
妊活中の冷えのぼせとは?上半身のほてり・足の冷えの原因と対策
妊活中に「顔や頭は熱いのに、足先は冷たい」「上半身は汗をかくのに、下半身は冷えている」と感じることはありませんか?
このような状態は、一般的に「冷えのぼせ」と呼ばれます。
冷えのぼせがあると、「身体の巡りが悪いのでは」「妊娠しにくくなるのでは」と心配になる方もいるかもしれません。
ただし、冷えのぼせは医学的な診断名ではなく、冷えのぼせがあることだけで不妊の原因とは判断できません。大切なのは、ほてりや冷えが起こる状況、月経周期、睡眠、ストレス、体重の変化などを一緒に確認することです。
- 冷えのぼせとは、上半身のほてりと手足の冷えを同時に感じる状態です
- 室温や服装、温めすぎ、睡眠不足、ストレスなどが関係することがあります
- 月経不順や動悸などを伴う場合は、甲状腺機能や卵巣機能などの確認が必要なことがあります
- 冷えのぼせだけで不妊になるとは言い切れません
- 全身を一律に温めるのではなく、暑い部分と冷える部分に合わせて調整することが大切です
妊活中に感じる「冷えのぼせ」とは?
冷えのぼせは、顔、頭、首、胸元などには熱さやほてりを感じる一方で、お腹、腰、ふくらはぎ、足先などには冷たさを感じる状態を表す言葉です。
人によっては、顔が赤くなる、頭に汗をかく、寝るときに上半身だけ暑い、足先が冷たくて眠れないといった症状を伴うこともあります。
ほてりや発汗、動悸、冷感などは血管運動神経症状として知られていますが、こうした症状だけで原因を特定することはできません。年齢や月経の状態にかかわらず、症状が続く場合は、ほかの病気が隠れていないか確認することが重要です。
妊活中に冷えのぼせを感じる主な原因
冷房や服装による温度差
夏場の冷房や冬場の暖房では、上半身と足元で体感温度に差が生じやすくなります。
暖かい空気は上にたまりやすいため、顔まわりは暑いのに、床に近い足元は冷えていることがあります。また、デスクワークなどで長時間同じ姿勢が続くと、足の冷えを感じやすくなる方もいます。
妊活を意識した温めすぎ
妊活中は「身体を冷やしてはいけない」と考え、厚着、腹巻き、靴下、カイロ、入浴などを重ねている方も少なくありません。
足元の冷えに合わせて全身を強く温めると、上半身のほてりや発汗が強くなる場合があります。汗をかいたあとに身体が冷えることもあるため、温めれば温めるほどよいとは限りません。
上半身は薄着にして足元だけを調整するなど、体感に合わせて脱ぎ着できる服装が取り入れやすい方法です。ほてりへの一般的な対策としても、衣服を重ねて温度調節しやすくすることや、暑い環境を避けることが勧められています。
月経周期に伴う体調の変化
月経周期の中では、女性ホルモンの変化に伴って体温や眠気、発汗、むくみなどの感じ方が変わることがあります。
排卵後は基礎体温が上がるため、顔や身体に熱がこもるように感じる方もいます。一方、冷房や運動不足などが重なると、足元には冷えを感じる場合があります。
「いつも月経前にほてる」「採卵周期の薬を始めてから感じるようになった」など、症状が出る時期を記録すると、周期との関係を確認しやすくなります。
ストレスや睡眠不足
妊活や不妊治療中は、通院の予定、治療結果への不安、仕事との両立などによって、心身が緊張した状態になりやすいものです。
緊張しているときに顔が熱くなる、汗をかく、手足が冷たくなるという方もいます。夜更かしや睡眠不足が続いている場合は、ほてりだけでなく、疲労感、頭痛、肩こりなどが重なることもあります。
症状をすべて「自律神経の乱れ」と決めつけるのではなく、生活状況や月経、服用している薬などを含めて考えることが大切です。
貧血や鉄不足
足先の冷えに加えて、疲れやすい、息切れ、動悸、めまい、頭痛などがある場合は、貧血が関係している可能性もあります。
特に、月経量が多い方や食事量が少ない方は、鉄が不足しやすいことがあります。貧血では、疲労感、息切れ、めまい、動悸、手足の冷えなどがみられることがあります。血液検査では、ヘモグロビンだけでなく、必要に応じて貯蔵鉄を示すフェリチンなどを確認します。
自己判断で鉄のサプリメントを長期間飲み続けるのではなく、気になる症状がある場合は医療機関で相談しましょう。
甲状腺機能の変化
甲状腺ホルモンは、代謝や体温、心拍などに関係しています。
甲状腺機能が亢進すると、暑がり、発汗、動悸、手の震え、体重減少などが現れることがあります。一方、甲状腺機能が低下すると、寒がり、疲労感、むくみ、体重増加などを感じることがあります。
月経不順や排卵障害がある場合、甲状腺機能の確認が行われることがあります。未治療の甲状腺疾患は妊孕性に影響する可能性があるため、月経異常がある方ではTSHなどの検査が検討されます。
卵巣機能の変化
年齢にかかわらず、ほてりや寝汗とともに、月経周期が大きく乱れる、月経が来なくなるといった変化がある場合は、卵巣機能について確認が必要なことがあります。
40歳未満で卵巣機能が低下する早発卵巣不全では、月経不順や無月経のほか、ほてり、寝汗、睡眠の乱れなどがみられる場合があります。症状だけでは判断できないため、婦人科でホルモン検査などを受けることが大切です。
当院でお伝えしていること
妊活中の方から「顔は暑いのに足が冷たいので、もっと温めたほうがよいですか?」と相談されることがあります。
当院では、足が冷たいという一つの感覚だけではなく、月経周期、睡眠、発汗、肩こり、頭痛、便通、食事量、治療薬の使用状況なども一緒に確認しています。
上半身に熱がこもっている方が全身を強く温めると、かえって不快感が増すこともあります。「妊活中だから温めなければ」と無理をせず、心地よく過ごせる状態を目安にしましょう。
冷えのぼせがあると不妊になる?
「足が冷たいと子宮も冷えている」「冷えのぼせがあると着床しにくい」と不安になる方もいますが、足の冷たさや冷えのぼせだけで、子宮の状態や妊娠しやすさを判断することはできません。
不妊の原因を調べる際には、年齢や月経・排卵の状態、卵巣予備能、卵管や子宮の状態、精液所見などを総合的に確認します。冷えのぼせそのものは、一般的な不妊検査で診断される不妊原因ではありません。これは、不妊評価に関するガイドラインの検査項目からも分かる点です。
ただし、冷えやほてりの背景に、甲状腺機能異常、排卵障害、無月経、強い貧血などが隠れている場合は、原因となる状態への対応が必要です。
「冷えを改善すれば妊娠できる」と単純に考えるのではなく、月経や検査結果を確認しながら、身体をつらくしている要因を一つずつ整理していきましょう。
妊活中の冷えのぼせにできる対策
上半身と足元を別々に調整する
顔や首が暑いときは、首元が開いた服を選ぶ、上着を脱ぐ、室温を調整するといった方法があります。
足元だけが冷える場合は、締めつけの少ない靴下やレッグウォーマー、ひざ掛けなどを使い、上半身まで必要以上に温めないようにしましょう。
長時間同じ姿勢を続けない
デスクワークが続くときは、1時間に一度を目安に立ち上がり、足首を回す、ふくらはぎを動かす、短時間歩くといった動きを取り入れてみましょう。
激しい運動を始める必要はありません。無理のない散歩やストレッチなど、続けやすい運動から始めることが大切です。
症状が出た時期を記録する
冷えやほてりを感じた日には、次のような項目を記録してみましょう。
- 月経周期の何日目か
- ほてりが起きた時間帯
- 冷房や暖房の設定
- 睡眠時間
- ストレスや疲労の程度
- 服用した薬や注射
- 動悸、発汗、頭痛、めまいなどの有無
記録があると、月経周期や治療薬との関係を医師へ説明しやすくなります。
食事を極端に減らさない
妊活中に体重を気にしすぎて、食事量や炭水化物、脂質などを極端に減らしてしまう方もいます。
食事量が不足すると、疲労感や冷えを感じやすくなることがあります。主食、主菜、副菜を基本に、たんぱく質や鉄を含む食品も無理のない範囲で取り入れましょう。
入浴やカイロは心地よい範囲で使う
入浴は、熱いお湯に長時間入る必要はありません。入浴後に強く汗をかく、動悸がする、ぐったりするといった場合は、温度や入浴時間を見直しましょう。
カイロを使用する場合は、低温やけどを防ぐため肌へ直接貼らず、就寝中の使用は避けてください。排卵後や胚移植後だからといって、腹部を強く温め続ける必要はありません。
婦人科や医療機関へ相談する目安
冷えのぼせに次のような症状が伴う場合は、セルフケアだけで様子を見続けず、婦人科や内科へ相談しましょう。
- 月経周期が急に不規則になった
- 妊娠していないのに3か月以上月経が来ていない
- ほてりや寝汗で眠れない日が続いている
- 動悸、手の震え、息切れがある
- 短期間で体重が大きく増減した
- 強い疲労感、めまい、立ちくらみがある
- 月経量が非常に多い
- 足の色が白色や紫色に変わる、強い痛みやしびれがある
- 妊活や不妊治療の薬を始めてから症状が強くなった
月経不順に発汗や動悸を伴う場合は甲状腺機能亢進症、疲労感や冷えを伴う場合は甲状腺機能低下症なども鑑別に挙がります。症状だけで判断せず、必要な検査を受けることが大切です。
冷えのぼせに対する鍼灸の考え方
鍼灸では、「足が冷えているから足だけを温める」「顔がほてるから熱を下げる」というように、症状を一部分だけで捉えるのではなく、睡眠、食欲、月経周期、肩こり、頭痛、便通、ストレスなどを含めて全身の状態を確認します。
宇都宮鍼灸良導絡院では、東洋医学的な体質の見方に加え、必要に応じて良導絡測定を行い、自律神経のバランスや身体の反応を確認しながら施術方針を考えています。
鍼灸は、甲状腺疾患、貧血、無月経、卵巣機能低下などの検査や治療に代わるものではありません。月経異常や強いほてりがある場合は、婦人科や不妊治療クリニックでの診察と並行して身体を整えていくことが大切です。
当院でお伝えしていること
冷えの感じ方には個人差があり、触ると足が冷たくても本人はつらくない場合もあれば、皮膚温は大きく下がっていなくても強い冷えを感じる場合もあります。
当院では「冷えているかどうか」だけでなく、「その症状によって眠れない」「肩に力が入る」「身体がだるい」など、日常生活への影響を大切にしています。
冷えをなくすことだけを目標にせず、心地よく眠れることや、妊活・不妊治療を無理なく続けられる身体づくりを一緒に考えていきます。
足が冷たいと子宮も冷えているのでしょうか?
足が冷たいことだけで、子宮の温度や血流の状態を判断することはできません。「子宮が冷えている」と自己判断して過度に温めるのではなく、月経周期や検査結果を確認することが大切です。
妊活中は夏でも腹巻きや靴下が必要ですか?
必ず着用しなければならないものではありません。冷房の中で足やお腹が冷えて不快な場合は使用してもよいですが、暑さや発汗を我慢してまで着用する必要はありません。
冷えのぼせがあるときは、どの診療科を受診すればよいですか?
月経不順、無月経、不正出血、治療薬との関係が気になる場合は、婦人科や通院中の不妊治療クリニックへ相談しましょう。
動悸、手の震え、急な体重変化、強い疲労感などがある場合は、内科や内分泌内科への相談が必要になることもあります。
まとめ
妊活中の冷えのぼせは、上半身のほてりと足元の冷えを同時に感じる状態です。
室温や服装、温めすぎ、月経周期、睡眠、ストレスなどが関係することがありますが、症状が続く場合には貧血、甲状腺機能、卵巣機能なども考える必要があります。
冷えのぼせがあることだけで、不妊や着床障害の原因とは判断できません。全身を一律に温めるのではなく、上半身と足元を分けて温度調節し、症状が現れる時期や一緒に起こる体調変化を記録してみましょう。
月経不順や無月経、動悸、強い疲労感などがある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
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📚参考文献
- 日本産婦人科医会「更年期障害の検査・診断」:ほてり、発汗、動悸、冷感などの症状と、甲状腺疾患や貧血などの鑑別について。
- American Society for Reproductive Medicine「Fertility evaluation of infertile women」:不妊検査、排卵障害、甲状腺機能検査に関する委員会見解。
- American College of Obstetricians and Gynecologists「Primary Ovarian Insufficiency in Adolescents and Young Women」:早発卵巣不全に伴う月経異常やほてりについて。
- Kingston and Richmond NHS Foundation Trust「Anaemia」:貧血に伴う疲労感、動悸、めまい、手足の冷えと検査について。
- National Institute for Health and Care Excellence「Management of menopause, perimenopause or premature ovarian insufficiency」:ほてりに対する衣服や生活環境の調整について。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
上半身は暑いのに、足の冷えが気になる方へ
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冷えのぼせの感じ方や背景は一人ひとり異なります。全身を無理に温めるのではなく、月経周期や睡眠、ストレス、治療状況なども含めて、今の身体に合った整え方を考えることが大切です。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、東洋医学的な体質の見方や良導絡測定も取り入れながら、妊活・不妊治療中の身体づくりをサポートしています。冷えやほてりを含め、気になる体調についてお気軽にご相談ください🍀







