2025年04月の投稿記事
妊娠とヘアカラーの関係【美容師の方が知っておきたいリスクと対策】
美容師の方へのリスクと対策について
妊娠中のヘアカラーは大丈夫?安全性と注意点を解説!の続きです。
妊娠中に髪を染めたりパーマをかけることについての安全性は、多くの妊婦さんが気にする重要なテーマです。このブログでは、最新の研究を基に、妊娠中のヘアカラーやパーマのリスクについて解説します。
美容師として働いている方も、妊娠中のヘアカラーやパーマの取り扱いについて不安を抱えることがあるかもしれません。「J Occupational Med Toxicol 2010; 5: 24」の論文によると、美容師の妊孕性(妊娠する力)や妊娠中のリスク、さらには胎児の健康への影響についても調査されており、いくつかのリスクが示唆されています。最近の研究でも、美容師が日常的に化学薬品に触れることが妊娠や胎児への影響を及ぼす可能性があることが確認されています。
- 妊孕性のリスク増加
不妊症や生理不順のリスクが増加する可能性がある。 - 妊娠中の異常
低体重児、流産、早産、周産期死亡などのリスクが高まる可能性。 - 胎児の異常
父親が美容師の場合に腎臓がんのリスク、母親が美容師の場合に神経芽細胞腫や口唇裂・口蓋裂、小児発達障害、尿道下裂のリスク増加が見られる。
このようなリスクがあるため、美容師の方は仕事中に化学薬品に対してできる限りの防護策をとることが重要です。マスクや手袋を着用し、換気を十分に行うことで、化学薬品への暴露を減らすことができます。
美容師が取るべき防護策
- 防護具の使用
マスクや手袋を使用して、皮膚や呼吸器への化学薬品の暴露を最小限に抑えましょう。 - 換気を良くする
サロン内の換気を十分に行うことで、化学薬品の揮発性物質の吸入を減らすことができます。 - 化学薬品の取り扱いを慎重に行う
化学薬品を使用する際には、適切な取り扱い方法を遵守し、できる限りの安全対策を講じることが大切です。
まとめ
美容師として働く方々は、化学薬品を日常的に扱うため、妊娠中のリスクや妊孕性に影響を与える可能性があることを理解しておくことが重要です。防護具の使用や換気など、適切な対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることができます。安全な作業環境を作り、自身の健康を守りながら働きましょう。
参考文献
J Occupational Med Toxicol 2010; 5: 24
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妊娠中のヘアカラーは大丈夫?安全性と注意点を解説!
妊娠中に髪を染めたりパーマをかけることについての安全性は、多くの妊婦さんが気にする重要なテーマです。このブログでは、最新の研究を基に、妊娠中のヘアカラーやパーマのリスクについて解説します。
妊娠中のヘアカラーやパーマの安全性
「J Occupational Med Toxicol 2010; 5: 24」の論文によると、妊娠中にヘアカラーをすることは一般的には大きなリスクを伴わないとされています。しかし、ヘアカラーやパーマには化学薬品が含まれているため、妊娠中の使用に関してはいくつかの注意が必要です。
まず、染毛剤にはさまざまな種類があり、それによって安全性も異なります。一時染毛剤(ヘアカラー、ヘアリンス、ヘアマニキュア、カラートリートメントなど)については、比較的安全であると考えられていますが、タール系色素を除けばアレルギーや皮膚炎を引き起こす可能性はあります。
一方、永久染毛剤では、特に酸化型染毛剤(ヘアカラー、ヘアブリーチなど)に含まれるアミノフェノール類やフェニレンジアミン類には強いアレルギー反応や生殖細胞毒性のリスクがあることが動物実験で示されています。
最近では、より低刺激で髪や頭皮に優しいカラートリートメントなどの製品も増えており、これらの使用が推奨されることもあります。これらを使用する際には、リスクについて十分に理解し、慎重に判断することが求められます。パーマ液についても同様に、化学反応を利用した製品であり、生殖細胞毒性や発癌性に関する明確なデータはないため、安全性が完全に確立されているわけではありません。
最新の妊娠中や妊活中のヘアカラー情報
最近の研究(例:2022年に発表された欧州産科婦人科学会のガイドライン)や医療ガイドラインでは、妊娠中にヘアカラーを行うことについてのリスクは非常に低いとされていますが、いくつかの新しい知見もあります。特に妊活中の女性にとって、化学物質への暴露はできる限り避けるべきであるとされています。
植物由来や低刺激の製品が推奨される
ヘナや植物性のヘアカラーなど、化学物質が少ない製品の使用が推奨されています。これにより、化学的な刺激を最小限に抑えることができます。
パッチテストを行う
妊娠中はホルモンバランスの変化により、皮膚が敏感になることがあります。使用前には必ずパッチテストを行い、皮膚反応を確認することが重要です。
妊娠中期以降に使用する
妊娠初期は胎児の器官が形成される重要な時期であるため、化学物質への暴露を避けることが推奨されます。妊娠中期以降(13週目以降)にヘアカラーを行う方がより安全とされています。
これらの新しい知見を踏まえて、妊娠中のヘアカラーは慎重に行い、必要に応じて医師に相談することが推奨されます。
妊娠中に注意するポイント
妊娠中にヘアカラーやパーマを行う際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 妊娠初期を避ける
妊娠初期(特に12週まで)は胎児の器官形成期なので、この時期の化学物質への暴露はできるだけ避けることが望ましいです。 - 通気の良い場所で行う
施術は必ず換気が良い場所で行い、化学薬品の吸入を避けるようにしましょう。 - 自然由来の製品を選ぶ
植物由来のヘアカラーなど、刺激の少ない製品を選ぶことが推奨されます。
まとめ
妊娠中にヘアカラーやパーマをすることについて、確定的なリスクは明確にされていませんが、化学薬品を扱う際には注意が必要です。最新の情報によれば、植物由来の製品の利用や妊娠中期以降の使用がより安全とされています。どの染毛剤やパーマ液を使用するかについても、慎重に検討し、安全な選択を心がけましょう。
参考文献
J Occupational Med Toxicol 2010; 5: 24
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GWの営業について
【ゴールデンウィーク期間中の営業について】
いつも当院をご利用いただき、誠にありがとうございます。
ゴールデンウィーク期間中も、通常通り営業しております(木曜日は定休日となります)。
なお、祝日は土日と同じ営業時間となりますので、ご注意ください。
ご予約が混み合う時期となりますので、お早めのご予約をおすすめいたします。
皆さまのご来院を心よりお待ちしております。
33歳 1人目に続いて2人目妊活も鍼灸とタイミング法で妊娠
大阪市からお越しのMさん(33歳)が妊娠されました。
患者情報
- 来院の動機:体質の改善、不妊症
- 鍼灸の経験:あり(1人目妊活の時、当院で鍼灸を受けて妊娠・出産。今回も2人目妊活で来院。)
- 体調:良好
- 体質:肩こり、冷え性、むくみ
- 睡眠:23時~6時(平均7時間)
- 生理:順調で25~30日で規則的、生理痛・PMSはなし。経血の色は赤色。
- 食生活:1日3食、食の趣向は甘いものを好む。飲み物はお茶、ジュース(1日3杯ほど)、お酒とたばこはなし。
- 運動:あまりしない(子育てで時間が確保しにくい)
- 入浴:全身浴
- 現在服用している薬・サプリメント:エタネルセプト(1人目産後から関節リウマチを発症)、葉酸(ドリンクタイプ)。
- ご主人は31歳。男性不妊の原因は不明。(検査を受けたことがない)
- ご自身で行っているセルフ妊活は、自宅でお灸をする。(火を使わないタイプ)
当院にお越しになるまでの経緯
Mさんは、以前1人目妊活の際にも当院で鍼灸を受けられてれ、自然妊娠されました。出産から1年が経過し、今回も2人目妊活のために再びお越しになりました。
現在はクリニックへの通院はされておらず、自己流タイミングを続けているとのことでした。過去の検査では左側卵巣嚢腫(3.5cm)があり、経過観察中です。鍼灸による体質改善と自然妊娠をご希望でした。
不妊鍼灸を始めてから、妊娠に至るまで
鍼灸は、肩こり・腰痛・便秘などその日の体調に応じた施術に加え、タイミングで妊活されているので卵巣の血流を促進し、質の良い卵子が育つように目指す施術を毎回行いました。
当院は、卵巣や子宮の生殖機能の向上だけでなく、体のさまざまな不定愁訴(心身の不調)にも徹底して施術をしています。心と身体が健康な状態は妊娠しやすいシステムがはたらきやすくなります。しかし、実際には、妊活中の方の多くが、心と体の不調を抱えていることがあります。これは、妊娠しやすいシステムがうまくはたらいていないということが考えられます。
なぜなら、人間の体は「ホメオスタシス(生体恒常性維持)」によって健康を保っています。これは、自律神経(交感神経と副交感神経)、内分泌系(女性ホルモンなど)、免疫系(細菌・ウィルスから体を守る)などがバランスよくはたらいている状態が健康と呼ばれます。このホメオスタシスは、さらに多様な器官や内臓など全身に複雑に関連して生命を維持しています。
人間は体のどこかの機能が低下しホメオスタシスが乱れると、その機能低下を回復させ、健康な状態に戻そうとするため、その代償として最初に「生殖能力活動」を低下させる若しくは止めてしまい、妊娠しづらい状態になると考えられています。
そのため当院では、卵巣・子宮の血流促進を図り、卵胞の発育促進や薄かった内膜が厚く成長できるよう目指して鍼灸施術を行っています。また、スーパーライザー(直線偏光近赤外線)を使用し、過緊張をおこしている交感神経を正常な状態に調整し、卵巣の血流をより良い状態に目指します。
不妊鍼灸では、卵巣・子宮や自律神経が注目されがちですが、実際には全身の器官が複雑に連携しているため、体全体の健康状態も同時に整えるようアプローチしています。そのため、首肩こり、頭痛、腰痛、便秘、冷え性など体の不調にも対応し、心と体が楽になっていただけるように施術を行っています。
Mさんの場合も、日頃から首や肩腰の痛み、便秘、むくみなどがあり、「仕事と育児で大変」と仰っていました。毎回、問診で伺った不調に合わせた施術を行い、体が楽になるように努めました。鍼灸を続ける中で、月経周期が28~30周期と安定するようにもなりました。お仕事はデスクワークと立ち仕事の両方があり、加えて育児もあるため、1人目妊活と比べて、タイミングが思うようにとれないことがお悩みでした。
鍼灸を始めて半年ほど経過した頃、ご本人は人工授精をお考えでしたが、ご主人は望んでおらず、精液検査も受けたことがないとのことでした。そのため、施術中にはご主人が検査に行ってくれるように、必要性をお話させていただき、Mさんもご主人に何度も訴えかけられました。
その結果、2024年8月にご主人が初めてクリニックの検査(血液検査)を受けられました。結果は問題なく、「今後は人工授精も良いかも。」と前向きな姿勢になっていただけました。そして、その次の周期でなんと自然妊娠していることが分かりました。胎嚢・心拍も確認できました。
その後、マタニティ鍼灸を32週まで受けられ、妊娠維持を目的とした施術に加え、つわりや腰痛、便秘などにも対応しました。28週の時には逆子だったため、3回の逆子鍼灸とご自宅のお灸と逆子体操で無事元通りになりました。妊娠32週で当院の鍼灸は卒業されました。
ご主人がクリニックの検査を受けられたことや人工授精を前向きになったことが、Mさんの精神面への安心につながり、妊娠するきっかけになったのかもしれません。また、約1年間鍼灸を続けたことで妊娠・出産できる良質な卵子が育ってくれたのかもしれません。
Mさん、この度は本当におめでとうございます。もうすぐ出産ですね。無事出産されることを願っております。「目標は3人」と仰っておられましたので、3人目妊活の時もサポートさせていただきますのでまたよろしくお願いいたします。
Mさん妊娠お喜びの声
▢ お悩みの症状またはご来院当初の目的をお聞かせください
半年ほど自己流でしていましたが、体を整えようと思って通いはじめました。また、1人目も通いはじめてすぐ妊娠したので、効果があると思っていました。
▢ 鍼灸以外で妊娠(陽性反応)された方法に〇をつけてください
タイミング(病院で排卵日を見てもらって、タイミングを取っていました。)
▢ ご自身で「これは良かった!」「自分に合っていた!」と思われた妊活があればお教えください
自宅灸・レーザー・温活
▢ 鍼灸施術を受けていただいた感想をお聞かせください
鍼灸施術を受けて、生理周期が整ったのがいちばん良かったと思います。また、足の冷えや腰の張りも見てもらえて、体が楽になりました。他にも体に良いものや、気をつけた方がいいコト等、アドバイスをいただけるのもとても助かりました。
▢ 同じように悩まれている方へアドバイスに自身でやって良かったこと、若しくは続けることが出来たセルフ妊活など)やメッセージがあればお願いいたします。
自分で火のいらないお灸をしていたのですが、リラックスできてよかったと思います。ツボは教えてもらって、そこに家でお灸をしていました。2人目妊活は、子どもがいる分、1人目とは生活が変わってしまっていて、思うようにいかないコトが多かったですが、リラックスできる時間を取るコトは大切だと思いました。
※【免責事項】すべての方にあてはまるものではありません。効果の実感には個人差があります。
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フェロモンとホルモンの違いを簡単解説!
フェロモンとホルモンの違いとは?〜妊活にも関わる“におい”の科学〜
妊活中の方や、体質改善に取り組まれている方からよくいただくご質問のひとつに、「フェロモンが多い人は、女性ホルモンも多いのですか?」というものがあります。一見似たようなものに思える「フェロモン」と「ホルモン」ですが、実は全く異なる役割を担っています。本記事では、東洋医学の視点もふまえながら、フェロモンとホルモンの違いやその関係性について解説します。
ホルモンとは何か?
ホルモンは、体内でつくられる生理機能を調節する化学伝達物質であり、血流にのって全身を巡ります。代表的なホルモンには、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)や甲状腺ホルモン、ストレスホルモン(コルチゾール)などがあります。女性にとって、ホルモンバランスは月経周期、排卵、妊娠、出産などと密接に関わっており、妊活には欠かせない要素です。
フェロモンとは何か?
フェロモンは、他者に情報を伝えるために体外に分泌される化学物質です。主に皮膚、汗、皮脂などから分泌され、空気中を通じて相手に届きます。
動物の世界では、繁殖行動や警告信号などを伝えるためにフェロモンが使われます。ヒトの場合も、無意識のうちにフェロモンによって“惹かれ合う”ことがあるとされています。ただし、ヒトにおけるフェロモンの存在やメカニズムは、動物に比べて未解明な部分も多く、研究が続けられている分野です。
フェロモンと女性ホルモンの関係
フェロモンと女性ホルモンは直接的な相関関係にはありませんが、関連性は指摘されています。たとえば、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が活発な排卵期には、皮膚や体臭の変化によりフェロモンが強く感じられることがわかっています。
ある研究では、排卵期の女性のにおいに男性がより魅力を感じるという報告もあり、これはホルモンの変化がフェロモンの表れ方に影響する可能性を示しています(Miller & Maner, 2010)。つまり、ホルモンバランスが整っていることは、フェロモンが魅力的にあらわれやすい環境をつくるということが言えるでしょう。
フェロモンの“多い・少ない”はあるのか?
フェロモンは誰にでも分泌されています。ただし、その量や“にじみ出かた”には個人差があり、ストレスや生活習慣の乱れによって弱まることがあります。交感神経が過剰に働いていたり、寝不足、過労、偏った食事が続いていると、皮膚の状態や分泌物にも変化が現れ、フェロモンの質にも影響するのです。これは、東洋医学における「気血津液(きけつしんえき)」の乱れとも対応しており、身体全体のバランスが崩れることで“外に出るサイン”にも変化が出ると考えられます。
フェロモンのピークはいつ?
一般的には、20代前半がフェロモンの分泌のピークといわれています。これは、ホルモンバランスや皮脂腺の働きが最も活発な時期であることが関係しています。ただし、年齢を重ねても、心身のバランスが整っている人は年齢に関係なく魅力的なフェロモンがあらわれるとも言われています。よく笑う人、前向きな人、自然体でいる人に魅力を感じるのは、まさに内面の整いが外ににじみ出ているからかもしれません。
鍼灸でフェロモンを引き出す身体づくりを
東洋医学では、「内側の調和が外側にあらわれる」と考えます。鍼灸では、自律神経やホルモンバランスを整えることで、肌のツヤや血色、香りといった“外に出るサイン”を自然に高めるお手伝いができます。フェロモンというと特別なイメージがありますが、“整った身体と心”こそが最大のフェロモンともいえるのです。
参考文献
- ・Stern, K., & McClintock, M. K. (1998). Regulation of ovulation by human pheromones.Nature, 392(6672), 177–179.
- ・Grammer, K., Fink, B., Neave, N. (2005). Human pheromones and sexual attraction. European Journal of Obstetrics & Gynecology and Reproductive Biology, 118(2), 135–142.
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ミネラルってなに?五大栄養素のひとつとしての大切な役割
ミネラルってなに?五大栄養素のひとつとしての大切な役割
妊活中の方、体質改善をしたい方にこそ知っておいてほしい「ミネラル」と「五大栄養素」のお話を、根拠に基づいてわかりやすく解説します🧠✨
🌱五大栄養素とは?
五大栄養素とは、私たちの身体をつくり、動かし、整えるために欠かせない栄養素の総称です。以下の5つが含まれます。
- 糖質(炭水化物)
体や脳を動かすエネルギー源 - 脂質
細胞膜・ホルモンの材料。エネルギー源としても重要 - たんぱく質
筋肉、臓器、酵素、ホルモンなど身体の構成要素 - ビタミン
代謝を助け、身体の機能調整をサポート - ミネラル
骨・歯の構成、神経や筋肉の調整、体内環境の維持
🧂ミネラルとは?
ミネラルは体内で合成できないため、食事からの摂取が必須の栄養素です。五大栄養素の中でも特に「身体を整える」働きが強く、少量でも生命維持に重要な役割を果たします。
ミネラルの種類と主な働き
- カルシウム(Ca)
骨や歯の形成、神経伝達、筋肉収縮 - リン(P)
骨・歯の成分、エネルギー代謝の補助 - マグネシウム(Mg)
酵素の働きを助ける、筋肉と神経の調整 - ナトリウム(Na)
血圧や水分バランスの調整、神経の伝達/li> - カリウム(K)
細胞の浸透圧調整、血圧の調節、筋肉の動き - 鉄(Fe)
ヘモグロビンの構成成分、酸素運搬 - 亜鉛(Zn)
免疫機能、味覚、妊娠・出産・成長に関与 - 銅(Cu)
鉄の代謝、酵素の活性化 - マンガン(Mn)
骨の形成、エネルギー代謝 - ヨウ素(I)
甲状腺ホルモンの構成要素 - セレン(Se)
抗酸化作用、免疫サポート - クロム(Cr)
糖代謝、インスリン作用の補助 - モリブデン(Mo)
酵素の補因子として働く
🌸妊活や体質改善においてなぜ大切?
ミネラルや五大栄養素が不足すると…
- ホルモンバランスの乱れ
- 排卵障害・月経不順
- 着床環境の悪化
- 疲れやすさ・冷え・むくみ
- 精神的な不安定さ
といった、不妊の原因や妊娠しづらい体質につながってしまいます。特に亜鉛、鉄、マグネシウムは、妊活中の女性にとって意識したいミネラルです。
📝参考文献
- ・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
- ・Institute of Medicine. Dietary Reference Intakes for Calcium and Vitamin D, National Academies Press, 2011.
- ・WHO. Vitamin and Mineral Requirements in Human Nutrition, 2nd edition, 2004.
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胚盤胞まで育たない原因は栄養不足が原因かも?
胚盤胞にならない…もしかしたら「栄養不足」かもしれません
体外受精において「胚盤胞にならない」「胚盤胞が育たない」と悩まれている方はとても多くいらっしゃいます。複数回の採卵でも胚盤胞まで育たず、「もう無理なのかも…」「私の身体がどこか悪いの?」と落ち込まれてしまう方も少なくありません。
ですが、その背景には見えない栄養不足関係していることもあるのです。
一見健康そうに見える方でも…実は栄養不足
当院でも、痩せ型の方や一見標準体型の方であっても、慢性的な栄養不足が胚盤胞に育たない原因の一つになっているケースをよく見かけます。
中でも注目すべきなのが「コレステロール値の低さ」。「コレステロールは低いほうが健康にいい」と思われがちですが、妊活中はむしろ少し高めの方が良い場合もあるのです。
コレステロール=悪者ではない?妊活中は「材料」に
コレステロールには、妊活において次のような大事な役割があります。
- 卵子の細胞膜の材料になる
- 性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロンなど)の材料になる
- ホルモン分泌や卵胞成熟、胚発育などの生殖機能全体に関与する
つまり、コレステロールが不足すると、卵子の成長に必要な“材料”が足りなくなるのです。これは特に低BMI(痩せ型)の女性に多く見られ、ホルモンバランスが崩れやすくなり、胚の発育にも影響します。
どうしたら胚盤胞が育ちやすくなるの?
大切なのは、「材料をしっかり身体に届けること」。特に意識したいのが以下の2点です。
- タンパク質をしっかり摂ること
- 筋肉を動かして、身体をつくること
筋肉を動かすことでコレステロールやリン脂質の合成が活性化し、血流も良くなります。その結果、卵巣や子宮への血流も安定し、胚が育ちやすい身体へと近づいていくのです。
鍼灸でのサポートも効果的
鍼灸には、自律神経を整えホルモン分泌を促す作用や、骨盤内の血流改善効果が期待できます。実際に、鍼灸と栄養改善を並行して行った方で「初めて胚盤胞まで育った」というケースもあります。“身体づくり”を見直すことが、次の一歩につながる大きなきっかけになるかもしれません。
まとめ
- 胚盤胞が育たない原因のひとつに栄養不足・低コレステロールがある
- コレステロールは卵子やホルモンの重要な材料
- タンパク質摂取・筋肉の維持で材料を整え、血流もアップ
- 鍼灸による体質改善も併せて行うことで、効果的な妊活サポートに
参考文献
Chavarro JE et al. (2008). Protein intake and ovulatory infertility. Human Reproduction, 23(4), 865–872.
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妊活中に必要なタンパク質と摂り方のポイント
妊活や妊娠中の栄養で「たんぱく質」が大切、という話はよく聞くけれど…「実際どのくらい摂ればいいの?」「プロテインって飲んでもいいの?」そんな疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。
今回は、妊活と妊娠におけるタンパク質の役割と、プロテイン選びの注意点を、最新の研究も交えてわかりやすく解説します。
タンパク質は「妊娠の土台」になる栄養素
たんぱく質は、筋肉・内臓・ホルモン・酵素など、身体をつくるすべての材料。特に妊娠を希望する女性にとっては、以下のような点で欠かせません。
- 女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の材料
- 卵子や子宮内膜の質を左右する
- 着床・妊娠維持にかかわる免疫バランスにも関与
- 妊娠中は胎児の筋肉・血液・臓器の発育に必要
厚生労働省の『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針』でも、「肉・魚・卵・大豆製品を組み合わせて、たんぱく質を十分に摂る」ことが明記されています。
1日にどれくらいのたんぱく質が必要?
一般的には、体重1kgあたり1.0~1.2gのたんぱく質が推奨されています。例えば、体重50kgの方なら、50~60g/日が目安。ただし、1回の食事で吸収できるのは20〜30g程度とされており、朝・昼・夜と分けて摂ることが大切です。
プロテインは必要?どれを選べばいい?
基本は“食事から”が原則!
まずは、肉・魚・卵・大豆製品などの食材でたんぱく質をしっかり摂るのが理想的です。でも…
- 食事が不規則な方
- 食が細い方
- 妊娠中で必要量が増える方
などは、補助的にプロテインを活用するのもおすすめです。
プロテインの種類と注意点
ホエイプロテイン(乳清)
特徴:吸収が早く、筋肉にも◎
向いている人:妊活中の男女、運動習慣のある人
ソイプロテイン(大豆)
特徴:吸収がゆるやか、女性ホルモン様作用あり
向いている人:妊活中の女性(ただし注意点あり)
【要注意】男性はソイプロテインの摂りすぎに注意!
ハーバード大学のChavarroらによる2008年の研究では、ソイ食品の摂取量が多い男性ほど、精子濃度が有意に低下することが示されました。この研究では、ソイ食品を1日あたり半食分(豆乳1カップなど)摂っていた男性の精子濃度が、摂取しない男性よりも平均4100万/ml少なかったという衝撃の結果が報告されています。特に、過体重または肥満の男性では影響が強く出る可能性があるとも言われています。
つまり、妊活中の男性はホエイプロテインを選んだほうが安心といえます。
まとめ
たんぱく質は妊娠の土台になる栄養で、基本は食事でしっかり摂りましょう。不足時は、無添加・信頼できるプロテインを補助に。男性はソイプロテインに注意(精子数への影響が示唆)しましょう。
参考文献
- 【Chavarro et al.,Human Reproduction,2008】
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運動のしすぎが妊活に与える影響とは?
「妊活中だから運動を頑張ろう!」と考える方は多いですが、実は過度な運動が生殖機能に悪影響を及ぼすことがあります。
適度な運動は健康維持やストレス軽減に役立ちますが、エネルギー利用可能性(EA)の低下が起こると、ホルモンバランスの乱れや生殖機能の低下につながることが研究で明らかになっています。特に、女性では月経不順や無月経、男性では精子の質の低下が問題となることが示唆されています。
本記事では、運動が生殖機能に与える影響や、妊活中に適した運動のポイントについて最新の研究をもとに詳しく解説します。
運動とエネルギー利用可能性(EA)の関係
エネルギー利用可能性(EA) とは、摂取エネルギーから運動によるエネルギー消費を引いた残りのエネルギーのことを指します。
- EAが十分な状態 → 生殖機能や骨密度、免疫機能が正常に働く
- EAが低い状態(エネルギー不足) → 視床下部-下垂体-卵巣系の機能低下により生殖機能が抑制される
この状態が続くと、女性は月経不順や無月経を引き起こし、男性ではテストステロンの低下や精子の質の悪化につながる可能性があります。
過度な運動が女性の生殖機能に与える影響
女性アスリートの三主徴とは?
女性アスリートの三主徴とは、以下の3つが同時に起こる状態を指します。
- エネルギー不足(低EA)
- 無月経
- 骨密度の低下(骨粗鬆症)
これは特に過度なトレーニングや厳しい食事制限を行う女性に多く見られる現象ですが、一般の人でも運動のしすぎによって同様の症状が現れることがあります。
視床下部性無月経のリスク
過度な運動が続くと、脳の視床下部が「エネルギーが足りない」と判断し、生殖機能を抑制することが分かっています。特に以下の要因が組み合わさると、視床下部性無月経 が起こりやすくなります。
- オーバートレーニング
- 急激な体重減少
- 強いストレス
- 食事制限によるエネルギー不足
これらの要因が重なると、月経が止まるだけでなく、排卵が起こらず妊娠しづらい状態になります。
過度な運動が男性の生殖機能に与える影響
テストステロン(男性ホルモン)の低下
激しい運動を長期間続けることで、テストステロンの分泌が低下することが報告されています。テストステロンは精子の形成に重要なホルモンであり、その低下は精子の数や運動率の低下、DNA損傷のリスク増加につながる可能性があります。
体温上昇による精子への影響
過度な運動は体温上昇を引き起こし、精巣の温度が高くなることで精子の形成に悪影響を与えることが分かっています。次にあげる運動は、特に注意が必要です。
- 長時間のサイクリング(股間部分の温度が上がりやすい)
- 長距離ランニング(体温が持続的に上昇)
このような運動を頻繁に行うと、精子のDNA損傷率が高くなる可能性があるため、妊活中は注意が必要です。
妊活中におすすめの運動とは?
妊活中は、「適度な運動」を意識することが大切です。エネルギー不足に陥らないようにしながら、ストレスを軽減できる運動を取り入れましょう。
- ウォーキング(1日30分程度)
血流を改善し、ホルモンバランスを整える - ヨガ
自律神経を整え、ストレスを軽減 - 軽めのストレッチ
筋肉の柔軟性を高め、血流を促進
一方で、妊活中は以下の運動を控えめにしましょう。
- 長時間のマラソンやハードな筋トレ
- サイクリングや長時間のランニング(精巣の温度上昇が精子に悪影響)
まとめ
妊活中は運動のバランスが大切!運動は健康維持やストレス軽減に役立ちますが、やりすぎるとホルモンバランスを乱し、生殖機能に悪影響を与えることがあります。自分の身体と相談しながら、バランスの取れた運動習慣を心がけましょう!