
生理前に体重が増えるのはなぜ?脂肪ではなく「水分・腸・食欲」が関係する3つの理由
生理前になると、体重が1〜2kgほど増える。
朝起きたら顔や脚がむくんでいる。
お腹が張って、体が重く感じる。
甘いものやしょっぱいものが無性に食べたくなる。
このような変化を感じたことはありませんか?
生理前の体重増加は、多くの場合、脂肪が急に増えたわけではありません。
排卵後から月経前にかけての黄体期は、女性ホルモンの変動によって、体の水分バランス、腸の動き、食欲が変化しやすい時期です。
つまり、生理前の体重増加は、体のリズムに伴う一時的な変化として起こることが多いのです。
この記事では、生理前に体重が増える主な3つの原因について、体の仕組みからわかりやすく解説します。


目次
生理前に体重が増えやすい時期は「黄体期」
月経周期は、大きく分けると月経期、卵胞期、排卵期、黄体期に分けられます。
生理前にあたるのは、排卵後から次の月経が始まるまでの「黄体期」です。
この時期は、妊娠に備えて子宮内膜を維持するために、プロゲステロンというホルモンが増えます。
プロゲステロンは妊娠の準備に欠かせない大切なホルモンですが、同時に体にはさまざまな変化が起こります。
代表的なものが、次の3つです。
- 水分をため込みやすくなる
- 腸の動きがゆるやかになり、便秘やガスが起こりやすくなる
- 食欲が増え、甘いものや塩辛いものが欲しくなりやすくなる
この3つが重なることで、生理前は体重が増えたように感じやすくなります。
原因① プロゲステロンの上昇による水分貯留
生理前の体重増加で最も大きい要因のひとつが、水分貯留です。
黄体期になると、プロゲステロンが増加します。
この時期の体は、妊娠の可能性に備えて、体内環境を安定させようとします。
その過程で、腎臓でのナトリウムや水分の調整にも変化が起こります。
ナトリウムは水分を引き寄せる性質があるため、体内にナトリウムが残りやすくなると、水分も一緒にため込みやすくなります。
その結果、次のような症状が出やすくなります。
- 顔がむくむ
- 脚が重だるい
- 指輪がきつく感じる
- 下腹部が張る
- 体重が増える
- 体が全体的に重く感じる
ここで大切なのは、この増加の多くは「脂肪」ではなく「水分」であるということです。
脂肪を1kg増やすには、かなりの余剰エネルギーが必要です。
一方で、水分は塩分量、ホルモン変動、睡眠、ストレス、便通などの影響で、短期間でも体重に反映されます。
そのため、生理前に1〜2kg増えたとしても、それだけで「太った」と判断する必要はありません。
水分貯留が強く出やすい人の特徴
生理前のむくみや体重増加には個人差があります。
特に、次のような方は水分をため込みやすくなることがあります。
- 塩分の多い食事が多い
- 外食や加工食品が多い
- 睡眠不足が続いている
- ストレスが強い
- 運動不足で下半身の巡りが悪い
- 冷えやすい
- 普段からむくみやすい
- 便秘がある
水分貯留はホルモンだけで起こるのではなく、生活習慣や体質も重なって出やすくなります。
原因② エストロゲン低下による便秘・腸内ガスの蓄積
生理前に「体重が増えた」という感覚と同時に、
- お腹が張る
- 便秘になる
- ガスがたまりやすい
- 下腹部がぽっこりする
という変化を感じる方も多いです。
これは、腸の動きが関係しています。
黄体期はプロゲステロンが優位になり、エストロゲンは相対的に低下していきます。
このホルモンバランスの変化によって、腸の蠕動運動、つまり腸を動かす働きがゆるやかになりやすくなります。
腸の動きが低下すると、便が腸内にとどまりやすくなります。
さらに、腸内にガスがたまることで、お腹の張りや重さを感じやすくなります。
このとき体重計に反映されているのは、脂肪ではなく、次のような要素です。
- 腸内に残っている便
- 腸内のガス
- お腹まわりの張り
- 水分の停滞
特に、生理前に下腹部がぽっこりしやすい方は、水分貯留だけでなく、便秘や腸内ガスの影響も大きい可能性があります。
生理前の便秘を悪化させやすい習慣
生理前はただでさえ腸の動きがゆるやかになりやすい時期です。
そこに生活習慣が重なると、便秘やお腹の張りが強く出ることがあります。
たとえば、次のような習慣です。
- 朝食を抜く
- 水分が少ない
- 食物繊維が少ない
- 冷たい飲み物が多い
- 座りっぱなしが多い
- 睡眠不足
- ストレスが強い
- 我慢してトイレのタイミングを逃す
腸は、自律神経の影響も強く受けます。
ストレスや睡眠不足が続くと、腸のリズムも乱れやすくなります。
生理前の便秘対策では、無理に出そうとするよりも、「腸が動きやすい環境を整える」ことが大切です。
原因③ 甘いもの・塩辛いものへの欲求による一時的な増加
生理前になると、チョコレート、パン、麺類、スナック菓子、しょっぱいものが欲しくなる方も少なくありません。
これは意志が弱いからではなく、ホルモン変動によって食欲や嗜好が変化しやすくなるためです。
黄体期は、体が妊娠に備えてエネルギーを確保しようとする時期でもあります。
そのため、食欲が増えたり、糖質や脂質、塩分の多いものが欲しくなりやすくなります。
ここで問題になりやすいのが、塩分です。
塩分を多く摂ると、体は血液中のナトリウム濃度を一定に保とうとして、水分をため込みます。
その結果、翌日に体重が増えたり、むくみが強くなったりすることがあります。
たとえば、生理前に次のような食事が続くと、糖質や塩分によって水分をため込みやすくなります。
- ラーメン
- ポテトチップス
- カップ麺
- 菓子パン
- チョコレート
- 揚げ物
- 味の濃い外食
この体重増加も、すぐに脂肪が増えたというより、「食事内容によって水分を抱え込みやすくなった状態」と考える方が自然です。
生理前の食欲を我慢しすぎないことも大切
生理前の食欲に対して、完全に我慢しようとすると、かえって反動で食べすぎてしまうことがあります。
大切なのは、ゼロにすることではなく、選び方を工夫することです。
甘いものが欲しいときは、次のようなものがおすすめです。
- 高カカオチョコを少量
- 焼き芋
- 果物
- ヨーグルト
- ナッツ
- 温かい豆乳
- 甘酒を少量
塩辛いものが欲しいときは、次のようなものに置き換えるとよいでしょう。
- 具だくさん味噌汁
- 海藻スープ
- 温かい汁物
- 塩分控えめのナッツ
- たんぱく質を含む軽食
このように置き換えると、満足感を得ながら血糖値やむくみを乱しにくくなります。
ポイントは、空腹を我慢しすぎないことです。
空腹時間が長くなると、血糖値が下がり、甘いものへの欲求が強くなることがあります。
生理前ほど、たんぱく質、温かい汁物、適度な炭水化物を上手に取り入れることが大切です。
生理前の体重増加はいつ戻る?
生理前に増えた体重は、多くの場合、生理が始まって数日たつと自然に戻っていきます。
月経が始まると、黄体期に高まっていたホルモンが低下し、水分貯留も少しずつ落ち着いていきます。
また、便通が戻ったり、食欲が落ち着いたりすることで、体重も元に戻りやすくなります。
そのため、生理前だけ体重が増え、生理後に戻る場合は、体脂肪の増加というより、月経周期に伴う自然な変化と考えられます。
ただし、毎周期かなり強いむくみがある、急激に体重が増える、息苦しさがある、強い腹痛がある、月経不順がある場合は、婦人科や医療機関に相談してください。
生理前に体重が増えたときのセルフケア
生理前の体重増加を完全になくすことは難しいですが、むくみや便秘、食欲の波をやわらげることはできます。
1. 塩分を控えめにする
生理前は水分をため込みやすい時期です。
味の濃いもの、加工食品、インスタント食品、スナック菓子が続くと、むくみが強く出ることがあります。
完全に塩分を抜く必要はありませんが、次のような工夫がおすすめです。
- 汁を全部飲まない
- 外食が続いた翌日は薄味にする
- カリウムを含む野菜や海藻を取り入れる
2. 温かいものを摂る
冷たい飲み物や生ものが多いと、胃腸の働きが落ちやすい方もいます。
生理前にお腹が張りやすい方は、温かい汁物やお茶を取り入れて、胃腸を冷やしすぎないようにしましょう。
味噌汁、スープ、白湯、温かいお茶などは、体をゆるめる意味でも取り入れやすい方法です。
3. 軽く体を動かす
むくみがあるときほど、激しい運動よりも軽い運動が向いています。
- 散歩
- ストレッチ
- 股関節まわりを動かす
- ふくらはぎを動かす
- 深呼吸
- 軽いヨガ
下半身を動かすことで、血流やリンパの巡りが促され、むくみが軽くなることがあります。
4. 便通を整える
生理前に便秘になりやすい方は、食物繊維、水分、発酵食品、適度な油分を意識しましょう。
おすすめは、次のような食材です。
- 野菜
- 海藻
- きのこ
- 雑穀
- 味噌
- 納豆
- ヨーグルト
- オリーブオイル
- 温かい汁物
ただし、食物繊維を急に増やしすぎると、かえってガスが増えることもあります。
お腹が張りやすい方は、少しずつ増やすことが大切です。
5. 睡眠を整える
睡眠不足は、食欲や自律神経、むくみにも影響します。
生理前は心身が敏感になりやすい時期なので、できるだけ睡眠時間を確保しましょう。
夜更かしが続くと、甘いものへの欲求が強くなったり、翌日のむくみが出やすくなったりすることがあります。
東洋医学では「巡り」と「水分代謝」の乱れとして考える
東洋医学では、生理前のむくみ、体重増加、お腹の張りは、体の巡りや水分代謝の乱れとして考えます。
特に関係しやすいのは、次のような要素です。
- 気の巡り
- 血の巡り
- 水分代謝
- 胃腸の働き
- 冷え
- ストレス
ストレスが強いと、気の巡りが滞り、お腹の張りや胸の張り、イライラ、食欲の乱れにつながりやすくなります。
また、胃腸が弱っていると、水分代謝が落ち、むくみや重だるさが出やすくなります。
生理前の体重増加を単に「食べすぎ」と見るのではなく、
- 体がため込みやすい状態になっている
- 巡りが落ちている
- 胃腸が疲れている
と捉えると、ケアの方向性が見えやすくなります。
妊活中の方は、体重の数字だけで判断しないこと
妊活中の方は、体重の増減に敏感になりやすいものです。
しかし、生理前の体重増加は、月経周期に伴う自然な変化であることも多く、体重だけを見て一喜一憂する必要はありません。
大切なのは、体重の数字だけではなく、次のような体の変化を一緒に見ることです。
- むくみの強さ
- 便通
- 冷え
- 睡眠
- 食欲
- 疲労感
- 月経の状態
- 基礎体温の変化
- PMSの強さ
妊活では、体重を無理に落とすことよりも、血流、栄養状態、睡眠、自律神経、胃腸の働きを整えることが大切です。
生理前に体重が増えたからといって、過度な食事制限をする必要はありません。
むしろ、栄養不足やストレスが強くなると、ホルモンバランスに影響することもあります。
まとめ:生理前の体重増加は、体からの自然なサイン
生理前に体重が増える主な原因は、次の3つです。
- プロゲステロンの上昇による水分貯留
- エストロゲン低下による便秘・腸内ガスの蓄積
- 甘いもの・塩辛いものへの欲求による一時的な増加
この時期の体重増加は、多くの場合、脂肪が急に増えたわけではありません。
ホルモン変動によって、水分をため込みやすくなったり、腸の動きがゆるやかになったり、食欲が変化したりすることで起こります。
大切なのは、生理前の体重増加を責めることではなく、体のリズムとして理解することです。
生理が始まると自然に戻ることも多いため、体重の数字だけで判断せず、むくみ、便通、食欲、睡眠、冷えなどを一緒に見ていきましょう。
生理前の不調が強い方、むくみやお腹の張りが毎回つらい方、妊活中で体調を整えたい方は、体質や月経周期に合わせたケアを取り入れることも大切です。
当院では、月経周期や妊活の状況に合わせて、鍼灸・お灸・生活養生の面から体づくりをサポートしています。
生理前のむくみ、便秘、お腹の張り、冷え、PMSが気になる方は、お気軽にご相談ください。
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📚参考文献
- Stachenfeld NS, Taylor HS. Effects of estrogen and progesterone administration on extracellular fluid. J Appl Physiol. 2004.
エストロゲンやプロゲステロンが体内の水分バランスに与える影響について検討した研究です。生理前のむくみや水分貯留を考えるうえで参考になります。 - Kanellakis S, et al. Changes in body weight and body composition during the menstrual cycle. 2023.
月経周期に伴う体重や体組成の変化について調べた研究です。生理前後の体重変動が一時的な変化として起こる可能性を考えるうえで参考になります。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
生理前のむくみ・体重増加が気になる方へ
生理前に体重が増えたり、顔や脚がむくんだり、お腹が張ったりすると、「太ったのかな」「妊活に影響するのかな」と不安になることがあります。
しかし、生理前の体重増加は、脂肪ではなく、水分貯留・便秘・食欲の変化など、月経周期に伴う一時的な変化として起こることも少なくありません。
とはいえ、毎周期むくみやお腹の張りがつらい、PMSが強い、冷えや便秘も気になるという場合は、体の巡りや自律神経、胃腸の働きを整えていくことも大切です。
宇都宮鍼灸良導絡院では、月経周期や妊活の状況に合わせて、鍼灸・お灸・生活養生の面から体づくりをサポートしています。
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