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採卵しても空胞が多いのはなぜ?卵胞はあるのに卵子が採れない原因

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採卵前のエコーでは「卵胞が8個あります」と言われていたのに、実際に採れた卵子は2個。

そんな結果を聞いて、

  • 「残りの卵胞は空胞だったの?」
  • 「卵胞が見えていたのに、どうして卵子が採れないの?」
  • 「次の採卵でもまた空胞になる?」
  • 「トリガーの方法を変えた方がいい?」

と不安になる方は少なくありません。

まず知っておきたいのは、エコーで見えている卵胞の数と、実際に採れる卵子の数は必ずしも同じではないということです。

また、不妊治療の会話では「卵胞から卵子が採れなかった=空胞」と表現されることがありますが、医学的なEmpty Follicle Syndrome(EFS:空胞症候群)とは区別して考える必要があります。

この記事では、卵胞があるのに卵子が採れない理由、いわゆる「空胞」が多くなる背景、EFSとの違い、次回採卵で確認したいポイントについて解説します。

この記事の要点まとめ
  • エコーで見える卵胞数と、実際に採れる卵子数は一致するとは限りません。
  • 一部の卵胞から卵子が回収できないこと自体は、採卵で起こることがあります。
  • 医学的なEmpty Follicle Syndrome(EFS)は、一般的には発育した卵胞があるにもかかわらず卵子を回収できない状態を指します。
  • 卵子が採れにくい背景には、卵胞サイズ、最終成熟を促すトリガー、採卵までの時間など複数の要素が関係します。
  • トリガーが十分に作用しなかったことによる「false EFS」と、適切にトリガーされても卵子が回収できない「genuine EFS」があります。
  • 前回の採卵で空胞が多かったからといって、次回も必ず同じ結果になるわけではありません。
  • 次回は卵胞サイズ、採卵数、成熟卵数、トリガーの種類・時刻などを主治医と振り返ることが大切です。

卵胞があるのに、なぜ卵子が採れないの?

超音波検査で見ている「卵胞」は、卵巣の中にある液体で満たされた袋状の構造です。

その中に卵子がありますが、通常の超音波検査で卵子そのものを直接確認しているわけではありません。

そのため、エコーで、

  • 右に4個
  • 左に4個

と合計8個の卵胞が確認できたからといって、「8個の卵子が必ず採れる」という意味ではありません。

実際の採卵では、卵胞に針を刺して卵胞液を吸引し、その中から培養士が卵子を含む卵丘細胞複合体を探します。

その結果、穿刺した卵胞数より回収できた卵子数が少なくなることがあります。

「空胞」とEmpty Follicle Syndrome(EFS)は同じ?

ここは特に誤解されやすいところです。

患者さんの間では、卵子が採れなかった卵胞について「空胞だった」と表現することがあります。

しかし、文献上の典型的なEmpty Follicle Syndrome(EFS:空胞症候群)は、卵巣刺激によって複数の卵胞が正常に発育しているように見えるにもかかわらず、採卵しても卵子を回収できない状態として定義されています。[1][2]

つまり、

  • 卵胞8個 → 卵子5個採取
  • 卵胞5個 → 卵子3個採取

といったケースを、そのまま典型的なEFSと呼ぶわけではありません。

2017年のレビューでも、実際の採卵では穿刺した卵胞数より採取卵子数が少なくなることはよくあり、一部の卵胞から卵子が回収できないことと、すべての卵子が回収できないEFSは分けて考える必要があるとされています。[3]

Empty Follicle Syndromeには種類がある

EFSは、その背景によって大きく分けられています。

false EFS(偽性EFS)

false EFSは、卵子の最終成熟を促すトリガーが十分に作用していなかった可能性があるケースです。

例えば、

  • hCGの投与が十分にできていなかった
  • 点鼻薬・注射の使用方法や時刻に問題があった
  • 薬剤の吸収や代謝の影響があった
  • GnRHアゴニストトリガー後のLH反応が十分でなかった

などが考えられます。[1]

以前のシステマティックレビューでも、報告されたEFSの中では、トリガー投与などに関連するfalse EFSが相当数を占めていたことが示されています。[4]

genuine EFS(真性EFS)

一方、適切なタイミング・方法でトリガーが行われ、ホルモン反応にも大きな問題がないにもかかわらず卵子が回収できないケースは、genuine EFSと呼ばれます。

原因についてはまだ十分に解明されていません。

近年では、

  • 卵子の最終成熟に関わる反応
  • 卵丘細胞と卵子の結合
  • LH・hCG受容体に関わる仕組み
  • 一部の遺伝的要因

などが研究されています。[1][2]

ただし、genuine EFSはまれな状態であり、一度卵子が採れなかったからといって、すぐに「真性EFS」と判断するものではありません。

「卵胞が8個なのに卵子が2個」も空胞症候群?

必ずしもそうではありません。

最近では、完全に卵子が回収できない典型的EFSだけでなく、発育した卵胞数に対して採取できる卵子が非常に少ない状態についても「borderline EFS」として研究されています。[2]

しかし、採卵できる卵子数は、

  • 卵胞の大きさ
  • 卵胞サイズのばらつき
  • トリガー時のホルモン状態
  • トリガーへの反応
  • 採卵時刻
  • 卵巣予備能

など多くの条件によって変わります。

単純に「卵胞数-採卵数=空胞数」と考えないことが大切です。

空胞が多くなると考えられる主な理由

1.小さい卵胞が多かった

卵胞の大きさは、卵子を回収できる可能性や卵子の成熟状態と関連します。

2025年に25,000以上の卵胞を解析したメタ解析では、卵胞サイズは卵子の成熟度を予測する一定の指標になることが示されています。[5]

また、小さい卵胞では、大きい卵胞と比べて卵子の回収率が低かったという研究もあります。

そのため、エコー上では多くの卵胞が見えていても、その中に小さい卵胞が多い場合、すべてから同じように卵子が採れるとは限りません。

2.卵胞の大きさにばらつきがあった

採卵前に、

  • 21mm
  • 19mm
  • 17mm
  • 14mm
  • 11mm

というように、卵胞サイズにばらつきが出ることがあります。

小さい卵胞の成長を待ちすぎれば、大きい卵胞が排卵に近づく可能性があります。

反対に、大きい卵胞に合わせてトリガーすると、小さい卵胞の卵子はまだ十分成熟していない可能性があります。

ESHREの2025年ガイドラインでも、トリガーのタイミングは単純に一番大きな卵胞のサイズだけで決めるのではなく、卵胞群全体のサイズ、ホルモン値、過去の周期などを含めて判断するとしています。[6]

3.トリガーが十分に作用しなかった

採卵前には、卵子の最終成熟を促す「トリガー」を使用します。

代表的なものには、

  • hCG
  • GnRHアゴニスト
  • GnRHアゴニスト+hCGのデュアルトリガー

があります。

このトリガーによる刺激が十分に伝わらないと、卵丘細胞と卵子の複合体が卵胞壁から離れにくくなり、採卵時に卵子を回収しにくくなる可能性があります。[1]

特に「卵胞は十分育っていたのに1個も卵子が採れなかった」という場合には、トリガーの使用状況やホルモン反応などが確認されることがあります。

4.トリガーから採卵までの時間

トリガー後、卵子は最終成熟に向かって変化していきます。

一方で、時間が経過しすぎると自然に排卵してしまう可能性があります。

そのため採卵は、卵子が成熟する時間を確保しながら、排卵してしまう前というタイミングに合わせて行われます。

採卵前のトリガーを指定時刻より大きく早く・遅く使用した場合は、実際に使用した時間をクリニックへ伝えることが重要です。

5.採卵前に排卵していた可能性

まれに、採卵予定時刻より前に排卵が起きてしまうことがあります。

排卵した卵子は卵胞の外へ出るため、採卵時に卵胞を穿刺しても卵子を回収できないことがあります。

ただし、「卵子が採れなかった=排卵していた」とは限りません。

採卵時の超音波所見やホルモン値などを含めて医師が判断します。

6.卵巣予備能や年齢などの背景

最近のレビューでは、年齢が高い場合や卵巣予備能が低い場合などに、EFSや卵子回収率の低下との関連が報告されています。[1][2]

ただし、年齢やAMHだけで「空胞になる」と予測できるわけではありません。

同じAMHでも採卵結果には個人差があり、周期によって結果が変わることもあります。

7.まれに採卵手技・機器などの影響

非常にまれですが、採卵時の吸引システムや手技上の要因などが卵子回収に関係する可能性も文献では指摘されています。[3]

患者さん自身が判断できる部分ではありませんが、複数の成熟卵胞があったにもかかわらず卵子がまったく回収できなかった場合には、医療機関側で採卵の経過を確認します。

空胞と未熟卵は違う?

空胞と未熟卵は同じではありません。

例えば、採卵後に、

  • MII:3個
  • MI:2個
  • GV:1個

と言われた場合、MIやGVは未熟ではありますが、卵子そのものは回収されています。

一方、「卵子が回収できなかった」という場合は、採卵液の中に卵子を確認できなかった状態です。

そのため、

  • 空胞が多い:卵胞を穿刺しても卵子が採れない
  • 未熟卵が多い:卵子は採れたが、成熟段階がMI・GVなどだった

という違いがあります。

点鼻薬を忘れたら空胞になる?

GnRHアゴニストの点鼻薬を採卵前のトリガーとして使用する場合、使用する時刻や回数は重要です。

トリガーが十分作用しなければ最終成熟が不十分となり、卵子が回収しにくくなる可能性があります。

ただし、「点鼻が30分遅れたから空胞になった」というように、一つの出来事だけから原因を断定することはできません。

採卵後に空胞が多かった場合は、実際に点鼻・注射をした時刻を主治医へ伝え、卵胞の状態や採卵までの時間などを含めて振り返りましょう。

一度空胞が多かったら、次も同じ結果になる?

一度の採卵で卵子の回収数が少なかったからといって、次回も必ず同じ結果になるわけではありません。

実際、EFSは一度だけ起こる場合もあり、その後の採卵で卵子を回収できるケースもあります。[4]

次回の採卵では、前周期の結果をもとに、

  • 卵巣刺激法
  • トリガーを行うタイミング
  • トリガーの種類
  • 採卵までの時間

などを調整する場合があります。

次回採卵で確認したい5つのポイント

1.採卵前に何個の卵胞があり、何mmだった?

単純な「卵胞数」だけではなく、それぞれの大きさを確認します。

例えば10個見えていても、採卵に近い大きさの卵胞が4個で、残り6個が小さかったのであれば、10個すべてから卵子が採れるとは限りません。

2.卵子は何個採れて、成熟卵は何個だった?

採卵結果では、

  • 採取卵子数
  • MII
  • MI
  • GV
  • 変性卵

などを分けて確認すると、その周期で何が起きていたのか整理しやすくなります。

3.どのトリガーを使った?

hCGだったのか、GnRHアゴニストだったのか、両方を組み合わせたのかを確認します。

過去に卵子の回収が極端に少なかった場合、次回のトリガー方法について主治医が検討することがあります。

4.トリガーの時刻は合っていた?

指定された時間と実際に使用した時間を確認します。

「夜10時と言われたけれど、11時だった」など時間がずれていた場合は、その情報も次回の治療計画を立てる参考になります。

5.次周期では変更できることがある?

前回の結果によっては、刺激法、トリガー、採卵時刻などを変更する場合があります。

ただし、どの変更が適切かは患者さんによって異なります。

「ネットでデュアルトリガーが良いと見たので変更したい」と決めるのではなく、前回の卵胞発育やホルモン反応をもとに主治医と相談しましょう。

デュアルトリガーなら空胞を防げる?

デュアルトリガーは、GnRHアゴニストとhCGを組み合わせて卵子の最終成熟を促す方法です。

EFSや成熟卵が少なかった既往がある方で検討されることがあります。

2025年のレビューでも、過去にEFSや低成熟率があった一部の患者さんで、デュアルトリガーが選択肢になる可能性が述べられています。[7]

ただし、デュアルトリガーにすれば空胞を必ず防げるわけではありません。

また、hCGを使用する場合はOHSSリスクなども考慮する必要があります。

トリガー方法は卵胞数、ホルモン値、OHSSリスク、これまでの採卵歴などをもとに医師が判断します。

もし採卵で1個も卵子が採れなかったら?

複数の成熟卵胞があったにもかかわらず卵子がまったく採れなかった場合、医療機関では状況によって、

  • トリガーを正しく使用できていたか
  • トリガー後のホルモン反応
  • 採卵までの時間
  • 採卵時の卵胞の状態

などを確認することがあります。

一部の状況では、再度トリガーを行い、時間をあけて再採卵する「rescue」の方法が検討された報告もあります。[8]

ただし、誰にでも行える方法ではなく、採卵当日の状況によって判断されます。

患者さん自身が追加で点鼻薬や注射を使用することはせず、必ず採卵施設の指示に従ってください。

食事やサプリで空胞を減らせる?

空胞が続くと、「何か食べた方がいい?」「サプリで卵子を増やせる?」と考える方もいると思います。

しかし、特定の食品やサプリメントを摂取することで、次回の採卵で空胞を確実に減らせると証明された方法はありません。

卵子を回収できるかどうかには、卵胞発育、卵巣反応、最終成熟を促すトリガーなどさまざまな要素が関係します。

まずは前回の採卵結果を医学的に振り返ることを優先しましょう。

そのうえで、妊活中の基本的な体調管理として、無理な食事制限を避け、睡眠・食事・運動などを整えていくことは大切です。

空胞についてよくある質問

Q. 卵胞が10個あったのに5個しか卵子が採れませんでした。半分は空胞ですか?

単純に「5個が空胞」とは判断できません。卵胞の中にはサイズが小さいものもあり、すべての卵胞から同じ確率で卵子を回収できるわけではありません。採卵前の卵胞サイズと採卵結果を合わせて確認しましょう。

Q. 空胞が多いのは卵子の質が悪いからですか?

卵子が回収できないことと、回収された卵子の「質」は同じ意味ではありません。卵胞サイズ、トリガーへの反応、卵子の最終成熟など複数の要素が関係します。

Q. AMHが低いと空胞が増えますか?

卵巣予備能の低下と低い卵子回収率との関連を示す報告はありますが、AMHだけで空胞になるかどうかは判断できません。卵胞数が少ない場合は、1個採れなかったことによる影響が大きく見えることもあります。

Q. 点鼻薬を忘れたから空胞になったのでしょうか?

採卵前のトリガーが十分作用しなかった場合、卵子回収に影響する可能性があります。ただし、点鼻時間のずれだけから原因を断定することはできません。本来の予定時刻と実際に使用した時刻を主治医へ伝えましょう。

Q. 一度全部空胞だったら、次回も卵子は採れませんか?

必ずしもそうではありません。一度だけ起こるケースもあります。次回は前周期のトリガー方法やホルモン反応、採卵までの時間などを振り返って治療計画を立てます。

Q. 空胞と未熟卵は同じですか?

違います。未熟卵はMI・GVなど、成熟途中ではあるものの卵子自体は回収できています。「空胞」と表現されるケースでは、卵胞を穿刺しても卵子を回収できていません。

まとめ|「卵胞数=採卵できる卵子数」ではありません

採卵前に複数の卵胞が確認できていても、すべての卵胞から卵子が回収できるとは限りません。

一部の卵胞から卵子が採れないことは採卵で起こることがあり、それだけで典型的なEmpty Follicle Syndrome(EFS)とは判断しません。

卵子の回収が少なくなる背景には、

  • 卵胞の大きさ
  • 卵胞サイズのばらつき
  • トリガーの種類や反応
  • トリガーから採卵までの時間
  • 卵巣予備能など患者さんごとの背景

などが関係します。

もし空胞が多かった場合は、「自分の卵子が悪い」と決めつけるのではなく、卵胞が何個・何mmだったのか、実際に何個採れたのか、成熟卵はいくつだったのか、どのトリガーを何時に使用したのかを整理してみましょう。

前回の採卵結果を具体的に振り返ることが、次の採卵方法を考えるための大切な情報になります。

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📚参考文献

この記事の監修者

宇都宮泰子 監修者写真

院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)

FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)

  • 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
  • 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
  • 日本生殖医学会会員

不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。

※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。

次の採卵に向けて、身体を整えたい方へ

採卵で卵胞が見えていたのに卵子が思ったように採れなかったり、「空胞が多かった」と聞いたりすると、「次も同じ結果になったらどうしよう」と不安になることがあります。

卵子が採れにくい背景には、卵胞の大きさやトリガーの方法・タイミング、卵巣の反応など、さまざまな要素が関係します。まずは今回の採卵結果を主治医と振り返り、次回の治療方針を確認することが大切です。

そのうえで、「次の採卵に向けて体調を整えたい」「治療と並行して身体づくりについて相談したい」という方は、鍼灸を選択肢のひとつとして取り入れることもできます。

大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、これまでの採卵結果や現在の治療スケジュールを伺いながら、採卵前・採卵後・胚移植前後など、その時期に合わせた鍼灸施術を行っています。

「次の採卵までにできることを相談したい」「今の治療と鍼灸をどう組み合わせたらいい?」という方も、どうぞお気軽にご相談ください🍀

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