
不育症に鍼灸はできる?流産を繰り返した方へ|妊娠前からできる体調管理
不育症に鍼灸はできる?流産を繰り返した方へ|妊娠前からできる体調管理
妊娠したものの流産を経験し、さらにもう一度同じ経験をすると、
「また流産したらどうしよう」
「次の妊娠までに何かできることはないのかな」
「病院の検査や治療以外にも、身体のためにできることはある?」
と考える方は少なくありません。
不育症について調べるなかで、「不育症に鍼灸はいいの?」「流産後から鍼灸を受けても大丈夫?」と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最初に大切なことをお伝えすると、鍼灸によって不育症そのものが治る、流産を防げると断定できる十分な医学的根拠はありません。
不育症では、まず医療機関で必要な検査を受け、原因が見つかった場合には、その原因に応じた治療を受けることが基本です。
そのうえで鍼灸は、次の妊娠や不妊治療に向けて、睡眠、冷え、肩こり、腰痛、胃腸の不調、ストレスなどを含めた全身の体調管理をサポートする方法のひとつとして考えることができます。
この記事では、不育症と鍼灸の関係を中心に、次の妊娠に向けてどのように身体と向き合っていけばよいのかをわかりやすく解説します。
不育症とは?まず簡単に確認しましょう
不育症とは、妊娠することはできても、流産や死産を繰り返してしまう状態を指します。
日本では一般的に、流産または死産を2回以上経験している場合に、不育症という言葉が使われています。
また、自然流産を2回繰り返した場合を「反復流産」、3回以上繰り返した場合を「習慣流産」と呼びます。
不育症に関係する要因としては、
- 子宮の形態に関する異常
- 抗リン脂質抗体症候群などの自己免疫疾患
- 甲状腺機能などの内分泌異常
- 夫婦どちらかの染色体構造異常
- 胚の染色体異常
などが知られています。
一方で、必要な検査を行っても明確な原因が見つからない方もいらっしゃいます。
原因不明の不育症について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
不育症の原因がわからないと言われた方へ|検査で異常なしでも見直したい体づくり
不育症では、まず医療機関での検査・治療が基本です
流産を繰り返している場合、「身体を整えれば次は大丈夫なのでは」と考えたくなることもあると思います。
しかし、不育症では鍼灸やセルフケアだけで対応しようとせず、まず婦人科・不妊治療専門クリニックなどで必要な検査を受けることが大切です。
子宮の形態、抗リン脂質抗体、甲状腺機能、染色体など、不育症に関連する要因が見つかる場合があり、原因によって治療方針も異なります。
すでに不育症の治療として薬を処方されている場合も、自己判断で中止したり変更したりせず、主治医の指示に従いましょう。
鍼灸を受ける場合も、病院での検査や治療に置き換えるものではなく、医療機関での治療と並行した体調管理という位置づけが大切です。
不育症に鍼灸は何のために行うの?
では、不育症の方が鍼灸を受ける場合、何を目的にするのでしょうか。
当院では「流産を防ぐための施術」と考えるのではなく、妊娠前から身体全体のコンディションを整えていくことを大切にしています。
不妊治療や流産を経験された方のなかには、
- 手足の冷えが気になる
- 肩こりや首こりが強い
- 腰痛がある
- 眠りが浅い、夜中に目が覚める
- 疲れがなかなか取れない
- 胃腸の調子が安定しない
- 緊張やストレスが続いている
- 月経前後に体調が大きく変化する
といった、妊娠とは一見関係がないように見える不調を抱えている方もいます。
こうした不調があるから流産する、という意味ではありません。
ただ、次の妊娠や不妊治療に向けて過ごしていくうえでは、「妊娠できるか」だけを見るのではなく、睡眠や疲労、身体の緊張、日々の体調まで含めて整えていくことも大切です。
流産後、鍼灸はいつから受けられる?
流産後に「次の妊娠に向けて早く身体を整えたい」と考える方もいらっしゃいますが、流産直後は身体の回復を優先する必要があります。
特に、
- 出血が多い
- 強い腹痛がある
- 発熱している
- 体調が大きく崩れている
- 医師から安静を指示されている
といった場合は、鍼灸よりも医療機関への相談を優先してください。
自然流産だったのか、流産手術を受けたのか、薬による処置を行ったのかによっても身体の状態は異なります。
流産後の鍼灸を始める時期については、こちらの記事で詳しく解説しています。
流産後に鍼灸は受けても大丈夫?手術後いつから始められるか、妊活との関係を解説
次の妊娠までに見直したい5つの体調管理
流産を経験すると、「次こそは失敗しないように、できることは全部しなければ」と考えてしまうことがあります。
しかし、食事や運動、温活などを完璧に行ったからといって、流産を必ず防げるわけではありません。
大切なのは、自分を追い込むことではなく、毎日の体調を少しずつ整えていくことです。
1.睡眠を確保する
妊活中は検索や治療スケジュールが気になり、就寝時間が遅くなってしまう方もいます。
「何時までに寝なければ妊娠できない」と考える必要はありませんが、睡眠時間が極端に短くならないよう、まずは無理なく休める時間を確保してみましょう。
2.極端な食事制限をしない
「妊活にはこの食品がいい」「これは食べない方がいい」という情報はたくさんあります。
一つの食品だけに頼ったり、特定の食品を極端に避けたりするより、主食・主菜・副菜を意識しながら、日々の食事を整えていくことが基本です。
3.無理のない範囲で身体を動かす
長時間座ったままの生活が続いている場合は、散歩や軽いストレッチなど、身体を動かす時間を取り入れてみましょう。
ただし、不妊治療中や妊娠判定後は運動を控えた方がよい場合もあります。治療内容に応じて主治医の指示を確認してください。
4.冷えだけにとらわれず、身体全体を見る
妊活中は「身体を冷やしてはいけない」と考え、必要以上に温めてしまう方もいます。
冷えが気になる場合でも、厚着や温活だけを見るのではなく、睡眠不足、疲労、運動不足、食生活、肩こりなど、身体全体の状態を確認することが大切です。
5.心を休ませる時間をつくる
流産を経験した後は、次の妊娠を考えるだけで不安になったり、妊娠報告を聞くことがつらく感じたりすることもあります。
「前向きにならなければ」と無理をする必要はありません。
不育症では、身体だけではなく精神的なサポートも重要とされています。不安が強く日常生活にも影響している場合は、主治医や専門家へ相談することも選択肢です。
妊娠した後も鍼灸を続けていい?
不育症の方からよくいただく質問のひとつが、
「妊娠がわかったら鍼灸はやめた方がいいですか?」
というものです。
妊娠後も、その時の妊娠経過や体調を確認しながら施術を受けられる場合があります。
ただし、妊娠前と妊娠後では身体の状態が変化します。
出血、強い腹痛など気になる症状がある場合や、医師から安静を指示されている場合は、鍼灸を受ける前に産婦人科へ相談してください。
また、鍼灸を続けることで流産を予防できるという意味ではありません。
妊娠後は産婦人科での妊娠管理を第一にしながら、体調に合わせたサポートとして鍼灸を取り入れることが大切です。
不育症の方は、妊娠判定が陽性になっても「また流産するのではないか」と強い不安を感じることがあります。
当院では、妊娠したことだけをゴールと考えず、妊娠後も産婦人科での診察を優先しながら、その時の身体の状態に合わせて対応しています。
出血や腹痛などがある場合には、鍼灸院で判断するのではなく、まず主治医への相談をお願いしています。
不育症で鍼灸を考えている方へ
流産を経験すると、
「あのとき仕事をしすぎたから?」
「身体を冷やしたから?」
「もっと何かしていれば防げた?」
と、自分の行動に原因を探してしまうことがあります。
しかし、特に妊娠初期の流産では胚の染色体異常が関係するものも多く、生活のなかの一つの行動だけを原因と考えることはできません。
大切なのは、過去の自分を責めることではなく、必要な医学的検査や治療を受けながら、次の妊娠に向けて今できることを一つずつ確認していくことです。
鍼灸も、その選択肢のひとつです。
「不育症を鍼灸で治す」という考えではなく、妊娠や不妊治療を続けていく身体のコンディションを整えるために活用する、という考え方がよいでしょう。
この記事のまとめ
- 日本では流産・死産を2回以上経験している場合、不育症と考えられることがあります
- 不育症では、まず医療機関で必要な検査を受けることが大切です
- 原因が見つかった場合は、原因に応じた医学的治療が基本です
- 鍼灸で不育症を治したり、流産を必ず防いだりできるとは言えません
- 鍼灸は、睡眠・冷え・肩こり・腰痛・胃腸・ストレスなどを含めた体調管理のサポートとして活用できます
- 流産後や妊娠後に出血・腹痛などがある場合は、鍼灸より医療機関への相談を優先しましょう
- 次の妊娠に向けて、自分を追い込みすぎず一つずつ身体を整えていくことが大切です
よくある質問
不育症に鍼灸は効果がありますか?
現時点では、鍼灸によって不育症そのものを治療できる、流産率を下げられると断定できる十分な医学的根拠はありません。当院では、不育症治療の代わりではなく、冷え、睡眠、肩こり、腰痛、胃腸の不調、ストレスなどを含めた体調管理をサポートする目的で行っています。
流産後はいつから鍼灸を受けられますか?
流産の経過や処置内容、出血や腹痛の状態などによって異なります。出血が多い、強い腹痛や発熱がある、医師から安静を指示されている場合は、まず医療機関へ相談してください。
不育症の検査で異常なしでも鍼灸を受けられますか?
医師から施術を控えるような指示がなく、体調が安定していれば、妊娠前の体調管理として鍼灸を受けられる場合があります。ただし「検査で異常がない=鍼灸で原因を治療できる」という意味ではありません。
妊娠した後も鍼灸を続けられますか?
妊娠経過や体調を確認しながら受けられる場合があります。ただし、出血、強い腹痛などがある場合や医師から安静を指示されている場合は、産婦人科への相談を優先してください。
不育症の薬を飲みながら鍼灸を受けても大丈夫ですか?
薬の種類や妊娠経過によって状況が異なります。抗凝固療法などを受けている場合もありますので、施術を受ける際には現在使用している薬を必ずお伝えください。処方薬を自己判断で中止・変更せず、主治医の指示に従いましょう。
参考文献
- 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」
流産、反復流産・習慣流産、不育症のリスク因子について参考にしています。 - ESHRE Guideline on Recurrent Pregnancy Loss
反復流産の評価・管理に関する国際的なガイドラインです。 - 厚生労働省「健やか次世代育成総合研究事業」
不育症管理に関する研究・提言等の情報を確認する際に参考にしています。







不育症でお越しになる方からは、「妊娠できないこと」以上に、「妊娠した後が怖い」「妊娠判定が出ても素直に喜べない」というお話を伺うことがあります。
当院では、不育症そのものを鍼灸だけで治そうとするのではなく、クリニックでの検査や治療を大切にしながら、冷え、睡眠、肩こり、腰痛、胃腸の状態、ストレスなども含めて身体全体を確認します。
良導絡測定なども活用しながら、その時の体調に合わせて無理のない範囲で身体を整えていくことを大切にしています。