精液量が少ないと妊娠しにくい?精子の数との違いと男性不妊の検査
「最近、精液の量が少なくなった気がする」
「精液検査で1mLしかなかったけれど、自然妊娠できる?」
「精液量が少ないということは、精子の数も少ないの?」
妊活中の男性やご夫婦の中には、このような疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
精液量が以前より少なくなったように感じたり、精液検査で基準より少ないと言われたりすると、妊娠への影響が心配になるかもしれません。
結論からお伝えすると、精液量が少ないからといって、必ずしも精子の数が少ないとは限りません。また、精液量だけで自然妊娠できるかどうかを判断することもできません。
世界保健機関(WHO)の精液検査マニュアル第6版では、精液量の下限参考値は1.4mLとされています。
ただし、この値は妊娠できる男性と妊娠できない男性を分ける境界線ではありません。
精液量が少なくても精子が十分に含まれている場合がありますし、反対に、精液量が多くても精子の数や運動性に問題がある場合があります。
また、精液量が少なくなる原因には、禁欲期間や採精時の取りこぼしだけでなく、逆行性射精、精路の閉塞、ホルモンの問題などが関係する場合もあります。
この記事では、精液量と精子数の違い、WHOの参考値、精液量が少なくなる原因、男性不妊の検査、妊娠を目指すための考え方を詳しく解説します。
- WHO第6版における精液量の下限参考値は1.4mL
- 精液量が1mLでも、それだけで自然妊娠できないとは判断できない
- 精液量と精子濃度、総精子数はそれぞれ異なる項目
- 精液量が多くても、精子の数や運動率が良好とは限らない
- 禁欲期間や採精時の取りこぼしで、検査結果が変わることがある
- 逆行性射精、射精管の閉塞、ホルモンの問題などが原因になる場合もある
- 精液検査で異常があった場合は、必要に応じて再検査を行う
- 精液量が少ない状態が続く場合は、男性不妊を扱う泌尿器科へ相談する
精液量が少ないと妊娠しにくい?
精液量は、男性の生殖機能を評価するための項目の一つです。
ただし、精液量が少ないという結果だけで、妊娠の可能性を正確に予測することはできません。
妊娠には、精子の数や運動性、排卵時期、女性側の卵管や子宮の状態など、さまざまな要因が関わります。
精液量が少なくても自然妊娠できる場合はある
精液量が少ない場合でも、精子が十分に含まれ、運動性などに大きな問題がなければ、自然妊娠の可能性は残ります。
一方で、精液量の低下に加えて総精子数が少ない場合や、射精機能・精路の異常がある場合には、妊娠しにくさに関係する可能性があります。
重要なのは、精液量だけではなく、総精子数や精子運動率などを一緒に確認することです。
欧州泌尿器科学会(EAU)のガイドラインでも、精液検査の個々の数値だけで男性の妊娠させる力を判定することはできず、複数の項目とご夫婦の状況を合わせて評価する必要があるとされています。
精液量が多ければ妊娠しやすいわけではない
精液量が多いと、精子も多いように感じるかもしれません。
しかし、精液量の大部分は、精嚢や前立腺などから分泌される液体です。
精子そのものが精液の大部分を占めているわけではありません。
そのため、精液量が多くても精子濃度が低い場合や、精子の運動性に問題がある場合があります。
反対に、精液量が少なくても、精子濃度が高い場合があります。
精液量の正常値は何mL?WHOの基準を解説
精液検査では、精液量、精子濃度、総精子数、運動率などを確認します。
WHOの精液検査マニュアル第6版(2021年)では、妊娠が成立したカップルの男性の精液所見を基に、各項目の下位5パーセンタイル値が示されています。
これは、妊娠に至った男性の中でも数値が低い側に位置する値を示したものであり、不妊の診断基準そのものではありません。
WHO第6版の主な下限参考値
| 検査項目 | 下限参考値 |
|---|---|
| 精液量 | 1.4mL |
| 精子濃度 | 1mLあたり1,600万個 |
| 総精子数 | 1回の射精あたり3,900万個 |
| 総運動率 | 42% |
| 前進運動率 | 30% |
| 正常形態率 | 4% |
※WHO第6版の下位5パーセンタイル値です。これらの値を下回ったからといって不妊が確定するわけではなく、上回っていれば必ず妊娠できるという意味でもありません。
精液量1.4mL未満は少ない?
WHO第6版では、精液量1.4mLが下限参考値として示されています。
そのため、精液検査で1.0mLや0.8mLなどの結果だった場合は、参考値より少ない状態と考えられます。
ただし、精液量が少ない理由はさまざまです。
採精の条件による一時的な変化の場合もあれば、医学的な評価が必要な場合もあります。
1回の精液検査だけで妊娠の可能性を判断せず、採精条件や他の検査項目も確認することが大切です。
以前は1.5mLと聞いたけれど、基準が変わった?
以前のWHO第5版(2010年)では、精液量の下限参考値は1.5mLでした。
その後、2021年の第6版では1.4mLとなっています。
これは参考となる集団や解析結果に基づく変更であり、1.4mL以上であれば妊娠できる、1.4mL未満では妊娠できないという意味ではありません。
検査結果の説明で異なる参考値を見かけた場合は、どの基準が使用されているか確認するとよいでしょう。
精液量・精子濃度・総精子数の違いとは?
精液検査では、似たような名前の項目が並ぶため、違いが分かりにくい場合があります。
特に重要なのが、精液量、精子濃度、総精子数の3つです。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 精液量 | 1回の射精で出た精液全体の量 |
| 精子濃度 | 精液1mLに含まれる精子の数 |
| 総精子数 | 1回の射精で得られた精子全体の数 |
総精子数は、精液量と精子濃度から計算します。
総精子数=精液量(mL)×精子濃度(個/mL)
例1:精液量が1mLでも精子数が多い場合
例えば、精液検査で次のような結果だったとします。
- 精液量:1.0mL
- 精子濃度:1mLあたり5,000万個
- 総精子数:5,000万個
この場合、精液量はWHOの下限参考値より少ないものの、総精子数は3,900万個を上回っています。
ただし、総精子数だけで妊娠の可能性が十分と判断できるわけではありません。精子の運動性や形態なども確認する必要があります。
例2:精液量が3mLでも精子数が少ない場合
一方、次のような結果も考えられます。
- 精液量:3.0mL
- 精子濃度:1mLあたり1,000万個
- 総精子数:3,000万個
この場合、精液量は1.4mLを上回っていますが、精子濃度と総精子数はWHOの下限参考値より少ない結果です。
このように、精液の量と精子の数は必ずしも比例しません。
また、妊娠に関係する精子の状態を考える際には、運動している精子の数も重要になります。
検査結果を見るときは、精液量だけに注目せず、精子濃度、総精子数、運動率などを総合的に確認しましょう。
精液量が少なくなる原因は?
精液量が少なくなる原因には、一時的な採精条件によるものと、身体の状態が関係するものがあります。
一度だけ少なかった場合と、毎回少ない場合でも考え方が異なります。
1. 禁欲期間が短い
精液量は、最後に射精してからの時間によって変わる場合があります。
短い間隔で射精を繰り返した場合、1回あたりの精液量が少なくなることがあります。
WHOの精液検査マニュアルでは、標準的な検査条件として2〜7日の禁欲期間が示されています。
ただし、これは精液検査の条件をそろえるための目安です。
普段の妊活で必ず長期間禁欲する必要があるという意味ではありません。
また、人工授精や体外受精の採精では、医療機関が個別に禁欲期間を指定する場合があります。
検査や治療を受ける際は、通院先から指示された禁欲期間を優先してください。
2. 採精時に精液の一部を取りこぼした
精液検査では、射精した精液を専用の容器に採取します。
このとき、精液の一部が容器の外へ出てしまうことがあります。
取りこぼしがあると、実際の精液量より少なく測定されることがあります。
特に射精の最初の部分には精子が多く含まれるため、最初の部分を取りこぼした場合には、総精子数などの結果にも影響する可能性があります。
取りこぼしがあった場合は、恥ずかしがらずに検査担当者へ伝えてください。
その情報があることで、検査結果を適切に解釈しやすくなります。
3. 逆行性射精
逆行性射精とは、射精時に精液の一部または大部分が尿道から外へ出ず、膀胱の方へ流れてしまう状態です。
この場合、射精した感覚はあっても、外へ出る精液が少なくなったり、ほとんど出なくなったりすることがあります。
逆行性射精は、糖尿病による神経の障害や、前立腺・膀胱周辺の手術、特定の薬の使用などと関係する場合があります。
また、射精後の尿が白く濁ることもあります。
ただし、尿が濁っているからといって、必ず逆行性射精というわけではありません。
必要に応じて、泌尿器科で射精後の尿に精子が含まれているかなどを確認します。
4. 射精管の閉塞や精嚢の異常
精液には、精嚢や前立腺などから分泌される液体が含まれています。
精嚢から分泌された液体などが通る射精管に閉塞がある場合、精液量が少なくなることがあります。
また、生まれつき精嚢や精管の構造に特徴がある場合も、精液量や精子の状態に影響することがあります。
射精管の閉塞が疑われる場合は、精液量だけでなく、精子の有無、精液のpH、身体診察などを合わせて評価します。
特に、精液量が少なく、精液が酸性で、精子が確認できない場合には、精路の閉塞などが疑われることがあります。
ただし、精液量が少ないだけで射精管の閉塞と診断することはできません。
5. 男性ホルモンの問題
テストステロンなどの男性ホルモンは、精子形成や男性生殖器の働きに関係しています。
男性ホルモンの不足がある場合、精液量の低下や性欲の変化などがみられることがあります。
ただし、精液量が少ないことだけでテストステロン不足と判断することはできません。
必要に応じて、医師がホルモン検査などを検討します。
また、妊娠を希望している男性がテストステロン製剤を自己判断で使用すると、かえって精子形成が抑制される場合があります。
男性ホルモンの低下が気になる場合は、男性不妊を扱う泌尿器科へ相談してください。
6. 薬や病気、射精機能の問題
一部の薬や糖尿病、神経の病気、前立腺などの手術歴は、射精の仕組みに影響することがあります。
また、射精が途中でうまくいかない場合や、通常の射精が難しい場合にも、得られる精液量が少なくなることがあります。
薬の影響が疑われる場合でも、自己判断で処方薬を中止することは避けましょう。
現在使用している薬やこれまでの病歴を医師に伝え、必要な評価を受けることが大切です。
精液量が少ない場合、病院ではどのような検査をする?
精液量が少ない場合、まずは精液検査の結果と採精時の条件を確認することが基本です。
必要に応じて再検査や追加の診察が行われます。
1. 精液検査の再検査
精液検査の数値は、同じ人でも検査時期によって変動する場合があります。
そのため、初回の検査で精液量や精子数などが参考値より少なかった場合は、再検査を行うことがあります。
欧州泌尿器科学会(EAU)のガイドラインでも、初回の精液検査で異常があった場合は、少なくとも2回の検査結果による評価が勧められています。
再検査の時期は、最初の検査でどのような異常がみられたか、採精時に問題がなかったかなどによって異なります。
精子の形成には約2〜3か月かかることから、一定期間を空けて再検査する場合もあります。
一方、無精子症や精子数の著しい低下が疑われる場合などは、早期に再検査や専門的な評価が必要になることがあります。
2. 精液のpHや精子の有無を確認する
精液量が少ない場合、精液のpHや精子が確認できるかどうかも重要な情報です。
通常の精液は弱アルカリ性ですが、精嚢からの分泌液が十分に混ざらない場合などには、酸性に傾くことがあります。
精液量が少ないことに加え、精液が酸性で、精子が確認できない場合には、射精管の閉塞などを疑う手がかりになることがあります。
ただし、これらの検査結果だけで原因が確定するわけではありません。
3. 射精後の尿検査
逆行性射精が疑われる場合には、射精後の尿に精子が含まれているかを確認する検査が行われることがあります。
尿中の精子の有無だけでなく、射精の状況や病歴なども合わせて判断します。
射精時に精液がほとんど出ない、射精後に尿が濁るなどの症状がある場合は、医師に伝えておきましょう。
4. ホルモン検査
精液検査の結果や症状によっては、テストステロン、FSH、LHなどのホルモン検査が検討される場合があります。
これらのホルモンは精子形成や男性生殖機能に関係しています。
ただし、すべての男性に一律にホルモン検査が必要となるわけではありません。
精子数の異常、性欲低下、精巣の状態などを踏まえて判断されます。
5. 必要に応じた超音波検査
射精管の閉塞などが疑われる場合には、経直腸超音波検査や骨盤部のMRIなどが検討されることがあります。
また、精巣や精索静脈瘤の評価が必要な場合には、身体診察や陰嚢超音波検査などが行われることがあります。
ただし、精液量が少ない方全員に画像検査が必要というわけではありません。
検査の必要性は、症状や精液検査の結果を踏まえて医師が判断します。
精液量が少ない場合、自然妊娠・人工授精・体外受精はどう考える?
精液量が少ない場合でも、必ず体外受精や顕微授精が必要になるわけではありません。
治療方法を考える際には、精液量だけではなく、精子濃度、総精子数、運動率、女性側の年齢や不妊原因なども重要になります。
自然妊娠・タイミング法の場合
精液量が少なくても、十分な精子が含まれ、運動性に大きな問題がなければ、自然妊娠の可能性があります。
ただし、精液量が少ない原因として射精の異常や精路の閉塞などがある場合には、その評価が必要になることがあります。
タイミング法を続けるかどうかは、精液検査全体の結果と女性側の状態を踏まえて相談しましょう。
人工授精の場合
人工授精では、採取した精液を洗浄・濃縮して子宮内へ注入します。
そのため、射精した精液量だけではなく、実際に処理後に得られる運動精子の数などが重要です。
精液量が少なくても人工授精が可能な場合はあります。
一方で、総運動精子数が少ない場合などは、人工授精による妊娠の可能性が低くなる場合があります。
その場合は、治療回数や他の不妊原因などを踏まえて、体外受精・顕微授精を検討することがあります。
体外受精・顕微授精の場合
精子数が著しく少ない場合や、精子の運動性に大きな問題がある場合、他の不妊原因がある場合には、体外受精や顕微授精が検討されることがあります。
また、射精によって十分な精子を得られない場合には、原因によって専門的な精子回収法などが必要になる場合もあります。
精液量が1.4mL未満だから体外受精が必要、と一律に判断するものではありません。
ご夫婦それぞれの検査結果を踏まえて治療方法を考えることが大切です。
精液量を増やす方法はある?妊活中に見直したいこと
精液量が少ないと、「水をたくさん飲めば増える?」「サプリメントで改善できる?」「禁欲期間を長くすればよい?」と考える方もいらっしゃると思います。
しかし、精液量が少ない原因は人によって異なります。
特定の食べ物やサプリメント、水分摂取によって精液量を確実に増やし、妊娠率を高める方法は確立されていません。
1. 検査前の禁欲期間を守る
精液検査では、直前の射精間隔によって数値が変わることがあります。
そのため、検査前には指定された禁欲期間を守ることが大切です。
ただし、精液量を増やすために必要以上に長く禁欲すればよいというわけではありません。
禁欲期間が長くなることで精液量や精子数が増える場合がある一方、運動性などが変化する可能性もあります。
検査や人工授精のための採精では、医療機関の指示を優先しましょう。
2. 水分は不足しないようにする
日常生活で十分な水分を摂取することは、健康管理として大切です。
特に発汗が多い日や体調不良の際は、水分不足に注意しましょう。
ただし、水を大量に飲むことで精液量が必ず増えるという医学的根拠は十分ではありません。
無理に水分摂取量を増やすのではなく、通常の健康状態を維持できる範囲で補給しましょう。
3. 喫煙・過度な飲酒・生活習慣を見直す
喫煙や過度な飲酒、肥満などは、男性の生殖機能や精液所見と関連する可能性があります。
そのため、禁煙や適切な体重管理、無理のない運動などは、妊活中の基本的な健康管理として大切です。
ただし、これらを見直したからといって、精液量が必ず増えるわけではありません。
精液量が少ない原因として閉塞や逆行性射精などがある場合には、生活習慣だけで解決できないこともあります。
4. サプリメントだけで改善しようとしない
男性妊活向けのサプリメントには、亜鉛、セレン、抗酸化成分などが含まれているものがあります。
しかし、サプリメントによって精液量が確実に増える、妊娠率が高まるという効果は確立されていません。
また、必要以上の栄養素の摂取にはリスクがある場合もあります。
精液量の少なさが続く場合は、サプリメントの追加よりも、まず検査結果や原因を確認することが大切です。
5. 精液量が少ない状態が続く場合は専門医に相談する
禁欲期間や採精方法に問題がなくても、毎回のように精液量が少ない場合には、医学的な原因が関係している可能性があります。
特に、精液がほとんど出ない、射精時の痛みがある、血液が混ざる、急に射精の状態が変わったなどの場合は、早めに泌尿器科で相談しましょう。
原因に応じた検査や治療が必要になる場合があります。
精液量が少ない場合、鍼灸で改善できる?
男性不妊に対する鍼灸については、精子の数や運動性などを対象とした研究が行われています。
一方で、研究によって対象者や施術方法が異なり、十分な質の根拠がそろっているとはいえません。
特に、鍼灸によって精液量そのものを確実に増やしたり、自然妊娠率を高めたりできるという医学的根拠は確立されていません。
また、精液量が少ない原因が逆行性射精や射精管の閉塞などの場合には、泌尿器科での専門的な評価が必要です。
鍼灸は、必要な医学的検査や治療の代わりになるものではありません。
宇都宮鍼灸良導絡院では、男性妊活についても、睡眠、疲労、ストレス、冷え、身体の緊張などの状態を確認しながら、体調管理のサポートを行っています。
必要に応じて良導絡測定や東洋医学的な体質の見方も参考にしていますが、良導絡測定によって精液量や精子濃度、精子の運動率を測定することはできません。
また、精液量が少ないという結果だけで、男性不妊の原因を判断することもできません。
当院では、精液検査の結果や泌尿器科での診察を大切にしながら、日常生活で負担になっていることについて、補助的な体調管理を考えています。
男性妊活においても、検査結果の数字だけにとらわれず、ご夫婦で今後の治療方針を整理していただくことが大切だと考えています。
精液量が少ないとき、泌尿器科で確認したいこと
精液検査で精液量が少ないと言われた場合は、次のような内容を確認しておくと、今後の方針を考えやすくなります。
- 精液量以外に、精子濃度や総精子数にも問題があるか
- 総精子数や運動率を踏まえて、自然妊娠の可能性をどう考えるか
- 禁欲期間や採精方法が検査結果に影響していないか
- 再検査が必要か、いつ行うべきか
- 逆行性射精や射精管の閉塞などを疑う所見があるか
- ホルモン検査や超音波検査が必要か
- 使用している薬が精液量や射精機能に影響していないか
- タイミング法・人工授精・体外受精のどの方法が適しているか
検査結果を理解することで、必要な検査や治療について相談しやすくなります。
精液量が少ない原因が分からない場合でも、繰り返し検査を行うことや、他の項目を確認することで、次の方針を整理できることがあります。
Q1. 精液量が1mLしかありません。自然妊娠できますか?
精液量が1mLでも、自然妊娠の可能性がなくなるわけではありません。精液量だけではなく、総精子数や運動率、女性側の状態などを合わせて判断する必要があります。精液量が少ない状態が続く場合は、泌尿器科などで相談しましょう。
Q2. 精液量の正常値は何mLですか?
WHO第6版(2021年)では、精液量の下限参考値は1.4mLです。ただし、これは妊娠できる・できないを区別する値ではありません。精液検査では、精子濃度や総精子数、運動率なども含めて評価します。
Q3. 精液量が少ないと精子の数も少ないのでしょうか?
必ずしもそうではありません。精液量と精子濃度は異なる項目です。精液量が少なくても精子濃度が高ければ、総精子数が十分な場合があります。反対に、精液量が多くても精子濃度が低い場合があります。
Q4. 精液量が0.5mLしかない場合は病気ですか?
0.5mLはWHOの下限参考値より少ない量ですが、その数値だけで病気と診断することはできません。禁欲期間や採精時の取りこぼし、逆行性射精、射精管の閉塞など、さまざまな原因が考えられます。必要に応じて再検査や専門医の診察を受けましょう。
Q5. 精液量が以前より減った場合、加齢が原因でしょうか?
加齢によって精液の状態が変化する場合はありますが、精液量の低下を年齢だけで説明することはできません。禁欲期間、服用薬、病気、射精機能なども関係する可能性があります。急な変化や症状が続く場合は泌尿器科に相談しましょう。
Q6. 水をたくさん飲めば精液量は増えますか?
十分な水分摂取は健康管理として大切ですが、水を大量に飲めば精液量が確実に増えるという根拠は十分ではありません。精液量が少ない原因によっては医学的な評価が必要になるため、水分摂取だけで改善しようとしないことが大切です。
Q7. 禁欲期間を長くすれば精液量は増えますか?
禁欲期間が長くなることで1回の精液量が増える場合はあります。しかし、長期間禁欲すれば精子の状態や妊娠率が必ず改善するわけではありません。精液検査や人工授精の採精では、医療機関から指定された禁欲期間を守ってください。
Q8. 射精後に精液がほとんど出ない場合は逆行性射精ですか?
逆行性射精の可能性はありますが、それだけで判断することはできません。射精管の閉塞や射精機能の問題など、他の原因も考えられます。必要に応じて、射精後の尿検査などで確認します。
Q9. 精液量が少なくても人工授精はできますか?
精液量が少なくても、人工授精に使用できる精子が十分に得られれば、人工授精を検討できる場合があります。ただし、重要なのは精液量だけではなく、洗浄・濃縮後に得られる運動精子数などです。実施の可否は不妊治療クリニックで判断します。
Q10. 精液量が少ない場合、鍼灸で増やすことはできますか?
鍼灸によって精液量が確実に増えたり、妊娠率が高まったりするという十分な医学的根拠は確立されていません。精液量が少ない原因を確認するためには、精液検査や泌尿器科での評価が必要です。鍼灸は睡眠や疲労、ストレスなどに対する補助的な体調管理として検討できます。
まとめ|精液量だけで妊娠の可能性を判断しないことが大切
精液量が少ないと、精子の数も少ないのではないか、妊娠しにくいのではないかと心配になることがあると思います。
WHO第6版の精液量の下限参考値は1.4mLですが、この値だけで妊娠できるかどうかを判断することはできません。
精液量が少なくても総精子数や運動率に大きな問題がない場合がありますし、反対に、精液量が多くても精子の状態に問題がある場合があります。
また、精液量が少なくなる原因には、禁欲期間や採精時の取りこぼしなどの一時的な要因だけでなく、逆行性射精や精路の閉塞など、医学的な評価が必要なものもあります。
大切なのは、精液量だけに注目せず、総精子数や運動率などを確認し、必要に応じて再検査や専門医への相談を行うことです。
精液検査で参考値を下回ったからといって、それだけで今後の妊娠の可能性がなくなるわけではありません。
ご夫婦それぞれの検査結果を踏まえながら、無理のない方法で妊活を進めていきましょう。
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📚参考文献
- World Health Organization(WHO)|WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, 6th edition. 2021.
精液検査の標準的な検査方法、禁欲期間、精液量・精子濃度・総精子数などの評価方法について参考にしました。 - European Association of Urology(EAU)|Guidelines on Sexual and Reproductive Health: Male Infertility.
WHO第6版の精液量1.4mL、精子濃度1,600万個/mL、総精子数3,900万個などの下限参考値と、精液検査による男性不妊の評価について参考にしました。 - American Urological Association / American Society for Reproductive Medicine(AUA/ASRM)|Diagnosis and treatment of infertility in men: Guideline Part I.
精液検査の異常に対する評価、男性不妊の原因、精液量低下や射精管閉塞が疑われる場合の検査について参考にしました。 - Tsujimura A, et al.|Summary of the Clinical Practice Guidelines for Male Infertility by the Japanese Urological Association With the Support of the Japan Society for Reproductive Medicine. International Journal of Urology. 2025.
日本泌尿器科学会による男性不妊症診療ガイドラインの英語版要約です。男性不妊症の診断、射精障害、治療の考え方について参考にしました。 - Manchester University NHS Foundation Trust|Semen Analysis Reference Ranges.
WHO第6版に基づく精液検査の参考値と、検査結果を評価する際の測定上の注意点について参考にしました。 - Royal College of Pathologists of Australasia|Semen analysis fertility.
精液検査における禁欲期間、精液の全量採取、取りこぼしの申告、検体の取り扱いについて参考にしました。 - Mayo Clinic|Retrograde ejaculation: Diagnosis and treatment.
逆行性射精の診断、射精後の尿検査、原因に応じた治療について参考にしました。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、個別の診断や治療方針を示すものではありません。精液量の低下や射精の異常、男性不妊の検査・治療については、泌尿器科や不妊治療クリニックの主治医にご相談ください。
この記事の監修者

院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
精液検査の結果や男性妊活の体調管理でお悩みの方へ
「精液量が少ないと言われたけれど、何から始めればいい?」
「男性側も妊活に向けた体調管理を考えたい」
「夫婦で今後の治療方針を整理したい」
このようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃると思います。
精液量や精子の状態については、まず精液検査や男性不妊を扱う泌尿器科での確認が大切です。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、不妊治療クリニックでの治療方針を大切にしながら、男性・女性それぞれの妊活中の体調管理をサポートしています。
睡眠、疲労、冷え、ストレス、身体の緊張などのお悩みに合わせて、良導絡測定や東洋医学的な体質の見方も参考にしながら、お一人おひとりに合った無理のないケアを考えています。
鍼灸によって精液量の増加や妊娠率の向上を保証することはできませんが、不妊治療と並行した体調管理についてお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください🍀






妊活中に精液検査で「精液量が少ない」と言われると、精子の状態も悪いのではないかと不安になることがあると思います。
当院では、精液量と精子数は異なる項目であることや、精液検査の結果は採精条件によって変わる場合があることを大切な情報としてお伝えしています。
また、精液量が少ない原因には身体的な問題が関係する場合もあるため、必要に応じて男性不妊を扱う泌尿器科などで確認していただくことが重要です。
鍼灸や良導絡測定によって精液量や精子数を正確に評価することはできません。
不妊治療クリニックでの検査結果を大切にしながら、睡眠や疲労、ストレスなど、日常生活で気になることについて補助的な体調管理を一緒に考えていきます。