
妊活中のお酒はどこまで控える?女性・男性への影響と飲んでしまったときの考え方
妊活中に、
「お酒は一滴も飲んではいけないの?」
「排卵日に飲んでしまったけれど、妊娠に影響しない?」
「夫もお酒を控えた方がいい?」
と気になる方は少なくありません。
結論からお伝えすると、妊活中の飲酒については、妊娠中のように明確な「安全量」が決められているわけではありません。
女性の少量・中等量の飲酒が妊娠しやすさにどの程度影響するかは、研究によって結果が異なります。一方で、飲酒量や頻度が多い場合は、女性・男性ともに妊活への影響が懸念されるため、習慣的な飲酒は見直しておく方が安心です。
また、妊娠に気づく前から胎児の発育が始まっていることを考えると、妊娠の可能性がある時期は、できるだけ飲酒を控えることが基本になります。
この記事では、妊活中のお酒をどこまで控えればよいのか、女性・男性への影響、排卵後や不妊治療中の考え方、飲んでしまったときの対応について解説します。
- 妊活中の飲酒に、妊孕性の面で明確な「安全量」は設定されていません
- 女性の少量飲酒と妊娠しやすさの関係は、研究結果が一致していません
- 女性・男性ともに、習慣的な多量飲酒は避けた方がよいと考えられます
- 排卵後から生理予定日までは、妊娠の可能性を考えて控えると安心です
- 妊娠が分かった後は、種類や量を問わず飲酒をやめることが基本です
- 一度飲んでしまっただけで妊娠できない、胎児に必ず影響が出るという意味ではありません
妊活中のお酒は一滴も飲んではいけない?
妊活中の飲酒については、「少しでも飲めば不妊になる」と断定できる根拠はありません。
女性の飲酒と妊娠しやすさを調べた研究では、飲酒量が多いほど妊娠までに時間がかかったとする報告がある一方、少量の飲酒では明確な関連が認められなかった研究もあります。
そのため、妊活中に一度お酒を飲んだことだけで、卵子が傷ついた、妊娠できなくなったと考える必要はありません。
ただし、研究結果が一致していないからといって、どれだけ飲んでも問題がないという意味でもありません。
妊活中は、次のような飲み方を避けることが大切です。
- ほぼ毎日飲む
- 一度に酔うほど飲む
- 休肝日を設けず飲み続ける
- 寝酒として習慣化している
- 採卵・胚移植などの治療中も普段どおり飲む
完全にやめることが難しい場合も、まずは飲む回数と1回の量を減らし、妊娠の可能性がある時期は控えるという方法が現実的です。
女性の飲酒は妊活にどう影響する?
排卵や妊娠しやすさへの影響
女性の飲酒と排卵、妊娠率との関係については、現在も明確に結論が出ていません。
少量の飲酒では妊娠率への明らかな影響が認められなかった研究もありますが、飲酒量が多い女性では妊娠までに時間がかかる可能性を示した研究もあります。
大切なのは、「一度飲んだかどうか」だけで考えるのではなく、飲酒の頻度や量、睡眠、食事、体重、喫煙などを含めた生活習慣全体を見ることです。
排卵後から生理予定日までの飲酒
排卵後から生理予定日までは、受精や着床が起こる可能性のある時期です。
妊娠検査薬が陽性になる前でも妊娠が成立している可能性があるため、排卵後は飲酒を控えておくと安心です。
ただし、排卵日に少量飲んだ、妊娠に気づかず数回飲んだというだけで、妊娠できない、流産する、胎児に必ず問題が起こると決まるわけではありません。
排卵日前後の飲酒について詳しく知りたい方は、「排卵日に飲酒してしまったら?1回のお酒が排卵・受精に与える影響」も参考にしてください。
採卵・胚移植など不妊治療中の飲酒
体外受精や顕微授精における飲酒の影響については、十分な研究がそろっているとはいえません。
一部の観察研究では、治療前や治療中の飲酒と採卵数、妊娠率、流産率との関連が報告されていますが、飲酒だけが原因とは断定できません。
それでも、採卵や胚移植に向けて体調を整える時期には、あえて飲酒を続けるメリットは少ないと考えられます。
特に次の時期は、できるだけ控えるとよいでしょう。
- 排卵誘発や採卵周期に入っているとき
- 採卵前後
- 胚移植前後
- 排卵後から妊娠判定日まで
- クリニックから禁酒や飲酒制限を指示されているとき
使用している薬や治療内容によって注意点が異なるため、治療中は通院しているクリニックの指示を優先してください。
高温期の飲酒については、「高温期の飲酒は妊活に影響する?黄体期に気をつけたいこと」でも詳しく解説しています。
妊娠が分かった後は飲酒をやめる
妊娠中の飲酒については、安全と確認されている量や時期はありません。
アルコールは胎盤を通して胎児に届き、胎児の発育に影響する可能性があります。ビール、ワイン、日本酒、焼酎、缶チューハイなど、酒類による例外はありません。
「赤ワインなら身体によい」「少量なら安全」と考えず、妊娠が分かった時点で飲酒をやめることが基本です。
妊娠に気づく前に飲んでいた場合も、気づいた時点からやめることが大切です。飲んでしまったことを責め続けるのではなく、飲んだ時期やおおよその量を整理し、心配な場合は妊婦健診で医師に相談しましょう。
男性もお酒を控えた方がいい?
妊活というと女性の飲酒だけが注目されがちですが、男性の生活習慣も大切です。
慢性的な多量飲酒は、次のような精液所見や男性ホルモンとの関連が報告されています。
- 精子濃度の低下
- 精子運動率の低下
- 正常形態精子の割合の低下
- 精液量の減少
- テストステロン値の低下
- 性欲や性機能への影響
一方、少量・中等量の飲酒が男性の妊孕性にどの程度影響するかについては、明確な結論が出ていません。
そのため、男性も必ず一滴も飲んではいけないというより、毎日の飲酒や酔うほどの飲酒を避け、睡眠・食事・運動などと合わせて生活習慣を整えることが現実的です。
精子は一定の期間をかけてつくられるため、採卵や人工授精、体外受精の直前だけ控えるのではなく、数か月前から飲酒習慣を見直しておくとよいでしょう。
男性側の食生活については、「精子の質を上げる食事・下げる食事」も参考にしてください。
妊活中はどこまで控えるのが現実的?
妊活中の飲酒について、「この量までなら妊娠に影響しない」と保証できる基準はありません。
迷う場合は、次のように考えると整理しやすくなります。
女性の場合
- 妊娠を希望している期間は、飲酒の回数と量を減らす
- 排卵後から生理予定日までは、できるだけ飲まない
- 採卵・胚移植周期は、クリニックの指示に従って控える
- 妊娠が分かったら飲酒をやめる
- 酔うほどの飲酒や連日の飲酒は避ける
男性の場合
- 毎日の飲酒を見直し、飲まない日をつくる
- 一度に大量に飲まない
- 採卵や人工授精の直前だけでなく、数か月前から整える
- 睡眠不足、喫煙、肥満などほかの生活習慣も一緒に見直す
- 夫婦のどちらか一方だけに我慢を求めない
女性だけが禁酒し、男性は普段どおり飲むという形では、負担感が大きくなることがあります。
夫婦で一緒に飲まない日を決める、家ではアルコールを買い置きしないなど、二人で取り組める方法を考えてみましょう。
妊活中にお酒を飲んでしまったときの考え方
排卵日や高温期にお酒を飲んでしまうと、「今回の妊娠はもう無理かもしれない」と不安になる方がいます。
しかし、一度の飲酒だけで妊娠できなくなる、卵子や胚に必ず影響が出ると判断することはできません。
飲んでしまったときは、次のように対応しましょう。
- それ以上の飲酒は控える
- 水分をとり、通常の食事と睡眠を整える
- 飲んだ日、種類、おおよその量を確認しておく
- 妊娠が分かった場合は、必要に応じて医師へ伝える
- 自分を責めすぎず、今後の習慣を見直す
水をたくさん飲む、汗をかく、サプリメントを飲むといった方法で、すでに摂取したアルコールの影響を帳消しにすることはできません。
特別なことをするよりも、その後の飲酒を控え、通常どおり体調を整えて過ごすことが大切です。
排卵日や高温期にお酒を飲んでしまい、「今回の妊娠に影響したのでは」とご自身を責めてしまう方も少なくありません。当院では、一度の飲酒だけで判断せず、その後の過ごし方を整えることに目を向けていただくようお伝えしています。
飲酒後に特別なセルフケアで影響を取り消すことはできませんが、水分や食事を適度にとり、十分な睡眠を確保し、身体を極端に冷やしたり温めたりせず、心地よく過ごすことは大切です。当院では、良導絡測定や東洋医学的な体質の見方も取り入れながら、冷え、疲労、睡眠の乱れ、ストレスなど、妊活中に気になる体調を整理しています。妊娠が分かった後の飲酒や、飲酒量について不安が強い場合は、婦人科や通院中のクリニックにも相談しましょう。
お酒を無理なく減らすための工夫
お酒が習慣になっている方は、急に「今後は一滴も飲まない」と決めると負担を感じることがあります。
まずは、次のような続けやすい方法から始めてみましょう。
- 自宅にお酒を買い置きしない
- 飲む曜日を決め、飲まない日を増やす
- 最初の一杯を炭酸水やノンアルコール飲料にする
- 小さいグラスを使う
- 空腹で飲まない
- 夫婦で一緒に休肝日をつくる
- 会食では妊活中であることを無理に説明せず、体調管理中と伝える
ノンアルコール飲料を選ぶ場合は、表示を確認し、「アルコール0.00%」の商品を選ぶと安心です。
また、眠るためにお酒を飲んでいる場合は、飲酒量だけでなく睡眠の悩みへの対応も必要です。寝酒は眠りにつきやすく感じても、夜中に目が覚める、眠りが浅くなるなど、睡眠の質を下げることがあります。
まとめ
妊活中の飲酒について、少量でも必ず妊娠率が下がるとは断定できません。しかし、妊孕性に影響しないと保証された飲酒量も決まっていません。
女性・男性ともに、連日の飲酒や一度に酔うほどの飲酒は避け、妊活をきっかけに飲酒習慣を見直してみましょう。
特に女性は、排卵後から生理予定日まで、採卵・胚移植などの治療周期、妊娠が分かった後は飲酒を控えることが基本です。
もし飲んでしまっても、一度の飲酒だけで妊娠できないと決めつける必要はありません。自分を責めすぎず、その後の飲酒を控え、心配なことがあれば医師へ相談しましょう。
妊娠に気づく前に毎日飲んでいました。大丈夫でしょうか?
飲酒したからといって、必ず胎児に影響が出るわけではありません。まずは妊娠に気づいた時点から飲酒をやめましょう。飲酒した期間や量が心配な場合は、妊婦健診で医師に伝えてください。
排卵日に少量飲むと受精できなくなりますか?
排卵日に一度少量飲んだことだけで、受精できなくなるとはいえません。ただし、排卵後は妊娠が成立する可能性があるため、その後の飲酒は控えておくと安心です。
ビールより赤ワインの方が妊活によいですか?
赤ワインにはポリフェノールが含まれますが、アルコール飲料であることに変わりはありません。妊活や妊娠のために、赤ワインを積極的に飲む必要はありません。
男性も完全に禁酒する必要がありますか?
少量飲酒の影響は明確ではありませんが、習慣的な多量飲酒は精液所見や男性ホルモンに影響する可能性があります。まずは毎日の飲酒や一度に大量に飲む習慣を見直すことが大切です。
採卵前や胚移植後に少しなら飲んでもよいですか?
治療方針や使用している薬によって注意点が異なるため、通院しているクリニックの指示を優先してください。特に胚移植後から妊娠判定日までは、妊娠の可能性を考えて飲酒を控える方が安心です。
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📚参考文献
- American Society for Reproductive Medicine:Optimizing natural fertility: a committee opinion
女性・男性の飲酒と妊孕性に関する研究結果や、妊娠を希望する男女の生活習慣についてまとめた委員会見解です。 - Centers for Disease Control and Prevention:About Alcohol Use During Pregnancy
妊娠中の飲酒には安全と確認された量・時期・種類がないことや、妊娠判明前に飲酒した場合の考え方が示されています。 - 厚生労働省 e-ヘルスネット:胎児性アルコール・スペクトラム障害
妊娠中の飲酒による胎児への影響と、妊娠中は完全に飲酒をやめる必要性について解説されています。 - American Society for Reproductive Medicine:Recurrent implantation failure: a committee opinion
不妊治療と飲酒に関する研究の限界や、妊娠前の健康的な生活習慣についてまとめられています。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
妊活中のお酒や生活習慣が気になる方へ
妊活中にお酒を飲んでしまい、「今回の妊娠に影響しないかな」と不安になる方は少なくありません。一度の飲酒だけで必要以上にご自身を責めるのではなく、睡眠や食事、ストレス、冷えなどを含めて、今後の生活習慣を整えていくことが大切です。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、月経周期や不妊治療の状況を伺いながら、良導絡測定や東洋医学的な体質の見方を取り入れ、妊活中の体調管理をサポートしています。
鍼灸によって飲酒の影響を取り消せるわけではありませんが、疲れや睡眠の乱れ、冷え、ストレスなど、妊活中に気になる不調を一緒に整理することはできます。「生活習慣を見直したいけれど、何から始めればよいか分からない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください🍀








当院では、「妊活中はお酒を一滴も飲んではいけませんか」「夫にも禁酒してもらった方がよいですか」といったご相談をよく伺います。飲酒だけを切り取って考えるのではなく、月経周期や治療の段階、飲む量や頻度、睡眠、食事、ストレスなどを含めて、生活全体を無理なく見直すことが大切だとお伝えしています。
まずは連日の飲酒を避ける、排卵後や胚移植後は控える、夫婦で一緒に休肝日をつくるなど、続けやすい方法から始めてみましょう。不妊治療中で薬を使用している場合や、採卵・胚移植を控えている場合は、通院中のクリニックの指示を優先してください。