
摂食障害や低体重で生理が止まったときはどうする?妊活中の無月経と受診の目安
「体重が減ってから生理が来なくなった」「妊活を始めたいけれど、月経が止まったままで不安」と悩んでいませんか。
低体重や栄養不足によって月経が止まることは、身体が妊娠に向けて十分なエネルギーを確保できていないサインの一つです。単に「生理がないだけ」と考えず、原因を確認して身体全体の状態を整えることが大切です。
また、食事量を自分で増やそうと思っても、体重が増えることへの強い不安がある場合や、食べることをコントロールできない場合には、摂食障害が関係している可能性があります。本人の意思の弱さによるものではないため、一人で解決しようとせず、医療機関へ相談しましょう。
- 月経が3か月以上来ていない場合は、産婦人科を受診する目安になります
- 低体重だけでなく、急な減量、食事制限、過度な運動、ストレスでも無月経になることがあります
- 無月経の原因が、必ずしも体重減少だけとは限りません
- 妊活を進める前に、栄養状態や全身状態を確認することが大切です
- 食事や体重への強いこだわりがある場合は、摂食障害を専門とする医療機関との連携が必要です
低体重で生理が止まる「体重減少性無月経」とは
これまで月経があった方の生理が3か月以上来なくなった状態を、一般に「続発性無月経」といいます。
無月経には、妊娠、甲状腺の病気、高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群、早発卵巣不全、薬の影響など、さまざまな原因があります。そのなかで、体重の減少や栄養不足などが関係するものが「体重減少性無月経」です。
食事から得られるエネルギーが不足すると、身体は生命維持を優先し、生殖に関わる働きを一時的に抑えることがあります。その結果、脳から卵巣へのホルモンの指令が弱くなり、排卵や月経が起こりにくくなります。
このような状態は「機能性視床下部性無月経」と呼ばれることもあります。ただし、ほかの病気を除外したうえで診断されるため、体重が減ったという理由だけで自己判断することはできません。
BMIが18.5以上でも起こることがあります
BMI18.5未満は低体重を判断する目安の一つですが、無月経になるかどうかはBMIだけでは決まりません。
現在の体重が極端に少なくなくても、短期間で体重が減った場合、食事量に対して運動量が多い場合、精神的なストレスが続いている場合などには、身体がエネルギー不足と判断することがあります。
「まだそれほどやせていないから大丈夫」と考えず、月経周期の変化を身体からのサインとして受け止めることが大切です。
摂食障害が隠れていることもあります
食事制限や体重減少が続いている場合、背景に摂食障害が関係していることがあります。
摂食障害は、単なる好き嫌いやダイエットの延長ではありません。体重や体型、食事に対する不安やこだわりによって、健康を保つために必要な食事を取ることが難しくなる病気です。
次のような状態はありませんか?
- 体重が増えることに強い恐怖を感じる
- 食べ物やカロリーのことが一日中頭から離れない
- 炭水化物や脂質など、特定の食品を極端に避けている
- 食事を取った後に強い罪悪感がある
- 過食した後に吐く、下剤を使う、絶食するといった行動がある
- 体調が悪くても運動を休めない
- 周囲からやせていると言われても、自分では太っていると感じる
- 体重の増減によって気分が大きく左右される
これらに当てはまるからといって、直ちに摂食障害と決まるわけではありません。しかし、食事や体重への考えが日常生活に大きな影響を与えている場合は、心療内科、精神科、摂食障害を専門とする医療機関などへ相談することをおすすめします。
摂食障害は「食べれば解決する」「本人がその気になれば治る」というものではありません。栄養状態だけでなく、不安やこだわりなどの心理面も含めた専門的な支援が必要です。
生理が止まったときの受診目安
日本産婦人科医会では、ダイエット後などに月経が3か月以上止まった場合は、放置せず産婦人科を受診するよう案内しています。
3か月を待たずに相談したいケース
次のような場合は、月経が止まってから3か月未満でも、早めに婦人科やかかりつけ医へ相談しましょう。
- 妊娠を希望している
- 短期間で体重が大きく減った
- 食事量が極端に少なくなっている
- 立ちくらみ、めまい、動悸、強い疲労感がある
- 冷えや便秘、抜け毛などの体調変化がある
- 嘔吐や下剤・利尿剤の使用がある
- 激しい運動を続けている
- 骨折や疲労骨折を繰り返している
- 食べることや体重への不安が強い
失神、意識がもうろうとする、胸の痛み、強い動悸、水分も取れないといった症状がある場合は、通常の予約を待たず、早急に医療機関へ相談してください。極端な低栄養では、徐脈、低血圧、電解質異常などを伴うことがあります。
産婦人科ではどのような検査をする?
月経が止まっている場合、まず妊娠の可能性を確認します。そのうえで、月経が止まった時期、体重の変化、食事内容、運動量、ストレス、服用している薬などを確認します。
医療機関や症状によって異なりますが、次のような検査が検討されます。
- 妊娠反応の確認
- 身長、体重、血圧、脈拍などの測定
- 貧血や栄養状態、電解質などを調べる血液検査
- FSH、LH、エストラジオールなどの女性ホルモン検査
- 甲状腺ホルモンやプロラクチンの検査
- 子宮や卵巣を確認する超音波検査
無月経が長期間続いている場合や、栄養不足が強く疑われる場合には、骨密度の確認が検討されることもあります。女性ホルモンが少ない状態が続くと、骨量の維持に影響する可能性があるためです。
低体重による無月経はどう治療する?
体重減少やエネルギー不足が原因と考えられる場合、治療の中心は、食事から取るエネルギーと運動などで消費するエネルギーのバランスを回復させることです。
具体的には、栄養摂取量を増やす、食事内容を整える、過度な運動を減らす、睡眠や休養を確保するといった対応が行われます。月経機能の回復には、体重の増加が必要になることもあります。
ただし、自己流で急に大量の食事を取ることが適切とは限りません。著しい低栄養状態では、栄養の取り方に医学的な管理が必要になる場合があります。医師や管理栄養士などと相談しながら、安全に進めることが大切です。
薬で出血が起これば治ったことになる?
ホルモン剤によって出血が起こっても、身体が自力で排卵し、自然な月経周期を取り戻したとは限りません。
特に低体重や栄養不足が続いている場合は、薬で出血を起こすことだけでは根本的なエネルギー不足が解消されません。ホルモン治療が必要かどうかは、無月経の原因、栄養状態、骨の健康、妊娠希望などを踏まえて医師が判断します。
妊活はいつから進めればよい?
月経が止まっていると、排卵も起こっていない可能性があります。そのため、妊娠を希望している場合は、まず婦人科で現在の排卵状態や無月経の原因を確認することが大切です。
極端な低体重や低栄養状態のまま妊娠を目指すことは、本人の身体への負担だけでなく、妊娠経過に影響する可能性もあります。すぐに排卵誘発を行うのではなく、まず栄養状態や全身状態の回復を優先する場合があります。
全身状態が安定し、妊娠に向けた準備が整っても自然な排卵が戻らない場合には、不妊検査を行ったうえで排卵誘発などが検討されます。治療を始める時期は、体重の数字だけではなく、血液検査、月経、食事の状態、心身の安定などを総合して判断します。
自分でできること
無月経を改善しようとして、特定の食材やサプリメントだけに頼るのではなく、まず現在の生活全体を見直しましょう。
- 減量目的の食事制限をいったん中止する
- 主食、主菜、副菜を極端に避けない
- 炭水化物、たんぱく質、脂質をバランスよく取る
- 空腹を我慢し続けない
- 激しい運動や長時間の運動を見直す
- 十分な睡眠と休養を取る
- 月経周期や体調の変化を記録する
- 一人で抱え込まず、家族や信頼できる人に相談する
ただし、体重や食事を考えること自体がつらい場合は、無理に自己管理を強めないでください。「自分で何とかしなければ」と思うほど、食事や体重へのこだわりが強くなることもあります。専門家の力を借りることも、回復のための大切な選択肢です。
妊活中は「身体を冷やしてはいけない」「もっと運動しなければ」と頑張りすぎてしまう方もいらっしゃいます。しかし、冷えの感じ方や月経周期、睡眠、ストレス、食事量、運動量は一人ひとり異なります。腹巻きや入浴、運動なども、無理に続けるのではなく、心地よく休める範囲で取り入れることをおすすめしています。
当院では、良導絡測定による自律神経の傾向や、東洋医学的な体質の見方も参考にしながら、現在の体調を整理します。ただし、生理が3か月以上来ていない場合や、急な体重減少、強い疲労感、めまい、動悸などがある場合は、鍼灸より先に婦人科や医療機関へ相談していただくようお伝えしています。
体重を増やせば、必ず生理は戻りますか?
体重や栄養状態の回復によって月経が再開する可能性はありますが、必要な体重や回復までの期間には個人差があります。また、無月経に別の原因が隠れていることもあるため、婦人科で確認することが大切です。
生理がなくても妊娠する可能性はありますか?
月経がなくても、月経再開前に排卵が起こり、妊娠する可能性はあります。妊娠を希望していない場合は、無月経だから妊娠しないと判断せず、避妊について医師に相談してください。
妊活中なので、すぐ排卵誘発を受けた方がよいですか?
低体重や低栄養がある場合は、排卵誘発より先に全身状態の回復が必要になることがあります。治療開始の時期は、婦人科や不妊治療クリニックで相談しましょう。
摂食障害か分からなくても相談してよいですか?
診断がついていない段階でも相談できます。食事や体重のことが頭から離れない、食べることに強い不安がある、嘔吐や過度な運動をやめられないといった場合は、早めに専門機関へ相談してください。
まとめ
低体重や栄養不足によって生理が止まることは、身体が妊娠や月経に必要なエネルギーを確保できていないサインの一つです。
月経が3か月以上来ていない場合は、体重だけを自己判断で増減させるのではなく、まず産婦人科を受診しましょう。妊娠、甲状腺の病気、ホルモン異常など、ほかの原因を確認する必要があります。
食事や体重への強い不安やこだわりがある場合は、摂食障害が関係している可能性もあります。これは意思の弱さによるものではありません。婦人科、心療内科、精神科、内科、管理栄養士などの支援を受けながら、身体と心の両方を整えていくことが大切です。
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📚参考文献
- 日本産科婦人科学会「体重減少性無月経および摂食障害に関して」:体重減少性無月経、妊娠・出産や将来への影響、摂食障害についての患者向け資料。
- 日本産婦人科医会「ダイエットしたら月経が来なくなりました。どうしたらよいですか?」:3か月以上の無月経における受診の目安。
- American Society for Reproductive Medicine「Current evaluation of amenorrhea: a committee opinion(2024)」:無月経の鑑別、検査および評価方法。
- Endocrine Society「Functional Hypothalamic Amenorrhea: Clinical Practice Guideline」:機能性視床下部性無月経の診断、栄養・運動・心理面への対応。
- 摂食障害全国支援センター「摂食障害情報ポータルサイト」:摂食障害のサイン、治療、相談先に関する一般向け情報。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
妊活中の無月経や体調の変化が気になる方へ
生理が止まっている場合や、急な体重減少、食事への不安がある場合は、まず婦人科や専門の医療機関で原因や全身状態を確認することが大切です。
そのうえで、冷えや睡眠の乱れ、胃腸の不調、緊張しやすさなど、妊活中に重なりやすい身体のつらさについて相談したい方は、大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院へご相談ください。
医療機関での検査や治療を大切にしながら、現在の体調や生活状況を伺い、一人ひとりに合わせた無理のないサポートをご提案しています。「鍼灸を受けてもよい状態か分からない」という段階でも、気になることがあればお気軽にお問い合わせください🍀








当院では、「食事量を増やした方がよいと分かっていても、体重が増えるのが怖い」「妊活のために運動や食事管理を頑張りすぎて、生理が止まってしまった」といったご相談を受けることがあります。低体重や無月経がある場合は、まず婦人科でホルモンや卵巣の状態を確認し、必要に応じて内科、心療内科、精神科、管理栄養士などの支援につなげることが大切です。
鍼灸は、摂食障害や無月経そのものを単独で治療するものではありません。当院では医療機関での検査や治療を優先しながら、睡眠の浅さ、胃腸の不調、首肩の緊張、冷えを感じやすいといった、妊活中に重なりやすい身体のつらさも確認しています。