的に禁止されているわけではありません。

一方で、この時期はすでに妊娠が成立している可能性があります。市販のお灸には、妊娠中の自己使用を避け、医師または鍼灸師へ相談するよう記載されている製品もあります。

そのため、排卵後や胚移植後もセルフお灸を続けたい場合は、事前に鍼灸師からツボ、刺激量、使用期間の指導を受けておくと安心です。妊娠判定が陽性になった後は、一度中止して相談しましょう。

当院でお伝えしていること

胚移植後や妊娠判定待ちの方から、「いつもと同じお灸を続けてよいですか」と相談されることがあります。当院では、治療周期、使用している薬、肌の状態、冷え方などを確認しながら個別にお伝えしています。着床を目的に下腹部へ熱いお灸を重ねるのではなく、必要に応じて足元への穏やかなケアや、睡眠・呼吸・首肩の緊張を整える方法を選ぶこともあります。

火を使わないお灸は妊活中にもおすすめ?

火や煙の扱いに不安がある方には、貼るタイプなど、火を使わないお灸が選択肢になります。

火を使わないお灸には、次のような特徴があります。

  • 煙やもぐさのにおいが出にくい
  • 火を扱う必要がない
  • 衣服の下に貼れる製品がある
  • 火を使うタイプより長時間温かさが続く製品がある

ただし、火を使わないから安全とは限りません。同じ場所を長時間温めることで、低温やけどが起こる可能性があります。

火を使わないお灸を使用するときは、商品の使用時間を守り、貼ったまま眠らないようにしましょう。妊娠中、糖尿病がある方、温度を感じにくい方、皮膚が弱い方などは、使用前に医師や鍼灸師へ相談してください。

妊活中のセルフお灸を安全に続ける方法

最初は温熱の弱いタイプを選ぶ

初めてのお灸では、温熱レベルが低い製品から始めます。「熱いほど効く」ということはありません。熱さ、痛み、かゆみを感じた場合は、我慢せずにすぐ取り外してください。

1日1回、1~3カ所程度から始める

初めから数多くのツボに行うと、肌への負担が増えたり、だるさや気分不良を感じたりすることがあります。初めての方は1日1回、1~3カ所程度から始め、体調や肌の状態を確認しましょう。

入浴直後・食事直後・飲酒後・発熱時は避ける

入浴直後や運動直後は皮膚が温まり、汗をかいているため、やけどやかぶれが起こりやすくなります。肌の熱や汗が落ち着いてから行いましょう。

食事直後、飲酒後、発熱時、強い疲労や体調不良がある日も使用を控えます。

お灸をしながら眠らない

火を使うタイプは火災ややけどにつながるため、その場を離れないでください。火を使わないタイプも、眠っている間は熱さや皮膚の異常に気づきにくいため、貼ったまま就寝しないようにしましょう。

肌の状態を毎回確認する

湿疹、かぶれ、傷、腫れがある部分には使用しないでください。使用後に強い赤み、水ぶくれ、腫れ、痛みなどが現れた場合は使用を中止し、症状に応じて皮膚科などへ相談しましょう。

セルフお灸を避ける、または相談した方がよいケース

  • 妊娠判定が陽性になった、または妊娠中である
  • 糖尿病や末梢神経障害などがあり、熱さを感じにくい
  • 皮膚炎、湿疹、傷、水ぶくれがある
  • 発熱や強い倦怠感がある
  • よもぎや煙でアレルギー症状が出たことがある
  • 採卵後にお腹の張り、急な体重増加、息苦しさ、尿量の減少などがある
  • 胚移植後に強い腹痛や多量の出血がある

採卵後や胚移植後の強い症状は、セルフお灸で対処するものではありません。治療を受けているクリニックへ連絡してください。

お灸は不妊検査や治療の代わりにはなりません

妊娠しにくい原因には、排卵の問題、卵管因子、子宮筋腫や子宮内膜症、精子の状態、年齢に伴う変化など、さまざまなものがあります。

冷えや疲れがある場合でも、それだけが妊娠しにくい原因とは限りません。セルフお灸だけで長期間様子を見ると、必要な検査や治療を受ける時期が遅れることがあります。

お灸は不妊治療の代わりにするのではなく、婦人科や不妊治療クリニックで必要な検査を受けながら、日々の体調を整える補助的なケアとして取り入れましょう。

まとめ|妊活中のお灸は「着床のため」より体調管理として

妊活中のお灸は、足の冷えやこり、疲れ、胃腸の不調などが気になる方にとって、日常に取り入れやすいセルフケアの一つです。

ただし、特定のツボへのセルフお灸によって、着床率や妊娠率が上がると証明されているわけではありません。お灸をすること自体が負担になったり、「毎日続けなければ妊娠できない」と感じたりする必要もありません。

初めて行う場合は、温熱の弱い製品を使い、1日1~3カ所程度から始めましょう。熱さを我慢せず、火を使わないタイプでも低温やけどに注意することが大切です。

高温期や胚移植後に一律で禁止されるものではありませんが、妊娠している可能性を考え、自己判断で強い刺激を続けることは避けましょう。妊娠判定後や妊娠中は、医師または国家資格を持つ鍼灸師へ相談してください。

お灸を「妊娠するために頑張ること」の一つにするのではなく、体と心をいたわる穏やかな時間として、無理のない範囲で取り入れてみてください。

当院でよく受けるご相談

妊活中にセルフお灸をしても大丈夫ですか?

妊娠が成立する前で、体調や肌に問題がなければ、冷えやこりなどに対するセルフケアとして使用できる場合があります。ただし、妊娠判定後や妊娠中は自己判断で使用せず、医師または国家資格を持つ鍼灸師へ相談してください。

妊活中のお灸は毎日した方がよいですか?

毎日行う必要はありません。初めての方は1日1回、1~3カ所程度から始め、肌や体調に変化がないか確認しましょう。続けることが負担になる場合は、回数を減らしたり休んだりして構いません。

火を使わないお灸でも妊活に意味がありますか?

火を使わないお灸も、温熱によって血行をよくしたり、筋肉のこりをほぐしたりする目的で使用できます。ただし、妊娠率や着床率を高める効果が確認されているわけではありません。低温やけどを防ぐため、使用時間と使用方法を守りましょう。

高温期や妊娠判定待ちのお灸は着床に影響しますか?

一般的なセルフお灸が着床を妨げる、または着床を促すと断定できる十分な研究はありません。ただし、すでに妊娠している可能性があるため、下腹部への強い温熱や自己流の刺激は避け、続けたい場合は鍼灸師へ相談しましょう。

三陰交にお灸をすると流産するのですか?

三陰交への刺激が直ちに流産を起こすと証明されているわけではありません。ただし、伝統的には妊娠中の刺激を慎重に判断するツボとされています。妊娠判定後や妊娠中は、自己判断でお灸をせず、医師または鍼灸師の指導を受けてください。

お灸をすれば着床しやすくなりますか?

セルフお灸によって着床率が高まると断定できる根拠はありません。着床には胚の状態、子宮内膜、ホルモン、年齢など複数の要素が関係します。お灸は着床を起こす治療ではなく、妊活中の体調管理を支える補助的なケアとして考えましょう。

📝こちらの記事もおすすめです

📚参考文献

この記事の監修者

宇都宮泰子 監修者写真

院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)

FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)

  • 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
  • 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
  • 日本生殖医学会会員

不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。

※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。

妊活中のお灸や体調について、一度相談してみませんか?

妊活中にセルフお灸を取り入れたいと思っても、「自分にはどのツボが合うの?」「高温期や胚移植後も続けて大丈夫?」と迷うことがあるかもしれません。

大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、月経周期や不妊治療の予定、冷え、睡眠、胃腸の状態、ストレスなどを確認しながら、お一人おひとりに合った鍼灸やセルフケアをご提案しています。

お灸は妊娠を保証するものではありませんが、妊活中の体調を見直し、心と体をいたわるきっかけの一つになります。「セルフお灸の方法を知りたい」「自分の体質に合うケアを相談したい」という方も、どうぞ気軽にご相談ください🍀

24時間予約受付中

このページのトップへ