
不妊の原因は年齢だけ?男女別の主な原因と検査を受ける目安
「なかなか妊娠しないのは、年齢のせいでしょうか?」
妊活中は、女性の年齢や卵子の状態に注目が集まりやすく、自分を責めてしまう方も少なくありません。しかし、不妊の原因は年齢だけではなく、女性側の排卵・卵管・子宮の問題、男性側の精子や性交の問題、男女双方の要因など、さまざまな可能性があります。
また、一般的な検査を受けても、原因をはっきり特定できない「原因不明不妊」もあります。
この記事では、不妊と年齢の関係、男女別に考えられる主な原因、検査を受ける目安について解説します。
- 年齢は妊娠しやすさに影響しますが、不妊の原因は年齢だけではありません。
- 女性側では、排卵・卵管・子宮・子宮内膜症などの要因が考えられます。
- 男性側では、精子をつくる機能、精子の通り道、勃起・射精などの問題が考えられます。
- 不妊の原因は女性だけでなく、男性側にも関係していることがあります。
- 女性と男性の検査を、できるだけ同じ時期に進めることが大切です。
- 35歳以上では6か月、40歳以上では期間を待たず、早めの相談が検討されます。
不妊の原因は年齢だけではありません
日本では一般的に、妊娠を希望する健康な男女が避妊をせずに性交しているにもかかわらず、1年間妊娠しない場合を「不妊症」といいます。
ただし、この「1年間」は、すべての人が1年間待たなければならないという意味ではありません。
年齢、月経の状態、婦人科疾患の有無、これまでの手術歴、男性側の症状などによっては、妊活を始めて間もない段階でも検査を受けたほうがよい場合があります。
特に大切なのは、「不妊は女性だけの問題ではない」という点です。不妊の原因は、女性側と男性側のどちらにも関係する可能性があり、複数の要因が重なっている場合もあります。
年齢は妊娠しやすさにどう影響する?
女性は年齢とともに卵子の数と状態が変化する
女性は生まれたときから卵子のもとになる細胞を持っており、年齢とともにその数は減少していきます。
一般的に、女性の妊娠する力は30歳を過ぎる頃から少しずつ低下し、35歳を過ぎると低下がより目立つようになります。
年齢が上がると、卵子の数が減るだけでなく、受精や胚の発育、染色体の状態などにも変化が起こりやすくなります。また、子宮筋腫や子宮内膜症など、妊娠に影響する可能性のある婦人科疾患も増えやすくなります。
ただし、年齢が同じでも卵巣予備能や婦人科疾患の有無、精子の状態などは一人ひとり異なります。年齢だけで妊娠の可能性を決めることはできません。
年齢ごとの妊活の進め方については、年齢別(30代・40代)に見る妊活プランと注意点でも詳しく解説しています。
男性も年齢の影響を受ける
男性は女性のように閉経を迎えるわけではありませんが、男性の妊娠する力も年齢の影響を受けます。
加齢に伴い、精子の運動性や形態、精子DNAの状態などが変化する可能性があります。ただし、変化の程度には個人差が大きく、年齢だけでは精子の状態を判断できません。
妊活が長引いている場合や男性の年齢が気になる場合は、「まだ精子はつくられているから大丈夫」と考えるのではなく、精液検査で現在の状態を確認することが大切です。
詳しくは、男性の年齢は妊娠率に影響する?高齢父親と妊活で知っておきたいことをご覧ください。
女性側に考えられる主な不妊原因
1.排卵の異常
卵胞が十分に育たない、排卵が起こりにくい、排卵の時期が安定しないなどの状態です。
排卵障害には、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、甲状腺機能の異常、高プロラクチン血症、体重の急激な増減、過度な運動、強いストレスなどが関係する場合があります。
月経周期が大きく乱れている、月経が数か月来ない、極端に周期が短い場合は、妊活期間にかかわらず婦人科へ相談しましょう。
2.卵管の問題
卵管は、排卵された卵子と精子が出会い、受精卵が子宮へ移動するための通り道です。
卵管が詰まっている、狭くなっている、卵管周囲に癒着がある場合は、卵子と精子が出会いにくくなることがあります。
クラミジア感染症、骨盤内の炎症、子宮内膜症、腹部や骨盤内の手術歴などが影響する場合があります。卵管の状態は自覚症状だけでは判断しにくいため、子宮卵管造影検査などで確認します。
3.子宮や子宮内膜の問題
子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症、子宮内の癒着、先天的な子宮の形態異常などが、着床に影響する場合があります。
病変の大きさや位置によって影響は異なり、筋腫やポリープがあるからといって、必ず不妊の原因になるわけではありません。
経腟超音波検査のほか、必要に応じて子宮鏡検査やMRI検査などが行われます。
4.子宮内膜症
子宮内膜症は、卵巣や卵管周囲の癒着、卵巣機能、骨盤内の環境などに影響し、妊娠しにくさと関係する場合があります。
強い月経痛、性交痛、排便時の痛み、慢性的な骨盤痛などがある場合は、早めに婦人科へ相談することが大切です。
5.頸管や性交に関する問題
子宮頸管から分泌される粘液の状態や、性交痛などによって、精子が子宮内へ進みにくくなることがあります。
また、妊娠しやすい時期に性交することが難しい場合もあります。性交の回数だけでなく、痛みや精神的な負担についても、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。
男性側に考えられる主な不妊原因
1.精子をつくる機能の問題
精子の数が少ない、運動性が低い、正常な形の精子が少ないなど、精子をつくる機能に問題がある状態です。
原因が特定できないこともありますが、精索静脈瘤、ホルモンの異常、染色体・遺伝子の問題、停留精巣の既往、抗がん剤治療などが関係する場合があります。
喫煙、過度な飲酒、肥満、睡眠不足、精巣への過度な熱などの生活習慣も、精子の状態に影響する可能性があります。ただし、生活習慣だけが不妊の原因だと決めつけることはできません。
2.精子の通り道の問題
精巣で精子がつくられていても、精管などの通り道が詰まっていると、精液中に精子が出てこないことがあります。
過去の炎症や手術、生まれつきの精管の異常などが関係する場合があります。無精子症と診断された場合でも、精子がつくられていないとは限らないため、男性不妊を専門とする泌尿器科での詳しい検査が必要です。
3.勃起・射精の問題
勃起障害(ED)、腟内で射精できない状態、逆行性射精なども、妊娠に影響します。
妊活中のプレッシャーやストレスが関係することもありますが、糖尿病、神経の病気、服用している薬などが原因となる場合もあります。
話しにくい悩みですが、治療や妊活方法を選ぶうえで重要な情報です。無理に性交を続けるのではなく、泌尿器科や生殖医療を扱う医療機関へ相談しましょう。
4.男性側の状態は精液検査だけでは決まらない
男性不妊の基本となる検査は精液検査です。ただし、精液所見は体調、発熱、禁欲期間、睡眠、採取時の状況などによって変動します。
1回の結果だけで判断せず、必要に応じて再検査や診察、ホルモン検査、超音波検査などを行います。
男性が受ける検査については、妊活前に男性が受けておきたい検査とは?精液検査だけではわからないことでも詳しくご紹介しています。
検査で原因が見つからない「原因不明不妊」とは
排卵、卵管、子宮、精液などの基本的な検査を受けても、妊娠しない理由を特定できないことがあります。これを「原因不明不妊」といいます。
「原因不明」は、原因がまったく存在しないという意味ではありません。
卵子の状態、精子の機能、受精、胚の発育、卵管が卵子を取り込む働き、着床までの過程など、一般的な検査だけでは確認できない要因が関係している可能性があります。
また、女性の年齢や不妊期間によっては、原因を探す検査を繰り返すよりも、タイミング法、人工授精、体外受精など、次の治療段階を検討する場合があります。
女性が受ける主な不妊検査
- 問診・月経周期や既往歴の確認
- 内診・経腟超音波検査
- 排卵や卵胞発育の確認
- FSH・LH・エストロゲン・プロゲステロンなどのホルモン検査
- 甲状腺ホルモン・プロラクチンなどの検査
- AMH検査
- クラミジアに関する検査
- 子宮卵管造影検査などの卵管疎通性検査
- 必要に応じた子宮鏡検査・MRI検査・腹腔鏡検査
検査は一度にすべて行うのではなく、月経周期に合わせて進めるものもあります。
なお、AMHは卵巣に残っている卵子の数の目安となる検査ですが、卵子の質や自然妊娠できる可能性を直接示す検査ではありません。AMHの数値だけで妊娠の可能性を判断しないことが大切です。
男性が受ける主な不妊検査
- 問診・病歴・手術歴・服薬内容の確認
- 精液検査
- 精巣や精索静脈瘤などの診察
- FSH・LH・テストステロンなどのホルモン検査
- 陰嚢超音波検査
- 必要に応じた染色体・遺伝子検査
- 勃起障害・射精障害に関する確認
精液検査は、女性側の検査と比べて身体への負担が比較的少なく、妊活の早い段階で受けやすい検査です。
女性の検査がすべて終わってから男性が検査を受けるのではなく、可能であれば同時に進めると、妊活の方針を早く整理しやすくなります。
不妊検査を受ける時期の目安
女性が35歳未満の場合
避妊をせずに定期的な性交を続けて1年間妊娠しない場合は、検査を受けることが一般的な目安です。
女性が35歳以上の場合
妊活を始めて6か月程度妊娠しない場合は、早めの検査がすすめられます。
女性が40歳以上の場合
一定期間セルフタイミングを続けてからではなく、妊娠を希望した段階で婦人科や不妊治療専門の医療機関へ相談することが検討されます。
これらは一般的な目安であり、月経の状態や病歴などによって受診時期は異なります。
期間を待たずに相談したいケース
次のような場合は、1年または6か月を待たず、早めに婦人科や泌尿器科へ相談しましょう。
- 月経が数か月来ない、または月経周期が大きく乱れている
- 月経痛や性交痛、排便時の痛みが強い
- 子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などを指摘されている
- クラミジア感染症や骨盤内炎症の既往がある
- 卵巣・子宮・骨盤内の手術を受けたことがある
- 抗がん剤治療や放射線治療を受けたことがある
- 流産を繰り返している
- 男性に停留精巣、精索静脈瘤、精巣の手術歴などがある
- 勃起や射精が難しく、妊娠しやすい時期に性交できない
- どちらかの年齢や持病について不安がある
検査や治療を進めている方からは、冷え、睡眠不足、肩こり、頭痛、胃腸の不調、強いストレスなど、妊活以外の不調についてもよくご相談いただきます。
当院では、良導絡測定や東洋医学的な体質の見方を、現在の体調を把握するための参考として使用しています。鍼灸で不妊の原因を診断することはできないため、必要な医学的検査や治療は医療機関で受けながら、睡眠やストレス、冷えなどの体調管理を並行して進めることを大切にしています。
不妊の原因をどちらか一方の責任にしないことが大切
妊活が長引くと、「自分の年齢が原因かもしれない」「私の生活習慣が悪かったのでは」と、ご自身を責めてしまうことがあります。
しかし、不妊の原因は一つとは限りません。女性側、男性側、男女双方、現在の検査では特定できない要因など、さまざまな可能性があります。
年齢は大切な要素ですが、年齢だけを見て妊娠の可能性を決めることはできません。また、女性だけが検査や体づくりを頑張る必要もありません。
検査は誰かを責めるためではなく、ご夫婦に合った妊活の進め方を考えるために行うものです。気になることがある場合は、妊活期間だけにとらわれず、早めに医療機関へ相談しましょう。
まとめ
- 不妊の原因は年齢だけではなく、女性側・男性側・男女双方の要因が考えられます。
- 女性側では排卵、卵管、子宮、子宮内膜症などを確認します。
- 男性側では精子をつくる機能、精子の通り道、勃起・射精などを確認します。
- 一般的な検査で原因を特定できない原因不明不妊もあります。
- 35歳以上では6か月、40歳以上ではより早い段階での相談が検討されます。
- 気になる症状や病歴がある場合は、一般的な期間を待つ必要はありません。
- 女性と男性の検査をできるだけ同時に進めることが大切です。
月経が規則的なら不妊検査は必要ありませんか?
月経が規則的でも、卵管、子宮、子宮内膜症、精子などに妊娠へ影響する要因がある可能性はあります。妊活期間や年齢に応じて、必要な検査を受けましょう。
AMHが低いと妊娠できないのでしょうか?
AMHは、卵巣に残っている卵子の数の目安となる検査です。卵子の質や自然妊娠の可能性を直接示すものではないため、AMHだけで妊娠できるかどうかを判断することはできません。
男性は精液検査だけ受ければよいですか?
まずは精液検査が基本となります。ただし、結果や症状によっては、再検査、診察、ホルモン検査、超音波検査などが必要です。精液所見が大きく低下している場合は、男性不妊を専門とする泌尿器科へ相談しましょう。
鍼灸で不妊の原因はわかりますか?
鍼灸で卵管の詰まり、子宮内の病変、精液所見などを診断することはできません。不妊原因を確認するためには、婦人科や泌尿器科での医学的検査が必要です。鍼灸は医療機関での検査や治療と並行し、妊活中の体調管理を支える目的で取り入れられます。
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📚参考文献
- 公益社団法人 日本産科婦人科学会「不妊症」
不妊症の定義、男女別の主な原因、女性・男性が受ける検査について解説されています。 - 公益社団法人 日本産婦人科医会「不妊カップルに対する治療のアルゴリズム」
年齢別の検査開始時期や、不妊症の一次スクリーニング検査についてまとめられています。 - American Society for Reproductive Medicine「Fertility evaluation of infertile women」
排卵、女性生殖器、卵管疎通性、男性側の精液検査を含む不妊評価について示されています。 - World Health Organization「Infertility」
不妊症の定義と、男性側・女性側・原因不明の要因があることについて解説されています。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
検査を進めながら、妊活中の体調も整えたい方へ
不妊の原因は年齢だけではなく、排卵や卵管、子宮、精子の状態など、さまざまな要因が関係します。まずは婦人科や泌尿器科で必要な検査を受け、ご夫婦の現在の状態を確認することが大切です。
一方で、検査や治療を続けるなかで、冷え、睡眠不足、肩こり、胃腸の不調、ストレスなどが気になっている方もいらっしゃいます。
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当院では「検査で問題がなければ、女性だけがもっと頑張らなければいけないのでしょうか」というご相談を受けることがあります。しかし、妊娠は排卵、卵管、子宮内膜、精子、性交のタイミングなど、複数の条件が関係して成立します。
女性側の検査だけを進めるのではなく、男性側も早い段階で精液検査を受け、ご夫婦で現在の状態を確認することが大切です。検査は、どちらかに責任を求めるためではなく、今後の進め方を考えるための情報です。