
40代の4BB胚盤胞は妊娠できる?妊娠率の考え方とPGT-A・胚グレードの関係
胚移植を控えているとき、クリニックから「今回の胚盤胞は4BBです」と聞いて、
「4BBでも妊娠できる?」
「40代だと妊娠率は低い?」
「AAやABではないけれど大丈夫?」
「PGT-Aで正常胚なら、4BBでも妊娠しやすい?」
と気になる方は多いと思います。
結論からいうと、40代でも4BBの胚盤胞から妊娠・出産に至る可能性はあります。
ただし、「4BBなら妊娠率は何%」とグレードだけから正確な確率を出すことはできません。
胚移植の結果には、胚盤胞の見た目だけでなく、採卵時の年齢、胚の染色体の状態、Day5・Day6など胚盤胞になった時期、子宮側の状態などさまざまな要因が関係するためです。
この記事では、40代で4BB胚盤胞を移植する方に向けて、4BBの意味、妊娠率の考え方、PGT-Aとの違いについてわかりやすく解説します。
- 4BBは「妊娠できない胚」を意味するグレードではありません。
- 胚盤胞グレードは主に見た目(形態)を評価したものです。
- 40代ではグレードだけでなく、胚の染色体の状態が重要になります。
- PGT-A正常胚であっても、妊娠が保証されるわけではありません。
- 同じ4BBでもDay5かDay6かなどによって条件が異なります。
4BBの胚盤胞とは?数字とアルファベットの意味
胚盤胞の評価にはいくつかの方法がありますが、代表的なのがGardner(ガードナー)分類です。
「4BB」の場合、最初の数字と2つのアルファベットにはそれぞれ意味があります。
- 4:胚盤胞が十分に拡張した「拡張胚盤胞」の段階
- 最初のB:赤ちゃんになる部分である「内部細胞塊(ICM)」の形態評価
- 2つ目のB:将来胎盤などになる「栄養外胚葉(TE)」の形態評価
つまり4BBは、十分に拡張した胚盤胞で、内部細胞塊と栄養外胚葉がともにB評価だった胚という意味です。
4BBは「良い胚」?それともグレードが低い?
4BBと聞いて、「AAではないから悪い胚なのでは?」と心配になる方もいます。
しかし、4BBだから妊娠できないということではありません。
胚盤胞の形態評価は、複数の胚がある場合に移植する順番を考えるための重要な情報のひとつです。一方で、あくまで顕微鏡で観察した胚の形態をもとにした評価です。
見た目がきれいな胚ほど妊娠・出産につながりやすい傾向はありますが、胚グレードだけで、その胚が妊娠するかどうかを確定することはできません。
また、胚の評価方法や基準には施設による違いもあります。そのため、別のクリニックで付けられた「4BB」を完全に同じ条件として比較できるとは限りません。
40代の4BB胚盤胞の妊娠率は何%?
「40歳の4BBなら何%」「42歳の4BBなら何%」という数字が知りたくなるところですが、年齢と4BBという情報だけから、その人の妊娠率を正確に計算することはできません。
特に区別したいのが、次の2つです。
- PGT-Aを行っていない4BB胚盤胞
- PGT-Aで正常胚と判定された4BB胚盤胞
同じ「4BB」でも、この2つでは意味合いが異なります。
PGT-Aをしていない4BBの場合
PGT-Aを行っていない胚では、胚盤胞の見た目から染色体数の状態を判断することはできません。
女性の年齢が上がるにつれて、採卵した卵子からできる胚に染色体数の異常がみられる割合は高くなる傾向があります。
そのため40代では、「4BBという形態評価」だけでなく、採卵時の年齢を含めて妊娠率を考える必要があります。
体外受精全体の年齢別妊娠率については、こちらの記事で詳しく解説しています。
PGT-A正常胚の4BBの場合
一方、PGT-Aを行い、染色体数について正常胚(euploid embryo)と判定された4BBの場合は、胚の形態だけで判断する場合とは少し考え方が変わります。
PGT-Aは、胚盤胞の栄養外胚葉の一部の細胞を採取し、主に染色体数の異常について調べる検査です。
そのため、PGT-A正常胚であれば、少なくとも検査した範囲では染色体数について移植候補となる胚と判断されています。
ただし、PGT-A正常胚=必ず妊娠する胚という意味ではありません。
PGT-Aですべての遺伝的異常や、胚の発育能力、子宮側の要因まで調べられるわけではないためです。
PGT-A正常胚なら胚グレードは関係ない?
「PGT-Aで正常なら、AAでもBBでも関係ないのでは?」という疑問もあります。
現在の研究では、PGT-A正常胚に限定した場合でも、胚盤胞の形態や胚盤胞になるまでの日数が妊娠・生児獲得の可能性と関連することが報告されています。
つまり、PGT-Aと胚盤胞グレードはどちらか一方だけを見るのではなく、異なる情報として考えることが大切です。
- 胚盤胞グレード:主に胚の見た目・発育状態を評価
- PGT-A:胚から採取した細胞を用いて主に染色体数を評価
4BBであってもPGT-A正常胚であれば移植候補になりますし、実際に妊娠・出産に至るケースがあります。
同じ4BBでもDay5とDay6で違う?
胚移植について調べていると、
「5日目4BB」
「6日目4BB」
という表記を見ることがあります。
これは受精から胚盤胞になるまでにかかった日数の違いです。
最近の胚評価に関する国際的なコンセンサスでも、胚盤胞を評価するときには、
- 胚盤胞になった日(Day5・Day6・Day7など)
- 胚盤胞の拡張度
- 内部細胞塊(ICM)の評価
- 栄養外胚葉(TE)の評価
を組み合わせて考えることが推奨されています。
複数の研究では、PGT-A正常胚に限定してもDay5胚盤胞の方がDay6胚盤胞より良好な成績となった報告があります。
ただし研究によって結果には違いがあり、Day6の4BBだから妊娠できないという意味ではありません。
移植できる胚がある場合は、「Day6だからダメ」と自己判断せず、胚の状態全体を見て担当医や培養士と相談することが大切です。
40代では「4BBかどうか」だけを気にしすぎなくて大丈夫
40代で体外受精を続けていると、採卵のたびに、
「今回はAAができなかった」
「またBBだった」
「もっと良いグレードでないと妊娠できないのでは」
と結果に一喜一憂してしまうことがあります。
しかし、胚盤胞グレードはあくまで妊娠可能性を考えるための情報のひとつです。
特に40代では、
- 採卵時の年齢
- 胚盤胞まで育ったか
- Day5・Day6など発育速度
- 胚盤胞の形態
- PGT-Aを行った場合はその結果
- これまでの移植歴や流産歴
- 子宮や子宮内膜の状態
などを総合して治療方針を考えることが重要です。
実際に40代・4BBの胚盤胞で妊娠されたケースもあります
当院でも、40代で4BBの胚盤胞を移植し、妊娠された患者様がいらっしゃいます。
43歳・AMH0.9・PGT-A正常胚4BBで妊娠
43歳の患者様は、AMH0.9の状態から複数回採卵を続け、胚盤胞をPGT-Aに提出。正常胚と判定された4BBの凍結融解胚盤胞を移植し、妊娠されました。
43歳(低AMH0.9)PGT-Aクリア胚・胚盤胞4BBの移植で妊娠
41歳・4BB胚盤胞移植で妊娠
当院の40代妊娠症例には、41歳で4BBの胚盤胞移植から妊娠された方もいらっしゃいます。
ただし、これらはあくまで個別の症例です。「40代の4BBなら同じように妊娠できる」という意味ではありません。
症例は妊娠率を示すデータではなく、「4BBでも妊娠に至るケースがある」という一例としてご覧ください。
PGT-Aは40代なら受けた方がいい?
PGT-Aについて「40代なら受けた方がいいのでしょうか?」と質問されることがあります。
日本産科婦人科学会では、2025年9月の細則改定で、PGT-Aの対象として「女性が高年齢の不妊症の夫婦」が追加され、現時点では35歳以上がひとつの目安とされています。
一方で、PGT-Aを行えばすべての方の最終的な出生率が上がると単純に考えられるものではありません。
PGT-Aを行うには胚盤胞まで育てる必要があり、検査費用もかかります。また、検査結果には正常胚・異数性胚だけでなく、モザイクなど判断が複雑になる場合もあります。
そのため、
- 年齢
- 採卵できる卵子数
- 胚盤胞まで育つ胚の数
- これまでの移植回数
- 流産歴
- 費用や治療方針
などを踏まえ、担当医や必要に応じて遺伝カウンセリングで相談することが大切です。
4BBを移植するときに自分でできることは?
移植する胚が決まると、「少しでも着床率を上げるために何かした方がいいのでは」と考える方もいると思います。
しかし、特定の食品を食べたり、移植後ずっと安静にしたりすることで、4BB胚盤胞の妊娠率が大きく上がると確立されているわけではありません。
まずはクリニックから処方されている薬を指示どおり使用し、普段の生活を大きく崩さず過ごすことが基本になります。
また、不妊治療が長くなると、睡眠不足や疲労、肩こり、冷え、ストレスなど身体の不調を抱えながら採卵・移植を続けている方も少なくありません。
当院では、体外受精そのものの代わりとしてではなく、不妊治療と並行した体調管理のひとつとして鍼灸を行っています。
4BBの胚盤胞でも妊娠できますか?
はい。4BBの胚盤胞から妊娠・出産に至る可能性はあります。4BBだから妊娠できないということではありません。ただし、妊娠の可能性は胚グレードだけでなく、年齢、胚の染色体状態、Day5・Day6などさまざまな要因によって異なります。
40代では4AAと4BBで大きく妊娠率が違いますか?
一般的には形態評価の高い胚が優先して移植されますが、年齢やPGT-Aの有無など条件が異なるため、4AAと4BBというグレードだけから個人の妊娠率の差を出すことはできません。4BBにも十分妊娠の可能性があります。
4BBなら良好胚ですか?
胚盤胞の評価基準は施設によって多少異なりますが、4BBは移植対象として扱われることの多い胚盤胞です。ただし、「良好胚」という分類の基準そのものも施設や研究によって異なるため、詳しくは治療を受けているクリニックの評価基準を確認してください。
PGT-A正常胚の4BBなら必ず着床しますか?
いいえ。PGT-A正常胚であっても必ず着床するわけではありません。PGT-Aは主に胚の染色体数について調べる検査であり、妊娠成立に関係するすべての要因を調べるものではありません。
Day6の4BBでも妊娠できますか?
はい。Day6の4BB胚盤胞から妊娠・出産に至ることもあります。研究ではDay5の方が良好な成績となる傾向を示した報告がありますが、Day6だから移植する意味がないということではありません。
40代ならPGT-Aを受けるべきですか?
年齢だけで一律に決めるものではありません。日本産科婦人科学会では高年齢の不妊症もPGT-Aの対象に含まれていますが、採卵数や胚盤胞数、これまでの治療歴などによってメリット・デメリットが異なります。担当医と相談して判断してください。
まとめ|40代の4BBはグレードだけで妊娠率を判断しない
4BBは、十分に拡張した胚盤胞で、内部細胞塊と栄養外胚葉がともにB評価だったことを示しています。
40代でも4BB胚盤胞から妊娠する可能性はあります。
一方、「40代・4BB」という情報だけで、その胚の妊娠率を何%と正確に判断することはできません。
特に40代では、
- 採卵時の年齢
- PGT-Aの有無と結果
- Day5・Day6など胚の発育速度
- 内部細胞塊・栄養外胚葉の評価
- これまでの治療歴
なども含めて考えることが大切です。
「BBだったからダメかもしれない」と胚グレードだけで悲観せず、今ある胚について担当医や培養士から説明を受けながら移植に進んでください。
📚参考文献
- American Society for Reproductive Medicine(ASRM):Embryo Data Grading & Evaluation ― Gardner Blastocyst Grading Scale
胚盤胞のGardner分類について参照。4BBの「4」は胚盤胞の拡張度、最初の「B」は内部細胞塊(ICM)、2つ目の「B」は栄養外胚葉(TE)の形態評価を示すことの根拠として引用。 - American Society for Reproductive Medicine(ASRM):The use of preimplantation genetic testing for aneuploidy(PGT-A): a committee opinion, 2024
PGT-Aの目的・限界について参照。PGT-Aは主に胚の染色体数の異常を調べる検査であり、正常胚と判定されても妊娠・出産が保証されるものではないことの根拠として引用。 - ESHRE:The Istanbul Consensus update ― Oocyte and embryo morphology assessment
胚盤胞の形態評価について参照。胚盤胞を評価する際には、胚盤胞になった日、拡張度、内部細胞塊(ICM)、栄養外胚葉(TE)などを組み合わせて評価することの根拠として引用。 - 日本産科婦人科学会:不妊症および不育症を対象とした着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)に関する資料
日本国内におけるPGT-Aの対象や実施に関する考え方について参照。PGT-Aは年齢だけで一律に実施を決める検査ではなく、治療歴や胚の状況などを踏まえて検討する必要があることの根拠として引用。 - Yin B, et al. Comparing Day 5 versus Day 6 euploid blastocyst in frozen embryo transfer and developing a predictive model for optimizing outcomes. Front Endocrinol. 2024.
PGT-A正常胚におけるDay5胚盤胞とDay6胚盤胞の移植成績の違いについて参照。胚盤胞になった日も妊娠・出産の可能性を考える際の要素のひとつであることの根拠として引用。
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この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
40代の採卵・胚移植と並行して身体を整えたい方へ
4BBなど胚盤胞のグレードを見て、「この胚で大丈夫かな」「次の移植に向けて何かできることはないかな」と不安になることもあると思います。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、不妊治療専門クリニックでの治療を大切にしながら、採卵や胚移植の時期、体調に合わせた鍼灸を行っています。
胚盤胞のグレードやPGT-Aの結果を鍼灸によって変えられると保証するものではありませんが、治療と並行した体調管理について「一度相談してみようかな」という方は、お気軽にご相談ください🍀








「4BBだった」と聞くと、もっと上のグレードでなければ妊娠できないのではないかと不安になることがあります。
しかし、胚グレードは妊娠を左右する情報のひとつであり、結果のすべてではありません。
特に40代では、胚の見た目だけを比較して一喜一憂するより、これまでの採卵・培養・移植結果を担当医と振り返りながら、次の治療方針を考えることが大切です。
当院でも、患者様の採卵や移植の予定を確認しながら、その時期の体調に合わせてサポートしています。