44歳(流産を乗り越え3年の妊活)PGT-Aクリア胚移植で出産
大阪からお越しのKさん(44歳)が妊娠・出産されました。
Kさんは低AMH(0.91)の状態から不妊治療を開始し、流産を経験された後も治療を継続。約1年半で採卵18回、PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)12回を受けながら妊活を続けられました。
仕事と不妊治療を両立しながら採卵・胚移植を重ね、最終的にはPGT-Aで正倍数性と判定された胚とモザイク胚を移植し、妊娠・出産に至った症例をご紹介します。
患者さん情報
来院の動機:不妊症
鍼灸の経験:あり(過去にスポーツ鍼灸の経験あり)
体調:良好
体質:肩こり、腰痛、冷え性、むくみやすい、発汗が多い、たまに動悸がある、リウマチ、背中の張り、胃痛(食後)。胃痛については、のちに逆流性食道炎と診断されました。
睡眠:平均6時間。就寝0時30分頃、起床6時30分頃。夢をよく見る。
月経:25~30日周期で比較的規則的。月経前にはほてり・むくみがあり、月経時には下腹部の刺すような痛みや腰痛がありました。経血は暗赤色で、血の塊が見られることもありました。
食生活:1日3食。外食は少なめ。夕食は21~22時頃。濃い味を好み、飲み物は水・お茶・コーヒー。喫煙なし。飲酒は週2~3回。
運動:筋トレ・ダンスを日常的に行う。
ご主人:42歳。乏精子症を指摘されていました。
服用されていた薬・サプリ:アダリムマブ皮下注、ビタミンD、葉酸、当帰芍薬散、ビフィズス菌。
妊活のために行っていたセルフケア:バランスのよい食事を意識する、身体を冷やさないようにする。
1年の不妊期間を経て体外受精へ
Kさんが初めて宇都宮鍼灸良導絡院にお越しになったのは、2022年9月です。
それまでに妊娠を希望されてから約1年が経過していました。
当時通われていた不妊治療専門クリニックでは、体外受精へステップアップされた段階でした。
クリニックでの検査では、AMH0.91と卵巣予備能の低下がみられたほか、ビタミンDや抗酸化力についても指摘を受けていたそうです。
これから始まる採卵・胚移植に向けて、治療と並行して体調を整えたいとのことで鍼灸をご希望されました。
クリニックの通院と仕事で忙しい日々
Kさんはお仕事が忙しく、不妊治療のための通院も重なる中で、胃痛、ガスが溜まる、首・肩・腰のこり、むくみ、冷えなどさまざまな不調を抱えていました。
胃の不調や首肩こりなどには、長時間のデスクワークや睡眠、生活リズム、ストレスなど複数の要因が関係することがあります。
当院では、その日の体調や自覚症状を確認しながら、首・肩・腰などの筋肉の緊張や全身の疲れに合わせて鍼灸を行いました。
施術中はクリニックでの治療のことだけでなく、お仕事や日常のお話なども伺い、治療期間中に少しでも気持ちを緩められる時間になるよう心がけました。
週に1回程度の鍼灸を続ける中で、Kさんからは「つらい箇所がスッキリして、目も楽になり視界が良く見えるようになった」「今回の月経は血の塊がなかった」などの感想をいただきました。
また、「自宅でもお灸をしてみたい」とのご希望があったため、その時の体調に合わせてご自身でお灸をしやすいツボに印をつけ、セルフケアの方法をお伝えしました。
初めての採卵・胚移植と陽性反応、その後の流産
クリニックでは、保険適用で初めての採卵周期がスタートしていました。
当院では、採卵期間中の体調管理を目的として、鍼灸とスーパーライザーPXを組み合わせながら施術を行いました。
当院の不妊鍼灸についての詳しい内容はこちらからご覧ください。
1回目の採卵・移植
1回目の採卵では7個の卵子が採れ、初期胚1個と胚盤胞2個(4BB)が凍結できました。
その後、SEET法を用いた胚移植へ進まれました。
移植周期もクリニックでの治療を優先しながら、その時々の体調に合わせて鍼灸を行いました。
移植後、BT12の判定は残念ながら陰性でした。
2回目の移植と採卵
2回目の移植では、自然周期での二段階移植を行いましたが、判定結果は再び陰性でした。
凍結胚がなくなったため、再び採卵へ進むことになりました。
Kさんは「良い卵が凍結できるように、大好きなサウナと岩盤浴も控えている」と話されるなど、次の採卵に向けて取り組んでおられました。
この採卵では、胚盤胞1個(3BA)を凍結することができました。
3回目の採卵後、初めての陽性反応
3回目の採卵では6個の卵子が採れ、5日目4BC・6日目4BBの胚盤胞2個が凍結できました。
3回目の移植では、ホルモン補充周期で胚盤胞2個移植を行いました。
BT11の判定では、初めて陽性反応が確認され、hCG値は179でした。
しかし、その後妊娠6週で流産となりました。
初めての陽性反応の後の流産は、Kさんにとって大きな出来事だったと思います。
その後の不妊治療について主治医に相談されたところ、引き続き採卵と胚移植を続ける方針を提案されたそうです。
当時Kさんは42歳でした。
流産を経験した後も治療を諦めず、保険適用で凍結していた胚が残っている状態で、別の医療機関へセカンドオピニオンを受けることを決められました。
転院後、1年以上続けた採卵とPGT-A
転院後は、自費診療での採卵が始まりました。
転院先についてKさんは、「以前のクリニックと違ってオーダーメイドな感じ。治療の説明もあって良い」と話されていました。
採卵の卵巣刺激法は、アンタゴニスト法や遅延法などを中心に、ホルモン値や卵胞の発育状況を確認しながら調整されていたそうです。
また、これまで受けたことのなかったPRP療法も受けられました。
PRP療法は、自身の血液から血小板を多く含む成分を取り出して利用する方法で、不妊治療領域でも研究されています。ただし、卵巣や子宮に対する有効性については現在も検討が続いている治療です。
転院後の採卵では、4AA・3AA・3BBなど複数の胚盤胞を凍結できる周期もあり、胚盤胞が得られた際にはPGT-Aへ提出されました。
一方で、胚盤胞を1個しか凍結できない周期もありました。
そのような時には「1個しか凍結できなくて気分が落ち込んだ。でも治療費を稼がないと」と話されることもありました。
仕事と妊活を両立する毎日の中で、首や肩、腰のつらさ、胃の不調、ガスが溜まるなどの症状が出ることも多く、その時々のお身体に合わせて施術を行いました。
採卵を続ける中では、「次で採卵を最後にするかも」と話されることもありました。
思うような結果にならない時には不安なお気持ちを話してくださることもあり、施術だけでなく、治療についてのお話を伺う時間も大切にしていました。
その後、凍結できる胚盤胞が4個、5個と増える周期もあり、「2024年から採卵成績が徐々に良くなって、調子がいい。自分に合う方法が見え始めている」と話されるようになりました。
採卵結果には、年齢、卵巣の状態、刺激方法など多くの要因が関係します。そのため、今回の変化を鍼灸のみの効果と判断することはできません。当院では、クリニックでの治療を基本としながら、その時々の体調に合わせて鍼灸やスーパーライザーPXによるサポートを続けました。
採卵18回・PGT-A12回|得られた胚盤胞は約24個
Kさんは約1年半の間に、採卵18回・PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)12回を受けられました。
採卵を続けるべきか悩む時期もありましたが、卵胞の発育が確認されると、主治医と相談しながら次の採卵へ進まれていました。
この期間に得られた胚盤胞は、合計で約24個でした。
PGT-Aの結果では、3AAと6CCの胚が正倍数性と判定され、そのほかにモザイク胚や初期胚も得られました。
PGT-Aの結果は胚グレードとは別の情報です
PGT-Aは、胚盤胞から一部の細胞を採取し、染色体数の状態を調べる検査です。
3AA・4BB・6CCなどの胚盤胞グレードは、主に胚の見た目や発育状態を評価したものです。一方、PGT-Aは染色体数に関する情報を調べるため、両者は異なる評価です。
そのため、見た目のグレードが高い胚でも染色体数に異常が認められることがあり、反対に形態評価だけでは染色体の状態を判断することはできません。
また、PGT-Aで正倍数性と判定された胚であっても、妊娠や出産が保証されるわけではありません。PGT-Aを行うかどうかや、モザイク胚を含む検査結果の解釈については、年齢やこれまでの治療歴、得られた胚の数などを踏まえ、主治医や必要に応じて遺伝カウンセリングで相談することが大切です。[1][2]
PGT-A後の胚移植で陽性反応、妊娠へ
その後、ホルモン補充周期で胚盤胞2個移植を行いました。
移植した胚は、3AAから融解後5AAとなった正倍数性胚と、5ABのモザイク胚でした。
移植後、陽性反応が確認されました。
今回は2個の胚を同時に移植しているため、妊娠に至った胚がどちらであったかを判断することはできません。
陽性判定後も、体調を確認しながらマタニティ鍼灸を継続されました。
妊娠経過を見守りながらマタニティ鍼灸を継続
妊娠後は、10週頃から赤ちゃんの首の後ろに気になる所見があり、リンゴ病などを心配される時期が続きました。
その後、18週頃にはむくみもほぼ見られなくなり、羊水検査でも異常は指摘されなかったとのことでした。
妊娠が進むにつれてお腹が大きくなり、胃の圧迫感や既往歴の逆流性食道炎、むくみ、首・肩・腰の不調などもみられたため、その時々の症状に合わせて施術を行いました。
妊娠30週には逆子と指摘され、逆子に対する鍼灸を受けられました。その後、頭位に戻ったと伺いました。
出産予定日が近づいた妊娠37週で鍼灸を卒業され、後日、無事に出産されたとのご報告をいただきました。
Kさん、本当におめでとうございます。
流産を経験しながらも、仕事と3年間の妊活を両立し、採卵や胚移植を続けてこられました。
長い治療期間を一緒に伴走させていただけたことを、スタッフ一同うれしく思っています。
これからご家族で穏やかな時間を過ごされることを願っています。
産後のお身体のことでお困りのことがありましたら、またいつでもご相談ください。
40代で採卵や胚移植を続けていると、治療結果だけでなく、仕事との両立、頻繁な通院、採卵結果を待つ時間など、心身への負担が大きくなることがあります。
特に採卵やPGT-Aを何度も繰り返していると、「いつまで続ければいいのだろう」「今回も結果が出なかったらどうしよう」と感じることもあると思います。
Kさんも治療を続ける中で迷ったり、不安な気持ちを話してくださったりすることがありました。
宇都宮鍼灸良導絡院では、PGT-Aや採卵・胚移植の結果を保証するものではありませんが、医療機関での治療を大切にしながら、治療期間中の肩こり・腰痛・冷え・疲労など、その時々の身体のお悩みを相談できる場所の一つでありたいと考えています。
Kさん(44歳)妊娠・出産お喜びの声
▢ お悩みの症状またはご来院当初の目的をお聞かせください
不妊治療
▢ 鍼灸以外で妊娠(陽性反応)された方法に〇をつけてください
体外受精(顕微授精)
▢ ご自身で「これは良かった!」「自分に合っていた!」と思われた妊活があればお教えください
自宅灸・レーザー・サプリメント
▢ 鍼灸施術を受けていただいた感想をお聞かせください
もともと鍼灸治療を受けていましたが、クリニックより不妊治療向けの鍼灸が良いと聞き、通いやすく評判が良かったため通いはじめました。
レーザーや電気は初めてでしたが、毎回体調等のヒアリングをもとに丁寧に調整いただき、肩コリ・腰痛・むくみといった全身の不調が改善します。
高齢で仕事も多忙なこともあり、妊娠までかなり苦戦しましたが、先生方から治療の情報提供や施術を工夫いただくなどオーダーメイドで対応いただけたこと、また治療中の不安や悩みの相談に乗っていただけたことで治療継続することができ、結果につながったように思います。
▢ 同じように悩まれている方へアドバイス(ご自身でやって良かったこと、若しくは続けることが出来たセルフ妊活など)やメッセージがあればお願いいたします。
仕事柄、帰宅も遅くストレスが多い中、心身ともに負担のかかる不妊治療を続けるのは辛かったですが、趣味のスポーツで汗をかいて気分転換でき、治療だけの生活にならなかったのが継続の一因となりました。
また自分自身ではどこのツボが効果的かわからないなか、毎回の通院時に印をつけてもらい、セルフお灸で冷え対策ができたことも良かったように思います。
※【免責事項】すべての方にあてはまるものではありません。効果の実感には個人差があります。
Q. 44歳でもPGT-Aで正常胚が見つかることはありますか?
A. あります。ただし、年齢が上がるにつれて染色体数に異常のある胚の割合は高くなる傾向があり、正常胚が得られるかどうかには個人差があります。今回の症例でも、複数回の採卵・PGT-Aを経て正倍数性と判定された胚が得られました。
Q. PGT-Aで正常胚なら、必ず妊娠できますか?
A. いいえ。PGT-Aで正倍数性と判定された胚であっても、妊娠や出産が保証されるわけではありません。胚の状態だけでなく、子宮内膜や移植条件、年齢、その他の要因も関係するため、検査結果は主治医と相談しながら判断することが大切です。
Q. 胚盤胞のグレードが良ければ、PGT-Aの結果も良いですか?
A. 必ずしも一致しません。3AA・4BBなどの胚盤胞グレードは主に見た目や発育状態を評価したもので、PGT-Aは染色体数の状態を調べる検査です。見た目のグレードが高くても染色体数に異常がみられることがあります。
Q. モザイク胚でも妊娠することはありますか?
A. モザイク胚から妊娠・出産に至るケースはありますが、モザイクの程度や染色体の種類などによって判断が異なります。移植を検討する場合は、主治医や遺伝カウンセリングで十分に説明を受けたうえで判断することが大切です。
Q. 採卵を何回続ければ正常胚が見つかりますか?
A. 「何回採卵すれば正常胚が得られる」と一律に決めることはできません。年齢、AMH、採卵できる卵子数、受精・胚盤胞到達率などによって大きく異なります。治療を続けるかどうかは、これまでの採卵結果や身体的・精神的・経済的な負担も含めて、主治医と相談しながら考えることが大切です。
Q. 採卵や胚移植を続けながら鍼灸を受けても大丈夫ですか?
A. 不妊治療中に鍼灸を併用される方はいらっしゃいますが、鍼灸によって採卵数やPGT-Aの結果、妊娠を保証できるものではありません。当院では、医療機関での治療を優先しながら、肩こり・腰痛・冷え・疲労など、その時々の体調に合わせて施術を行っています。
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📚参考文献
- [1] 日本産科婦人科学会「不妊症および不育症を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)に関する細則」
PGT-Aの対象や実施施設、検査前後の説明・遺伝カウンセリングなどについて示されています。 - [2] Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. The use of preimplantation genetic testing for aneuploidy: a committee opinion. Fertility and Sterility. 2024.
PGT-Aの有用性や限界、年齢や患者背景を踏まえた検査の考え方についてまとめられています。
40代で採卵・胚移植を続けている方へ
採卵や胚移植を繰り返していると、「今のまま治療を続けてよいのかな」「治療と一緒にできる体調管理はないかな」と感じることもあると思います。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、医療機関での不妊治療を大切にしながら、採卵・胚移植の時期や、その日の体調に合わせて鍼灸を行っています。
PGT-Aや採卵・胚移植の結果を保証するものではありませんが、「治療を続けながら身体のことも相談したい」「通院や仕事で疲れがたまっている」という場合は、相談先の一つとしてご利用ください🍀






