
妊活中に必要なミネラルとは?鉄・亜鉛・マグネシウムと食事・サプリの考え方
妊活中、「鉄や亜鉛を摂った方がいい?」「マグネシウムのサプリは必要?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
ミネラルは、血液や骨をつくるだけでなく、酵素の働きやエネルギー代謝、甲状腺ホルモンなど、身体のさまざまな機能に関わる大切な栄養素です。
ただし、特定のミネラルをたくさん摂れば妊娠しやすくなる、卵子の質が上がるというものではありません。
妊活中は、鉄・亜鉛・マグネシウムなどを含めて不足を避けながら、まずは食事全体のバランスを整えることが基本です。
この記事では、妊活中に知っておきたいミネラルの働きや食品、サプリメントを利用するときの注意点をわかりやすく解説します。
- ミネラルは、血液・骨・酵素・神経・筋肉・甲状腺ホルモンなど身体のさまざまな働きに関わります。
- 妊活中は、鉄・亜鉛・マグネシウム・ヨウ素・セレンなどの不足を避けることが大切です。
- 特定のミネラルを多く摂れば妊娠率や卵子の質が上がるとは言い切れません。
- まずは食品からバランスよく摂り、サプリメントの重複や過剰摂取に注意しましょう。
- 貧血や甲状腺疾患などがある方は、自己判断でサプリを増やさず主治医へ相談しましょう。


ミネラルとは?五大栄養素のひとつ
私たちの身体に必要な栄養素は、大きく「炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル」の五大栄養素に分けられます。
- 炭水化物
身体や脳を動かす主要なエネルギー源です。 - 脂質
エネルギー源になるほか、細胞膜などの材料になります。 - たんぱく質
筋肉や臓器、酵素など身体をつくる材料になります。 - ビタミン
代謝や身体の機能を正常に保つために必要です。 - ミネラル
骨や血液の材料になったり、神経・筋肉・酵素などの働きに関わったりします。
ミネラルとはどのような栄養素?
ミネラルは「無機質」とも呼ばれ、体内でつくることができないため、食品などから摂取する必要があります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、次の13種類について摂取基準が設定されています。
多量ミネラル
- ナトリウム
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
- リン
微量ミネラル
- 鉄
- 亜鉛
- 銅
- マンガン
- ヨウ素
- セレン
- クロム
- モリブデン
「微量」といっても重要度が低いという意味ではありません。必要量は少なくても、身体のさまざまな機能を維持するために欠かせない栄養素です。
妊活とミネラルにはどのような関係がある?
ミネラルは、生殖機能だけに働く特別な栄養素ではありません。
血液をつくる、酵素を働かせる、エネルギー代謝を支える、甲状腺ホルモンをつくるなど、健康を維持するための基本的な働きに関係しています。
女性の妊孕性とミネラルの関係については、鉄・亜鉛・セレン・銅などを中心に研究されています。
一方で、妊活中の方すべてがミネラルサプリメントを追加することで妊娠率が上がる、と断定できるほどの根拠はありません。
大切なのは「たくさん摂ること」ではなく、「不足しないように食生活を整えること」です。
妊活中に意識したい主なミネラル
1. 鉄
鉄は、赤血球中のヘモグロビンの材料となり、全身へ酸素を運ぶために必要なミネラルです。
特に月経のある女性は鉄を失いやすいため、日頃の食事で意識しておきたい栄養素です。
鉄は、赤身の肉や魚介類、大豆製品、小松菜などに含まれています。
疲れやすい、息切れがする、めまいがあるなどの症状が続く場合は、鉄不足や貧血以外の原因も考えられるため、自己判断で高用量の鉄サプリを続けるのではなく医療機関へ相談しましょう。
2. 亜鉛
亜鉛は、多くの酵素の働きや、たんぱく質・DNAの合成などに関わる微量ミネラルです。
生殖機能との関連についても研究されており、妊活中の栄養素として注目されることがあります。
牡蠣、肉類、魚介類、卵、乳製品などに含まれています。
ただし、亜鉛を多く摂れば卵子の質や妊娠率が上がるという意味ではありません。サプリメントによる過剰摂取では、他のミネラルとのバランスに影響することもあります。
3. マグネシウム
マグネシウムは、多くの酵素反応やエネルギー代謝、神経や筋肉の正常な働きに関わっています。
豆類、ナッツ類、海藻類、全粒穀物など、さまざまな食品に含まれています。
「妊活用」として特別に大量摂取する必要はなく、毎日の食事の中でさまざまな食品を組み合わせることが大切です。
4. ヨウ素
ヨウ素は、甲状腺ホルモンをつくるために必要なミネラルです。
甲状腺ホルモンは全身の代謝に関わり、妊娠前から妊娠中にかけても重要な役割を担っています。
日本では海藻類からヨウ素を摂取しやすいため、「不足が心配だから」と昆布などを大量に食べたり、高用量のサプリメントを追加したりする必要はありません。
甲状腺疾患で治療中の方や、ヨウ素の摂取について指示を受けている方は、主治医の方針を優先してください。
5. セレン
セレンは、体内の抗酸化に関わる酵素などの構成成分となる微量ミネラルです。
魚介類、肉類、卵などさまざまな食品に含まれています。
必要量が少ない一方、サプリメントなどによる過剰摂取には注意が必要なため、「抗酸化によさそう」という理由だけで高用量を摂取しないようにしましょう。
妊活中は「ミネラル単体」より食事全体を見る
妊活中は、「亜鉛を摂らなければ」「鉄が足りないかもしれない」と、ひとつの栄養素だけが気になってしまうことがあります。
しかし、身体はミネラルだけで働いているわけではありません。
たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルを組み合わせて摂ることが基本です。
例えば、次のような食品を偏りなく組み合わせると、さまざまな栄養素を摂りやすくなります。
- 肉・魚・卵・大豆製品
- 野菜・きのこ・海藻
- ごはんやパンなどの穀類
- 牛乳・乳製品
- 果物
- ナッツ類など
完璧な食事を毎日続ける必要はありません。数日から1週間ほどの単位で、さまざまな食品を摂れているかを振り返ってみましょう。
ミネラルサプリメントは飲んだ方がいい?
妊活中だからといって、すべての方が鉄・亜鉛・マグネシウムなどのサプリメントを追加する必要はありません。
サプリメントは、不足が確認されている場合や、食事だけでは必要量を確保しにくい場合などに検討されることがあります。
また、ミネラルは「多いほどよい」わけではありません。
鉄、亜鉛、ヨウ素、セレンなどは、サプリメントを重ねて使用することで過剰摂取になる可能性があります。
複数の妊活サプリを利用している場合は、商品ごとではなく1日に摂取している成分の合計量を確認することが大切です。
不妊治療中の方、甲状腺疾患や貧血などで治療を受けている方は、サプリメントを追加する前に主治医へ確認しましょう。
妊娠を考え始めたら葉酸も確認しましょう
葉酸はミネラルではなくビタミンB群のひとつですが、妊娠を考えている方にとって特に重要な栄養素です。
厚生労働省では、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の女性について、通常の食品からの葉酸に加えて、サプリメントや葉酸強化食品などから葉酸400μg/日を摂取することが望ましいとしています。
妊活中の栄養を考えるときは、ミネラルだけに目を向けず、葉酸を含めた食生活全体を整えていきましょう。
妊活を始めると、「これも摂らなければ」「この栄養素が足りないから妊娠しないのでは」と、食事のことが負担になってしまう方もいらっしゃいます。
栄養は大切ですが、ひとつの食品やサプリメントだけで妊娠が決まるわけではありません。まずは無理なく続けられる食事を基本に考えてみてください。
疲れやすさや食欲低下、月経の変化などが続いている場合は、栄養だけの問題と決めつけず、必要に応じて医療機関で検査を受けることも大切です。
Q1. 妊活中は鉄と亜鉛のサプリを飲んだ方がいいですか?
A. すべての方に必要とは限りません。まずは食生活を確認し、不足が疑われる場合や医師から勧められた場合に検討しましょう。複数のサプリを使用するときは成分の重複にも注意が必要です。
Q2. マグネシウムを摂ると妊娠しやすくなりますか?
A. マグネシウムは身体の正常な代謝に必要ですが、追加摂取によって妊娠率が上がるとは言い切れません。まずは豆類、ナッツ類、海藻などを含むバランスのよい食事を意識しましょう。
Q3. ミネラル不足かどうかは血液検査で分かりますか?
A. 鉄など血液検査で状態を確認しやすいものもありますが、すべてのミネラルを一般的な血液検査だけで評価できるわけではありません。症状や食生活も含めて医師に相談してください。
Q4. 妊活サプリを何種類か一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A. 同じ鉄・亜鉛・セレン・ヨウ素などが複数の商品に含まれていることがあります。商品ごとではなく、1日分の合計量を確認し、不明な場合は医師や薬剤師へ相談しましょう。
Q5. 食事に気をつければ卵子の質を改善できますか?
A. 栄養状態を整えることは妊活中の健康管理として大切ですが、卵子の状態には年齢をはじめ多くの要因が関係します。食事だけで結果をコントロールできるものではありません。
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📚参考文献
-
[1] 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版).
日本人に必要なエネルギー・ビタミン・ミネラルなどの摂取基準をまとめた資料です。 -
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット. ミネラル.
ミネラルの定義、多量ミネラル・微量ミネラルの分類について確認できます。 -
[3] Kapper C, et al. The Impact of Minerals on Female Fertility: A Systematic Review. Nutrients. 2024.
亜鉛・セレン・銅など、各種ミネラルと女性の生殖機能との関連を検討したシステマティックレビューです。 -
[4] Alesi S, et al. Assessing the influence of preconception diet on female fertility: a systematic scoping review of observational studies. Human Reproduction Update. 2023.
妊娠前の食事と妊孕性に関する研究をまとめ、特定の食品・栄養素についてはエビデンスに限界があることを示しています。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
妊活中の食事や身体づくりについて相談したい方へ
妊活中は、「鉄が足りないかも」「サプリをもっと増やした方がいいのかな」と、食事や栄養について悩むこともあると思います。
大切なのは、特定の栄養素だけにこだわるのではなく、食事・睡眠・体調などを含めて無理なく身体を整えていくことです。貧血や甲状腺など医学的な確認が必要な場合は、まず医療機関での検査や治療を優先してください。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、不妊治療の状況や日頃の食事、冷え、疲労、睡眠なども伺いながら、妊活中の身体づくりやコンディション調整をサポートしています。
「何を頑張ればよいのか分からなくなってきた」「病院での治療と並行して身体全体を整えたい」という方も、お気軽にご相談ください🍀







