
41歳・3BC胚盤胞で妊娠できた症例|PGT-A正常胚、7回目の移植
大阪からお越しのKさん(41歳)が体外受精で妊娠されました。
3BCの胚盤胞でも、妊娠・出産に至る可能性はあります。Kさんは子宮筋腫の手術や複数回の胚移植を経験された後、PGT-Aで正常胚と判定された「3BC」の胚盤胞を7回目の移植で戻し、陽性反応となりました。
胚盤胞のグレードは妊娠の可能性を考える材料の一つですが、グレードだけで妊娠できる・できないが決まるわけではありません。この記事ではKさんの治療経過とともに、「3BCとはどのような胚盤胞なのか」「3BCの妊娠率をどう考えればよいのか」についても解説します。
※この記事は一患者様の治療経過をご紹介する症例です。同じ年齢・胚盤胞グレード・治療歴であっても同じ結果になることを保証するものではありません。
3BC胚盤胞でも妊娠できる?41歳Kさんの症例
子宮筋腫があり、不妊治療を続けていたKさんが当院にお越しになったのは2022年5月でした。すでに2〜3年の不妊期間を経ており、当時41歳。ご主人(44歳)とともに大阪の総合病院で顕微授精に進んでいました。
初診時の主な状況
- 年齢・不妊期間:41歳、不妊期間2〜3年
- 既往歴:子宮筋腫(3cm〜10cmの大きさが複数あり、2022年12月に手術)
- 月経周期:26〜28日(規則的)、期間7日、経血は暗赤色
- 不定愁訴:肩こり、腰痛、冷え性、頭痛、気圧や天候による体調不良
- 生活習慣:睡眠7〜8時間、自炊中心、週3日缶ビール1本、温活・ウォーキング・白湯を実践
- 服用サプリ:VB、VC、葉酸、亜鉛
- 体外受精の状況:ショート法で採卵済み。初期胚1個、胚盤胞5個を凍結。妊娠継続の経験なし。
Kさんは、移植に向けた体調管理を目的に当院での鍼灸を希望されました。
当院では、肩こり・腰痛・冷えなどの体調も確認しながら、採卵周期・移植周期など治療の段階に合わせて週1回程度の鍼灸を継続しました。鍼灸は不妊治療そのものに代わるものではなく、治療期間中の体調管理を支える方法の一つとして行っています。
2022年5月:初めての陽性反応
鍼灸を開始した時期に、初めての凍結融解胚盤胞移植を実施しました。
結果は陽性反応でしたが、hCG値は2桁台と低く、その後妊娠継続には至りませんでした。
Kさんにとっては、それまで移植をしても陽性反応がみられなかった中で初めての反応でした。ただし、一つの症例だけから鍼灸と着床との因果関係を判断することはできません。
2023年5月:その後3回の移植を行うも陰性
その後、新型コロナウイルス感染症の影響で鍼灸を一時お休みされました。その間にKさんは同じ総合病院で3回の胚移植を行いましたが、結果はいずれも陰性でした。
Kさんは、移植を繰り返しても妊娠継続に至らない状況について、「このまま同じ治療を続けてよいのだろうか」「追加の検査や別の治療方針も相談した方がよいのでは」と不安を感じるようになっていました。
当院でもお話を伺い、不妊治療専門クリニックへの転院を含めて、主治医と治療方針を改めて相談することになりました。
2023年7月:5回目の移植後に転院
同総合病院で行った5回目の胚盤胞移植ではhCG値54と低値の陽性反応がみられましたが、妊娠継続には至りませんでした。
その後、Kさんは不妊治療専門クリニックへ転院されました。
転院後の採卵では胚盤胞7個を凍結し、PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)を受けました。Kさんの場合は、正常胚6個、モザイク胚1個という結果だったと伺っています。
PGT-Aは胚の染色体数を調べる検査ですが、「正常胚」と判定された胚であっても妊娠や出産が保証されるわけではありません。また、胚盤胞の形態グレードとPGT-Aの結果は、それぞれ異なる情報を評価しています。
2024年4月:6回目の移植も妊娠継続には至らず
PGT-Aで正常胚と判定された胚盤胞の凍結融解胚移植が行われました。
判定時のhCG値は28.8と低値の陽性反応でしたが、その後妊娠継続には至らず、化学流産となりました。
2024年9月:7回目、3BC胚盤胞の移植で妊娠
そして迎えた2024年9月。PGT-Aで正常胚と判定されていた3BCの胚盤胞を用いて7回目の凍結融解胚移植を行いました。
Kさんは「これで最後と思い、あまり期待していなかった」とお話しされていました。
結果はhCG値1600で陽性反応。7回目の移植で妊娠されました。
アンケートをご記入いただいた時点では妊娠15週を迎え、当院でも妊娠中の体調に合わせたマタニティ鍼灸を受けられていました。
Kさん、本当におめでとうございます。長い治療期間を経て迎えられた妊娠を、私たちもとても嬉しく思います。
3BC胚盤胞とは?グレードの意味
「3BC」という表記は、胚盤胞の形態を評価するGardner(ガードナー)分類などで使われる表現です。
- 3:胚盤胞腔が広がり、胚全体を満たしている段階
- B:内部細胞塊(ICM・将来胎児になる部分)の形態評価
- C:栄養外胚葉(TE・将来胎盤などになる部分)の形態評価
一般的にはA、B、Cの順で形態評価が高く、「3BC」は栄養外胚葉がC評価であることから、形態上は良好胚より評価が低くなることがあります。
ただし、これはあくまで顕微鏡で見た形態の評価です。「3BCだから妊娠できない」という意味ではありません。
3BC胚盤胞の妊娠率はどのくらい?
「3BC 胚盤胞 妊娠率」と検索すると具体的な数字が紹介されていることがありますが、3BCの妊娠率をすべての方に共通する一つの数字で示すことは難しいと考えた方がよいでしょう。
胚移植の結果には、胚盤胞の形態だけでなく、次のような条件が関係します。
- PGT-Aを行っているか、行っていないか
- 胚の染色体の状態
- 採卵時の年齢
- Day5・Day6など胚盤胞になった時期
- 子宮内膜や子宮の状態
- 移植方法や治療条件
- 施設ごとの胚盤胞評価基準
研究では、PGT-Aで正常胚と判定された胚盤胞だけを比較しても、形態評価の良い胚の方が妊娠・出生につながりやすい傾向が報告されています。
一方で、形態評価が低い正常胚から妊娠・出産に至った例も報告されています。そのため、「Cが含まれているから移植しても意味がない」と考える必要はありません。
今回のKさんも、PGT-Aで正常胚と判定された3BCの胚盤胞を移植し、妊娠されました。
PGT-A正常胚ならグレードは関係ない?
PGT-Aと胚盤胞グレードは別のものを評価しています。
PGT-Aは採取した細胞から主に染色体数を評価する検査で、胚盤胞グレードは顕微鏡で胚の形や発育状態を評価します。
PGT-Aで正常胚と判定されていても妊娠が保証されるわけではなく、形態や発育日数なども移植する胚を選ぶ際の情報として用いられています。
一方、「3BCだから可能性がない」と判断することも適切ではありません。手元にある胚の数やPGT-A結果、これまでの治療歴などを含め、主治医や培養士と相談することが大切です。
Kさんの経過から参考にできる4つのポイント
1.一度の移植結果だけでは判断できないこともあります
Kさんは複数回の移植で陰性や化学流産を経験しました。
胚移植の結果にはさまざまな要因が関係するため、一度の結果だけから原因を特定できるとは限りません。移植を繰り返している場合は、これまでの治療内容を整理し、必要に応じて今後の方針を主治医と相談することが大切です。
2.治療方針に疑問があるときは相談する
Kさんは、移植を繰り返す中で現在の治療方針に疑問を感じ、不妊治療専門クリニックへ転院しました。
必ずしも転院すれば結果が良くなるわけではありませんが、「なぜこの治療を続けるのか」「他に検討できる方法はあるのか」を納得できるまで確認することは大切です。
3.鍼灸は治療期間中の体調管理の一つとして
Kさんは治療期間中、鍼灸のほか、自宅灸、ウォーキング、ストレッチなどを続けていました。
当院では、妊娠率を保証することを目的とするのではなく、肩こり・腰痛・冷え感などその時々の不調を確認しながら、不妊治療を続ける期間の体調管理をサポートしています。
不妊治療の方針やPGT-A、胚移植の判断については主治医と相談しながら進めていただくことが大切です。
4.妊活から少し離れる時間も大切に
Kさんは7回目の移植前に旅行へ行き、妊活から少し離れてリフレッシュする時間を作られたそうです。
旅行やリラックスによって妊娠率が上がると断定することはできませんが、長く続く不妊治療では、心身ともに疲れてしまうことがあります。無理なく続けるために、ご自身が休める時間を持つことも大切です。
3BCの胚盤胞でも妊娠できますか?
はい。3BCでも妊娠・出産に至る可能性があります。グレードは妊娠の可能性を考える材料の一つですが、それだけで結果が決まるわけではありません。
3BCの妊娠率は何%ですか?
年齢、PGT-Aの有無、Day5・Day6、施設の評価基準などによって条件が異なるため、「3BCなら一律○%」と示すことは困難です。ご自身の胚については主治医や培養士から説明を受けることをおすすめします。
PGT-A正常胚の3BCなら妊娠しやすくなりますか?
PGT-Aで正常胚と判定されることは重要な情報の一つですが、妊娠を保証するものではありません。正常胚同士でも形態や発育速度などによって成績に違いがみられる研究があります。
5日目の3BCと6日目の3BCでは違いますか?
胚盤胞になった日数も移植成績を考える際の情報の一つです。ただし、Day5・Day6だけで結果を判断することはできません。胚の形態やPGT-A結果などと合わせて評価されます。
41歳で3BCなら移植を諦めた方がよいですか?
年齢と3BCという情報だけで移植する・しないを決めることはできません。PGT-A結果、他に保存している胚、これまでの治療歴などによって判断が変わります。主治医や培養士と相談しながら、ご自身の状況に合った方針を検討してください。
Kさん妊娠お喜びの声
▢ お悩みの症状またはご来院当初の目的をお聞かせください。
タイミング・人工授精4回しましたがかすりもせず、体外受精にステップアップしました。着床UPに鍼灸が良いと聞いたので、体質改善の為にも試してみようと思いました。
▢ 鍼灸以外で妊娠(陽性反応)された方法に〇をつけてください。
体外受精(顕微授精/胚盤胞移植(凍結胚)/着床前胚異数性検査(PGT-A))
▢ ご自身で「これは良かった!」「自分に合っていた!」と思われた妊活があればお教えください。
ストレッチ・サプリメント・自宅灸・レーザー・温活・ウォーキング
(ビタミンD不足だったので基準値に達するように飲み続けました。ウォーキングや自宅灸をする事で普段から体が暖まって良かったと思います。)
▢ 鍼灸施術を受けていただいた感想をお聞かせください。
治療の段階に合わせた施術をして頂けます。他院ではここまで特化した専門的な施術は受けられなかったので、安心しておまかせできる信頼感があります。不妊治療はなかなかまわりに相談できない事が多く孤独になりやすいですが、こちらの先生方に悩みや心配事などいつも相談に乗っていただしていたので唯一の心の拠り所でもあります。肩こりや腰痛などその日の不調も治して頂けるので帰りは体が軽くぽかぽかして帰れます。
▢ 同じように悩まれている方へアドバイスやメッセージがあればお願いいたします。
保険適用の6回で出来なければ、辞めようと思っていましたが6回目の移植も化学流産(3回目)で継続できず、もう無理かと落ち込みました。PGT-Aに出した正常胚がまだ3つ残っていた為、消化試合のつもりで臨んだ自費での移植で妊娠し、現在15週めです。グレードも「3BC」で良い方ではなかったのでびっくりしました。移植の前に一度休んで頑張るのをやめて旅行へ行ったりリフレッシュできたのも良かったのかもしれません。あと多少高くても専門の病院へ行くべきだと思いました。5回の移植は総合病院だったので、、、。もっと早く転院すれば良かったなと今では思います。
※上記は患者様ご本人の体験・感想です。治療方法、鍼灸、生活習慣などと妊娠結果との因果関係を示すものではありません。
※【免責事項】すべての方にあてはまるものではありません。効果の実感には個人差があります。
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📚参考文献
- [1] Nazem TG, et al. The correlation between morphology and implantation of euploid human blastocysts. Reprod Biomed Online. 2019;38(2):169-176.
PGT-Aで正常胚と判定された胚盤胞においても、内部細胞塊や栄養外胚葉などの形態評価と妊娠継続・出生との関連がみられることを報告した研究です。 - [2] Zhao YY, Yu Y, Zhang XW. Overall Blastocyst Quality, Trophectoderm Grade, and Inner Cell Mass Grade Predict Pregnancy Outcome in Euploid Blastocyst Transfer Cycles. Chin Med J. 2018;131(11):1261-1267.
PGT-A正常胚914周期を対象に、胚盤胞の形態グレードと臨床妊娠率・出生率との関連を検討した研究です。 - [3] Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. The use of preimplantation genetic testing for aneuploidy: a committee opinion. Fertil Steril. 2024;122:421-434.
PGT-Aの適応や限界、妊娠・出生への影響についてまとめた米国生殖医学会(ASRM)の委員会見解です。
移植を繰り返していて不安な方へ
胚盤胞のグレードやPGT-Aの結果を見て、「この胚で妊娠できるのだろうか」「次の移植までに何かできることはないだろうか」と不安になる方も少なくありません。
胚移植や検査についての判断は主治医と相談することが大切ですが、治療が長くなると肩こりや冷え、睡眠、疲労、ストレスなど体調面のお悩みが重なることもあります。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、不妊治療を受けている方の治療状況を伺いながら、その時々の体調に合わせた鍼灸を行っています。移植に向けた体調管理について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。








