
2025年06月の投稿記事
32歳 子宮筋腫 双角子宮 鍼灸で自然妊娠 妊娠25週目です。
大阪市からお越しのSさん(32歳)が妊娠されました。
患者情報
- 来院の動機:不妊症、子宮筋腫、体質の改善、肩こり、腰痛、冷え性
- 鍼灸の経験:なし
- 体調:ふつう
- 体質:肩こり、腰痛、冷え性、むくみやすい
- 睡眠:平均6~7時間(就寝1時~8時起床)
- 生理:順調(27~30日で規則的)、生理痛があり、痛みがある時だけ鎮痛薬を服用。(月経前は時折、腰まわりに生理痛のような違和感。ピンク色のおりもの。月経中はおなかと腰に思いズンとした痛み)、経血の状態は赤色。
- 食生活:1日2~3食、甘いものを好む、飲み物は水。飲酒は月1回程度。喫煙はなし。
- 運動:時々する、入浴後にストレッチ
- 入浴:シャワー浴
- 現在服用している薬・サプリメント:鉄分やビタミンなどのマルチグミサプリ
- ご主人:36歳、男性不妊の検査は受けたことがない、飲酒は毎日、喫煙歴は過去にあり現在はしていない。
- 自身で行っているセルフ妊活:リンパストレッチ
鍼灸を始めてから驚きの早さで妊娠
Sさんは、1人目の妊娠を希望されてから1年が経過していました。レディースクリニックに通院されていてタイミング法で不妊治療をうけていました。検査から子宮形態異常(双角子宮)、子宮頚管ポリープ、子宮筋腫(2カ所あり、1つは子宮内膜を圧迫していて、医師から「早く妊娠したほうがいいね。」とのこと。)がわかりました。
妊娠しやすい体づくりのため、体質改善と自然妊娠、妊活について教えてほしいなどを希望され、2024年12月に宇都宮鍼灸良導絡院にお越しになりました。
- 2024年12月 タイミング周期
初診の際、施術を受けていただく前に良導絡で自律神経(交感神経)の状態をチェックします。
Sさんの場合は、やや低く、これにより肩こり、首や腰の痛み、頭痛、むくみ、冷え、たまに目まいなどの症状があることがわかりました。
問診票の記入では、首こり、たまに目まいがあると記入されておらず、その症状を鍼灸師から質問されて思い出したように気づかれていました。
当院の不妊鍼灸では、ご自身が気づいていない症状や体の些細な変化も鍼灸師スタッフが見落とさないように伺っています。問診を行った後に、その症状に応じたツボを使いながら体調不良の施術と同時に妊娠しやすい体づくりのための不妊鍼灸を併用しています。これは心と体の調子(体調)が良いときに妊娠しやすいシステムははたらきやすくなるためです。
問診を終えた後は、鍼灸施術になります。不妊鍼灸では、自律神経やホルモンバランスの調整、子宮卵巣の血流促進を図り、卵胞の成長サポート、子宮内膜が厚みのあるフカフカな状態を目指します。患者様には、この施術を5~7日に1回受けていただくようにしています。
鍼灸を始めてから5週間後、なんと妊娠していることがわかりました。
予想外の早さにSさんも喜ばれていました。妊娠後はマタニティ鍼灸を受けていただいてましたが、妊娠8週で少量出血があり、クリニックの医師から念のため安静の指示があり、鍼灸はしばらくお休みされていました。
妊娠23週になってから、再度当院にお越しになり順調に育っているとのことでした。
現在は、腰痛やこむら返り、むくみなどの施術を行い、安心安全なマタニティ生活を送っていただけるようにサポートしています。
Sさん、本当におめでとうございます。
いつも楽しくお話させていただき、Sさんから元気をいただいています。ありがとうございます。
無事出産できるようしっかりサポートさせていただきますので今後ともよろしくお願いいたします。
Sさん妊娠お喜びの声
▢お悩みの症状またはご来院当初の目的をお聞かせください
冷え症、不妊、肩首のコリ、子官筋腫の改善
冷え症なのが長年の悩みで、ずっと鍼灸には興味がありました。
効果あったと思う」と言っていたのが後押しになりました。
▢鍼灸以外で妊娠(陽性反応)された方法に〇をつけてください
自然妊娠 生理のあった2週間後が排卵日だと目星をつけて自己流?のタイミングで妊活していました。
(
▢ご自身で「これは良かった!」「自分に合っていた!」
温活・半身浴
▢鍼灸施術を受けていただいた感想をお聞かせください
注射も苦手なので初めて受けるときはどきどきしていたのですが、鍼は見えないようにしてくださっているのか、見えたことがないので、
「ここが〇〇のツボだよ」
▢同じように悩まれている方ヘアドバイス(
やメッセージがあればお願いいたします
妊活中はまったく自分と同じ状態の人も周りにいないし、センシティブな内容なのでなかなか人に話を聞いたり相談したり、というのができませんが、
色々考えすぎてしまったり検索してしまったりして不安になること
心配事など、気軽に話せる相談先があるという安心感を持って過ごせたら良いのかなと思います。
※【免責事項】すべての方にあてはまるものではありません。効果の実感には個人差があります。
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“夏の採卵”成功率30%増!? 日照時間と生児獲得の最新研究
不妊治療の選択肢として多くの方が検討される体外受精(IVF)や凍結胚移植。その成功率は、年齢や卵子の質、胚の質など様々な要因に左右されることが知られています。しかし、最近の興味深い研究により、意外な「季節」や「日照時間」といった気象条件も、その結果に影響を与える可能性が示唆されました。
この新しい研究は、凍結胚移植における生児出産率と、卵子採取時および胚移植時の気象条件との関連性を詳しく分析したものです。
採卵は「夏」が有利?日照時間の驚くべき影響
研究によると、特に注目すべきは以下の2点です。
- 夏季の採卵で成功率アップ: 夏に採取された卵子を用いた凍結胚移植は、秋に採取された卵子と比較して、生児出産率が30%も増加する可能性が示されました。
- 日照時間の重要性: 採卵時の日照時間が長いほど、生児出産率が28%向上するという関連性も明らかになりました。
太陽の光が卵子の質や胚の発育に良い影響を与える可能性があり、日照時間とビタミンD生成の関係にも注目が集まっています。
胚移植時の「気温」も鍵となる可能性
さらに、研究では胚移植時の気温にも関連性が見られました。
- 胚移植時の最低気温と成功率: 胚移植当日の最低気温が高い場合、生児出産率が18%減少する可能性があると報告されています。
これは、胚が子宮に戻される際の環境が、その後の着床や発育に影響を与える可能性を示唆しています。ただし、これは「季節」そのものが直接影響するというよりも、あくまで「気温」という特定の要素によるとされています。
なぜ気温が関係するの?
この研究は主に、卵子を採取した時期の「季節」や「日照時間」が凍結胚移植の出産率に与える影響に着目しています。その補足的発見として「胚移植を行ったその日の気温」も関係している可能性が見出されました。
- 子宮の環境変化: 外気温の高さにより、体温調節や血流などが変化し、胚の着床に微細な影響が出る可能性。
- 胚への影響: 高温が胚にストレスを与える可能性(証拠は不十分)。
過度な心配は不要。ただし知識として知っておくべき
この研究結果は、あくまでも統計的関連性を示したものであり、「高温=妊娠できない」と断定するものではありません。
- 治療計画は個人の状況やクリニックのスケジュールにより決まるため、日による調整は難しいこともあります。
- ただし、「胚移植の日の気温も影響するかもしれない」という視点は、今後の研究でさらに明らかになるかもしれません。
最も重要なのは、医師との十分なコミュニケーションを取り、安心して治療に臨むことです。
この研究が示す意味とは?
今回の研究は、卵子採取や凍結胚移植の時期を考える上で、気象条件も考慮すべきという新たな知見を提供しています。成功率を高めたいと考える方にとって、示唆に富む内容です。
- 研究は一つの施設でのデータに基づくため、さらなる検証が必要
- 季節や天候を治療戦略の一部として取り入れるきっかけになる可能性
まとめ
不妊治療は心身ともに大きなチャレンジですが、このような新しい研究が、より良い選択や希望につながる可能性を秘めています。治療方針については、必ず専門の医師と十分に相談し、ご自身に合った治療計画を立てることをおすすめします。
参考文献
- PubMed: Impact of the meteorological season during oocyte retrieval and frozen embryo transfer on live birth rates
41歳 低AMH 2段階移植(初期胚・胚盤胞)で妊娠36週になりました。
大阪からお越しのTさん(41歳)が妊娠されました。
患者情報
- 来院の動機:不妊症、症状の改善・緩和、体質の改善、肩こり
- 鍼灸の経験:あり(当院にお越しになるまでに2カ所で不妊鍼灸を経験)
- 体調:疲れている、ストレスを感じている
- 体質:肩こり、腰痛、ストレス過多
- 睡眠:平均時間5時間(就寝23時~6時起床) 夢をよく見る
- 生理:順調(25日~不明)月経痛は時々、下腹部痛がある 経血の状態は赤色~暗赤色、レバー状
- 食生活:2~3食 外食が多い、夕食の時間は20時~22時、飲み物はお茶・コーヒー・ジュース、飲酒は週1回チューハイ1杯程度
- 運動:あまりしない
- 入浴:全身浴
- 現在服用している薬・サプリメント:なし
ご主人は、41歳。喫煙なし、自宅で週に数回チューハイ1杯、仕事などの飲み会は月に数回あり、その時は割りと飲む。ご自身で行っているセルフ妊活は、とくになし。(仕事で残業が多く、通院できるか不安)
当院にお越しになるまでの経緯
Tさんは2人目の妊娠を希望され、宇都宮鍼灸良導絡院にお越しになる前から他の鍼灸院で不妊鍼灸を受けておられました。
1人目は自然妊娠で授かりましたが、2人目はなかなか思うように進まず、不妊治療専門クリニックに通院されていました。クリニックの治療の中で、低AMHがわかり、人工授精で妊娠されましたが、化学流産を経験され、心身ともに負担のかかる日々を過ごされていました。
現在は、通院されていた不妊治療専門クリニックをお休みされていて、通院を再開しようかお悩み中でした。妊娠・出産しやすい体づくりのため、自然妊娠・人工授精に向けて当院の鍼灸をご希望されました。
仕事と妊活の両立
2022年12月 タイミング周期
お仕事は学校職員で忙しい日々を送り、慢性的な肩こりをお持ちでした。不妊鍼灸は、自律神経・ホルモンのバランス調整や子宮卵巣の血流促進、慢性的な肩こりなどその日の体調を伺い、それに応じた施術を行いました。
2023年2月 タイミング周期
自宅近隣のクリニックで卵管通水を受けようとされましたが、諸事情により中断することに。その後、再度同じ治療を受けるため準備を進められました。
2023年4月 妊活を一旦お休み
仕事の多忙によりタイミングがなかなか合わず、思うように妊活が進まず。心身の負担を考慮し、一時的に妊活をお休みされることになりました。それでも当院の鍼灸を定期的に継続され体質改善のメンテナンスを受けられました。
2023年5月 人工授精周期
妊活を再開され、人工授精から再スタート。日々の忙しさやストレスなどから気持ちが落ち込むことがありましたが、鍼灸中はリラックスできるよう、日ごろのことをお話ししながら精神的なケアも心掛けました。
2023年6月 陽性反応と化学流産
妊娠検査薬でうっすら線と確認されました。しかし、5週目で化学流産となってしまいました。
2023年9月 2つ目のクリニックに転院/妊活を一時的にお休み
現在の不妊治療を見直すため、新たなクリニックへ転院されました。検査からAMHが0.6ということがわかりました。
この時、採卵を予定されていましたが、一般病院での検査で別の疾患が見つかり、その治療を優先することになりました。妊活は一旦お休みし、治療に専念されました。
2024年1月 3つ目のクリニックへ転院
仕事・妊活・引っ越しが重なり、ゆっくりすることができず睡眠障害に悩まされていました。この時も不妊鍼灸とレーザーを行いながらぐっすり眠りにつけるよう施術を行いました。
2024年2月 自費での採卵周期
新しいクリニックで自費で1回だけ採卵・移植をされると決められました。鍼灸は、卵胞の成長を支えるため卵巣の血流促進を重点的に行いました。採卵結果は、初期胚1個凍結ができました。
2024年3月 採卵で胚盤胞を得る
さらに採卵を行い、初期胚2個・胚盤胞1個を凍結することができました。この時期にビタミンDの不足もわかり、サプリメントの服用量を調整されました。
2024年5月 2段階移植で陽性反応
凍結していた初期胚と胚盤胞を2段階移植で戻して、結果は見事、陽性反応となりました。
2024年6月以降
妊娠維持のためにマタニティ鍼灸を受けられ、つわりや腰痛、肩こりのケアを行い心身のバランスを整えることで、不安定な時期も乗り越えられ、妊娠36週で鍼灸を卒業されました。
妊活は、体だけでなく気持ちの浮き沈みも大きく、長い道のりになることもあります。Tさんの場合、3カ所目のクリニックで今までわからなかった妊娠しにくい原因がわかるなど、不妊治療の結果が大きく変わったこと、そして鍼灸によって心身を整えながら妊活を継続できたことが、妊娠につながったのかもしれません。
Tさん、本当におめでとうございます。これからもお子様と一緒に幸せなご家庭を築かれていってください。また何かお困りのことがございましたら、いつでもサポートさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
Tさん妊娠お喜びの声
▢ お悩みの症状またはご来院当初の目的をお聞かせください
不妊治療、肩こり、腰痛の緩和
▢ 鍼灸以外で妊娠(陽性反応)された方法に〇をつけてください
体外受精→アンタゴニスト法 2段階移植(妊娠継続中)
▢ ご自身で「これは良かった!」「自分に合っていた!」と思われた妊活があればお教えください
レーザー・温活・サプリメント(ビタミンD)
▢ 鍼灸施術を受けていただいた感想をお聞かせください
施術後は体がぽかぽかして、冷え性が落ち着きました。体温が以前は35℃台でしたが、36℃台の体温になりました。他院との違いは施術の最後までスタッフの先生がそばにおられることです(他院では途中で席を外されることも多いです。)体が軽くなり、仕事等のストレスの緩和にもつながりました。
▢ 同じように悩まれている方へアドバイスに自身でやって良かったこと、若しくは続けることが出来たセルフ妊活など)やメッセージがあればお願いいたします。
先生方は施術だけでなく、不妊治療に関する情報についても詳しいため、参考になることが多かったです。先生の勧めで他のクリニックに転院し、そのクリニックで体外受精を受けて妊娠できました。どうもありがとうございました。高齢でもあきらめないことが大切だと思います。
※【免責事項】すべての方にあてはまるものではありません。効果の実感には個人差があります。
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年齢別(30代・40代)に見る妊活プランと注意点
妊活を始めるタイミングは人それぞれですが、実は年齢によって妊活の進め方は変わってきます。ここでは、30代前半・30代後半・40代の3つの世代に分けて、それぞれの妊活プランをご紹介します。
年齢によって妊活プランが違う理由とは?
妊活を考える際に、年齢を無視することはできません。以下の3つの理由から、年齢ごとに妊活の進め方を見直す必要があります。
1. 妊娠率は年齢とともに低下する
自然妊娠でも不妊治療でも、年齢を重ねると妊娠する確率は低下していきます。特に35歳を超えると自然妊娠の確率は急激に下がり、20代の半分程度まで落ち込むというデータもあります。そのため、年齢に応じて適切なタイミングで妊活プランを立てることがとても重要です。
2. 原因不明の不妊も増える
年齢が上がることで、排卵や卵管、精子を取り込むピックアップ能力などが低下し、明確な異常が検査で見つからなくても妊娠しづらくなるケースがあります。こうした“原因不明”の不妊に対応するには、身体づくりと同時に、体外受精なども早めに検討する必要があります。
3. 流産のリスクが高まる
年齢が高くなると、流産率も上昇します。35〜39歳では35歳未満の約4倍、40歳以上では約9倍になるとも言われています。その主な原因は、受精卵の染色体異常とされており、年齢とともにその割合が高くなる傾向にあります。特に妊娠初期の流産の多くは、赤ちゃんの染色体異常によるものです。
30代前半の妊活プラン
この時期は妊娠率も比較的高く、焦らず自分のペースで妊活をスタートしやすい時期です。
ステップ
① セルフタイミング法(3〜6周期)
➤ 妊娠しやすい身体づくりを同時にスタート
- 栄養バランス
- ストレスケア
- 運動
- 睡眠
- 鍼灸
② 検査(状態のチェック)
- 血液(ホルモン)検査
- 超音波検査(男女)
- 子宮卵管造影検査
- 精液検査
- AMH検査
③ 病院でのタイミング法(3〜6回)
④ 人工授精(3〜4回)
⑤ 体外受精・顕微授精
身体づくりは妊娠力の土台。鍼灸などで身体を整えながら、正しいステップで進みましょう。
30代後半の妊活プラン
35歳を過ぎると妊娠率は徐々に下がるため、少しスピード感を持って取り組むことが大切です。
ステップ
① セルフタイミング法(1〜3周期)
➤ 病院選びと身体づくりを並行してスタート
- 栄養
- 運動
- ストレスケア
- 睡眠
- 鍼灸
② 検査
- ホルモン(血液)検査
- 超音波検査(男女)
- 子宮卵管造影検査
- 精液検査
- AMH検査
③ 病院でのタイミング法(1〜3回)
④ 人工授精(1〜3回)
⑤ 体外受精・顕微授精
将来的に体外受精や顕微授精へステップアップできる医療体制があるかどうか、病院選びはとても重要です。自分に合ったサポート体制を持つ病院を選びましょう。
40代の妊活プラン
40代の妊活はスピードと正確な判断がカギになります。同時に、前向きな身体づくりが成功の可能性を高めます。
ステップ
① 病院選びと妊娠しやすい身体づくりをすぐに開始
- 栄養
- 運動
- ストレスケア
- 睡眠
- 鍼灸
① 病院でのタイミング法(0〜2回)と検査を並行実施
- ホルモン(血液)検査
- AMH検査
- 超音波検査
- 子宮卵管造影検査
- 精液検査
③ 人工授精(0〜2回)
④ 体外受精・顕微授精(IVF・ICSI)
妊娠のカギは、”良い状態の卵子と精子が出会うこと”。特に重要なのが卵子の質であり、それには身体全体の健康が関わっています。鍼灸は、卵子と精子の質を整えるサポートとしても注目されています。また、40代は流産・早産・妊娠高血圧症候群などのリスクが高まるため、妊娠前から身体を整えておくことがとても大切です。
とはいえ、鍼灸に通われている方の中には、40代で自然妊娠・体外受精ともに妊娠された方がたくさんいます。年齢だけにとらわれず、自分の身体と向き合いながら進んでいきましょう。
まとめ
年齢によって妊活の進め方は変わりますが、共通して大切なのは「早めの行動」と「身体づくり」です。正しい知識を持って、自分に合ったサポートを選ぶことが、妊娠への近道です。
妊活=健康づくり。今から始められること、見直せること、ぜひひとつずつ取り入れてみてください。
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不妊治療だけで妊娠できる?【鍼灸で妊娠力を高める科学的根拠】
卵子の質と着床力を整える東洋医学のアプローチ
不妊治療を続けていてもなかなか結果が出ないと、「もう年齢のせいかも…」「治療をやめるしかないのかも」と感じる方も少なくありません。
しかし、体外受精や人工授精といった西洋医学の治療に、東洋医学の鍼灸を組み合わせることで妊娠力が向上する可能性があることが、近年の研究で報告されています。
本記事では、鍼灸が「卵子の質」や「着床環境」にどう影響を与えるのか、その科学的根拠と臨床的な変化について詳しく解説します。
卵子の質と着床に共通する“隠れた原因”
不妊に悩む方の中には、次のような課題を抱えている方が多くいらっしゃいます。
- 胚盤胞まで育たない
- 内膜が薄く、移植できない
- AMH(抗ミュラー管ホルモン)が低く、採卵できる数が少ない
こうした症状には一見ばらばらに見えるものの、実は共通点があります。それは、「卵巣や子宮周囲の血流の低下」や「ホルモンバランスの乱れ」といった、身体の内側の環境の乱れです。
鍼灸が「卵子の質」を改善する理由
卵子の質は年齢と共に低下すると言われていますが、卵子は“育つ環境”の影響を強く受けます。特に、卵巣の血流が悪いと栄養やホルモンが十分に届かず、卵子の成熟や分裂に悪影響を与えることが知られています。
🔍研究データ:鍼灸と卵巣血流・ホルモン調整
- Stener-Victorin et al. (2003, Human Reproduction):鍼灸刺激により卵巣動脈の血流が改善し、卵巣機能が高まることが報告されました。
- Chen et al. (2008, American Journal of Chinese Medicine):鍼灸によりFSHやエストロゲンといったホルモン分泌が整うことで、卵胞の成長が促されることが示されています。
着床に重要な「子宮内膜の質」も改善
どれだけ良好な胚を移植しても、子宮内膜の状態が悪ければ着床は成立しません。鍼灸は子宮への血流を増やし、内膜を「厚く・柔らかく・ふかふかに」整える作用があるといわれています。
🔍研究データ:鍼灸と着床率の向上
- Paulus et al. (2002, Fertility and Sterility):体外受精を行う女性に対し、胚移植前後に鍼灸を施した群では着床率が有意に高かったことが示されました。
- Stener-Victorin et al. (2010):鍼灸によって自律神経のバランスが整い、ストレスホルモン(コルチゾール)が低下することも報告されており、これはホルモン環境の安定と子宮機能の維持に寄与します。
鍼灸による体の変化:実際の例
- AMH 0.7の方が、初めて良好胚を得られた
- 採卵数が倍になった周期があった
- 内膜が初めて10mmに達し、翌周期に妊娠反応が出た
鍼灸が行う“妊娠のための基盤づくり”
鍼灸のアプローチは、単にツボを刺激するだけではありません。全身のバランスを整え、「妊娠できる身体」へと体質を導く総合的なケアです。
🌀鍼灸による3つの作用
- 子宮・卵巣周囲の血流改善
- 自律神経の調整(副交感神経優位に)
- ホルモン分泌のバランスを整える
まとめ
体外受精や人工授精だけでは結果が出にくい場合、鍼灸を併用することで“身体を妊娠しやすい状態に整える”という視点が加わります。「もう年齢的に無理かも」と感じている方も、「何をしても結果が出なかった」と悩んでいる方も、一度、ご自身の身体の状態を見直してみませんか?
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【東洋医学から見る梅雨の不調】湿気に弱い体質とは?今すぐできる養生法
【東洋医学から見る梅雨の不調】湿気に弱い体質とは?今すぐできる養生法
梅雨の季節になると、「身体がだるい」「むくみがひどい」「気分が沈む」など、体調を崩す方が増えます。実はこれ、東洋医学でいう「湿(しつ)」が関係しています。この記事では、湿と「脾(ひ)」の関係や、体質チェックリスト、やってはいけないこと、梅雨を快適に過ごすための養生ポイントまで、詳しくご紹介します。
湿気と「脾」の関係(東洋医学)
東洋医学では、「脾(ひ)」は消化吸収を担い、水分の代謝にも深く関わる臓腑とされています。梅雨時は湿度が高く、体の中にも「湿」が停滞しやすくなります。この「湿」が「脾」を傷つけ、消化機能が低下してしまうのです。
🌿湿が脾を弱らせると…
- 食欲不振
- 胃もたれ
- 体が重だるい
- むくみ
- 下痢や軟便
脾が弱っているサイン(セルフチェック)
以下に当てはまるものが多い人は、湿に弱い「脾虚体質」かもしれません。
- 朝起きても疲れが取れない
- 食後に眠くなる
- 手足が冷たくなりやすい
- 舌の周りに歯型がある
- お腹が張る/下痢しやすい
- 甘いものや冷たいものが好き
- むくみやすい
梅雨にやってはいけないこと
脾の働きをさらに弱めてしまう行動は避けましょう。
- 冷たい飲み物・アイスをとる
- 夜ふかし/睡眠不足
- 運動不足(汗をかかない)
- 甘いもの、脂っこいものの過食
- 締めつける服で汗をこもらせる
梅雨の養生ポイント(東洋医学)
🔹1. 湿を「追い出す」生活
- 毎日軽く汗をかく(散歩・ストレッチ・半身浴)
- 除湿器やエアコンで室内の湿度をコントロール
🔹2. 脾を「いたわる」食事
- 温かいスープ・お粥など消化に優しいもの
- 生姜・ネギ・陳皮・ハトムギなど「健脾化湿」の食材を活用
- 白米より雑穀米・ハトムギを
🔹3. 消化力を高める
- よく噛んで食べる
- 食事時間を規則正しく
湿の役割と体質タイプ
東洋医学では「湿」もまた必要な要素です。ただしバランスが重要。湿が「足りない」人もいれば、「溜め込みすぎる」人もいます。
🌵湿が少ない人(乾燥体質)
- 便秘気味
- 肌や口が乾きやすい
- 冷房で喉が痛くなる
➡ 潤す食材(白きくらげ、豆乳、梨など)を取り入れつつ、冷えには注意。
💧湿が多すぎる人(湿盛体質)
- 体が重い、むくむ
- お腹が張る、下痢しやすい
- 舌がぼってりして白い苔が多い
➡ 水分代謝を助ける食材(ハトムギ、冬瓜、とうもろこし、黒豆など)と汗を出す習慣を。
湿をためない生活習慣
- 朝の白湯で内臓を目覚めさせる
- 湿気の多い日は室内除湿+通気を
- 1日1回、20分程度の軽い有酸素運動
- ストレスを溜めない(湿は気滞とも関係)
西洋医学の視点から見た「梅雨だる」
梅雨時に感じる不調は、自律神経の乱れや気圧変化も影響しています。
- 気圧低下 → 血管が拡張 → 頭痛・めまい
- 湿度上昇 → 発汗不良 → 体温調節の乱れ
- 日照不足 → セロトニン不足 → 気分が落ち込む
➡ このような不調も、軽い運動・規則正しい生活・栄養のある食事で整えることが可能です。
まとめ
「湿」と「脾」の関係を知ることで、梅雨時期の不調を予防・改善するヒントが見えてきます。特別なことをしなくても、食事・生活習慣・呼吸・運動を整えるだけで、体はきちんと応えてくれます。
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ズキズキ頭痛の正体は“体質”!?” 東洋医学でわかるあなたの片頭痛タイプ
片頭痛に悩んでいませんか?
ズキズキとこめかみが痛む、吐き気がする、雨の日に悪化する…
そんな片頭痛は、単なる頭の痛みではなく、体質や気候、生活習慣の影響を受けていることが多いのです。
東洋医学では、片頭痛は体質によって「肝陽上亢タイプ」と「痰湿阻絡タイプ」に分類され、それぞれ原因やケア法が異なります。
あなたの片頭痛タイプをチェック!
以下のチェックリストで、自分がどちらのタイプか確認してみましょう。
🧠肝陽タイプ
- 頭痛がこめかみ〜頭頂部に出る
- イライラや怒りっぽくなる
- 目が充血しやすく、眼精疲労がある
- 耳鳴りや顔のほてり、口の苦みがある
- 月経前に悪化しやすい
- ストレスがかかると症状が出る
- 便秘気味または尿が少ない
- 寝不足や過労で頭痛が悪化しやすい
💧痰湿タイプ
- 頭が重だるく、全体が締めつけられる
- 雨の日や湿気の多い日に悪化する
- 胃腸が弱く、食後に眠くなる
- めまいや吐き気を伴うことがある
- 舌に白くて厚い苔がついている
- 雨の日に関節痛やむくみも出やすい
- 体が重く、だるさが取れにくい
- 冷たい飲食や甘いものが好き
左側が多ければ「肝陽タイプ」、右側が多ければ「痰湿タイプ」の傾向があります。
東洋医学の視点からみる片頭痛
東洋医学では、片頭痛は「気・血・津液(水分)」の巡りの乱れと、内臓(五臓)のアンバランスが原因と考えられます。特に「肝」と「脾」の関係が重要です。
🧠肝陽タイプ
特徴:
- 怒りっぽく、ストレスをためやすい
- 頭の上部(頭頂部やこめかみ)にズキズキした痛み
- 目の疲れや充血を伴う
原因:ストレスや緊張により「肝の気」が上昇しすぎて、頭部に熱や血が集まることで痛みが生じると考えます。
養生法:
- ストレスをこまめに発散(深呼吸・散歩・香りの活用など)
- 夜更かしを避け、十分な睡眠を
- 刺激物(アルコール・辛いもの)を控える
- クールダウンする食材(セロリ、トマト、小松菜など)を取り入れる
おすすめのツボ:▶ 太衝(たいしょう)
足の甲、親指と人差し指の骨の間にあるツボ。肝の熱を鎮め、イライラや頭痛を緩和します。
💧痰湿タイプ
特徴:
- 頭が重だるい、しめつけるような痛み
- 雨の日や湿気で悪化しやすい
- むくみ、吐き気、胃腸の不調を伴う
原因:「脾」の機能が弱くなり、体内に余分な水分(湿)が停滞することで、気血の流れが悪くなり頭痛を引き起こします。
養生法:
- 湿を排出する食材(ハトムギ、とうもろこし、黒豆)を取り入れる
- 冷たい飲食、甘いものを控える
- 軽い運動で汗をかく習慣をつける
- 食べすぎや飲みすぎに注意し、胃腸を休ませる
おすすめのツボ:▶ 豊隆(ほうりゅう)
すねの外側、膝と足首の中間あたりにあるツボ。体内の「痰湿」を取り除き、頭の重さやだるさを改善します。
西洋医学からみた片頭痛
西洋医学では、片頭痛は「脳の血管が一時的に拡張すること」や「神経伝達物質の異常(特にセロトニン)」が関係しているとされています。
主な症状
- 片側または両側にズキンズキンとした拍動性の痛み
- 光や音に敏感になる(音・光過敏)
- 吐き気、嘔吐、視覚障害(前兆)を伴うことも
- 数時間〜数日続く
主な原因
- ストレス・睡眠不足・寝すぎ
- 空腹やカフェイン離脱
- 月経やホルモンの変動
- 気圧・天候の急な変化
- チョコ・赤ワインなどの特定の食べ物
✅片頭痛を軽減する西洋医学的セルフケア
- 日光を浴びる:セロトニン(幸せホルモン)を安定させる
- 軽い有酸素運動:血流を促進し、自律神経のバランスを整える
- 規則正しい睡眠:寝不足も寝すぎも片頭痛の誘因になるため、睡眠の質を大切に
- カフェインの取りすぎに注意:摂取量を一定に保つ
- 食べ物に注意:チョコレートや赤ワイン、チーズなどは人によって誘因になることも
- 生理周期の把握:女性の場合、月経前後に片頭痛が出やすいため、スケジュールを意識
- 気圧の変化に備える:天気の悪い日は予定に余裕を持つ、早めの休息を心がける
まとめ
「片頭痛=薬」だけでなく、体質に合わせたセルフケアを取り入れることで、根本的な改善につながります。日常の中に少しずつ東洋医学の視点を取り入れて、あなた自身のからだの声に耳を傾けてみませんか?
参考文献
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「片頭痛」
- 東洋医学概論(医歯薬出版)
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精子が卵子に出会うまでの時間とは?
受精のタイミングとそのメカニズム
妊活を始めると、「性行為の後、精子はどのくらいで卵子に到達するのか?」や「受精に最適なタイミングはいつか?」といった疑問が湧いてくることでしょう。本記事では、精子の移動時間、受精能(キャパシタンス)の獲得、精子の寿命、そして性行為後の過ごし方について、科学的な視点から詳しく解説します。
精子の移動時間
性行為後、精子は膣から子宮頸管を通り、子宮、そして卵管へと進みます。この移動は非常に迅速で、最短で15分以内に卵管に到達することが報告されています。
受精能(キャパシタンス)の獲得
精子が卵子と受精するためには、「受精能(キャパシタンス)」と呼ばれる生理的変化を経る必要があります。このプロセスは、精子が卵子の外層を通過し、受精を可能にするための準備段階です。
研究によると、ヒトの精子が受精能を獲得するまでには平均で約4時間の時間が必要とされています。
精子の寿命
精子は、女性の生殖器内で最大5日間生存することが可能です。これは、特に排卵期において、子宮頸管粘液が精子の生存を助ける環境を提供するためです。
一方、卵子の寿命は排卵後12〜24時間と短いため、排卵前の数日間に性行為を行うことで、受精の可能性が高まります。
性行為後の過ごし方
性行為後に「すぐに動くと精子が流れ出てしまうのでは?」と心配する方もいるかもしれません。しかし、精子は射精後すぐに子宮頸管を通過し、子宮へと進むため、性行為後に長時間横になる必要はありません。
実際、性行為後にすぐに動いても、妊娠の可能性に大きな影響はないとされています。
まとめ
- 精子の移動時間:最短で15分以内に卵管に到達
- 受精能の獲得:平均約4時間
- 精子の寿命:女性の体内で最大5日間
- 性行為後の過ごし方:長時間横になる必要はなく、すぐに動いても妊娠の可能性に影響なし
妊活において、これらの知識を持つことで、より効果的なタイミングでの性行為やリラックスした過ごし方が可能となります。不安や疑問がある場合は、専門の医療機関に相談することをおすすめします。
参考文献
- Timing of sperm capacitation varies reproducibly among men, PMC
- A time course study of capacitation and the acrosome reaction in human spermatozoa, ScienceDirect