
妊活中に積極的に摂りたい食材10選|必要な栄養素と食事の注意点
「妊活中は、何を食べたらいいの?」
「卵子や精子のために、積極的に摂ったほうがよい食べ物はある?」
妊活を始めると、毎日の食事や栄養が気になる方も多いのではないでしょうか。
まず知っておきたいのは、「これを食べれば妊娠しやすくなる」という特定の食べ物があるわけではないということです。
妊活中の食事で大切なのは、一つの食材に頼るのではなく、妊娠後の身体や赤ちゃんの発育も見据えて、妊娠前から必要な栄養素を不足させないことです。
この記事では、妊活中に意識したい葉酸・鉄・たんぱく質・ビタミンD・カルシウム・亜鉛などの栄養素と、毎日の食事に取り入れやすい食べ物10種類を、公的資料や専門機関の情報をもとにわかりやすく解説します。
- 「これを食べれば妊娠しやすくなる」という特定の食べ物はありません。妊活中は、主食・主菜・副菜をそろえ、さまざまな食品をバランスよく摂ることが基本です。
- たんぱく質・葉酸・鉄・ビタミンD・カルシウムなどを不足させないことが大切です。卵、魚、肉、大豆製品、野菜、乳製品などを組み合わせましょう。
- 妊娠を考えている女性は、食事に加えて葉酸400μg/日を意識しましょう。妊娠前からサプリメントや葉酸強化食品を利用することが推奨されています。
- 今回紹介した10種類を毎日すべて食べる必要はありません。同じ食品ばかりに偏らず、魚・肉・卵・大豆製品や野菜を入れ替えながら取り入れることが大切です。
- 妊活中は食中毒や栄養素の過剰摂取にも注意しましょう。加熱不足の食品、水銀濃度の高い魚への偏り、レバーの大量摂取、複数サプリメントの重複などに注意してください。


妊活中の食事|まず知っておきたい5つのポイント
- 特定の食べ物だけで妊娠率が上がるとはいえません。
- 主食・主菜・副菜を組み合わせ、食材を偏らせないことが基本です。
- たんぱく質、葉酸、鉄、ビタミンD、カルシウムなどを意識しましょう。
- 妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性は、通常の食事に加えて、サプリメントや葉酸強化食品から葉酸400μg/日を摂ることが望まれています。
- 「積極的に摂る」とは、一つの食材を大量に食べることではありません。さまざまな食材を入れ替えながら取り入れましょう。
東京都の妊娠支援ポータルサイトでも、「これを食べれば妊娠する」といった妊娠率を上げる食品や食事は存在せず、一般的に健康によいバランスの取れた食生活を続けることが大切とされています。
妊活中に意識して摂りたい栄養素
妊活中は「妊娠に良い栄養素」を一つだけ選ぶのではなく、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。
| 栄養素 | 主な役割 | 多く含む食材の例 |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 筋肉・臓器・血液・酵素など身体をつくる材料になる | 卵、魚、肉、大豆製品、乳製品 |
| 葉酸 | DNA合成や細胞分裂、赤血球の形成に関わる | 枝豆、ブロッコリー、葉物野菜、納豆 |
| 鉄 | ヘモグロビンの材料となり、全身へ酸素を運ぶ | 赤身肉、あさり、大豆製品、小松菜 |
| ビタミンD | カルシウムの吸収や骨の健康維持に関わる | 鮭、しらす、きのこ類 |
| カルシウム | 骨や歯の材料となり、筋肉や神経の働きにも関わる | 牛乳、ヨーグルト、小魚、小松菜 |
| ビタミンB12 | 赤血球の形成や神経機能の維持に関わる | 魚、肉、卵、貝類、乳製品 |
| 亜鉛 | 多くの酵素の働きや、たんぱく質の合成に関わる | 牛肉、貝類、卵、大豆製品 |
これらは、どれか一つだけ摂ればよいものではありません。主食・主菜・副菜をそろえ、複数の食品から栄養を摂ることを意識しましょう。
妊活中に積極的に摂りたい食べ物10選
1.卵|たんぱく質やビタミンB12を摂りやすい
卵は、たんぱく質をはじめ、ビタミンB12など複数の栄養素を含む食材です。
ゆで卵、卵焼き、スープ、炒め物など幅広く使えるため、妊活中の毎日の食事にも取り入れやすいでしょう。
ただし、卵だけで必要なたんぱく質をすべて補えるわけではありません。魚、肉、大豆製品、乳製品など、さまざまなたんぱく源を組み合わせることが大切です。
妊娠の可能性がある時期は、食中毒予防のため、できるだけ中まで十分に加熱して食べましょう。
2.鮭|たんぱく質・ビタミンD・EPA・DHA
鮭は、たんぱく質とビタミンDを摂りやすい魚です。また、EPA・DHAなどのn-3系脂肪酸も含まれています。
魚介類は、良質なたんぱく質や脂肪酸を摂ることができるため、魚をすべて避ける必要はありません。
一方、妊娠中は水銀濃度が高い一部の魚について摂取量の目安が設けられています。鮭は厚生労働省が示す水銀の注意対象魚には含まれていませんが、魚も一種類だけに偏らず、さまざまな種類を取り入れましょう。
3.赤身の牛肉|鉄や亜鉛を摂りたいときに
赤身の牛肉は、たんぱく質に加え、鉄や亜鉛を含む食材です。
特に肉や魚に含まれる鉄はヘム鉄と呼ばれ、植物性食品に含まれる非ヘム鉄と比べて吸収されやすい特徴があります。
月経のある女性は鉄が不足することもあるため、赤身肉や魚、貝類、大豆製品などを組み合わせながら鉄を摂りましょう。
脂身の多い部位や加工肉ばかりに偏らず、赤身を適量選ぶのがおすすめです。妊娠の可能性がある場合は、肉の中心部まで十分に加熱してください。
疲れやすさ、息切れ、動悸、めまいなどが続く場合は、食事だけで対応しようとせず、医療機関で貧血の有無を確認しましょう。
4.あさり|鉄とビタミンB12を摂れる
あさりは、鉄やビタミンB12を含む食品です。肉以外から鉄を摂りたいときにも取り入れやすい食材です。
味噌汁、スープ、炊き込みご飯、パスタなどに使えるため、普段の食事にも無理なく取り入れられます。
殻付き、むき身、冷凍などさまざまな商品がありますが、食中毒予防のため十分に加熱しましょう。缶詰や味付けされた加工品は塩分が多い場合があるため、栄養成分表示も確認してください。
5.納豆|植物性たんぱく質・葉酸・鉄
納豆は、植物性たんぱく質、葉酸、鉄などを含み、日常的に取り入れやすい大豆食品です。
朝食や副菜に加えやすく、肉や魚が少ない日のたんぱく質源としても活用できます。
ただし、納豆だけを「妊活に良い食べ物」と考えて大量に食べ続ける必要はありません。豆腐、豆乳、枝豆など、ほかの大豆食品とも入れ替えながら取り入れましょう。
※ワルファリンを服用している方は、納豆を避ける必要があります。該当する場合は主治医や薬剤師の指示に従ってください。
6.枝豆|葉酸と植物性たんぱく質
枝豆は、葉酸と植物性たんぱく質を一緒に摂れる食材です。
文部科学省の食品成分データベースでは、ゆでた枝豆100g当たりに葉酸260μgが含まれています。
冷凍のむき枝豆を利用すると、サラダ、スープ、卵料理などにも簡単に追加できます。塩味の強い商品を利用する場合は塩分量を確認しましょう。
7.ブロッコリー|葉酸とビタミンC
ブロッコリーは、葉酸とビタミンCを含む野菜です。
ビタミンCは、野菜や大豆製品などに含まれる非ヘム鉄の吸収を助けるため、鉄を含む食材と組み合わせるのもよいでしょう。
葉酸は水に溶けやすいため、長時間ゆでるだけでなく、蒸す、電子レンジを利用するなど、加熱時間を短くする方法も選択肢です。
8.小松菜・ほうれん草などの葉物野菜|葉酸・鉄・カルシウム
小松菜やほうれん草などの葉物野菜は、葉酸や鉄を摂ることができます。小松菜はカルシウムを摂る食品としても利用できます。
植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、肉や魚に含まれるヘム鉄に比べて吸収率が低いため、ブロッコリー、パプリカ、果物などビタミンCを含む食品と組み合わせるのがおすすめです。
9.牛乳・ヨーグルト|カルシウムとたんぱく質
牛乳やヨーグルトは、カルシウムとたんぱく質を摂りやすい食品です。
朝食や間食にも取り入れやすいため、食事だけではカルシウムが不足しやすい方にも利用しやすいでしょう。
乳製品が身体に合わない方は無理に摂る必要はありません。小魚、小松菜、豆腐など、ほかの食品からカルシウムを補いましょう。
10.きのこ類|ビタミンDを摂る選択肢
きくらげや干ししいたけなどのきのこ類は、ビタミンDを含む食材です。
鮭やしらすなどの魚類とともに、ビタミンDを食事から摂る選択肢になります。
味噌汁、炒め物、鍋料理、炊き込みご飯などにも加えやすく、日常の食事に取り入れやすい食材です。
妊活中の食事は10種類すべてを毎日食べなくて大丈夫
今回紹介した10種類を、毎日すべて食べる必要はありません。また、「妊活に良いから」と一つの食材を大量に食べ続けることもおすすめできません。
- 主菜:魚・肉・卵・大豆製品を交代させる
- 副菜:緑黄色野菜と、そのほかの野菜を組み合わせる
- カルシウム:牛乳・ヨーグルト・小魚・大豆製品などから補う
- 鉄:肉・魚・貝類・大豆製品・葉物野菜などを組み合わせる
- ビタミンC:野菜や果物を鉄を含む食品と組み合わせる
- 食事全体:欠食を減らし、極端な糖質制限や無理なダイエットを避ける
妊活中の食事は、毎日100点を目指す必要はありません。数日から1週間くらいの単位で食事全体のバランスを整えていくという考え方のほうが続けやすいでしょう。
妊活中の葉酸は食べ物だけで足りる?
葉酸は、枝豆、ブロッコリー、葉物野菜、納豆など、普段の食事からも摂ることができます。
一方、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の女性には、通常の食事に加えて、サプリメントや葉酸強化食品から葉酸400μg/日を摂取することが望まれています。
これは「葉酸を摂れば妊娠しやすくなる」という意味ではありません。妊娠初期の赤ちゃんに起こる可能性がある神経管閉鎖障害の発症リスクを低減することが主な目的です。
こども家庭庁は、妊娠1か月以上前から妊娠3か月にかけて葉酸を十分に摂取することが望ましいと案内しています。
持病がある方、薬を服用している方、過去に神経管閉鎖障害のある妊娠歴がある方などは、一般的な目安と必要量が異なる場合があります。主治医に確認してください。
妊娠の可能性がある時期に食事で注意したいこと
生もの・加熱不足に注意する
肉、魚介類、卵などは、食中毒予防のため十分に加熱しましょう。
水銀濃度が高い魚だけに偏らない
魚は、たんぱく質やEPA・DHAなどを摂ることができる大切な食品です。ただし、一部の魚は水銀濃度が高いため、妊娠中の摂取量について目安が設けられています。
レバーの食べ過ぎに注意する
レバーは鉄や葉酸を含む一方、ビタミンAも多く含む食品です。妊娠の可能性がある時期は、頻繁な大量摂取を避けましょう。
複数のサプリメントを重ねて飲まない
妊活用サプリメント、葉酸、鉄、亜鉛、ビタミンD、マルチビタミンなどを複数利用すると、同じ栄養素が重複することがあります。
栄養素は「多ければ多いほど良い」というものではありません。治療中の方や薬を服用している方は医師や薬剤師に相談しましょう。
妊活に良い食べ物はありますか?
「これを食べれば妊娠しやすくなる」といえる特定の食べ物はありません。
卵、魚、肉、大豆製品、野菜、乳製品など、さまざまな食品を組み合わせ、たんぱく質・葉酸・鉄・ビタミン・ミネラルなどを不足させないことが大切です。
この10種類を食べれば妊娠率は上がりますか?
特定の食材を食べることで妊娠率が上がるとは断定できません。
妊娠には、年齢、排卵、卵管、精子、受精、胚の状態、子宮内の状態など多くの要因が関係します。
卵子の質を上げる食べ物はありますか?
「この食品を食べると卵子の質が上がる」と断定できる食べ物はありません。
特定の食品やサプリメントだけに頼るのではなく、バランスのよい食事、適正な体重、睡眠、運動、禁煙などを含めて生活全体を整えることが大切です。
男性も同じ食べ物を摂ってよいですか?
はい。男性にも、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを含むバランスのよい食事が大切です。
妊活中の食生活を女性だけの課題にせず、夫婦で一緒に食事や生活習慣を整えていくのもよいでしょう。
食事だけで鉄やビタミンDが足りているか分かりますか?
普段の食事内容だけから、実際に鉄やビタミンDが足りているかを正確に判断することはできません。
月経量が多い、強い疲労感がある、食事制限をしている、菜食中心であるなど、不足が心配な場合は医療機関へ相談してください。
まとめ|妊活中は特別な食べ物より「続けられる食事」を
- 卵、魚、肉、大豆製品などからたんぱく質を摂る
- 枝豆、ブロッコリー、葉物野菜などから葉酸を摂る
- 赤身肉、あさり、大豆製品などから鉄を摂る
- 鮭やきのこ類などからビタミンDを摂る
- 牛乳、ヨーグルト、小魚、小松菜などからカルシウムを摂る
- 妊娠を考えている女性は、食事に加えて葉酸400μg/日も意識する
さまざまな食材を組み合わせ、主食・主菜・副菜をそろえることが基本です。
完璧な食事を毎日続けようとすると、それ自体が負担になってしまうこともあります。できるところから少しずつ整えていきましょう。
※本記事は一般的な健康・栄養情報を提供するもので、個別の診断・治療・栄養指導に代わるものではありません。持病、アレルギー、服薬、医療機関からの食事制限がある方は、主治医または管理栄養士の指示を優先してください。
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📚参考文献
- [1] 厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2025年版)
妊活中にも意識したい葉酸、鉄、ビタミンD、カルシウム、亜鉛などの栄養素の摂取基準を確認するために参考にしました。 - [2] こども家庭庁.葉酸摂取が妊娠前から大切な理由とは?
妊娠前から妊娠初期にかけての葉酸摂取と、サプリメントなどから1日400μgを摂取する考え方を参考にしました。 - [3] 国立成育医療研究センター.プレコンノート Action2 生活を整えよう
妊娠前から意識したい食事や適正体重、運動など、プレコンセプションケアの考え方を参考にしました。 - [4] 東京都妊娠支援ポータルサイト.妊活中の食生活について
特定の食品だけで妊娠率を高めるのではなく、バランスのよい食生活を整えることが大切という考え方を参考にしました。 - [5] 文部科学省.日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
卵、魚、肉、野菜、大豆製品、乳製品などに含まれる栄養成分を確認するために参考にしました。 - [6] 文部科学省.食品成分データベース:ゆで枝豆
ゆでた枝豆に含まれる葉酸などの栄養成分を確認するために参考にしました。 - [7] 厚生労働省.魚介類に含まれる水銀について
妊娠中に注意したい魚介類の種類や、水銀摂取についての考え方を参考にしました。 - [8] 厚生労働省.神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための葉酸摂取について
妊娠前から妊娠初期の葉酸摂取と、神経管閉鎖障害の発症リスク低減について参考にしました。 - [9] American Society for Reproductive Medicine. Optimizing natural fertility: a committee opinion.
自然妊娠と食事・生活習慣の関係について、特定の食事や栄養素だけで妊娠率が向上すると断定できないという考え方を参考にしました。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
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