
春に寝違え・ぎっくり腰が増える?季節の変わり目に起こる首・腰の痛みと対策
春になり暖かい日が増えてくると、
「朝起きたら首が動かない」
「急に腰が痛くなった」
「季節の変わり目になると肩や腰がつらい」
と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
いわゆる「寝違え」や「ぎっくり腰」は、季節に関係なく起こる症状です。
では、春になると寝違えやぎっくり腰は本当に増えるのでしょうか?
実は、現在の研究では気温・湿度・気圧などの天候の変化そのものが、急な腰痛を引き起こす明確な原因になるとは確認されていません。
一方で春は、寒暖差、新生活による生活リズムの変化、睡眠不足、長時間のデスクワーク、活動量の変化など、首や腰に負担がかかる条件が重なりやすい季節でもあります。
この記事では、春や季節の変わり目に首・腰の痛みを感じやすくなる背景と、寝違え・ぎっくり腰が起きたときの対処法について解説します。
春になると寝違え・ぎっくり腰は増える?
結論からいうと、「春だから寝違えやぎっくり腰が増える」と医学的に断定できるわけではありません。
天候と筋骨格系の痛みについて調べた2024年の系統的レビューでは、気温・湿度・気圧・降水量などと腰痛発症との明確な関連は認められませんでした。
そのため、
「気圧が変わったから腰痛になった」
「寒暖差だけが原因で寝違えた」
と単純に考えるのではなく、季節の変わり目に起こる生活環境や身体の使い方の変化まで含めて考えることが大切です。
春・季節の変わり目に首や腰へ負担がかかりやすい理由
1.朝晩と日中の寒暖差が大きい
春は、昼間は暖かくても朝晩は冷える日があります。
気温差があると服装や寝具の調整が難しく、寒さを感じたときに肩をすくめたり、身体を縮めるような姿勢になったりすることがあります。
「暖かくなってきたから」と薄着になりすぎたり、寝具を急に春仕様へ変えたりすると、首や肩まわりに違和感を感じる方もいます。
ただし、寒暖差だけで寝違えやぎっくり腰が起こるわけではありません。
2.新生活で姿勢や身体の使い方が変わる
春は入学、就職、異動、引っ越しなど、生活環境が変わりやすい季節です。
デスクワークの時間が増えたり、通勤時間が変わったり、新しい椅子や机を使うようになったりすることで、首・肩・腰への負担が変化します。
また、引っ越しや衣替えで重い物を持つ機会が増えることもあります。
久しぶりに身体を動かしたときや、前かがみの姿勢から急に身体を起こしたときなどに、腰を痛めることもあります。
3.睡眠リズムが乱れやすい
環境の変化や仕事の忙しさによって、就寝時間が遅くなったり、十分に睡眠をとれなくなったりすることがあります。
睡眠不足が続くと疲労感が抜けにくくなり、普段なら気にならない首・肩・腰の違和感を強く感じることもあります。
「枕が合っていないから寝違えた」と考える方も多いですが、寝違えは枕だけで決まるものではありません。
睡眠中の姿勢だけでなく、日中の姿勢や首肩の負担、疲労など、いくつかの要因が重なっていることがあります。
4.暖かくなって急に活動量が増える
寒い冬は運動量が少なかった方でも、暖かくなるとウォーキングやスポーツ、旅行、ガーデニングなどで身体を動かす機会が増えてきます。
身体がまだ慣れていない状態で急に活動量を増やすと、首や腰への負担も増えます。
特に以前から腰痛を繰り返している方は、無理に一度に運動量を増やさず、少しずつ身体を慣らしていくことが大切です。
寝違えとは?朝起きたら首が動かない原因
「寝違え」は医学的な正式病名ではなく、朝起きたときなどに突然首が痛くなり、動かしにくくなった状態を一般的に表す言葉です。
首の筋肉や関節周辺の組織に一時的な負担がかかることで、
・首を左右に向くと痛い
・上や下を向きにくい
・首から肩にかけて痛む
・振り返る動作がつらい
といった症状が現れることがあります。
多くは時間とともに改善していきますが、強い外傷がある場合や、手のしびれ・力が入りにくいなどの症状が伴う場合は、単なる寝違えとは限りません。
ぎっくり腰とは?突然腰が痛くなる急性腰痛
「ぎっくり腰」も正式な病名ではなく、突然起こった強い腰痛を一般的に表す言葉です。
物を持ち上げた瞬間に痛くなる場合もあれば、
・靴下を履こうと前かがみになった
・椅子から立ち上がった
・くしゃみをした
・朝起きたら腰が痛かった
など、何気ない動作をきっかけに起こる場合もあります。
急性腰痛では、必ずしも「筋肉を傷めた」「骨がずれた」など一つの原因を特定できるとは限りません。
重大な原因を疑う症状がない急性腰痛では、すぐに画像検査が必要になるケースばかりではないことも、各種診療ガイドラインで示されています。
寝違え・ぎっくり腰になったときの対処法
無理に動かしたり強くストレッチしたりしない
痛みが強い直後に、
「固まっているから伸ばさないと」
と首や腰を強くひねったり、痛みを我慢しながらストレッチしたりする必要はありません。
まずは強く痛む動作を避けながら、無理のない範囲で過ごしましょう。
腰痛では必要以上に寝続けない
腰が痛いと「しばらく寝ていた方がいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、重大な病気が疑われない一般的な急性腰痛では、長期間安静にし続けるよりも、痛みの範囲内で日常生活を続け、少しずつ動くことが推奨されています。
もちろん、痛みを我慢して運動するという意味ではありません。
無理に動くのではなく、「できる範囲の動作は続ける」という考え方です。
温める?冷やす?
寝違えやぎっくり腰では、「温めるべきか、冷やすべきか」とよく質問されます。
急性腰痛では、温熱療法や冷却が痛みを和らげるための補助的な方法として用いられることがあります。
どちらか一方がすべての人に正解というわけではありません。
「温めると楽」「少し冷やすと楽」など、自分が心地よく感じる方法を短時間試し、悪化する場合は中止しましょう。
こんな首・腰の痛みは医療機関へ
寝違えやぎっくり腰のように見えても、まれに早めの医療機関受診が必要な病気が隠れている場合があります。
次のような症状がある場合は、自己判断だけで様子を見ず、医療機関へ相談してください。
・転倒や事故など大きな外傷のあとから痛みがある
・発熱を伴っている
・手足に強いしびれや力の入りにくさがある
・症状が急速に悪化している
・排尿や排便がうまくできない
・股の周辺に感覚異常がある
・腰痛とともに脚の麻痺が進んでいる
・首の強い痛みに激しい頭痛や神経症状を伴う
特に排尿・排便障害や進行する筋力低下などを伴う腰痛では、早急な評価が必要です。
東洋医学では春と身体をどう考える?
東洋医学では、春は五行の「木」に属し、「肝」と関係が深い季節と考えられています。
ここでいう「肝」は、西洋医学でいう肝臓そのものだけを指しているわけではありません。
東洋医学では、身体全体の状態を捉えるための一つの考え方として、
・筋肉の緊張
・ストレス
・睡眠
・月経周期
・頭痛や肩こり
・気分の変化
などをまとめて観察することがあります。
そのため当院でも、「春だから肝が弱って痛みが出た」と決めつけるのではなく、現代医学的な身体の状態と、東洋医学的な体質の見方の両方を参考にしています。
寝違えやぎっくり腰では、痛みがある場所だけを見るのではなく、普段の姿勢、仕事の負担、睡眠、ストレス、過去に痛めた場所なども確認します。
鍼灸施術も「痛い場所に鍼をすればよい」というものではありません。症状や身体の状態を確認し、必要に応じて首・肩・背中・腰など全体の緊張をみながら施術していきます。
また、鍼灸で対応するより先に医療機関での検査が必要と判断した場合には、受診をおすすめすることもあります。
寝違え・ぎっくり腰に鍼灸という選択肢
首や腰の痛みに対して、鍼灸が選択肢の一つになる場合があります。
急性腰痛については、鍼灸を痛みを軽減するための補助的な治療法の一つとして挙げている専門家による推奨もあります。
ただし、鍼灸を受ければすべての寝違えやぎっくり腰がすぐに治るわけではありません。
まず症状を確認し、医療機関での検査が必要な状態ではないかを見極めたうえで、身体の状態に合わせて施術を検討することが大切です。
季節の変わり目に首・腰を痛めないためにできること
完全に寝違えやぎっくり腰を防ぐ方法はありませんが、日頃から身体への負担を減らしておくことは大切です。
・朝晩の気温に合わせて服装を調整する
春は日中と朝晩の気温差が大きいため、脱ぎ着しやすい服装を選びましょう。
・長時間同じ姿勢を続けない
デスクワークでは、ときどき立ち上がったり姿勢を変えたりして、同じ場所に負担が集中しないようにします。
・運動量は少しずつ増やす
冬に運動量が落ちていた方は、暖かくなったからと急に激しい運動を始めず、徐々に身体を慣らしましょう。
・睡眠時間を確保する
新生活で生活リズムが変わる時期ほど、できる範囲で睡眠時間を確保することも大切です。
・痛みがあるときに無理をしない
違和感がある状態で無理なストレッチやトレーニングを続けるのではなく、症状に合わせて負荷を調整しましょう。
まとめ|春だから痛むと決めつけず、生活の変化にも目を向けよう
春や季節の変わり目になると、寝違えやぎっくり腰、肩こり、腰痛などを感じる方もいます。
しかし、現在の研究では「春の気候そのものが寝違えやぎっくり腰を増やす」とはっきり証明されているわけではありません。
春には、
・寒暖差
・生活環境の変化
・長時間のデスクワーク
・睡眠リズムの変化
・運動量の増加
・仕事や新生活によるストレス
などが重なり、首や腰への負担が変化することがあります。
寝違えやぎっくり腰が起きたときは、強く揉んだり無理に伸ばしたりせず、症状に合わせて身体を動かしていきましょう。
また、しびれや筋力低下、排尿・排便の異常、発熱などを伴う場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。
季節の変わり目に毎年のように首や腰の不調を繰り返す方は、「春だから仕方がない」と考えるのではなく、姿勢や睡眠、運動量、身体の使い方などを一度見直してみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
首や腰の痛みを我慢していませんか?
寝違えやぎっくり腰のような急な痛みだけでなく、「首や肩がいつもこっている」「腰の違和感を繰り返している」といった不調が続くこともあります。
季節の変わり目は、生活リズムや活動量、睡眠、仕事環境などが変化しやすい時期です。痛みがある場所だけでなく、普段の姿勢や身体の使い方、疲労などもあわせて見直してみることが大切です。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、首・肩・腰の状態だけでなく、お身体全体の緊張やその日の体調を確認しながら、一人ひとりに合わせた鍼灸施術を行っています。
「病院へ行くほどなのかわからない」「繰り返す首や腰の不調を一度相談してみたい」という方も、無理に我慢せずお気軽にご相談ください🍀








春先に首や腰を痛めて来院される方のお話を伺うと、「何もしていないのに急に痛くなった」と言われることがあります。
しかし詳しくお話を聞いてみると、仕事が忙しく睡眠時間が短くなっていた、新生活で座っている時間が増えていた、久しぶりに運動したなど、いくつかの変化が重なっていることも少なくありません。
季節だけを原因と考えるのではなく、その時期の生活や身体の使い方も一緒に振り返るようにしています。