2023年06月の投稿記事
妊娠中のカフェイン摂取
妊娠中のカフェインは大丈夫?
妊娠中のカフェイン摂取には注意が必要です。以下に、カフェイン摂取が妊娠に与える潜在的なリスクとして考えられる理由をいくつか挙げます。
妊娠に与えるリスク
- 胎児の成長への影響: カフェインは中枢神経刺激物質であり、摂取すると血流を通じて胎盤を通過し、胎児にも到達します。大量のカフェイン摂取は胎児の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 流産や早産のリスク: カフェインの摂取量が増えると、流産や早産のリスクが上昇する可能性があります。研究によれば、妊娠初期の高カフェイン摂取量は流産のリスクを増加させると報告されています。
- 胎児の睡眠パターンへの影響: カフェインは神経刺激物質であり、妊娠中に摂取すると胎児の睡眠パターンに影響を及ぼす可能性があります。胎児の睡眠は重要な発育段階であり、適切な睡眠サイクルが乱れることは好ましくありません。
- 脱水症状のリスク: カフェインは利尿効果を持つため、摂取すると体内から水分が排出されやすくなります。妊娠中は水分摂取が重要であり、脱水症状が起こると胎児への影響や健康リスクが増加する可能性があります。
他にも
カフェインは、神経を鎮静させる作用を持つアデノシンという物質と化学構造が似ており、ヒトの体内においてアデノシンが作用を発揮するために結合しなければならない場所(受容体)に結合します。その結果、アデノシンが受容体に結合できなくなることで、その働きが阻害され、神経を興奮させます。
カフェインを過剰に摂取し、中枢神経系が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠が起こります。消化器管の刺激により下痢や吐き気、嘔吐することもあります。
長期的な作用としては、人によってはカフェインの摂取によって高血圧リスクが高くなる可能性があること、妊婦が高濃度のカフェインを摂取した場合に、胎児の発育を阻害(低体重)する可能性が報告されています。
引用:農林水産省. (2015, December 25). カフェインの過剰摂取について. https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
妊娠中のカフェイン摂取量に明確なデータはない
カフェインはコーヒー,紅茶,緑茶,チョコレートなど,さまざまな食料や飲料に含まれ、
カフェインとその代謝物は胎盤を通過しやすく,羊水と胎児の血中に移行します。
妊娠中のカフェインの影響に関して,エビデンスレベルの高いデータは少なく,どの研究も方法に欠点があるとされています。
明確なデータはないものの,妊娠中または授乳中の女性は 200~300 mg/日の摂取であれば自然流産,胎児発育不全,早産などには影響がないと考えられています。
引用:林優, & 石本人士. (2019). Q021妊娠中にコーヒー、紅茶は飲んでもいいですか?. 周産期医学, 49(増刊), 47–79.
カフェインの摂取に関しては、妊娠中の女性は医師の指示に従うことが重要です。一般的には、妊娠中はカフェイン摂取を控えるか制限することが推奨されます。具体的なカフェイン制限の目安や適切な摂取量については、医師と相談してください。
参考:既存添加物名簿(公益財団法人 日本食品化学研究振興財団)
https://www.ffcr.or.jp/tenka/list/post-12.html?OpenDocument
妊活中のカフェイン摂取の影響
妊活中のカフェインの摂取は大丈夫?
妊活中のカフェイン摂取は慎重に考慮する必要があります。
以下に、妊活中のカフェイン摂取が潜在的に与える影響をいくつか挙げます。
- 妊娠の遅延: 高いカフェイン摂取は妊娠の遅延と関連している可能性があります。一部の研究では、カフェインの摂取量が増えると妊娠までの時間が延びる傾向があると示唆されています。
- 受精卵の質への影響: カフェインは中枢神経刺激物質であり、摂取すると血流を通じて卵巣に到達する可能性があります。カフェインの過剰摂取は受精卵の質に影響を及ぼす可能性があり、受精率や着床率の低下につながる可能性があります。
- 黄体期の異常: カフェインの摂取が黄体期(排卵後の期間)に影響を与える可能性があります。黄体期は妊娠の初期段階で重要な役割を果たすため、カフェインの摂取が黄体期の正常な機能に影響を及ぼすことは、妊娠の可能性を低下させる可能性があります。
- 不正出血のリスク: カフェインは血管を収縮させる作用があるため、摂取すると子宮内膜に影響を与える可能性があります。これにより、不正出血や周期の乱れが起こる可能性があります。
1日どれくらいのんでも大丈夫?
コーヒー,紅茶,緑茶,チョコレート,ココア,コーラなどにはカフェインが含まれており,摂取 することで頭が冴えて眠気を覚ます効果があるとされています。また,ほっと一息の休憩もリラック スタイムとして大切にしている人もいるでしょう。しかしカフェインを摂取しすぎた場合には,めま いやドキドキ,不眠,吐き気が生じることがあります。またカフェインは胎盤を通じて胎児の血液に も移行するため,妊娠中にたくさん摂取することで,流産,胎児発育不全,早産などへの影響があるといわれています。
過剰摂取に注意
そのため過剰摂取には注意する必要があります。どれくらいまでコーヒーや紅茶 からカフェインを摂取してよいかは,正確なカフェイン摂取量の計算が難しいことや,カフェインの 感受性に個人差があるため,質の高い研究はあまりありません。そのため,海外でも国によって対応 が異なる状況となっています。 妊娠中のカフェイン摂取量は,1 日 200~300 mg 未満(コーヒーカップで 3~4 杯,マグカップで 2 杯程度)までであれば影響がないと考えられます。楽しいお茶のひとときを我慢する必要はありませ んが,過剰摂取にならないように気をつけましょう。
引用:林優, & 石本人士. (2019). Q021妊娠中にコーヒー、紅茶は飲んでもいいですか?. 周産期医学, 49(増刊), 47–79.
ただし、妊活中のカフェイン摂取に関しては個人の状況により異なるため、具体的な制限や摂取量については医師の指示を仰ぐことが重要です。妊活中は健康的な生活習慣を維持することが重要であり、バランスの取れた食事や適度な運動、ストレス管理なども意識しましょう。
参考:
参考:WHO:Healthy Eating during Pregnancy and Breastfeeding,Booklet for mothers,2001
http://www.euro.who.int/__data/assets/pdf_file/0020/120296/E73182.pdf
参考:Pregnant women advised to limit caffeine consumption