
妊活中はウォーキング・ジョギング・ランニングをしても大丈夫?
妊活をしていると、「運動した方が妊娠しやすくなるの?」「ジョギングやランニングはしても大丈夫?」と気になる方は多いのではないでしょうか。
結論からいうと、妊活中の運動は、無理のない範囲であれば体づくりのサポートになります。特にウォーキングのような中強度の有酸素運動は、血流の改善、体重管理、ストレスケア、睡眠リズムの安定などにつながりやすく、妊活中にも取り入れやすい運動です。
一方で、ジョギングやランニングは強度が高くなりやすいため、長時間・高頻度・疲労が残るほどの運動には注意が必要です。
運動は“やればやるほど良い”わけではありません。妊活中は、ホルモンバランスや月経周期に負担をかけない強度で続けることが大切です。
- 妊活中の運動は、無理のない範囲であれば血流・代謝・ストレスケアのサポートになります。
- 基本はウォーキングやブリスクウォーキングなど、会話ができる程度の中強度の運動がおすすめです。
- ジョギングやランニングは絶対に避ける必要はありませんが、長時間・高頻度・疲労が残るほどの運動は控えめにしましょう。
- 月経周期が乱れる、排卵が遅れる、疲労が抜けないなどの変化がある場合は、運動量を見直すサインです。
- 採卵周期や移植周期は、卵巣の腫れや体調に配慮し、通院中のクリニックの指示を優先することが大切です。


目次
妊活中の運動は「中強度」が目安
妊活中におすすめしやすいのは、息が少し弾むけれど会話はできる程度の運動です。これは「中強度の運動」とされ、ウォーキングの中でも少し速めに歩く「ブリスクウォーキング」が代表的です。
目安としては、歩きながら会話はできるけれど、歌うのは少し難しいくらいです。反対に、息が上がって会話が続かない場合は、運動強度が高くなりすぎている可能性があります。
成人の運動習慣としては、週150〜300分程度の中強度の有酸素運動が目安とされています。妊活中も、この範囲を参考にしながら、疲労感や月経周期の変化を見て調整していくとよいでしょう。
妊活中にウォーキングがおすすめされる理由
妊活中の運動として、まず取り入れやすいのがウォーキングです。特別な道具が必要なく、体力に合わせて時間や速度を調整しやすいため、運動習慣がない方でも始めやすい方法です。
血流や代謝のサポートにつながる
ウォーキングは全身の筋肉を使う有酸素運動です。下半身を動かすことで血流が促され、冷えやむくみが気になる方にも取り入れやすい運動といえます。
妊活において「子宮や卵巣の血流」は気になるポイントですが、ウォーキングだけで卵子の質や着床が直接改善すると断定することはできません。
ただし、体全体の循環や代謝を整える生活習慣のひとつとしては、無理なく続けやすい方法です。
ストレスケアや睡眠リズムにも役立つ
妊活中は、通院、検査、治療結果への不安などから、気持ちが張りつめやすい時期です。軽めの有酸素運動は、気分転換やストレスケアにも役立ちます。
また、日中に体を動かすことで睡眠リズムが整いやすくなる方もいます。妊活中は「頑張る運動」よりも、心と体を整える運動としてウォーキングを取り入れる意識がおすすめです。
ブリスクウォーキングとは?妊活中に取り入れやすい速歩き
ブリスクウォーキングとは、普通の散歩よりも少し速めに歩くウォーキングのことです。
だらだら歩くのではなく、背筋を伸ばし、腕を軽く振りながら、少し息が弾む程度で歩きます。
目安は、1回20〜40分程度です。最初から長く歩こうとせず、10分程度から始めても問題ありません。大切なのは、疲れすぎない範囲で継続することです。
ブリスクウォーキングの目安
- 会話はできるが、歌うのは難しい程度の速さ
- 1回20〜40分程度
- 週3〜5回を目安に無理なく続ける
- 疲れが残る場合は時間や頻度を減らす
- 月経周期が乱れる場合は強度を見直す
ミトコンウォークは妊活に効果がある?
近年、「ミトコンウォーク」という言葉を耳にすることがあります。
これは医学的に統一された正式な運動療法名というよりも、ミトコンドリアの働きに注目したウォーキング法として紹介されることが多い言葉です。
ミトコンドリアは、細胞の中でエネルギーを作る重要な器官です。卵子にもミトコンドリアが多く存在し、卵子の成熟や受精後の発育に関わると考えられています。
ただし、「この歩き方をすれば卵子の質が必ず良くなる」と断定することはできません。妊活中には、ミトコンドリアを直接改善する方法としてではなく、体力・代謝・血流を整えるための運動習慣として取り入れるのが現実的です。
妊活中に取り入れやすいインターバル速歩
ミトコンウォークに近い考え方として、速歩きとゆっくり歩きを交互に行う「インターバル速歩」があります。
- 速歩き:3分
- ゆっくり歩き:2分
- これを4〜6セット繰り返す
- 合計20〜30分程度を目安にする
- 週2〜3回程度から始める
速歩きの時間は、少し息が弾む程度で十分です。息が切れて苦しくなるほど頑張る必要はありません。
妊活中は「追い込む運動」よりも、「心地よく続けられる運動」を優先しましょう。
妊活中のジョギングはしてもいい?
妊活中にジョギングをしてもよいのか不安に感じる方もいると思います。
もともとジョギング習慣があり、月経周期が安定していて、疲労が残らない範囲であれば、軽めのジョギングを続けても問題ないことが多いです。
ただし、妊活のために急にジョギングを始めたり、体重を落とす目的で長時間走り込んだりすることはおすすめしません。
急な運動量の増加は、体にとってストレスになり、疲労やエネルギー不足につながることがあります。
ジョギングをする場合の目安
- 息が上がりすぎないペースにする
- 1回10〜20分程度から始める
- 週2〜3回程度までにする
- 疲れが残る日はウォーキングに変更する
- 月経周期が乱れた場合は中止または軽減する
「走らないと妊娠しにくい」ということはありません。妊活中は、ジョギングよりもウォーキングを基本にして、体調が良い日に軽く走る程度で十分です。
妊活中のランニングはやりすぎに注意
ランニングは、血流促進やストレス解消に役立つ一方で、ジョギングよりも運動強度が高くなりやすい運動です。
特に、長距離ランニングやスピードを上げたトレーニングを頻繁に行っている場合は注意が必要です。
運動量が多すぎる状態で食事量が不足すると、体がエネルギー不足になり、月経不順や排卵障害につながることがあります。
これは低エネルギー利用可能性やRED-Sと呼ばれる考え方とも関係します。
また、体外受精に関する研究では、過去に週4時間以上の運動を継続していた女性で、治療成績に不利な傾向がみられたという報告もあります。
ただし、すべての方に当てはまるわけではなく、運動の種類、体格、食事量、治療状況によって影響は異なります。
そのため、妊活中のランニングは「絶対にダメ」ではありませんが、妊娠を目指す時期は、追い込むような走り方よりも、ウォーキング中心に切り替える方が安心です。
ウォーキング・ジョギング・ランニングの使い分け
妊活中は、運動の種類よりも「強度」と「疲労の残り方」が大切です。以下を目安に、自分の体調に合わせて調整しましょう。
ウォーキングがおすすめの方
- 運動習慣があまりない方
- 冷えやむくみが気になる方
- 体外受精や人工授精の治療中の方
- 移植前後で体に負担をかけたくない方
- ストレスや睡眠の乱れが気になる方
軽いジョギングならよい方
- 以前から走る習慣がある方
- 月経周期が安定している方
- 走った後に疲労が残らない方
- 体重減少や食事制限をしていない方
ランニングを控えめにした方がよい方
- 月経周期が乱れやすい方
- 排卵が不安定な方
- BMIが低めの方
- 食事制限をしている方
- 疲労感が強い方
- 体外受精の採卵・移植周期に入っている方
採卵周期・移植周期の運動はどう考える?
体外受精を受けている方は、採卵周期や移植周期の運動についても気になると思います。
採卵周期は、卵巣が腫れやすくなることがあります。そのため、ランニングやジャンプを伴う運動、腹圧が強くかかる運動は控えた方が安心です。
ウォーキング程度であっても、腹部の張りや痛みがある場合は無理をしないようにしましょう。
移植後についても、日常生活程度の歩行は問題ないことが多いですが、激しい運動をあえて行う必要はありません。
移植後は「安静にしすぎる必要はないけれど、頑張って運動する時期でもない」と考えるとよいでしょう。
治療中の運動制限は、卵巣の状態や治療内容によって異なります。採卵前後、移植前後、出血や腹痛がある場合は、必ず通院中のクリニックの指示を優先してください。
妊活中の運動で注意したいサイン
妊活中の運動は、体調に合わせて調整することが大切です。次のような変化がある場合は、運動量や強度が合っていない可能性があります。
- 月経周期が乱れてきた
- 排卵が遅れやすくなった
- 生理の量が極端に少なくなった
- 疲労感が抜けにくい
- 体重が急に減った
- 眠りが浅くなった
- 運動しないと不安になる
このようなサインがある場合は、ランニングやジョギングを一度控え、ウォーキング中心に戻すことをおすすめします。必要に応じて、医師や専門家に相談しましょう。
妊活中におすすめの運動プラン
妊活中は、以下のような運動プランを目安にすると、無理なく続けやすくなります。
運動習慣がない方
- 1日10〜20分のウォーキングから始める
- 週3回を目標にする
- 慣れてきたら少しずつ時間を増やす
体を動かす習慣がある方
- ブリスクウォーキングを1日20〜40分
- 週3〜5回を目安にする
- 週2〜3回、インターバル速歩を取り入れる
走る習慣がある方
- ランニングよりも軽いジョギング中心にする
- 1回10〜20分程度に抑える
- 疲れが残る日はウォーキングに切り替える
- 採卵周期・移植周期はクリニックの指示を優先する
運動後は呼吸を整えることも大切
妊活中の運動では、動いた後に体をリラックスモードへ戻すことも大切です。
ウォーキングやジョギングの後は、急に止まらず、数分かけてゆっくり歩きながらクールダウンしましょう。
その後、鼻からゆっくり吸って、口から細く長く吐く呼吸を数分行うのもおすすめです。ゆっくりした呼吸は、自律神経を整えるサポートになると考えられています。
運動は、体を鍛えるためだけでなく、緊張をゆるめる時間にもなります。妊活中は「頑張る時間」と「ゆるめる時間」の両方を大切にしましょう。
まとめ|妊活中はウォーキングを基本に、ランニングは控えめに
妊活中の運動は、妊娠しやすい体づくりを支える生活習慣のひとつです。ただし、運動を頑張りすぎると、かえってホルモンバランスや月経周期に負担がかかることがあります。
妊活中は、まずウォーキングやブリスクウォーキングを基本にしましょう。ジョギングやランニングを行う場合は、疲れが残らない範囲で軽めに取り入れることが大切です。
特に、月経周期が乱れやすい方、体外受精の採卵・移植周期に入っている方、食事制限をしている方は、ランニングよりもウォーキング中心の運動がおすすめです。
「どれくらい運動すればよいか」よりも、「今の体にとって心地よいか」を大切にしながら、無理のない妊活の体づくりを続けていきましょう。
Q1. 妊活中は毎日ウォーキングした方がいいですか?
毎日必ず歩かなければいけないわけではありません。まずは週3回、1回10〜20分程度から始めても十分です。慣れてきたら、1回20〜40分程度を目安に増やしていくとよいでしょう。大切なのは、疲れすぎない範囲で続けることです。
Q2. 妊活中にジョギングをすると妊娠しにくくなりますか?
軽いジョギングをしたからといって、すぐに妊娠しにくくなるわけではありません。もともと走る習慣があり、月経周期が安定していて、疲労が残らない範囲であれば問題ないことが多いです。ただし、妊活のために急に走り始めたり、長時間走り込んだりすることは避けた方が安心です。
Q3. ランニングは妊活中にやめた方がいいですか?
ランニングを必ずやめる必要はありません。ただし、息が上がるほどの強いランニングや、長距離・高頻度のトレーニングは、体に負担がかかる場合があります。妊活中はランニングよりもウォーキングを基本にし、走る場合も軽めのジョギング程度に調整するのがおすすめです。
Q4. 排卵日前後や高温期に運動しても大丈夫ですか?
日常生活の範囲で行うウォーキング程度であれば、過度に心配しすぎる必要はありません。ただし、腹痛、出血、強い疲労感がある場合や、体外受精などの治療周期に入っている場合は、無理をせず医師の指示を優先しましょう。高温期は、体を追い込む運動よりも、軽く歩く程度が安心です。
Q5. 体外受精の採卵前や移植後はウォーキングしてもいいですか?
採卵前は卵巣が腫れやすくなることがあるため、ランニングやジャンプを伴う運動は控えた方が安心です。ウォーキング程度でも、お腹の張りや痛みがある場合は無理をしないようにしましょう。移植後は、日常生活程度の歩行は問題ないことが多いですが、激しい運動をあえて行う必要はありません。治療中は、通院先のクリニックの指示を優先してください。
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📚参考文献
- World Health Organization. Physical activity.
- Centers for Disease Control and Prevention. Measuring Physical Activity Intensity.
- American College of Obstetricians and Gynecologists. Physical Activity and Exercise During Pregnancy and the Postpartum Period. 2020.
- Mussawar M, Balsom AA, Totosy de Zepetnek JO. The effect of physical activity on fertility: a mini-review. 2023.
- Wise LA, Rothman KJ, Mikkelsen EM, et al. A prospective cohort study of physical activity and time to pregnancy. Fertility and Sterility. 2012.
- Morris SN, Missmer SA, Cramer DW, Powers RD, McShane PM, Hornstein MD. Effects of lifetime exercise on the outcome of in vitro fertilization. Obstetrics & Gynecology. 2006.
- Laborde S, Allen MS, Borges U, et al. Effects of voluntary slow breathing on heart rate and heart rate variability: A systematic review and meta-analysis. Neuroscience & Biobehavioral Reviews. 2022.
- Wise LA, Rothman KJ, Mikkelsen EM, et al. A prospective cohort study of physical activity and time to pregnancy. Fertility and Sterility. 2012.
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
妊活中の運動に迷ったら、体の状態に合わせたケアを
妊活中のウォーキングやジョギング、ランニングは、無理のない範囲であれば体づくりのサポートになります。
一方で、「どのくらい動いていいのかわからない」「運動すると排卵や着床に影響しないか不安」「体外受精の周期に入っていて、運動量の加減が難しい」と感じる方も少なくありません。
宇都宮鍼灸良導絡院では、妊活中の体調や月経周期、不妊治療のスケジュールに合わせて、鍼灸や良導絡測定を通じた体づくりをサポートしています。
運動を頑張ることだけが妊活ではありません。疲れや冷え、ストレスを感じやすい方は、まずご自身の体の状態を整えることから始めてみるのも一つの方法です。
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