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出生月データから妊娠しやすい月は判断できる?季節と妊娠率を正しく読み解く

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「出生数が多い月から逆算すると、妊娠しやすい月が分かる」という情報を見たことはありませんか?

たとえば、8月生まれの赤ちゃんが多ければ、約9か月前の11月は妊娠しやすい月なのではないか、と考えたくなるかもしれません。

しかし、出生月のデータだけから「この月は妊娠しやすい」「この季節は着床しやすい」と判断することはできません。

人の妊娠や出生には季節による傾向が報告されていますが、出生数には妊娠期間の違い、妊活を始める人の数、生活環境、気温、日照時間、社会的な要因などが複雑に関係しています。

この記事では、出生月データから分かることと分からないこと、季節と妊娠率を考える際の注意点について、できるだけ分かりやすく解説します。

この記事の要点まとめ
  • 出生数が多い月を約9か月さかのぼっても、妊娠しやすい月とは断定できない
  • 出生統計は「生まれた赤ちゃん」のデータであり、妊娠を試みた人数や妊娠成立数を直接示すものではない
  • 排卵や受精の時期が分かっていても、出産までの期間には個人差がある
  • 妊娠や出生に季節性がみられる可能性はあるが、地域や年代によって傾向が異なる
  • 特定の季節を待って妊活や不妊治療を延期する必要はない

結論|出生月だけでは妊娠しやすい月を判断できません

厚生労働省の人口動態統計では、月別の出生数や出生率を確認できます。

月によって出生数に差がみられる年はありますが、それは「その約9か月前に、妊娠を希望した人が同じ人数だったにもかかわらず、妊娠率だけが高かった」ことを意味するものではありません。

出生数が多くなるまでには、次のような段階があります。

  • 妊娠を希望して性交や不妊治療を行う
  • 排卵・受精・着床が成立する
  • 妊娠が継続する
  • 出産に至る

出生統計で確認できるのは、主にこのうち「出産に至った数」です。

そのため、出生数が多い月を単純に約9か月さかのぼるだけでは、受精率、着床率、妊娠率のどれが高かったのかを区別できません。

出生月から単純に9か月逆算できない5つの理由

1.出生統計は妊娠成立数ではなく出生数のデータ

人口動態統計に記録される出生数は、実際に生まれた赤ちゃんの数です。

その月に妊娠を希望していた人の人数、タイミングを取った周期数、人工授精や体外受精を受けた人数などは、月別出生数からは分かりません。

また、妊娠が成立しても妊娠初期に流産となったケースは、出生数には含まれません。

したがって、出生数が少ない月についても、その約9か月前の受精や着床が少なかったとは限らないのです。

2.妊娠期間には個人差がある

一般的には「妊娠期間は約10か月」「受精から出産までは約9か月」と表現されますが、すべての赤ちゃんが同じ日数で生まれるわけではありません。

排卵日が確認できた自然妊娠を調べた研究でも、妊娠期間には一定の幅があることが報告されています。

予定日より早く生まれる場合もあれば、予定日を過ぎてから生まれる場合もあります。そのため、同じ日に受精したとしても、出生月が異なる可能性があります。

3.妊活を始める人の数が季節によって違う可能性がある

妊娠を希望する人が、年間を通して毎月まったく同じ人数とは限りません。

結婚、仕事、長期休暇、引っ越し、家族計画、不妊治療クリニックへの通院予定などによって、妊活を始める時期が変わることがあります。

実際に、北米とデンマークの妊娠希望者を対象にした研究では、妊娠を試み始める時期自体に季節差がみられました。

出生数が多い背景には、「妊娠率が高かった」だけでなく、「その時期に妊娠を希望した人が多かった」という可能性もあります。

4.月によって日数が異なる

1か月の日数は、28日から31日まで異なります。

仮に1日あたりの出生数が同じでも、31日ある月は、30日の月や2月より月間の出生数が多くなりやすくなります。

月ごとの出生数を比較する場合は、単純な人数だけでなく、月の日数や人口を考慮した出生率も確認する必要があります。

ただし、出生率を確認しても、妊娠を希望していた女性の人数や治療周期数を分母にしているわけではないため、個人の「妊娠しやすさ」を直接示す指標にはなりません。

5.気候だけでなく社会や生活環境も影響する

妊娠や出生の季節性には、気温や日照時間だけでなく、休暇、感染症、食生活、睡眠、性交頻度など、さまざまな要因が関係すると考えられています。

出生数の多い季節は、国や地域、年代によって異なることも報告されています。

そのため、海外の研究結果をそのまま現在の日本に当てはめたり、過去の出生データから将来の妊娠率を予測したりすることはできません。

季節によって妊娠しやすさが変わる可能性はある?

人の出生数に季節的な変動がみられること自体は、複数の疫学研究で報告されています。

北米とデンマークの妊娠希望者1万4,000人以上を調べた前向き研究では、妊娠を試み始める時期の違いを考慮したうえでも、1周期あたりの妊娠成立の可能性に小さな季節変動がみられました。

この研究では晩秋から初冬に高く、春に低い傾向が示されましたが、季節差の大きさは地域によって異なっていました。

ただし、この研究は主に北米とデンマークで、自然妊娠を希望していた人を対象としています。

日本で妊活をしているすべての方や、人工授精・体外受精を受けている方に、そのまま当てはめることはできません。

研究から言えるのは、「妊娠に関係する何らかの要因が季節によって変化する可能性がある」ということです。「秋なら妊娠できる」「春は妊娠しにくい」と個人の結果を予測できるわけではありません。

10月~12月は妊娠・着床しやすい月なの?

出生数の多い月から逆算し、10月から12月ごろを「妊娠・着床しやすい時期」と紹介する情報があります。

しかし、出生月からの単純な逆算だけでは、10月から12月の受精率や着床率が高いことの証明にはなりません。

研究によっては晩秋から初冬に妊娠成立の可能性がやや高かったという結果もありますが、地域差があり、原因も明確には分かっていません。

したがって、10月から12月を特別な「妊娠のベストシーズン」と考えたり、それ以外の月の妊活を諦めたりする必要はありません。

当院でお伝えしていること

当院でも、「秋まで待った方が妊娠しやすいですか?」「暑い時期の移植は避けた方がよいですか?」と相談されることがあります。

季節に関する研究は、体調管理を考える参考にはなりますが、治療の開始や採卵、胚移植を延期する根拠にはなりません。年齢、卵巣予備能、精液所見、子宮や卵管の状態、胚の状態、クリニックの治療計画などを優先して考えることが大切です。

宇都宮鍼灸良導絡院では、季節だけで判断するのではなく、月経周期、冷え、睡眠、食欲、ストレス、自律神経の状態などを確認し、その方の治療段階に合わせた身体づくりを一緒に考えています。

季節を待つより、今の身体と治療計画を大切に

妊活では、「少しでも妊娠しやすい時期を選びたい」と思うのは自然なことです。

しかし、特定の季節を待つことによる明確なメリットは確認されていません。

特に年齢や卵巣予備能、不妊期間などを考慮すると、季節を理由に検査や治療を何か月も延期することが、必ずしもよい選択とは限りません。

季節よりも、次のような要因を優先して考えましょう。

  • 女性と男性の年齢
  • 排卵の有無や月経周期
  • 卵管や子宮内の状態
  • 精子の数、運動率、形態
  • 不妊期間やこれまでの妊娠歴
  • 採卵や胚移植などの治療計画
  • 睡眠、食事、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣

季節の情報は「今の季節に起こりやすい体調変化を知るため」に活用し、妊娠できる月を選ぶためのものとは考えない方がよいでしょう。

東洋医学では季節をどのように考える?

東洋医学では、人の身体も気温、湿度、日照時間など、季節の変化から影響を受けると考えます。

たとえば、夏は暑さや冷房による疲労、秋は乾燥、冬は冷え、春は環境変化によるストレスなどが、体調に影響することがあります。

ただし、「秋は実りの季節だから人間も妊娠しやすい」と医学的に断定することはできません。

東洋医学の季節養生は、特定の季節なら妊娠できると考えるものではなく、季節によって変わりやすい冷え、胃腸の不調、睡眠、疲労、ストレスなどに合わせて生活を調整するための考え方として取り入れることが大切です。

妊活中に季節ごとに意識したいこと

進学、異動、転職など環境が変わりやすい季節です。生活時間が乱れている場合は、起床時間と就寝時間を大きくずらさないようにしましょう。

暑さを我慢する必要はありません。冷房を適切に使い、熱中症や睡眠不足を防ぎながら、冷風で身体を冷やしすぎないように調整しましょう。

夏の疲れが残り、寒暖差が大きくなりやすい時期です。食事と睡眠を確保し、急な冷え込みに対応できる衣服を準備しましょう。

寒さで活動量が減りやすい季節です。室内でのストレッチや軽い運動を取り入れ、無理のない範囲で身体を動かしましょう。

どの季節も、特別な方法を行うより、睡眠、食事、適度な運動、禁煙、医療機関の治療計画を継続することが基本です。

妊活の検査や受診を考えたい目安

「妊娠しやすい季節」を探し続けるより、妊娠に至らない原因がないかを確認した方がよい場合もあります。

一般的には、避妊をせず一定期間妊娠に至らない場合や、月経不順などがある場合は、産婦人科や不妊治療クリニックへの相談を検討します。

  • 月経周期が不規則、または月経が来ない
  • 強い月経痛や過多月経がある
  • 排卵しているか分からない
  • 子宮内膜症や子宮筋腫などを指摘されている
  • 流産を繰り返している
  • 男性側の精液検査を受けたことがない
  • 妊娠を希望して一定期間たっている

年齢や既往歴によっては、妊活を始めた早い段階で相談した方がよい場合があります。季節にかかわらず、気になる症状がある場合は医療機関に相談しましょう。

まとめ|出生月の多さを妊娠しやすさと結びつけないことが大切

出生月のデータには季節的な傾向がみられる場合がありますが、出生数が多い月を約9か月さかのぼるだけでは、妊娠しやすい月や着床しやすい月を判断できません。

出生統計は、妊娠を希望した人数やすべての妊娠成立を集計したものではなく、妊娠期間にも個人差があります。

また、妊娠・出生の季節性は地域や年代によって異なり、気候だけでなく生活習慣や社会的な要因も関係すると考えられています。

「今は妊娠しにくい季節かもしれない」と不安になりすぎず、必要な検査や治療を進めながら、今の季節に合わせた体調管理を続けることが大切です。

当院でよく受けるご相談

出生数が最も多い月の約9か月前は、妊娠しやすい月ですか?

出生数だけでは判断できません。妊娠を希望した人の人数、妊娠期間、妊娠初期の流産、地域や社会環境など、複数の要因が関係するためです。

秋まで妊活や不妊治療を待った方がよいですか?

季節を理由に待つ必要はありません。年齢、検査結果、不妊期間、卵子・精子・胚の状態、クリニックの治療計画を優先してください。

夏や冬に胚移植をすると妊娠率が下がりますか?

特定の季節だから必ず妊娠率が下がるとはいえません。体外受精の治療成績には、年齢、胚の染色体や発育状態、子宮内膜、移植方法など多くの要因が関係します。

季節の情報は妊活にどう活用すればよいですか?

妊娠できる月を予測するためではなく、その季節に起こりやすい暑さ、冷え、睡眠不足、食欲低下、ストレスなどへの対策を考えるために活用しましょう。

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📚参考文献

この記事の監修者

宇都宮泰子 監修者写真

院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)

FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)

  • 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
  • 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
  • 日本生殖医学会会員

不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。

※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。

妊娠しやすい季節より、今の身体に目を向けてみませんか?

出生月のデータだけで、妊娠しやすい時期や着床しやすい月を判断することはできません。「今の季節で大丈夫かな」と不安になりすぎず、ご自身の月経周期や睡眠、冷え、疲れ、ストレスなど、今の身体の状態を見つめることも大切です。

大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、妊活や不妊治療の状況を伺いながら、良導絡測定や東洋医学の視点も取り入れ、一人ひとりに合わせた身体づくりをサポートしています。

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