
プロテインS活性が低い原因・基準値・上げる方法|36歳・不育症の妊娠継続例
「プロテインS活性が低いと言われたけれど、何が原因なの?」「食事で上げることはできる?」「また流産しないか心配」と不安になる方もいらっしゃると思います。
プロテインSは、血液が固まりすぎるのを抑える仕組みに関わるタンパク質です。ただし、プロテインS活性が低いという検査結果だけで、流産の原因や治療方針が決まるわけではありません。
検査を受けた時期や妊娠の有無、これまでの妊娠歴、血栓症の既往などを含めて、医師が総合的に判断することが大切です。
この記事では、プロテインS活性が低くなる原因や基準値の考え方、食事で上げられるのか、不育症との関係について整理しながら、プロテインS活性低値を指摘され、流産を経験した36歳の患者さまの妊娠例をご紹介します。
プロテインS活性が低いとは?
プロテインSは、血液が必要以上に固まることを防ぐ仕組みに関わっているタンパク質です。
プロテインSが不足したり、その働きが低下したりすると、血液が固まりやすくなることがあります。特に先天性のプロテインS欠乏症では、静脈血栓症との関連が知られています。
一方で、「プロテインS活性が低い=必ず病気」「必ず流産する」という意味ではありません。
妊娠中はプロテインSが生理的に低下することも知られているため、いつ測定した数値なのかも重要です。
プロテインS活性が低くなる原因
プロテインS活性が低くなる背景には、先天的なプロテインS欠乏症のほか、妊娠に伴う生理的な変化などがあります。
そのため、一度の検査結果だけを見て原因を判断するのではなく、検査を受けた時期や過去の流産・死産歴、血栓症の既往、家族歴、ほかの血液凝固に関する検査結果などを合わせて評価することが大切です。
プロテインS活性の基準値は?
「プロテインS活性は何%あれば正常ですか?」と気になる方も多いと思います。
しかし、プロテインS活性の基準範囲は検査方法や検査施設によって異なるため、すべての方に共通する一つの数値だけで正常・異常を判断することはできません。
まずは検査結果に記載されている基準範囲を確認し、その数値をどのように評価するのかを担当医に確認しましょう。
また、妊娠中はプロテインSが生理的に低下することが知られています。そのため、妊娠中に測定した値を非妊娠時と同じ基準で単純に比較できない場合があります。
ESHREの反復流産に関するガイドラインでも、妊娠中はプロテインSなど一部の血栓性素因に関する検査値の解釈が難しくなることが指摘されています。[3]
プロテインS活性を上げるには?食べ物で増やせる?
「プロテインS活性を上げるにはどうしたらいいですか?」「プロテインSを増やす食べ物はありますか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
現在のところ、特定の食品を食べることでプロテインS活性を確実に上げられるという食事療法は確立していません。
そのため、プロテインS活性が低いからといって、自己判断で特定の食品やサプリメントを大量に摂取することはおすすめできません。
妊娠前や妊娠中の健康維持という意味では、主食・主菜・副菜を組み合わせた偏りの少ない食事を基本に、適度な身体活動、禁煙、過度な飲酒を避けるなど、一般的な健康管理を続けることは大切です。
ただし、これらはプロテインS欠乏症そのものを治療する方法ではありません。
検査値が低かった場合は、「何を食べれば上がるか」を探すよりも、まず検査を受けた時期やこれまでの妊娠歴を含め、医師に結果を確認してもらうことが大切です。
プロテインS活性低値と不育症の関係
不育症とは、妊娠はするものの流産や死産などを繰り返す状態を指します。
プロテインS欠乏症と不育症との関係については研究が行われていますが、国内と海外で評価が完全に一致しているわけではありません。
日本の「不育症管理に関する提言2025」では、プロテインSおよび第XII因子について、エビデンスは限定的ではあるものの、不育症との関連が示唆される血栓性素因として「選択的検査」に位置づけています。[1]
日本で行われた多施設共同研究では、2回以上の流死産歴がある不育症患者のうち、プロテインS欠乏症が認められた割合は4.3%と報告されています。[2]
一方、ESHREやASRMなど海外のガイドラインでは、遺伝性血栓性素因と反復流産との関連については限定的としており、すべての不育症患者にプロテインSなどの検査を一律に行うことには慎重な立場が示されています。[3][4]
このように国内外で考え方に違いがあるため、「プロテインS活性が低かったから、それが流産の原因だった」と検査結果だけで自己判断することはできません。
不育症を専門とする産婦人科などで、これまでの妊娠歴やその他の検査結果を含めて評価してもらうことが大切です。
プロテインS活性が低い場合の治療は?
プロテインS活性が低かったからといって、すべての方に同じ治療が行われるわけではありません。
治療の必要性は、プロテインS活性の程度だけではなく、これまでの妊娠歴や血栓症の既往、家族歴、その他の血液凝固に関する検査結果などを含めて判断されます。
低用量アスピリンやヘパリンが検討されることがあります
日本の「不育症管理に関する提言2025」では、プロテインS欠乏症を伴う不育症について、既往歴や検査結果などを考慮しながら、低用量アスピリンやヘパリンなどの抗血小板・抗凝固療法が検討される場合があります。[1]
ただし、海外のガイドラインでは、遺伝性血栓性素因を理由として流産予防目的で抗凝固療法を一律に行うことについて、有効性を支持する十分なエビデンスはないとされています。[3][4]
国内外で考え方が異なる部分もあるため、どの治療が必要なのかは一人ひとり異なります。
低用量アスピリンやヘパリンを自己判断で開始・中止せず、必ず担当医の指示に従ってください。
36歳・プロテインS活性低値を指摘されたAさん
Aさんが当院へお越しになったのは2021年7月でした。
妊娠を希望されてから約4年が経過しており、不妊治療専門クリニックで体外受精に取り組まれていました。
これまで胚移植を繰り返し、妊娠反応が得られたものの流産も経験されていました。
クリニックでの検査では、プロテインS活性の低値を指摘されていました。
治療がなかなか思うように進まない中、「少しでも体調を整えて次の治療に臨みたい」と当院へご相談くださいました。
医療機関での治療を続けながら鍼灸を併用
Aさんには、不妊治療専門クリニックでの診療を継続していただきながら、当院ではその時々の体調を確認しながら鍼灸施術を行いました。
不育症やプロテインS活性低値に対する検査・投薬は医療機関で行われるものであり、鍼灸がその治療に代わるものではありません。
また、鍼灸によってプロテインS活性が上昇する、あるいは流産を予防できると断定できる医学的根拠は現在のところ確立していません。
当院では、妊活中や妊娠中の方が医療機関での治療を続けながら、身体の不調や緊張、不安などについて相談できる補完的なケアの一つとして鍼灸を行っています。
体外受精で妊娠、その後も妊娠を継続
その後、Aさんは体外受精で妊娠されました。
妊娠後も医療機関で定期的に診察を受けながら、当院にも体調管理を目的として通院されました。
これまで流産を経験されていたこともあり、妊娠初期は特に不安の大きい時期だったと思います。
診察で赤ちゃんの成長を確認しながら妊娠週数を重ねていかれ、妊娠を継続されました。
Aさん、このたびは本当におめでとうございます。
なお、この症例は一人の患者さまの経過をご紹介したものであり、鍼灸によってプロテインS活性が改善したことや、鍼灸によって妊娠・妊娠継続につながったことを示すものではありません。
「プロテインS活性が低い」と検査結果に書かれていると、その数字がとても気になり、「どうしたら上げられるの?」「また流産してしまうのでは?」と考えてしまう方もいらっしゃいます。
特に流産を経験されたあとの妊娠では、少しの体調変化にも敏感になり、次の診察までの時間がとても長く感じられることもあります。
プロテインS活性は、食事や生活習慣だけで単純にコントロールできるものではありません。まずは主治医と検査結果やこれまでの妊娠歴を整理し、必要な検査・治療について確認することを大切にしてください。
当院では医療機関での治療を優先しながら、妊活中や妊娠中の体調、不安について相談できる場所の一つでありたいと考えています。
Aさん妊娠お喜びの声
▢ お悩みの症状またはご来院当初の目的をお聞かせください
数年不妊治療がうまくいかず(流産2回、胚移植10回以上)、少しでも体調を整えたくて、来院しました。
▢ 鍼灸以外で妊娠(陽性反応)された方法に〇をつけてください
体外受精・顕微授精・SEET法・アシステッドハッチング
▢ ご自身で「これは良かった!」「自分に合っていた!」と思われた妊活があればお教えください
サプリメント・ランニング
▢ 鍼灸施術を受けていただいた感想をお聞かせください
毎回、親身に治療経過についてアドバイスをくださいました。自身の不妊治療に絶望感を感じている中での通院でしたので、実症例に基づいたご助言や施術は非常に勇気づけられました。
▢ 同じように悩まれている方へアドバイスに自身でやって良かったこと、若しくは続けることが出来たセルフ妊活など)やメッセージがあればお願いいたします。
「私は絶対に妊娠できない」と勝手に判断し、自暴自棄になっていた時期もありましたが、今はその事を反省しています。不妊治療は刻一刻と進歩し続けているようですので、固定観念に囚われず、治療を進めてみること、様々なことにトライしてみることが重要と考えます。


Q. プロテインS活性が低いと必ず流産するのでしょうか?
A. いいえ。プロテインS活性が低いという検査結果だけで、その後の妊娠経過が決まるわけではありません。検査時期やこれまでの妊娠歴、血栓症の既往、その他の検査結果などを含めて評価する必要があります。
Q. プロテインS活性を上げるにはどうしたらいいですか?
A. プロテインS活性を確実に上げるセルフケアは確立していません。まずは検査結果がどのような意味を持つのかを担当医に確認することが大切です。
Q. プロテインS活性を上げる食べ物はありますか?
A. 特定の食品を食べることでプロテインS活性が確実に上昇するという根拠は確立していません。特定の食品やサプリメントに偏らず、妊娠前・妊娠中に必要な栄養をバランスよく摂ることを基本にしましょう。
Q. 妊娠するとプロテインS活性は下がりますか?
A. 妊娠中はプロテインSが生理的に低下することが知られています。そのため、妊娠中の検査値は非妊娠時と単純に比較することが難しい場合があります。
Q. プロテインS活性が低ければアスピリンやヘパリンが必要ですか?
A. すべての方に必要というわけではありません。これまでの妊娠歴や血栓症歴、検査結果などを確認したうえで、医師が治療の必要性を判断します。自己判断で薬を開始したり中止したりしないようにしてください。
Q. 不育症でも鍼灸を受けることはできますか?
A. 体調や妊娠週数などを確認しながら施術を行うことは可能ですが、不育症に対する検査や治療は医療機関で受けることが基本です。当院では医療機関での治療を妨げないよう配慮しながら、補完的な体調管理として対応しています。
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📚参考文献
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[1] こども家庭庁「不育症管理に関する提言2025」
不育症におけるプロテインS欠乏症などの血栓性素因の検査・治療の考え方について参照。 -
[2] Morita K, et al. Risk Factors and Outcomes of Recurrent Pregnancy Loss in Japan. J Obstet Gynaecol Res. 2019;45(10):1997-2006.
日本の不育症患者を対象に、プロテインS欠乏症を含むリスク因子と妊娠転帰を調査した多施設共同研究。 -
[3] ESHRE Guideline: Recurrent Pregnancy Loss. Update 2022.
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[4] American Society for Reproductive Medicine. Recurrent pregnancy loss: a committee opinion. Fertil Steril. 2026;125:1023-1041.
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不育症や妊娠中の体調について相談したい方へ
流産を経験したあとの妊活や妊娠では、検査結果や少しの体調変化にも不安を感じることがあります。
プロテインS活性など不育症に関する検査・治療については、まず産婦人科などの医療機関で相談することが大切です。
そのうえで、「妊活中の体調を整えたい」「妊娠してから不安や身体の不調が続いている」「治療を続けながら鍼灸も取り入れたい」という方は、大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院も相談先の一つとしてご利用ください。
医療機関での治療内容や妊娠週数を確認しながら、一人ひとりの状態に合わせて無理のない施術をご提案しています。







