
不妊治療を会社にどう伝える?職場への伝え方と仕事を続けるためのポイント
不妊治療を受けながら仕事を続けていると、「急な通院を、上司にどう伝えたらいいの?」「職場にどこまで話すべき?」「迷惑をかけていると思われないかな…」と悩むことがあります。
不妊治療は、通院日が直前に決まることもあり、仕事の予定と調整しづらい治療です。採卵や移植の周期では、体調面だけでなく、精神的な負担も大きくなりやすいため、「仕事と治療の両立がつらい」と感じるのは決して珍しいことではありません。
厚生労働省の資料でも、不妊治療と仕事の両立ができずに、離職・雇用形態の変更・治療の中止を経験した人は26.1%とされています。つまり、4人に1人以上が両立の難しさを感じているということです。
この記事では、不妊治療を会社に伝えるときの考え方、職場に伝える範囲、使える制度、実際に使える伝え方の例文をわかりやすくまとめます。
- 不妊治療を会社に伝えるかどうかは本人の自由であり、治療内容を詳しく話す必要はありません。
- 急な通院や半休が必要になる場合は、業務調整に必要な範囲だけを伝えると、職場とのすれ違いを減らしやすくなります。
- 職場に伝えるときは、「通院日が直前に決まることがある」「必要な休暇の目安」「業務への対応方法」を具体的に伝えることが大切です。
- 厚生労働省の「不妊治療連絡カード」や、時間単位の有給休暇・時差出勤・テレワークなどの制度を活用できる場合があります。
- 不妊治療と仕事の両立では、スケジュール調整だけでなく、睡眠・冷え・肩こり・ストレスなど心身のケアも大切です。


目次
不妊治療を会社に伝えるべき?まず知っておきたい考え方
不妊治療をしていることを、必ず会社に伝えなければならないわけではありません。
不妊治療はとてもプライベートな内容です。治療内容や検査結果、夫婦の事情まで細かく話す必要はありません。
ただし、通院のために急な休みや遅刻・早退が必要になる場合は、業務調整に必要な範囲だけを伝えておくことで、職場とのすれ違いを減らしやすくなります。
大切なのは、「治療の詳細」ではなく「仕事上どのような配慮が必要か」を伝えることです。
たとえば、次のような内容です。
- 通院日が直前に決まることがある
- 午前中だけ、または数時間の休みが必要になることがある
- 周期によって通院回数が増えることがある
- 事前に分かる範囲では早めに共有する
- 業務の引き継ぎや対応可能時間をあわせて伝える
職場に伝える目的は、理解してもらうことだけではなく、治療を続けながら仕事も継続しやすい環境を整えることです。
不妊治療と仕事の両立が難しい理由
不妊治療と仕事の両立が難しい理由は、単に「通院が多いから」だけではありません。
厚生労働省の資料では、両立が難しい理由として、通院にかかる時間が読めないこと、医師から指定された通院日に外せない仕事が入ること、精神面・体力面の負担が大きいことなどが挙げられています。
特に体外受精や顕微授精では、卵胞の育ち具合やホルモン値によって、診察日や採卵日が直前に決まることがあります。
そのため、仕事側から見ると「急な予定変更」に見えてしまうことがありますが、治療を受ける側にとっては、医師の判断に合わせて動かざるを得ない場面も少なくありません。
このズレを少しでも減らすために、職場には「不妊治療は通院日が直前に決まることがある治療である」と伝えておくことが大切です。
会社にどこまで伝える?伝える範囲は最小限で大丈夫
職場に伝えるときは、すべてを話そうとしなくて大丈夫です。
伝える内容は、次の3つに絞ると整理しやすくなります。
1. 医療上、通院日が直前に決まることがある
まず伝えたいのは、「自分の都合で急に休んでいるわけではない」という点です。
不妊治療では、診察や検査結果によって次の通院日が決まることがあります。そのため、前もってすべての予定を確定できない場合があります。
2. 必要な配慮を具体的に伝える
「配慮してください」だけでは、職場側もどう対応してよいか分かりにくくなります。
たとえば、「月に数回、午前中に通院が必要になる可能性があります」「通院日は前日夕方に確定することがあります」「採卵や移植の前後は半休をお願いする可能性があります」というように、できるだけ具体的に伝えると調整しやすくなります。
3. 業務への対応方法も一緒に伝える
職場に相談するときは、業務への影響を少なくするための工夫も一緒に伝えると安心感につながります。
たとえば、「前日までに必要な業務は共有します」「不在時の対応は〇〇さんに引き継ぎます」「在宅勤務の日は〇時〜〇時まで連絡可能です」といった形です。
「休ませてください」だけでなく、「このように調整したいです」と伝えることで、相談が前向きに進みやすくなります。
不妊治療を職場に伝えるときの例文
実際に使いやすいように、上司や人事に伝える例文をまとめます。
上司に最初に相談するとき
現在、医師のもとで不妊治療を受けております。治療の性質上、診察結果によって通院日が直前に決まることがあり、月に数回、遅刻・早退・半休をお願いする可能性があります。
業務にできるだけ支障が出ないよう、分かり次第早めに共有し、必要な引き継ぎも行います。今後の働き方について、一度ご相談させていただけますでしょうか。
治療内容を詳しく話したくないとき
詳しい治療内容については個人的な事情もあるため、必要最小限の共有にさせていただければと思っております。
ただ、通院日が直前に決まることがあるため、勤務時間や休暇取得についてご相談させてください。
急な通院が決まったとき
明日、医師の指示により通院が必要となりました。
急なご連絡となり申し訳ありませんが、午前中に半休をいただくことは可能でしょうか。本日中に必要な業務は整理し、引き継ぎ内容を共有いたします。
人事に制度を確認したいとき
現在、不妊治療を受けており、通院のために休暇や勤務時間の調整が必要になる可能性があります。
社内で利用できる制度や、時間単位の有給休暇、時差出勤、在宅勤務などの運用について確認させていただけますでしょうか。
厚生労働省の「不妊治療連絡カード」も活用できる
口頭で伝えるのが難しい場合は、厚生労働省が公開している「不妊治療連絡カード」を活用する方法もあります。
不妊治療連絡カードは、不妊治療を受けている従業員と企業をつなぐためのツールとして用意されており、治療中であることや必要な配慮を職場に伝える際に使うことができます。
このカードを使うことで、治療の詳細を必要以上に説明せずに、職場に必要な情報を整理して伝えやすくなります。
使える可能性がある職場制度
会社によって制度の有無や名称は異なりますが、不妊治療と仕事を両立するために、次のような制度が使える場合があります。
- 時間単位・半日単位の有給休暇
- 時差出勤
- フレックスタイム制
- 短時間勤務
- テレワーク
- 所定外労働の制限
- 休職制度
- 不妊治療のための独自休暇
厚生労働省は、不妊治療と仕事の両立に取り組む企業を評価する「くるみんプラス」などの認定制度を設けています。この認定では、不妊治療のための休暇制度や、時差出勤・フレックスタイム制・短時間勤務・テレワークなどの制度整備が基準に含まれています。
また、中小企業向けには、不妊治療や女性の健康課題に対応する休暇制度などを利用しやすくする環境整備を支援する助成金も用意されています。
まずは、就業規則や社内制度を確認し、人事や上司に「どの制度が使えるか」を相談してみるとよいでしょう。
職場に伝えるときに気をつけたいこと
不妊治療を会社に伝えるときは、次の点を意識すると、相手にも伝わりやすくなります。
感情だけでなく、業務調整の話として伝える
もちろん、不妊治療中は不安やつらさが大きくなることがあります。
ただ、職場に相談するときは、まず「業務上どのような調整が必要か」を中心に伝えると、相手も対応しやすくなります。
誰に伝えるかを慎重に選ぶ
直属の上司、人事担当者、信頼できる管理職など、まずは必要最小限の人に相談するのがおすすめです。
同僚全員に伝える必要はありません。
伝える内容を事前にメモしておく
緊張すると、言いたいことがうまく伝えられないことがあります。
事前に、次の内容をメモしておくと安心です。
- 現在治療を受けていること
- 通院日が直前に決まる可能性があること
- 必要な配慮
- 業務への対応方法
不妊治療中は心身の負担も軽視しない
不妊治療は、身体だけでなく心にも負担がかかりやすい治療です。
通院、検査、薬の使用、採卵や移植の結果待ち、仕事との調整などが重なることで、不安やストレスが強くなることがあります。
厚生労働省の資料でも、仕事との両立が難しい理由として、精神面での負担や体調・体力面での負担が挙げられています。
そのため、不妊治療と仕事の両立では、スケジュール調整だけでなく、心身のケアも大切です。
睡眠の質、肩こり、頭痛、冷え、胃腸の不調、疲労感などが続くと、仕事のパフォーマンスにも影響しやすくなります。つらい状態を我慢し続けるのではなく、早めに相談できる場所を持っておくことも大切です。
鍼灸は「治療を続けるための心身のサポート」として考える
不妊治療における鍼灸の妊娠率への効果については、研究によって結果に違いがあり、「必ず妊娠率が上がる」と断定することはできません。
一方で、鍼灸は薬を使わない補助療法として、不妊治療中のストレスや痛み、不安などの負担軽減に役立つ可能性が報告されています。
そのため、鍼灸は「不妊治療の代わり」ではなく、医師の治療を主軸にしながら、仕事や治療を続けるための心身の土台を整える補助的なケアとして考えるのが現実的です。
会社に伝えるか迷っている方へ
不妊治療を職場に伝えることは、とても勇気がいることです。
「理解してもらえなかったらどうしよう」「評価に影響しないかな」「迷惑だと思われたらつらい」そう感じるのは自然なことです。
ただ、不妊治療は、予定を自分だけでコントロールしにくい医療です。無理を重ねてしまうと、仕事も治療も続けることが苦しくなることがあります。
まずは、すべてを話すのではなく、業務調整に必要なことだけを、信頼できる相手に伝えるところから始めてみてください。
治療内容を詳しく説明しなくても、「通院日が直前に決まることがある」「半休や時間休が必要になる可能性がある」「業務への影響を減らすために、事前共有や引き継ぎを行う」という形で伝えることはできます。
一人で抱え込まなくても大丈夫です。
仕事も、不妊治療も、あなたの人生にとって大切なものです。今ある制度やサポートを上手に使いながら、無理の少ない形を探していきましょう。
不妊治療をしていることは、会社に必ず伝えないといけませんか?
必ず伝えなければならないわけではありません。不妊治療はとてもプライベートな内容のため、治療内容や検査結果まで詳しく話す必要はありません。ただし、通院のために急な休みや遅刻・早退が必要になる場合は、業務調整に必要な範囲だけを伝えておくと、職場とのすれ違いを減らしやすくなります。
職場にはどこまで伝えればよいですか?
伝える内容は、治療の詳細ではなく、仕事に関わる部分だけで大丈夫です。たとえば、「通院日が直前に決まることがある」「月に数回、半休や時間休が必要になる可能性がある」「分かり次第早めに共有し、業務の引き継ぎを行う」といった内容を伝えるとよいでしょう。
上司に言いにくい場合はどうすればよいですか?
まずは、信頼できる上司や人事担当者など、必要最小限の相手に相談する方法があります。口頭で伝えるのが不安な場合は、事前に伝えたい内容をメモしておくと安心です。また、厚生労働省の「不妊治療連絡カード」を活用すると、必要な情報を整理して伝えやすくなります。
急に通院が決まったときは、どう伝えるとよいですか?
急な通院が決まった場合は、できるだけ早めに連絡し、必要な休暇の時間と業務への対応方法をあわせて伝えるとよいでしょう。たとえば、「明日、医師の指示により通院が必要となりました。午前中に半休をいただくことは可能でしょうか。本日中に必要な業務は整理し、引き継ぎ内容を共有いたします」という形です。
不妊治療と仕事の両立がつらいときは、どうすればよいですか?
不妊治療中は、通院や仕事の調整だけでなく、結果待ちの不安や体調の変化などで心身に負担がかかりやすくなります。無理に一人で抱え込まず、職場の制度、医療機関、カウンセリング、鍼灸などのサポートを必要に応じて活用しましょう。仕事も治療も続けるためには、心身の負担を軽くすることも大切です。
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📚参考文献
- 厚生労働省「不妊治療と仕事との両立のために」
- 厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」
- 厚生労働省「不妊治療連絡カード」
- Imai Y, et al. Risk factors for resignation from work after starting infertility treatment among Japanese women: Japan-FEMA study. Occupational and Environmental Medicine. 2021.
- WHO. 1 in 6 people globally affected by infertility. 2023.
- Quan K, et al. Acupuncture as Treatment for Female Infertility: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. 2022.
- Fu QW, et al. Acupuncture for women undergoing in vitro fertilization. 2025.
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
不妊治療と仕事の両立で、心身の負担を感じている方へ
不妊治療を続けながら仕事をする中で、急な通院やスケジュール調整、結果を待つ不安、体調の変化などに悩まれる方は少なくありません。
「会社にどう伝えたらいいかわからない」「仕事を休みにくい」「治療を続けたいけれど、心身の疲れがたまっている」と感じている場合は、一人で抱え込まないことも大切です。
宇都宮鍼灸良導絡院では、不妊治療を受けている方の体調や治療スケジュールに配慮しながら、冷え、肩こり、睡眠の乱れ、ストレス、自律神経の不調など、治療と仕事の両立を妨げやすい不調を整えるサポートを行っています。
医師の治療方針を大切にしながら、無理なく治療を続けられる身体づくりを一緒に考えていきます。
不妊治療と仕事の両立に不安がある方は、まずはお気軽にご相談ください🍀







